法定相続人と相続順位の不可解。

法定相続人と相続順位は不可解ながら民法の定めです。

相続が発生するまでは推定相続人と呼ばれますが、相続人の資格は民法で決められています。

内縁の妻や認知されていない子は相続人の資格がないというのが、法律の立場です。法定相続人と相続順位の関係はシンプルですが、日常的にかかわることがないと意外にわかりにくいのです。

保証人の地位は相続されるという理不尽。

◆ 法定相続人は相続順位が定められている。

法定相続人は民法で相続の順位が規定されています。上位の順位者がいない場合に下位の順位者に相続権が発生します。

1)配偶者・・・・生存していれば順位に関係なく常に相続人
2)子・・・・・・第一順位の相続人、生存していれば常に相続人
3)親・・・・・・第二順位の相続人、子がいなければ相続権が発生
4)兄弟姉妹・・・第三順位の相続人、子も親もいなければ相続権が発生
(被相続人の兄弟姉妹です。)

cimg2543普通の相続では被相続人の親・兄弟姉妹は相続に関係ない立場です。配偶者と子が相続割合に従って分割します。被相続人に子がいなければ親に行き、子も親もいない場合に限り兄弟姉妹に相続権が発生します。

結婚せず親もなくなっている「お一人様」の相続財産は兄弟が争うことがあります。

知恵の回る兄弟姉妹は兄か姉である被相続人に自分の子や孫を養子縁組します。

老後のお世話とかいくらでも説明はつきますが、養子縁組できれば被相続人と親子関係ができますから第一順位の相続人が発生することになり、他の兄弟姉妹に財産が渡るのを阻止できます。

経験上決して珍しくないケースだと言えると思います。

相続順位と相続割合は下図をご参照下さい。

相続人区分相続分
配偶者1/22/33/4全部配偶者無し配偶者無し配偶者無し

(第一順位)
1/2子無し子無し子無し全部子無し子無し

(第二順位)
権利無し1/3親無し親無し権利無し全部親無し
兄弟姉妹
(第三順位)
権利無し権利なし1/4兄弟姉妹無し権利無し権利無し全部
相続争いは遺言書で防ぎなさい[改訂版]大坪正典著を参考にしました。

生命保険と遺産分割の経済合理性。

◆ 法定相続人は血族のみ、姻族は相続人対象外。

結婚と養子縁組は直接の血のつながりはないですが、血族になります。それとは異なる立場の姻族とは怪しい民族ではなく子や孫、兄弟姉妹の嫁(婿の場合もあります。)です。

これは嫁(婿)の立場で言えば、まさに民法の落ち度ですね。

相続問題には遠からず嫁が関係するとしたものです。被相続人のお世話をすることが多くなる立場が子の嫁です。

相続に関しては、幾ら貢献しようとも法定相続になれば嫁は一切権利がありません。言うなれば嫁という立場は姻族の悲劇です。

ということで、相続権が生まれながらにあるのは血族だけです。姻族は元をたどれば他人であり相続権は持ちえないというのが民法の理不尽です。

しかし姻族は遺言で指定すれば相続することができます。ゆえに遺言書はお世話になった嫁も含めて公平に指定することが禍根を残さないことになります。

遺言書を書くほど財産もないなどと思うのは間違いです。遺産は少ないほどもめるのは世間の通例です。

親の借金は相続放棄しても受け取れる保険金の有り難さ。

◆ 法定相続人の相続順位に関係ない生命保険金。

遺言書が難しくて書けないというなら、もっとも簡単な財産分割指定方法が生命保険です。生命保険金は受取人固有の財産として判例が定着しています。

その辺は下記ページに詳しく書きました。ご参考までに。
◆生命保険の受取人指定は遺言書より確実な理由。

◆生命保険の受取人変更12の実務ポイントをどこよりも詳説。

◆ 相続人がいないと国庫金。

今後ますます増加するであろう「お一人様」わずかばかりの財産をのこしても相続人がいないと最悪の場合国庫に入ります。

いきなり国庫に入るわけではなく家庭裁判所から指名された相続財産管理人が受け取る権利のある人「特別縁故者」を探しても見つからない場合です。

昔の様に縁結びの仲人をしようという奇特な方がいなくなり、結婚紹介センターでの婚活では結婚できない方も多くなるように思います。縁結びと思って仲を取り持っても、その気になってくれないどころか、結婚する気があるかどうかわからない時もあります。これは実感でもあります。

骨折り損のくたびれもうけが今どきの仲人の辛いところです。結婚式で仲人がいる方が少ない、新郎が挨拶をしてしまう時代ですからね。その結果相続人がいなくて、国庫にはいるは毎年300億円超と、喜んでよいのか悲しんでよいのか全く不明です。

◆ まとめ

普通に配偶者と子がいれば相続順位を思い煩うことはありません。縁がなく「お一人様」ゆえにいらざる心配の種が増えるのです。

おひとりさま相続とおふたりさま相続。

死んでしまえば、後のことはしょせんこの世のたわごとでしかないとは言うものの、気になるのが人情です。

お金や不動産のような人間が勝手に作ったこの世のルールに振り回されるのは癪ではあります。とは言うものの一度、縁つながりを思い起こしてお世話になった方も縁者もいないと言うならば、いっそのこと遺言で福祉施設にでも寄付されると閻魔様から感謝状の一つもいただけるかもしれません。

名義預金と相続税

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