経営者ならわかる全損保険と簿外資金の真価。

全額損金保険で簿外資金をためて会社を守る。

CIMG3454 法人契約の生命保険では保険料が費用として損金で落とせるかどうかが重要な判断基準になります。

昨年から全額損金保険のラストチャンスと言われていますが、多額の利益を継続的に計上できる中小企業には、生命保険という形を借りた利用価値が高い金融商品です。

中小企業のオーナー経営者の視点で全額損金で解約返戻率の高い保険契約の真価をまとめました。経営者にとって利益を繰り延べるということがどういう意味と価値をもつのか、踏み込んだ視点でお話しします。

なるべくわかりやすくを心掛けますが、専門用語も混じりますので検索してお調べ下さい。

法人保険の解約返戻金とキャッシュフロー経営が会社を救う。

 ◆ 全額損金保険のラストチャンス。

すでに法人保険を販売されている方ならよくご存じのことですが、昨年からの情報を総合すると生命保険会社各社はお上(国税庁)の意向にそって全額損金保険はもちろん、解約返戻率のよい利益繰り延べ効果の高い保険の解約返戻率の見直しをせざるを得ない状況なっているようです。それまでの数ヶ月はまさに全額損金保険のラストチャンスという状況が出現しました。

そのせいでしょうか、法人保険を主力とする保険代理店の全面攻勢が始まっています。毎日のようにメールやアポイントの電話があります。まだタイミングやどのような決着に落ち着くかは見通せていませんが、決算でもないのに全額損金保険の加入を検討することになりそうです。

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 ◆ 全額損金保険で簿外に資産形成。

全額損金保険でも半損の保険でも効果は違いますが、費用で落とした保険料が解約することで解約返戻金となり雑収入として再び利益に生まれ変わります。法人が利益を出すと法人税等の税金を納めます。実効法人税率と言いますが、あれこれ税を合わせるとほぼ33%強の税金が発生し、66%強が税引き後の利益として会社の資本に追加されます。しかし全額損金で利益を費用化すれば税金がかからず簿外に資金をもつことができます。

P/Lでは費用として消えた利益が、B/Sにはのらない簿外の含み資産として積みあがってきます。課税当局には把握できない経営者だけの隠し財布のようなものです。

解約の時期的な問題はありますが、全額損金保険の解約返戻率が高い商品に人気が集まるのは当然なのです。単純返戻率が67%以上であればメリットがあることになりますが、ほとんどの商品はピーク時期には80%以上の単純返戻率になっていますから、これはおいしいわけです。

 ◆ 会社にとって全額損金保険の真価はP/Lのコントロール。

全額損金保険の真価は利益の繰り延べと申し上げましたが、もう少し踏み込んで考えると簿外資金でP/Lの利益のコントロールができることです。利益体質の会社であってもいつも利益が出るとは限りません。景気の影響や為替、原料相場で利益は大きくぶれるのが普通なのです。また事故や災害で赤字に転落することもないとは言えません。

経営者にしてみれば少しでも資金を手元に残して安心して経営をしたいと思うものです。

赤字決算が許されない会社もあります。赤字では入札できなかったり、融資が受けられないようなこともあります。さらには優良申告法人の立場を守るためには赤字決算は許されません。役員退職金を支給するときでも、法人の統括官から赤字にはしないで下さいという指導があるくらいです。

本業がいつも安定していればよいのですがそれほど経営は甘くありません。いかなる優良企業でも長期の間には浮き沈みがあります。精一杯経営しても本業が赤字に転落することもあります。

そういうときにこそ保険で繰り延べてきた利益が役に立つわけです。保険を解約した雑収入はP/Lでは営業外収益に計上されます。言うなれば非経常的な利益ですが、本業が赤字になっても繰り延べた利益を活用すれば経常利益を黒字にすることができます。

利益というのは出しすぎても税金が増えるだけで困りものですし、少なかったり赤字ではなお困るとしたものです。法人保険を活用したP/Lの利益調整機能は経営者にとって安心かつ有難いのです。

全額損金保険の利益繰り延べに価値がある理由は、経営者の安心として簿外にキャッシュを確保でき、P/Lの利益コントロールが容易にできることにあります。

国税庁が躍起になって全額損金保険を封じこめようとする理由がここにあります。裏を返せばそれだけ全額損金保険には利用価値があるということです。そうなれば全額損金保険のラストチャンスを活かし既得権をいかに早く押さえるかです。hokenfpは買う側の人間ですが、ついつい売る側の立場で書いてしまいます。我ながら困ったものです。

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◆ 全額損金保険の選び方。

全額損金保険を比較するときは事業保障は全く考えません。解約返戻率だけを比較します。極端なことを言えば0.1%でもさらには1円でも解約返戻率のよい商品を選ぶことがお得になることは明白です。被保険者の性別や年齢、保険商品によりますが、返戻率がよいほどピーク時期が短い傾向があるのとピークを過ぎた後の返戻率のダウンが早いことが目立ちます。

経営は先行きが予測できませんから返戻率のピーク時期を一点に絞り解約するというわけにはいかないことが多いのです。ピークまでに減額(部分解約)して利益調整に使うこともあります。またピーク時期に保険料の支払いをストップして保険を失効させて解約を先送りするようなテクニックも使います。そういう事情ですから、やはりある程度ピーク時期がなだらかな商品の方が調整がしやすくなりますし、解約忘れというような救いがたいリスクも軽減できると思います。

◆ 大事なのは法人保険の出口管理。
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全額損金商品の利益の繰り延べのメリットに焦点をあてて買う側の経営者の視点で解説してきましたが、忘れてはならないことがあります。本サイトでは再三繰り返してきましたが、解約返戻金の出口対策です。ここを外して全額損金保険に加入する意味がないと言えると思います。

要するに利益の使い道です。

利益の繰り延べは企業のリスクヘッジやP/Lの利益コントロールに価値が高いことは説明しましたが、安定的に利益が出ていれば解約返戻金として復活してくる利益を何に使うかを考えることが大事です。設備投資でも役員退職金でもよいですし、保険に入り直すようなことも考えられます。

法人保険の管理というのは解約時期の管理と同時に出口対策の管理でもあります。せっかく蓄積した簿外資産を無駄に税金を払うようなことにならないよう、うまく回してこそ損金保険の利用価値を最大限まで活用したことになります。全額損金保険の加入をされたりこれから加入を検討される方は、出口対策を含めた保険の解約管理を人任せや保険代理店任せにせず、自己責任でしっかりと仕組みとして構築しておいてください。

法人保険は出口戦略が成否を分ける。

◆ 老婆心とまとめ

今回の全額損金保険商品による利益の繰り延べメリットは税理士さんに説明してもあまり理解されませんが、経営者にはストンと理解されます。やはり経営に対する責任とお金に対する執念の違いからなのだと思います。

全額損金保険の全面的な見直しが仮に行われると、法人保険専門代理店の行き詰まりが見えてきます。とくに金融機関系の決算対策を得意とする代理店は苦境に陥るのではないかと思います。「いくら落とされますか?」という商談文句も効果がなくなるかもしれません。しかし全額損金商品は繰り返されてきた歴史があります。そぞろまた新手の損金商品が開発され、同じことを繰り返すのではないかと思っています。

法人保険で会社の損益をコントロールする裏ワザ

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