簡単に廃除できる!?できの悪い息子に相続させない方法。

簡単に廃除できる!?できの悪い息子に相続させない方法。

好き勝手に家を出て行って寄り付きもせず、金の無心をするときだけ突然帰ってくるような息子がいます。親の病気を気遣うどころか、見舞いにも来ないような放蕩息子がいれば、親としては財産を相続させたくない思いがあると思います。でもこの程度では、相続権をはく奪して廃除にはできないということです。

結論から書いてしまいましたが、相続手続きには「廃除」と言うものがあります。どうすればできの悪い息子を廃除できるのか、廃除すれば遺留分はどうなるのか、遺言書で排除できるのかをまとめました。

■遺言書の効力がものを言う、絶対必要な7つのケース。

◆ そもそも「廃除」とは?

廃除 (はいじょ)と書きます。「排除」ではありません。 被相続人(親=遺言者)の申し立てにより、相続人(子=予定相続人))が持っている遺留分を含めた相続権を、家庭裁判所の審判または調停によって失わせること、となります。

廃除が厳しいのは、相続人にとって遺留分の権利すら失うという点です。

・遺言書で遺言執行者を指定

遺言書で廃除する場合には、遺言執行者が必要です。相続人の一人が遺言執行者となることもありますが、もめごとをなくすには事務的に処理できる外部の人間が適任です。

遺言書では、生前に依頼して承諾を得た人を、遺言執行者を指定します。

・廃除の効果について

家庭裁判所の決定を受けて、廃除された相続人は相続権を失います。遺産を一切相続できず遺留分も認められません。代襲相続は適用されますので、廃除された人に子がいれば、その子が代襲相続することになります。

・廃除の要件について

廃除が認められる要件は、かなりハードルが高くなります。少々の放蕩息子や親不孝ぐらいでは認められません。被相続人=親に対する暴力や虐待、許しがたい侮辱や著しい非行癖などがある場合です。

引用:民法第892条

遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。 以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる

・遺言書で廃除する手順(遺言廃除)

遺言で廃除をする手順としては、遺言書のなかでその意思を表示し、遺言書執行者を指定しておきます。他の相続人にもそのことを説明し理解を得ておく必要があります。

【遺言書で廃除の文例】

遺言者の長男〇〇は、遺言者に暴言を浴びせ著しい侮辱をあたえ、暴力をふるうばかりか、金銭を盗みだしギャンブルに浪費することを繰り返した。家族にも虐待を加えたびたびケガを負わせるなど許しがたき行動があった。このため遺言者は、長男〇〇を推定相続人から廃除する。

本当に長男を廃除したいのであれば、具体的に侮辱や暴力の記録を残しておくこと、長男が家庭裁判所で否認できない証拠として、ケガを治療した診断書などを残しておく必要があります。

相続廃除になるくらいに出来の悪い息子とは、親がそう思うだけではダメなのです。家庭裁判所でなるほどこれは相続廃除もやむなし、と判断してもらわなければ廃除はできないのです。

出来の悪い息子でも、簡単に廃除はできない遺言書ということもあります。我が子は誰しも可愛いものですが、兄弟それぞれ性格があり、親としては公平に扱おうと思っても相性や好き嫌いがでてしまいます。出来の悪いというより親不孝な子もいます。

できれば相続財産を渡したくないほどの不出来な子でも、遺言書による推定相続人の廃除はなかなか難しいということです。

■遺言書を破棄したら罪になるかを事例で説明。

◆ 相続廃除になれば、遺留分もなくなり戸籍に記載。

家庭裁判所で廃除となると、廃除された相続人は遺産をもらえないばかりか遺留分も一切ありません。その上、廃除されたことは戸籍に記載されます。相続人にとっても廃除は相当厳しい処断となります。

少々の放蕩や反抗は該当せず、相当悪質かつ悪辣でないと裁判所は認めないということはご理解いただけたかと思います。

遺言書で相続廃除をするためには、遺言の執行者を指定しなければなりません。遺言執行者が、代わりに家庭裁判所に出向いて手続きを行うことになります。実際に廃除が認められるケースは、かなり少ないようです。ほとんどの年度で全国50件以下というのが実態のようですね。

◆ 簡単に廃除できる!?まとめ。

簡単に排除できる!?とは書きましたが、決して簡単なことではありません。よほどひどい事例がないと、少々の放蕩や家出ぐらいでは廃除の対象にはならないということです。

どうやらこの手は一般向きではないですね。親子の血のつながりは法的にも濃いと言うことでしょうか。やはり意に沿わない息子であろうが、遺言書で廃除はできないなら、遺留分を侵害しない範囲で、相続額を削減するほかないということになります。

財産を相続させたくない息子がいる場合は、もめそうな相続になりますから遺言書は公正証書遺言に限ります。ところが最近では、自筆証書遺言書法務局保管という新しい制度がスタートしています。これならとりあえず安心ですからね。

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