遺言書を破棄したら罪になるかを事例で説明。

遺言書を破棄したら罪になるかという問題を事例でご紹介します。

保険から閑話休題ですが、遺言書を長男が破棄した例がありました。会社の金庫に仕舞ってあった自筆証書遺言をいち早く長男が破棄したのです。

破棄するとは遺言書を物理的に無効にすることです。CIMG1961

内容は知らされていなかったのですが、次男坊の方が出来がよくて社員に人望があるので後継者を次男にすべく自社株を遺言書で相続するように指定している可能性があるわけです。

会社の経営権に関わることですから双方譲ることはできません。家族は金庫に遺言書があることを知っていましたから知らぬ存ぜぬの長男と当然争いになります。

もし自分に不利な遺言書の破棄が事実なら長男は相続欠格者となり遺留分も含めてなにも相続できません。民法には「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿したものは相続人となることができない。」と規定されています。

でも長男本人は否認していて証拠がありません。警察に捜査をお願いする筋のことでもありませんしね。双方の主張は裁判で決着するよりありません。

結局法定相続となり会社は次男が承継し長男は別会社を起こしました。お互い競合になりますからどちらの会社も長期低迷しています。

まさか遺言書を破棄されるとは被相続人もだれも思いつかなかったのでしょうが、目の前に自分に不利な遺言書を見つければ刑事事件になるとも思わず破棄してしまう可能性もあります。

遺言書の破棄は私文書毀棄罪で5年以下の懲役です。

もめそうな遺言書は公正証書遺言に限るわけです。

後継者候補が兄弟で争っているケースは珍しくありません。親というか現経営者は兄か弟かどちらかを選ばなければなりません。ここを間違えると泥沼のお菓子会社の様になります。遺言書はそれを防ぐ有効な手立てではありますが、あらゆるケースを想定し、念には念を入れて準備しておくものです。

そういうアドバイスを繰り返しても実際の経営者は遺言に取り掛かるのは誠に腰が重いと言わざるを得ません。

遺言とは自分の死と向かい合うことでもあり、この世での自分の生きてきた足跡を整理することでもあります。そこまで悩み苦しみ書き上げた遺言書をあっさり破棄されたのでは死ぬに死にきれません。(遺言を開封するとき本人はこの世にはいませんが。)

遺言に関してはわが子、嫁と言えども信用してはならないと言う悲しい現実を申し上げたいのではなく、例えお金がかかっても遺言信託にするとかせめて公正証書遺言にすれば罪を作らずに大岡裁きができるというものです。

以下蛇足になり失礼します。

保険で後継者は指定できませんが、後継者に残す資金は保険の受取人として何より確実に指定できます。

もちろん遺言書よりも確実に、保険金受取人は受け取るべき遺産を引き継ぎことができるのです。

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