社長の生命保険は後継者に譲渡で得する裏ワザ!?

社長の生命保険は後継者に譲渡で得する裏ワザ!?

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法人保険は役員保険とも言われますが、被保険者が社長などの役員、会社が契約者で受取人も会社という形態が法人契約の基本的なパターンです。

経営者や役員を被保険者として万が一のとき、会社に保険金が入ることにより事業上のリスクを回避することが目的です。それだけではなく昔に契約した予定利率が高い時代のお宝保険があれば、法人契約の生命保険を後継者に譲渡することで、法人から個人へ資金移動することに使えます。

◆ 予定利率の高い金庫保険を使い道。

どの会社でもこれまで何本かの法人保険に加入しているはずです。社長の身に何かあれば会社や従業員が困りますから、どんな会社でも事業保障目的で何本かの法人保険に加入していると思います。金庫の奥深く、金庫株ならぬ金庫保険の証券が見つかるものです。払込をすでに終わった予定利率のめちゃくちゃ高いころの終身保険が静かに眠っています。払込満了ともなると毎年の支払いが発生しませんからB/Sに載りますが財務担当者は、PLに関係がありませんから、普通あまり興味を示しません。

他にも退職金準備と事業保障を兼ねた長期平準定期保険があったり、余裕のあったころに知り合いの代理店に拝み倒されて入った変額終身保険だったりと、他にもいろいろな契約があると思います。

当然この話は社長が被保険者で会社契約の保険の話です。

◆ 後継者に社長の保険を有償譲渡。

下手な財務担当なら予定通り解約して退職慰労金に充てようとします。少し知恵が回ると法人保険を退職慰労金の現物支給として考えます。

ところが生命保険の有効活用という視点ではまだ知恵が足りないのです。損金保険などで簿外に退職慰労金の原資が蓄積されているなり、他で資金が工面できるなら医療保険を除き社長被保険者の保険は、すべて後継者に譲渡してしまうのがうまいやり方です。

解約返戻金相当での保険の譲渡ですから何の問題もありませんが、一つだけあるとすれば後継者の購入資金です。

そんなものは社長が貸し付ければよいのです。相続発生までスズメの涙ほどの利息を払いつつ借りっぱなしでよいのです。相続が発生したら保険金で精算すればよいだけです。逓増定期の名義変更というスキームで資金移動して保険の購入資金に充てることもできましたが、2021年5月現在、もはやその手は国税庁により封じられました。

保険譲渡の良いところは後継者の買取資金に保険というレバレッジが効いて何割か増しの保険金が受け取れます。解約返戻金よりも死亡保険金が上回るのが普通です。また解約返戻金は銀行預金などよりはるかにしっかり増加していきますから有利で確実な資産運用です。ただ保険商品や契約時期により予定利率がかなり異なりますからそこは開きがあると思います。

◆ 死亡保険金に相続税はかからない後継者の一時所得。

それも相続税はかからずにです。どういうことかと言うと譲渡後の形態は契約者が後継者、被保険者が社長、受取人が後継者になりますから、税制上はとても有利な一時所得になります。

一時所得は美味しい|生命保険で徹底活用。

契約形態:被保険者は変わりませんが契約者と受取人を後継者に変更します。

契約者:法人→変更後後継者

被保険者:社長

死亡保険金受取人:法人→変更後後継者

さらに他の相続人に遠慮することなく後継者に資金を集中できます。後継者の受取保険金は相続財産ではなく保険金受取人である後継者の一時所得です。保険金全体が一時所得ではなく、保険金から譲渡金額を差し引いた残りが一時所得の課税対象となります。この保険金は相続税の納税資金に充当できますから、事業承継対策に一役買っています。

だから申し上げたいのは簿外に退職慰労金の資金をしっかり貯める法人保険の長期的計画が会社の存続に大きな影響を与えるのです。

長い目で法人保険を活用すると相続・事業承継で驚くような働きを見せてくれるのです。ホントにここをお分かり頂きたい。

◆ 生命保険の名義変更とは、課税関係を確認!?

生命保険の契約者を変更することを名義変更と言います。保険会社の書類も契約者を変更する場合「名義変更請求書」となっています。個人から個人へ変更する場合も法人から個人へ名義を変更する場合も同じく名義変更です。

名義変更すれば契約者が変わりますから、生命保険という財産が譲渡されたことになります。一般的に個人間では有償譲渡はあまりないでしょうから贈与か相続になるでしょう。いずれにしても課税の対象となります。

法人から個人へ名義変更する場合は、給与か退職金か有償譲渡になります。給与か退職金で保険を支給されると解約返戻金相当額に所得税が課税されることになります。解約返戻金相当額で有償譲渡する場合は売買ですから課税関係は発生しません。

◆ 保険譲渡で得する裏ワザ、まとめ。

裏ワザとは書きましたが、実際は何の問題もない保険の売買です。裏ワザと申し上げたのは保険活用において意外な盲点になっているからなのです。

保険代理店にしても保険営業にしても名義変更を積極的に提案することはあまりありません。手続きそのものに自分の利益が伴わないからです。

また企業の財務管理者は、事業承継の資金繰りまでかかわろうとしないことに原因があります。この仕組みのメリットがあるのは保険の予定利率が大きく変わってきたからです。

お宝保険と言われるころの予定利率は5%以上あったものが今では1%を割り込んでいます。保険契約は契約時点の予定利率を引き継ぎますからお宝保険だと解約返戻金の増加率も、死亡保険金も大きくなりますので名義変更する価値が大きくなります。そこを理解したうえで後継者への有償譲渡を提案するわけです。できれば解約返戻金が大きくなる前に、早めの譲渡が効果的です。

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