カンタンにはできない相続税の物納、納税資金がないと一大事。

カンタンにはできない相続税の物納、納税資金がないと一大事。

キャッシュに変えられる個人資産があれば、物納は認められないというルールがあります。当たり前でありながら、相続人にすれば「何で?」と思うところです。

平成18年度の税制改正で相続税の物納要件がこれまでより厳格化されました。このことが相続をより複雑にしています。

■元国税調査官から聞いた相続税の税務調査の押さえどころ。

◆ 節税対策のやり過ぎで納税資金不足。

相続して相続税を納税するなら、相続した財産から払うのが普通です。でも現金や保険を相続すると言うことは、もともと運がよい方で相続財産と言えば自社株であったり不動産であったりと、換金性の低いものが多くなります。

さらに節税対策をやりすぎると、お金が賃貸不動産のような短期で換金が難しい物に置き換わります。結果として納税キャッシュはさらに少なくなります。相続税対策をしたものの、はからずも納税資金不足で相続人を困らせる結果となります。

◆ 税制改正で物納要件が厳格化。

すでにご案内のように、平成18年度の税制改正で物納要件が厳格化されました。これは課税庁の物納は最後の最後まで認めないという、キャッシュフロー重視の徴収姿勢です。

公式で示せば、現金>延納>物納となります。

自分の財産も含めて現金(もしくは相当品)があればまず現金で納税です。それがなければ年収予定を計算して、必要最低限の生活費を引いた残額で延納です。そう簡単には物納を認めてもらえません。

それでも期限までに払えない場合に限り、最終手段として物納という仕組みがあります。要するに個人で換金可能な資産があれば、物納は認められないのです。

物納までの道のりはあまりにも遠くなったため、物納が減少したというのも無理ないところです。詳しくは他のサイトに譲るとしますが、物納には他にも様々な縛りや条件があります。

■老後の相続対策は相続税がかからなくても必要な理由。

◆ カンタンに物納できない、納税資金は生命保険で。

今までのように、簡単に物納できるわけではなくなりました。もちろん証券類も保険も換金可能ですから、納税資金と見なされます。

解約すれば損をするような保険の場合、銀行から納税資金を借りてでも残すかどうかです。初期低解約返戻金型の終身保険などでは、早期に解約すると結構な損失が発生しますので、契約者貸付を検討することになります。

言えることは早くから生命保険を活用して、納税資金対策を怠りなく準備することです。生命保険で納税キャッシュを準備しておけば、相続が発生したときに保険金変わりますから都合がよいわけです。

■あの世ではできない相続準備、生前にやることリストをくわしく。

◆ 相続税の物納、まとめ。

不動産にしても、売る覚悟で早めから準備をしておかないと足元を見られます。相続税の納税のために不動産を売却するときは、10カ月という納税までの期限がありますから、価格交渉では大きく不利になります。

相続税の納税キャッシュが不足することが明らかな場合、相続発生前から売れるように早くから準備することが必要です。

都市の近郊に自宅と不動産があり、収入は年金だけと言うケースでは、納税キャッシュは簡単にはまかなえないかもしれません。そうかといって、なかなか厳しい物納なのです。

元国税調査官から聞いた相続税の税務調査の押さえどころ。

Pocket

「カンタンにはできない相続税の物納、納税資金がないと一大事。」への1件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です