特別受益と遺留分減殺請求は経営者の落とし穴。

特別受益の持ち戻しで狂い出す遺留分減殺請求。

CIMG3457用心深い経営者は、人の話やアドバイスを鵜呑みにすることなくセカンドオピニオンならぬ裏オピニオンをとります。

立場が異なれば専門家でも違うことを言いますから、細心の注意を払うのは賢明なことなのです。

そこまで用心深い経営をされているオーナー経営者であっても、事業承継や相続となるとお金だけでない広い範囲の情報と知識、また裏情報や人間関係も含めて設計しておかないと足下をすくわれることがあるのです。

とくに事業承継と相続は深く関連しています。打つ手をすべて打って抜かりない事業承継・相続設計をされたつもりでも特別受益の持ち戻しと遺留分減殺請求はやっかいなのです。

どうやっかいなのか、どうすれば良いのか、隙のない経営者の方に老婆心でいっぱいのhokenfpがご意見申し上げたいと思います。

 特別受益:贈与や遺贈を受けた相続人と受けていない相続人の不公平をなくすための制度。後継者への生前の自社株贈与など。

遺留分減殺請求:法定相続人の権利として認められた最低限の遺産の取り分である「遺留分」を確保する手続きのこと。

ある程度知識をお持ちの経営者を前提に書いていますので、説明不足や専門用語が混在します。申し訳ございませんが、専門用語や具体的な手法や手順は他のサイトを検索されますようお願いいたします。

 ◆ 自社株贈与でも安心できない特別受益の持ち戻し。

あの手この手で自社株評価を下げて、後継者である相続人に相続時精算課税制度を使い自社株を一気に贈与(今となっては相続税の納税猶予制度がありますが。)して安心しているオーナー経営者がいらっしゃると思います。

節税対策も生命保険も万全に準備し、相続税の納税資金もしっかり用意し後は遺言書を書くだけというわけです。しかし、相続人が嫁と子が一人であればもめることはないでしょうが、兄弟姉妹がいるとそうは問屋がおろさない場合があります。

被相続人たる親にしてみれば後継者でない子には、それなりのものを生前に渡して事業CIMG3458承継に口出ししないよう言い含めておいたとお考えでしょう。そのときは確かに親の威信と威厳のまえにしおらしく納得するかもしれません。

申し上げたいことは、相続が発生したと言うことは経営者たる親は、そのときこの世にいないのです。

納得していた後継者でない兄弟姉妹にすれば、財産分与はまったく不公平ですから、親の威圧がなくなれば何を言い出すかわからないのです。

自分の子に限りそんなことはないと思いたいと思いますが、こういうケースでよく見かけるのは知り合いの弁護士のアドバイスという話です。相続権がない嫁や婿が食えない専門家を連れてくるのです。(済みません。弁護士の方に恨みはありません。)

弁護士でも行政書士でもファイナンシャルプランナーでも同じことですが、親切そうに相談にのりつつ同情しつつあおります。あおり運転ではないですが、そそのかすのです。食えない士業が仕事に食いつくのは仕方がないのですが、やっかいなことに「私の分は?」と言われると遺留分が問題になります。

それ相当のものをすでにもらっているのに、「私の分は?」と言うためには根拠が必要です。入れ知恵されると特別受益の持ち戻しを主張し始めます。そうなると争族は泥沼間違いなしです。

後継者に渡した自社株は現在の時価で再計算され持ち戻しの上、遺留分を計算し直す羽目になります。親という「たが」が外れた状態こそが相続なのです。こうなると事業承継がうまくいったとは言えないのです。相続は目の前のお金の奪い合いそのものだと考えておく必要があります。

 ◆ 遺言書を書けば遺留分が見えてくる。

では、どうすれば良いのでしょう。まずしっかりと財産目録を整理(PCで作成しても良くなりました。)し遺言書を書くことです。そして一言「特別受益は持ち戻しを免除する。」と遺言して下さい。これで万全とは申しませんが、歯止めになることは間違いありません。

遺言書を書くためにはご自分の資産を整理し評価額を算定し、渡すべき相続人を指定しなければなりません。遺言書を書くことで誰にいくら渡すかがハッキリするので、相続人ひとりひとりの遺留分が見えてきて、遺留分を侵害した遺言になっていないかが明確になります。遺言書を書けば遺留分が見えてくる、そして特別受益の持ち戻し免除を追記することが大事です。

 ◆ 遺留分減殺請求をさせない遺言の書き方。

CIMG3459遺言書で財産分けを指定しても、相続人の権利である遺留分を侵害している場合は、遺留分減殺請求を家庭裁判所に申し立てれば、申し立てた相続人の言い分が通ります。

経営を任せる後継者に財産を集中する必要がある事業承継では、他の相続人が遺留分減殺請求をしないよう遺留分に配慮した遺言を書くこと、そして生前贈与を含めて納得させておくことが親の責任というものです。遺言書には親の意思として事業承継を優先した財産分けをしたことを書く必要があります。

田舎では今でも残っていると思いますが、昔は長子相続が普通でした。事業承継はそれに似ています。立場が変われば、他の兄弟姉妹にとり事業承継に名を借りた遺産の独り占めであり、許しがたい不公平に感じるのは自然なことです。

それだけの事情がありますから、よくよく吟味され遺留分減殺請求をさせないような、思いを込めた遺言書を書くことが大事だと思います。

 ◆ 遺言書は保険という意味。

本サイトは保険がテーマですが、遺言書は争族を未然に防ぎ、事業承継を円滑にするための保険のようなものです。

遺言書のない事業承継は生命保険のない人生と同じでリスクに満ちています。

遺言書は書いたときからリスクに対する備えをしていることになります。人生には年齢や財産に関係なく病気や事故のリスクがつきものです。ある日突然、何の前触れもなく心臓が止まることもあります。

保険をかけておかなければ後に残された家族や従業員や後継者は難渋を極めることでしょう。遺言書も保険と同じ、思い立ったらいますぐに書いておくことです。

 ◆ まとめ

しっかり相続対策をしていても、遺言書を先送りしているととんでもないことになります。遺言書を書いたら忘れずに特別受益の持ち戻し免除をお書きください。特別受益の持ち戻しの免除は遺言書に書かなくても意思表示すればよいとされていますが、死後のことはわかりません。ご自分では確認するすべがないので確実に意思を明記することがよろしいようです。あれこれ踏まえていただき、遺言書は保険と思いすぐに書き始めることが大事です。

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