法人保険の目的の第一は事業保障という当たり前を噛み砕くと。

法人保険の目的の第一は事業保障という当たり前を噛み砕くと。

法人保険の目的は事業保障です。保険設計で考えるべきことは、まず事業保障ありきです。

バレンタインショックで国税庁の節税保険撲滅通達が出される前までは、法人保険の設計をしていると、その実態は節税保険が中心になっていました。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

かつての節税目的のがん保険や逓増定期保険は、事業継続のリスクをカバーする事業保障の役割はあまりありませんでした。あくまでも解約返戻金を活用することで節税したり、退職慰労金を準備したりが主目的となっていました。

しかし現在では既契約で損金の権利を温存できた保険以外では、保険による節税効果はおきな成果を期待できなくなっています。

法人保険の目的の第一は、昔も今も変わりません。保険は企業が抱えるリスクをヘッジする事業保障が、もっとも重要な目的です。節税という目的が小さくなった今、法人保険の役割として事業保障や退職金準備における役割が大きくなったと言えると思います。

保険の目的が、大きく変わってきたからこそ、今一度、法人保険の目的を見直し、整理してみました。

■法人保険の間違いやすい経理処理、注意点まとめ。

◆ 事業保障は、節税目的だけでない長期の定期保険。

事業保障を確保する場合、まず考えるのが定期保険です。そのうち逓増定期保険は死亡保障が逓増する形ですが、ある一定期間(解約まで)事業保障があります。

また長期平準定期保険では、経営者が引退する頃までしっかりとした事業保障を設計することができます。大事なことは、節税保険以外にしっかりと企業規模に合わせた事業保障を早いうちから用意しなくてはなりません。

節税保険盛んなりしは頃は、保険に山盛り加入しておきながら65歳になってあらかた解約した結果、死亡保障が雀の涙のような笑えない話もあります。

まず法人保険の目的の第一は事業保障、しかる後に余裕があればできる範囲で節税保険です。法人保険の目的として一番重要なことは後に残された後継者の生きる道です。個人の場合も法人の場合も最大のリスクは、一家の柱や経営者に万が一のとき、家族や後継者、従業員が生きていくための資金確保です。

■定期保険を法人契約すると20年定期で十分価値がある全額損金。

◆ 退職金準備と終身保険の意味合いの変化。

法人保険の事業保障を考える場合、これまでは定期保険ということが多かったと思います。多少の節税効果があり、退職時期に解約返戻率のピークをもってくるような設計にしておけば、解約返戻金を役員退職慰労金に充当することができます。

そうすれば、事業保障だけでなく、出口対策にもなっていますので一石二鳥と言うことができます。退職金の積み立てをしながら低コストで事業保障を確保していることになります。

今や保険に大きな節税効果が、期待できなくなりました。その結果、終身保険という選択肢もクローズアップされています。終身保険は、保険料全額が資産計上ですから、節税効果は全くありません。しかし、事業保障としては契約初年度から満額の死亡保障が確保できます。

また保険料を、損金で落としていないので出口対策を気にする必要がありません。ということは、解約時期を管理する必要もないということになります。

一時払いや短期払いの終身保険では、解約返戻金が途中から100%を越えてくるものもあり、資産運用効果も期待できます。

終身保険の価値が見直され、選択肢が増えたように思います。

■法人生命保険の解約返戻金を把握することがピンチの会社を救う。

◆ 経営における保険でのキャッシュは信用維持効果。

会社が行き詰まると、自ら死を選択して保険金を受け取り債権者に弁済するというような、悲惨なケースも見てきました。そこまでは言いませんが中小企業のオーナーなどは、個人信用で成り立っています。キャッシュなき経営者など、金融機関は相手にできないのです。

お金は人生に付随するもので、目的ではありません。しかし時としてお金が、運命を狂わせることがあります。そうならないためにも備えあれば憂いなし、適切な事業保障設計は経営において欠くことができません。

◆ 法人保険の目的を3項目に再構築。

機能を分類して法人保険の目的を考えると、求めるものが明確になってきます。

それぞれの機能を兼ねることもありますから、合わせて考える必要があります。また契約によっては解約の予定がある保険もありますからその分を保障に合算していると後で困ることになります。例えば逓増定期保険などは保険の性格上短期で解約することが前提ですから要注意です。

1)保障とは事業保障機能です。

経営者万が一の時の資金確保が目的です。多くの中小企業は、経営者個人の信用一つで成り立っています。金融機関に対しても取引先に対しても取引は信用ですから、未回収のリスクがあるなら取引は見合わせるでしょう。

仮に後継者が決まっていても、信用はまだまだこれからです。会社を代表する社長の万が一では、一時的に売上を落としたり緊急の支払いが発生したりします。

こういう信用不安の場面を、自己資金で乗り切ってこそ信用がついてきます。死亡保険金は、そういう場合の緊急予備資金となります。

ただ一時的な保険金収入となります。保険金を一時で受け取れば、一年限りで多くの雑収入が出てしまいます。保険事故の2年目、3年目を見越した保険設計が必要になります。

2)節税は法人保険の目的としてウエイト低下。

全く見返りのないコストとして、税金を削減するのは経営として当然考えるべきものです。

法人税を払うなとは申しませんが、抑制していくことが経営体力をつけることになります。節税するために保険に加入するということは、保険料を費用で落とすということです。

しかし節税できる保険は限られました。一部節税に使える保険があり、それで利益は圧縮できるとは言え、以前のような大きな課税の繰り延べはできなくなりました。

注意すべきことは、保険料を払っただけではキャッシュアウトですから、解約したときの戻りである解約返戻金の計算もしておくということが大事です。

この戻りとしての解約返戻金が、法人実効税率での税引き後の利益より大きければ課税繰り延べ効果があることになります。この場合、損金で落とした分は簿外に資金積立があることになりますから、心強い味方です。

3)解約返戻金を簿外に、緊急予備資金が役立つ。

まさに法人保険を活用して、財務コントロールをしている状況です。利益がどれくらい出るか、あるいは欠損になるか、その見込に対応して法人保険を臨機応変に使います。

課税の繰り延べができる保険商品が少なくなりました。限界はありまが、何も企図せず利益が出たままに納税するのも、この厳しい時代に経営としては芸のないことです。

上記の3項目は法人保険の機能であり目的と言えると思いますが、その延長上に社長の退職慰労金があり事業承継・相続設計があります。

■生命保険会社が残高証明を出せない理由。

◆ 法人保険の目的は事業保障、まとめ。

きちんと最終まで計画され出口戦略として、退職慰労金準備や後継者への資金移動、自社株評価を減じて後継者に渡す手法などが組み立てられます。そういう場面で、法人保険は最高にその機能を活かせます。

法人保険を設計するときには、長期的な視点と同様に短期の利益をコントロールするという機動性も必要です。

金融商品としては契約ですから、融通が効かないように思いがちです。しかし法人保険を知れば知るほど、預金や不動産よりはるかに融通性に富んでいるのことがわかると思います。

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