相続タブーが生命保険をややこしくする。

相続財産の話がタブー|保険の受取人は見直しが大事。

生命保険を扱っていると相続がらみの問題点が浮き彫りになります。

CIMG2283生命保険は契約ですからあいまいなところは一切ありませんが、生命保険契約の存在を相続人がどこまで把握できているか、受取人は誰に指定されているかが問題になります。

最近では保険証券も印鑑も不要という生命保険会社も多いだけに、契約の存在を早めにリスト化し共有しておくことがおすすめです。

とは言っても相続には様々なハードルがあります。被相続人の心理には複雑なものがあります。相続手続きの手順も慣れない中、短期での対応が求められます。

この辺を見ていくことにします。

◆ 相続税の申告まで十か月は意外に短い。

相続が発生すると10ヶ月以内という期限に責められることになります。

これは意外と短くて遺産分割の話に手間取るとあっという間に期限が迫ってきます。

相続が意外にややこしいと思うのは、日常的に経験がないためです。

手続きも思ったより複雑で、一次相続は最初で最後の一回だけですから練習もできません。かといって事前準備としてできることは、相続税対策以外には基本的な手順と期限を頭に入れておくくらいです。

最近では、告別式に続いて初七日の法要も済ませてしまいます。

終われば疲れ果てて親族は自分の家に帰ってしまいます。

相続税がかかる家庭では、相続の話は四十九日の忌明け法要が終わってからなどと思っているとあわてなくてはなりません。

ましてや被相続人に借金でもあれば相続放棄も考えなくてはなりません。

単純承認であれば問題はないのですが、相続放棄が必要な場合、相続発生から三か月以内と厳しい期限が眼前に迫ることになります。

相続財産がきちんと遺産リストとして整理されており、必要な情報が一か所に固まっていれば、処理はスムーズですが、多くのケースで何がどこにあるかすらわからないことが多いのが現実です。

そこに至って一番詳しい人がすでにいないということに気が付くことになります。

◆ 相続財産の話がタブーになる事情。

タブーの意味(google検索):ふれたり口に出したりしてはならないとされているもの。禁忌。おかすことが禁じられている、神聖または不浄な事物・場所・行為・人・言葉の類。

相続財産の話がタブー化している家庭は実感としても沢山あると思います。

エンディングノートに相続に関する必要事項を整理し、自分の財産をリスト化し遺言書を書いておけばことはスムーズに進むのですが、それがなかなかできない相談なのです。

その辺の被相続人の事情は以下にまとめてあります。

● 遺言書が書けない本当の理由。

● 遺言書き損じればただの遺書|それでも解らない経営者へ。

親が相続財産を子に知らせたくない心理はとてもよくわかります。簡単に思いつくところを上げただけでも以下のようになります。

この心理は相続人には理解しにくいのです。

・財産があるとわかると生前贈与という無心が出てくる。
・不労所得は子に贅沢を覚えさせ勤労意欲をそぐだけ。
・相続財産をめぐって子らが疑心暗鬼、不仲になる。
・自分の財産をどう分けるか子に口出しされたくない。
・節税はしたいが誰にも手の内は明かしたくない。
・金の切れ目が縁の切れ目、あわてると損をする。
・財産を手放さなければ、子らが孫連れで帰ってくる。

ある程度人生経験を積み、お金がもたらす弊害、財産を前にした人間の欲得の際限のなさについて身をもって知っているから、被相続人はあれこれ思い悩みつつ秘密主義になっていくのです。

その結果、多くのケースでは被相続人は自分の財産の概要は、ざっくり話しても詳細は教えないのです。

意図的ではないにしても、敢えて話していないことも出てきます。

内緒にするつもりでなくてもカードで自由に買える仕組みを利用していると、引き落とされる口座が被相続人名義の口座というようなこともあります。別に暦年贈与をしていて基礎控除の110万円を越えていれば、それは贈与税の対象になります。

兄弟姉妹で片方に便宜を図っているようなケースではうっかり言えないことも出てきます。

相続財産の話が親子間でタブーになる事情はそれなりに深い意味があることをお察しいただきたいと思います。

◆ 相続財産の話がタブーなら遺産リストと遺言書。

仕事柄ついつい被相続人の立場で書いてしまいます。

被相続人にお話しすることは、秘密主義でも構いませんし、家族間の話し合いをしなくてもよいですが最低限、遺産リストと遺言書を書いてくださいとお願いしています。

そして金庫に入れておいてもよいし、家族に見せなくてもよいのですが、必ず見つかるところに置いておくことをおすすめしています。

貸金庫などに隠してしまうと期限までに見つからないことも起こりえます。これは二度手間になったり、もめ事の原因を作ることになります。

遺産リストは被相続人が作れば無駄なくもれなく作れますが、他の人ではそうはいきません。

これができていないと、相続調査で遺産の全容に一番詳しいのが担当税理士でもなく相続人でもなく税務署であったりするようなことになります。

相続財産の話がタブーなのは仕方がないですが、遺産リストと遺言書だけはお忘れなきようにと申し上げておきます。

◆ 相続財産の話は家族間のタブーなら生命保険受取人指定に注意。

よくある落とし穴ですが、相続財産をリスト化するときに生命保険契約も確認すると思います。

この時必ず保険金の受取人を見直してください。

生命保険の契約をするときには受取人はそれほど深く考えずにとりあえず配偶者や子に指定します。相続を前提にすると受取人の再指定は重要です。

生命保険金は受取人固有の財産(みなし相続財産として相続税はかかります。)ですから、遺産の受取人を指定したのと同じことになります。

権利は権利ですが他の相続人との不公平の原因にもなりますから配慮が必要です。また配偶者に相応の財産が残るのであれば、受取人は配偶者から子に変更しておくことが相続税的には有利になります。

生命保険の受取人変更については以下に詳しく書いています。

● 生命保険の受取人変更12の実務ポイントをどこよりも詳説。

● 生命保険の契約者変更と受取人変更 | 課税関係を解明。

● 生命保険の受取人指定は遺言書より確実な理由。

◆ まとめ-相続財産の話がタブーはタブー。

実のところ相続財産の話のタブーこそタブーなのです。しかし被相続人も人間ですから好き嫌いもあります。生前に手の内を明かして嫌われることもないのです。

ある程度頑固に財産を握り続けていると、逆に子らに疎まれるような事態も見られます。洗いざらいも感心しませんがタブー一点張りも家族関係を考えるとあまりよろしくありません。

大金でなく、小金を不定期に贈与しつつ、生命保険の様な換金性にハードルがあるようなものを組み合わせて生前贈与しておくことです。

その上で、遺言書のありかや財産の概要を節目節目の折に触れて伝えておけば、よしとしたところです。この辺の感覚は配偶者や子らの性格にもよります。しかし信頼しすぎて目測を誤る事例のほうが多いように感じます。

くれぐれも慎重に、何事も小出しに、です。

また相談する人にもご注意下さい。親切な人には残念ながら概して下心がありますから、その分を割り引いて話を聞くことが大事です。相続というのは大金が動く訳ですから、方々無造作に話を進めないようにお考え下さい。

 

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