生命保険の予定利率が史上最低に|生命保険業界裏表。

生命保険の予定利率が史上最低に、生命保険業界の表裏。

CIMG2594金融庁の標準利率引き下げに伴い2017年4月から保険会社各社とも予定利率の引き下げはやむを得ない状況になったと言えるでしょう。

これだけ市場金利が下がってしまえば預かった保険料を運用することでこれまで上げていた利益を見込むことが難しくなりました。

 

この結果、生命保険はどうなるのか、これまで加入していた生命保険はどうなるのか。また保険業界も、そこに属する保険営業もチャンスとピンチが背中合わせに来たようなことになります。

この史上最低の予定利率時代をいかに生き延びるか、誰にとっても未知のゾーンですから戦々恐々と言ったところでしょうか。

ただ明らかなことは4月までの駆け込み需要の取り込みで、一時的に保険業界も活気づくものと思います。

果たして契約者たる顧客の立場としてはこの最低の予定利率時代の生命保険をどう考えればよいのでしょうか。

売る側と買う側から予定利率引き下げの影響を考えてみました。

標準利率引き下げ、保険営業への影響.

1) そもそも予定利率って何よ?

生命保険会社は契約者から預かった保険料を運用することで利益をあげ経営を続けています。

生命保険会社の「三利源(さんりげん)」などと言いますが、予定利率(運用益)、予定事業費率(経費)、予定死亡率(保険金)が予定より有利に回るとそれぞれ「利差益」「費差益」「死差益」という三利源がでます。

そのうちの予定利率は金融庁が標準利率として2017年4月に1%から0.25%に引き下げます。

標準利率は予定利率の元になるものですが、これが下がると生命保険会社各社は経営の安定を確保するために予定利率を下げざるを得なくなります。

各社とも時期や商品ごとに予定利率に差を持たせてくると思いますが、残念ながら予定利率を下げるという方向は変わりません。

日本生命はプレスリリースで学資保険や個人年金保険の予定利率が1.35%から0.5%引き下げになり0.85%になると発表しています。

どこの保険会社も貯蓄性の高い保険はこれまでと比べると軒並み保険料の割高感が出てくると思います。

法人税率20%台へ引き下げ、保険業界大予測。

2) 予定利率が下がると生命保険はどうなるの?

予定利率が下がると同じ保障を買うにも保険料が割高になります。

貯蓄性の商品では予定利率が下がると解約返戻率が下がります。要するに保険料の値上げです。

最もとばっちりを受けるのは終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険などの貯蓄性の保険です。

法人契約では長期平準定期にしても逓増定期保険にしても保険料の割に解約返戻金が少なくなり、うまみが低減します。

数少ない全損商品でも解約返戻率が低下しますから、この辺の商品も貯蓄性保険のように予定利率低下の影響をもろに受けます。損金メリットが解約返戻率の低下により大きく後退します。

損金メリットが低下すると果たして税金払って利益を残すか、損金保険で簿外に蓄積するか、どちらか得かは企業の状況によります。

3) 既契約の生命保険にどのような影響が出るの?

一般に生命保険契約時の予定利率はそのまま引き継がれ、予定利率の変更により下がることはありません。

わかりやすく言えば今回の予定利率引き下げは、既契約は対象外と言うことです。

なにやら一安心のような気がするでしょうが、実際は配当という仕組みで調整するようになっています。

昨今見栄えをよくするために無配当なる保険商品も数多く出回っていますが、本来は低い予定利率で契約しても、予定利率の変動による差益は配当という形で還元されるものです。

保険会社は損をしないようにできていますが、予定利率が上がったからと言って丸取りするわけではないのです。契約するときはこの辺を確認しておきましょう。

4) 駆け込みで生命保険に加入するのは得か損か?!

確かに必要な生命保険であれば4月までに契約すればメリットはあります。

敢えて「必要な」と申し上げたのは保険営業の押しに負けて義理人情で生命保険に加入することは避けた方が賢明ですと言いたかったからです。

生命保険は個人でも法人でもとても大きな買い物です。しっかり理解し納得の上で加入契約すべきものです。

うまく利用すればとても有益でメリットの多い生命保険ですが、不十分な理解で的外れの契約をしてしまうと失うものも大きいと申し上げたいのです。

予定利率が上がろうが下がろうが時間をかけて理解を深め、納得の上で契約してこそ生命保険の真価が発揮されるというものです。

生命保険の比較購買は誤解であるという理由。

5) 史上最低の予定利率時代の生命保険のあり方ってどうよ?

CIMG2654ずいぶん昔になりますが、もっとずっと予定利率の高い時代もありました。

一時は予定利率5%以上という時期もあり養老保険金が払込保険料の倍になって返ってきたこともありました。

 

 

時代ととも予定利率は下がる一方です。それでも生命保険会社はあの手この手で新商品を生み出し続け、生命保険を売り続けてきました。

予定利率が下がればそれなりの新商品が登場し生命保険の考え方も変わります。

その中でまた必要な生命保険を選択すればよいのです。生命保険は損か得かで考えると判断を誤るところがあります。

まとめ

資産運用型の生命保険は日本円では投資対象としてのメリットが見込めなくなり、生命保険で資産運用を目指すのであれば為替リスクを考えても外貨建ての生命保険という選択肢を検討せざるを得なくなります。

しかし生命保険の本来の役割は法人保険でも個人保険でも万が一の保障の確保です。生命保険の本質を考えると予定利率が下がったから生命保険は見送るとか、そういうものではないはずです。

保険の営業に踊らされすに、予定利率は参考程度にして自分または自社に必要な保障をしっかりと見極めることが、買う側にとっての重要点だと思います。

テレワークに不向きな保険営業。

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