保険の支払調書で隠れ贈与がバレバレに!

生命保険、支払調書の不安をわかりやすく説明します。

CIMG3202以前に生命保険の支払調書の改正についてくわしく書きました。今読み返してみるとわかりやすく書いたつもりが、すっきり頭に入ってこないのです。

どうも悪い癖でこむずかしく書いてしまったようです。

■生命保険の支払調書が危ない理由。

これでは読まれる方も大変だと思うので、もう一度頭をやわらかくしてやさしく、わかりやすい説明を心がけました。

というのは、今回の生命保険の支払調書の改正は庶民のみなさんには影響が大きいはずだと思うのですが、あまり理解されていないようです。生命保険の営業をされる方でもちゃんと問題点を説明できないのです。これではいけないと反省し、あらためてシンプルでわかりやすくポイントをしぼりこみました。

生命保険の契約者変更(名義変更)はお金が動いていませんが贈与になります。

贈与は年間110万円をこえると贈与税を申告して納税する義務があります。所得税か消費税ぐらいしか縁のないみなさまにはピンとこない税金ですが、それでも納めないと、言い方は悪いですが脱税ということになってしまいます。気がつかないうちに贈与になっているということもよくありますから、注意が必要です。

◆ 生命保険は契約者の財産です。

生命保険は契約者がお金を払いますから、契約者のものです。体を提供する被保険者のものでも保険金受取人のものでもないのです。

契約者が毎月、毎年保険料というお金を保険会社に払うことでなり立ちますから、保険料を払っていない人が契約者変更で新たに契約者になれば、生命保険契約を手に入れたことになります。生命保険という財産の所有者が変わりますから、これはまぎれもない贈与ということになります。

実際はお金が動くわけでなし、手元に保険証券さえいらない時代ですから新たな契約者にしても、お金をもらったという実感がなくて当然です。この辺のたよりない実感のなさが、大金をもらったという気にならない原因なのでしょう。

◆ 契約者を親から子に変更すれば贈与です。

いちばんわかりやすい例でいうと、親が子に保険をかけて保険料を払うことはよくあります。ある程度の年になれば契約者を親から子に変えて子が保険料を払うようになります。

社会人になってもいつまでも親が保険料を払っていれば、やはり贈与といわれても仕方がないところです。極端な例でいうと親が子を被保険者として一時払の終身保険を1000万かければ、契約者は親です。後に子に契約者を変更すればその1000万のお金のもち主は子に変わります。

解約するなど生命保険に関する権利はすべて契約者について回ります。それゆえ新たな契約者である子は解約してそのお金を自由に使うことができます。だから契約者を変更すれば贈与になります。

◆ 贈与には贈与税がかかります。

たとえ親からでも1000万をもらうと、もらった子は贈与税を払わなくてはいけないきまりです。贈与税の基礎控除は110万円まで、それ以上は納得できるかできないか、そんなことは関係なく税務署は贈与税の支払を求めてきます。

贈与税は知っていても自分が払うとなると、さすがに納得できないものなのです。貧乏人にとればまことに理解不能、理不尽な税金です。

サラリーマンのように所得税は給料から天引きされ、納税意識が薄いほど贈与税の申告はハードルが高くなります。

サラリーマンでも資産家でも贈与には贈与税がかかります。贈与税が納得できるかどうかは問わないのです。法にしたがい納税しなければ罪を問われるという仕組みになっています。

◆ 税務署は生命保険会社からの支払調書で贈与を見つけます。(契約者変更=名義変更)

これまで税務署は支払調書で生命保険の名義変更を知ることはできませんでした。しかし、H30年の支払調書の改正から税務署は居ながらにして生命保険の契約者変更による贈与の実態を知ることができます。

いつ名義変更を行おうとも何回名義変更を行おうともすべて贈与に関係する契約者変更は税務署が把握するところとなります。生命保険会社は確実に生命保険の名義変更の事実を支払調書により税務署に通知します。

