生命保険はビジネス以前に相互扶助の仕組みです。
生命保険は今やビジネス化しておりある意味では金儲けの手段になっています。
保険会社も営利を目的としていますし、生命保険に携わる営業も生活の糧として収入を得る手段になっています。
それはそれで時代の流れであり営利目的として事業化できたからこそ社会に生命保険が定着してきたということもあります。
崇高な理想と奉仕の精神だけではいかにすばらしい仕組みでも生き残ることはできないでしょう。
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生命保険はもともと相互扶助の仕組みでした。
みんなでお金を出し合い万一に備える助け合いのシステムです。
相互扶助は一人一人が少しずつお金を出し合い大きな災難に見舞われた人を救済します。当然自分が不幸に見舞われたらみんなが出し合ってくれたお金で助けられます。
これが生命保険をビジネスととらえると、加入する人の意識も自分の万が一に備えてであり、誰かを助けようと思って生命保険に入るわけではなくなります。
この時点で相互扶助という互いに助け合うシステムが自分のためのシステムになり現在のビジネスとしての生命保険につながります。
福沢諭吉の言ったように「一人は万人のために、万人は一人のために」が自分の万が一のためだけが生命保険加入の目的になります。
相互扶助の精神の名残として保険業界だけに相互会社という形態が残っています。
すなわち保険契約者は社員という出資者なのですね。今や生命保険会社もビジネスとしての立場を明確化するため株式会社化しているところも出てきました。
ただ生命保険がビジネスになり相互扶助の精神が希薄化しても保険というものの根底にあるルールは健在です。
それは生命保険は公平でなくてはならないということです。
契約者や社員(相互会社)に公平であることは今では当たり前ですがとても難しい仕組みだったのです。
昔は年齢や性別によりあるいは健康状態により、また社会の騒乱などもありリスクはバラバラでしたから保険料をリスクの大きさに合わせて算出する基準がなかったのです。
この問題を解決したのが誰あろうエドモンド・ハレーなのです。
彼はイギリスの天文学者でハレー彗星が76年の周期をもつ周期彗星であることを発見しました。
通常彗星には発見者の名前が付けられるのですがハレー彗星は76年後の回帰を予言したハレーにちなんで命名されました。
で、このエドモンド・ハレーはもう一つ偉大な足跡を残しています。ハレーは天文学者であるにもかかわらず人の死亡する状況を年齢別に統計でまとめ「生命表」を発表しています。
生命表とは年齢別のリスクを計算した死亡率表です。これをまとめたハレーは生命保険の根幹を発案した恩人と言えるでしょう。
生命表により年齢ごとのリスクが明らかになり保険料が算出できるようになった結果、初めて公平な保険料をもたらしたのです。
お互いの助け合いでもビジネスでも保険料の公平さが担保されなければ誰も保険に入りたがりません。当然ですね。ここにハレーの偉大さを見ることができます。
だから生命保険には診査があり告知があり告知義務違反には厳しく対処します。
これは生命保険会社の損得より契約者間の公平性を何よりも重視するからです。
生命保険はビジネスか相互扶助かについては公平であればどちらでもよいのです。
ビジネスでありながらもちゃんと相互扶助になっていて、万が一の不幸に見舞われた人をお金で救済してくれます。
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