法人契約のがん保険は保険金請求が難しい。

法人契約のがん保険は保険金請求が難しい人間模様。

CIMG3650 この手の情報は検索にあまりかかりません。どこにでもありそうな問題ですが、表面化しにくいのではないかと思います。

国税庁のパブリックコメントが公示され保険業界は新たな道を模索せざるを得ない状況となりましたが、これまでの既契約は既得権として維持されることも示されました。

以前にも同様のケースが何回かあり同じように既契約には遡及しないこととなり、残存する既契約として法人契約のがん保険があります。これも全額損金でおいしい既得権ですが、長期にわたると被保険者も高齢化したり病気になったり退社したりします。

もっともやっかいなケースは被保険者ががんに罹患することです。なぜやっかいなのか、どうすれば良いのか、悩みどころと落としどころを探ってみました。

◆ 法人契約のがん保険とは。

会社が契約者となり、従業員を被保険者としてがん保険を契約すると平成24年4月以前は全額損金で処理することができました。その後国税庁の通達により保険料の半分を資産計上にすることが示されました。

このため福利厚生は名目だけで節税のため利益の繰り延べが目的のですから、今更二分の一損金ではがん保険に追加加入する気がおきません。それまでの契約は既得権として有効継続して損金参入効果を享受しながらメンテナンスを続けることになります。会社として役員退職金や設備投資の資金需要があるときに解約して解約返戻金を雑収入で受けることになります。

ところが、節税保険としてのがん保険ですが被保険者ががんに罹患しても契約通り保険金が支払われます。がんで死亡するような場合巨額の保険金が支払われます。

誤解のないように補足しておきますが、一時期流行した法人契約の節税目的のがん保険は個人で契約するような医療保険としてのがん保険とは異なります。仕組みとしては同じですが、保険料ができるだけ多額になることで解約返戻金も多額になるよう設計されています。個人で加入するようながん保険ではないのです。

◆ 社員ががんに罹患すると会社が困るわけ。

CIMG3651 法人契約のがん保険は契約者が会社、体を提供する被保険者が社員、保険金の受取りは会社という形態になります。

多くの法人契約のがん保険では社員は自分が会社契約のがん保険の被保険者であることを知らないか、あるいは忘れているかのどちらかです。

なぜなら契約通りであれば社員にはメリットはまったくありませんから、会社は説明もしないし、社員は聞きもしません。保険料を負担する契約者である会社にすれば解約返戻金を受け取って節税することが目的ですから社員に保険金を渡す気などまったくありません。

ところが社員ががん罹患すると気の毒という反面、受け取るつもりがないがん保険金が気になる経営者が多いのです。

節税目的のがん保険は多くの場合複数社に契約があり入院給付金も10万超えなど、尋常でない契約になっているため保険金請求をすれば、保険金総額は数千万の巨額になる場合すらあり得るのです。しかし保険会社指定の診断書を医療機関に書いてもらう必要がありますから、がん保険金の請求をする場合は社員にはがん保険の存在を知られることになります。

なぜ会社が困るかと言えば、社員のがんが治癒するなら見舞金程度でお茶を濁すこともできますが、がん死亡などとなると遺族にがん保険金請求のための診断書をお願いするなど、なかなかできないところなのです。

保険金の帰属を巡る裁判になれば会社が勝てる可能性が低くなります。それゆえに社員ががんに罹患すると、欲の出た経営者ががん保険金を受け取るために頭を悩ませることになります。

 ◆ がん保険金を受取り見舞金で済ませるか。

社員が治癒するような場合、見舞金程度で済ませることはあり得ます。実際、福利厚生の仕組みとして支給規定を決めて付保規定を作成しているでしょうが、中小企業では多くの場合、税務調査対応用ですから従業員に周知しているとも思えません。

見舞金は世間の通念の範囲とするなら10万円が限度でしょう。それ以上出すなら所得と見なされても仕方がないところです。

対象となる従業員の性格も問題になります。変な話ですが会社に協力的な従業員なら多めに見舞金を渡して診断書をもらい口止めをしておくことになります。会社に非協力的な問題社員が、がんに罹患した場合は会社の規定通りの見舞金とし保険金請求はあきらめることが得策です。

従業員が、がんで死亡したような場合は、死亡退職金と弔慰金、見舞金として、たとえ受け取れるがん保険金が巨額でも保険金請求は断念する方が安全です。

継続雇用の社員のケースでは、先走りした経営者が口止め料を含めた見舞金を300万渡すと伝えてしまったことがありました。これは見舞金の枠を越えて賞与です。継続雇用給付金が打ち切られ、翌年の年金額が大幅に減額されました。こういうケースでは安易な判断をせず、内緒で渡したいのなら経営者のポケットマネーで対応すべきです。

 ◆ まとめ

法人保険にかかわっていると何度か出くわすいやな話ががん保険金請求です。なぜ社員に知られずにがん保険の契約できるのかと思われる方もおありでしょうが、そういうことが可能だった時代がありました。社員数だけ100円ショップで買った印鑑がいまでも役に立っています。

中小企業では資金繰りが逼迫するとなりふり構わずがん保険金請求に走る場合もあるのではないかと思います。かならずしも社員とトラブルになるとは限りませんが、口止めは難しいとお考え下さい。またこういうことは公平に処理できるものでもありません。相手を見極めて納得させて落としどころを考えて下さい。

もともと解約返戻金が目的ですから、欲を出すと問題も出てきます。基準はありませんのでケースバイケースで慎重にご判断下さい。

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