全損ガン保険が狙われる理由。

全額損金のガン保険が課税当局に狙われる。

CIMG3381ドキッとする法人保険の担当者がいらっしゃると思います。今から6年前に法人契約の全額損金ガン保険による節税策が通達により封じられ、新規の契約は半損の経理処理を求められました。

ガン保険は解約返戻率が高く、かつ解約返戻率の低下時期がゆるやかで、かなり先まで引っ張れる商品が多かったので出口対策に融通性がありました。

全額損金にできないガン保険は新規に加入する気にもなりません。これでは福利厚生としての全員付保の原則が崩れたまま既契約で残っているガン保険を全損処理することになります。

福利厚生が認められないとすれば課税当局からすれば過剰な節税策と判断される可能性が出てきます。身に覚えのある経営者の方や財務管理者、かつてガン保険で財を築いた保険代理店の皆様に警鐘の意味で以下にまとめました。

◆ 全損ガン保険のいきさつ。

仕組みと保障内容は同じガン保険と言いますが、個人がかける保障重視のガン保険とはそもそも別物です。利益の出る企業にとれば全額損金にできるわけですから、保険料が大きいほど使い勝手があります。

しかし被保険者(社員)がガンに罹患すると会社はべらぼうな保険金を受け取ります。社員には見舞金程度を渡し診断書をとらせます。会社がいくら受け取ったかは経理担当者でもない限り、知られることがありません。

ややこしい社員のときは保険金請求しません。元々の意図が利益の繰り延べですから解約返戻金が目的です。なかにはガン保険なのに死亡保険金がデカいというやっかいなガン保険もあります。社員のガンで会社がもうける構図です。社員が一生懸命職場復帰を目指して抗がん治療をしているのに、会社側はピークが過ぎたガン保険の解約を密かにためらっているのです。これは余談でした、お忘れください。

十数年前から平成24年の通達で網がかかるまでの間は、法人契約のガン保険は全額損金処理ができました。しかしその後は全額損金ができなくなり既契約はそのまま全額損金で継続できますが、新規契約から半損処理(1/2損金)となりました。

建前は社員の福利厚生が目的でしたかが本音は節税にありますから半損ではうまみが半減しました。全損ガン保険の時代は既得権を残して終わりました。同時に次の問題も必然的に起こってきたと言うわけです。

 ◆ もともとガン保険は福利厚生が目的、付保規定が必要。

全額損金が認められないとなると新たに入社した社員にガン保険を追加で加入することは見送っている会社が多いと思います。そうするうちに社員の入れ替わりもあり、退社社員は定期的に解約しても新規加入がないことになるので、全社員にガン保険を付保するという当初の福利厚生の建前が崩壊しています。

それにもかかわらず、残った全額損金のガン保険をかけ続けることはリスクがあります。では解約すれば良さそうなものですが、出口対策ができていないとそうはいかない事情もあります。

全損ガン保険は代理店も付保規定を整備して福利厚生の建前を整えるように指導していました。全員加入という前提でこそ福利厚生の形になります。養老保険のハーフタックスも全員に付保することが条件で資産計上すべき養老保険の半損が認められているのです。

 ◆ 半損ガン保険に価値はあるか!?

全額損金処理ができないガン保険に価値はあるのでしょうか。昨今の新商品や長期平準定期保険の返戻率と比較してみると若干見劣りする部分があります。

長期平準定期保険には死亡保障がありますが、ガン保険の死亡保障は各社ごとに、また商品ごとにバラバラで中途半端です。考え方次第ですが、半損でガン保険をかけるくらいならもう少し良い商品がありそうです。しかしもともとの目的は課税の繰り延べですが、解約返戻金は貯まってきますから従業員の退職金準備として使えなくはないです。

 ■ガンになったら保険料免除、0円で名義変更はやり過ぎ!!

◆ 課税当局が全損ガン保険を狙うわけ。

矛盾に満ちた全額損金のガン保険の残骸は課税当局にすれば狙い目になります。OB税理士に問い合わせをいれておきましたが、回答はやはりリスク要因になるとの判断です。

法人契約のガン保険は従業員全員を被保険者として複数の保険会社に半端でない保険料をかけているのが普通です。契約先各社の入院給付金合計が6万とか8万、なかには12万などという額になっているのです。どうみても福利厚生の枠を逸脱しています。

それだけ保険料が巨額になり課税繰り延べ効果が高くなっています。課税当局にすれば法人税収減の元凶のようなものですから、福利厚生の名目が外れたガン保険に注目することがないとは言えないのです。

 ◆ まとめ

法人契約のガン保険の現状とリスクについて見てきましたが、いますぐ問題が発生するというわけではありません。近い将来の税務調査で指摘を受け取引条件のひとつにされるくらいだろうと考えています。

実際、hokenfpのネットワークでもまだ既契約のガン保険の経理処理が問題にされたという情報は聞いていません。ただ申し上げられることはOB税理士の指摘があるように、やはり全員付保していない全損のガン保険は社員に対する付保割合が下がるほど課税当局の見方は厳しくなると想像されます。

役員退職金などの出口対策を設計し早々に解約して解約返戻金を雑収入で受けてしまうことがよろしいようです。

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