過大な生命保険は同族会社の行為計算の否認に当たるか。

ガン保険も逓増定期保険も全額損金で会計処理できた時代がありました。既得権で全額損金処理をして簿外に資金を積み立てていくことができている法人はラッキーですが、新たな契約としては全額損金にはできません。

法人契約の生命保険は今やほとんど半損扱いになりましたが、一部には全額損金で処理できる商品もあります。意外な盲点で形は違いますがガン保険のような返戻率を実現できる保険商品もあります。ガン保険の様に一括告知はできませんが、被保険者を指定できますからややこしい社員は外すことができます。

法人契約の生命保険では過大な全額損金は税務調査がご心配という向きもいらっしゃるとは思いますが、判例的に見ても今のところ問題がないものと考えてよいと思います。CIMG2081

難しい言葉でいえば法人契約の過大な生命保険は同族会社の行為計算の否認に当たるかどうかというややこしい判断になりますが、判例では高額な損金算入が否認されるということはありません。

判例として国税不服審判で納税者が勝訴した裁決が根拠となっています。
参考サイト:「がん保険・逓増定期保険」の全部取消し裁決

以下に簡単に抜き書きをまとめました。

◆原処分庁の言い分
1)保険料の額が被保険者の年間給与額に比べて異常に高額であること。
2)税務否認された場合の補償確認書の存在は税負担の軽減を目的としていること。
3)決算対策シミュレーションによれば、保険料の額から解約返戻金を差し引いた実質負  担額が法人税等負担額より少なくなるよう設定されていること。
4)被保険者への周知が行われていないこと。
5)福利厚生目的に使用する旨の退職金規定などが整備されていないこと。
6)就業規則等に具体的に記載されていないこと。
7)被保険者にパート従業員が含まれていること。
8)一部被保険者が退職しているにもかかわらず解約の手続きを採っていないこと。

◆判決趣旨
1)生命保険通達を適用した経理処理の結果として法人課税が減少することとなるとしても、これをもって不当な税負担の軽減に当たるとはいえない。
2)保険契約の締結に当たり、シミュレーションを行ったことについては、実質的な税負担や解約返戻金を検討することは、経営者としての経営判断の一つであると認められるから不当な税負担の軽減に当たるということはできない。
3)一部の退職者につき年度中に解約の手続きが採られていないことは、翌事業年度に解約手続きを採る方が解約メリットが多いことから中途解約をしなかったものと推認さる。
4)本件生命保険契約は、各生命保険会社との間で有効に成立した第三者取引であって同族会社特有の取引ではなく、法人税の負担を不当に減少させるものとも認められず、これらは同族会社の行為計算には該当しないから原処分はその全部を取り消すことが相当であると判断した。(裁決年月日H14-06-10)

原処分庁の言い分によれば、請求人は結構荒っぽい契約をされていたものと推察されます。

やはり付保規定をきちんと整え、退職者の解約メンテナンスも行うことが筋を通すことになります。

また「税務否認された場合の補償確認書の存在」は驚きました。推測するに代理店でしょうがよくそんなものを書いたものです。

やはり保険会社との第三者契約ですから同族会社の行為計算の否認にあてはめるのは
無理があるでしょう。なにごともほどほどにとは思います。

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