一方税務署にすれば支払調書の内容によっては、いくら忙しくても贈与とわかれば放置することはできないことになります。ここに今回の支払調書改正ねらいの一つがあります。

◆ 贈与に対する税務署の考え方は保険がお金にかわったとき。

かりに契約者変更をしても生命保険が解約返戻金などのお金にかわらない限り支払調書はいかないことになっています。

税務署の考え方は契約者変更のときが贈与ではなく、生命保険契約がお金にかわるとき贈与と考えます。

契約者変更をして税務署から何のおとがめもなくてもそれでは安心できないのです。契約者変更をしても、名義を借りて保険契約をしているだけで名義預金と同じと考えられます。実質的なお金の所有者は元の契約者と判断されます。

よって契約者変更により贈与をしたつもりでも、贈与税の時効が開始しないというやっかいな問題が残ります。

◆ H30年から支払調書がくわしくなりました。

H30年1月1日から支払調書の記載事項が改正になり、より詳しく報告されることになりました。

あれこれありますが結論的にいえば2点に集約されます。

まず一つ目は相続が発生すると生命保険がお金にかわっていなくても支払調書が発行されます。

つまり相続人を被保険者としない契約では生命保険契約が、死亡保険金や解約返戻金にかわっていなくても解約返戻金相当額で評価され、契約者変更の経緯はすべて支払調書により税務署に知れることになります。

今ひとつの改正は生命保険がお金にかわったとき、支払調書は過去契約者の数と負担した保険料の内訳を支払調書で報告します。

何年前に契約者を変更しても贈与税の時効は開始せず、契約者変更による保険料負担が税務署に報告されれば、明確な贈与であり税務署としても税の公平という立場から放置することはできなくなります。

税務署は支払調書が届いた時点で、贈与税か相続税かを判断し申告がされていなければ、お尋ねすることになります。

◆ 生命保険の契約者変更(名義変更)は完全にバレます。

これまで見てきたように、今回の支払調書の記載事項の追加はスキがありません。

これまでの保険業界の名義変更のような安易な契約者変更はすべて網がかかる可能性があります。

そうすれば、多くのこれまでの保険契約の名義変更の実態が白日の元さらされることになるのでしょうか。

細かい話ですが、H30.1.1以前の生命保険契約における異動の記録はこの対象ではないということもできます。ここはまだ事例が少なく確認できていません。少なくとも今後は、生命保険契約の契約者変更は、時期は別にしても支払調書の改正により完全にバレるものと考えなくてはなりません。従来の保険セールストークは通じなくなっていますのでご注意を。

◆ それでも裏ワザはありますが、おすすめできません。

裏ワザもあります。厳密に言うと税務署にわからないように生命保険契約を契約者変更し、100万円以下の減額解約を繰り返せば、支払調書は税務署に行かないことになります。よいか悪いかはこの際別の議論として、抜け道もないことはないですが、あまりおすすめはできません。

税務署がその気になれば、保険会社に照会をかけますので、すべて明らかになります。あまりよい心証にならないことだけは確かです。

◆ なんだかんだの結論として。

H30年1月1日からの支払調書の報告内容の改正は抜かりがありません。課税当局の積年の念願が実現したような形です。

生命保険契約の契約者変更(名義変更)に関しても贈与税の対象としてきちんと目を光らせていますよということです。

駆け込みで一時払終身保険という節税手段はほぼふさがれました。金利低下で一時払終身保険はドル建てしかない時代ですが、短期での相続税の節税対策はさらに厳しくなりました。

結論として、相続税を節税するなら暦年贈与と生命保険の組み合わせがベストです。

契約者=子、被保険者=子で保険料を親が子に毎年贈与します。もちろん贈与税の基礎控除110万円以下で行うと手間がかかりません。

生命保険の契約者変更を無事に乗り切っても、お金にかわるとき贈与の事実はバレバレになります。そのときあわてるより、早めの時期から暦年贈与をご検討ください。

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