生命保険の払済が一般的ではない実態を報告。

生命保険の払済が一般的ではない実態を報告します。

生命保険の勉強を始めると払済保険延長保険は保険の基本として学びます。国内生保のある会社では払済(はらいずみ)は終身保険としたものですが、買う側でいくつかの保険会社と付き合うと必ずしも払済保険に変更できるわけでもないし、終身保険に変更できるという仕組みでないことも珍しくありません。CIMG2067

もともとは何かの事情で保険料が払えなくなったり保険料を払い続ける理由がなくなった時は解約するのが一般的ですが、それではもったいない時やまだ一定の保障を残しておきたいときなどにその時点の責任準備金で終身保険や延長定期保険に継続して加入するのが

「払済」「延長」です。

それぞれのサポートに辛気臭いフリーダイヤルの応答に耐えながら電話して事例として確認した結果です。

A. 国内生保のD社は99歳満了の長期平準定期保険でしたが、払済も延長も不可との回答です。では何ができるかというと保険料の減額継続は可能だとの説明です。そんなことはどこでも当たり前のことですから保険料が払えなくなったら解約しかないということになります。

何とも融通の利かない話ですが約款に細かい字で記載があるのでしょうね。何のかんの言ってみてもらちが明かないことは明白なので解約に向かって進むほかありません。普通に契約する時、この保険は払済にできるかどうかなんて何年法人保険やってても特殊な事情がない限り確かめることはありませんからこういう事態になります。

保険料の振込は払込猶予がどこまであるか。

B. 国内生保のM生命は平成6年の定額終身保険です。あと少し払込期間が残っていますが払済にしてからでないと名義変更した先で保険料の支払いが発生しますから、ここは払済にするのが手順です。

サポートに電話するとあっさり払済にできますとの回答です。元の保険が終身保険ですから払済にするのはむしろ簡単な話でしたが、では払済の請求書を送ってくれというとできないとの返事です。なんやねんそれという感じです。払済は支部の担当が窓口になりますとの説明です。何のためのサポート窓口かわからない返事です。

長年支部の担当者なる人物とも付き合いはありません。時々資料が届いていた程度ですから、呼べばうっとうしいからサポートに電話してるというのに支部担当につなごうとします。もうええわ!といって電話を切っておいたらM生命の支部長なる人物から電話がありました。とりあえず用事はないので、と言っておきましたが顧客の事情は無視されました。

C. 先ごろアルファベット3文字の社名が出まわったP社ですが、ここは100歳満了の平準定期保険です。サポートに電話してもよくわからないので営業職員を呼びました。

で言うことには払済終身保険にはできないが払済定期にはできると言います。延長保険でもなくあまり聞いたことのない仕組みです。いわく保険料の支払いはストップし100歳までの保険期間はそのままで保険金額がその分減額されるとの説明です。

そう言えば逓増定期の名義変更で払済の定期保険に変わって驚いたことがありましたがそのパターンです。では経理処理はどうなるのでしょう。一応洗い替えは必要でしょうが元が半損の定期保険です。

さて、さすがに百戦錬磨のベテラン営業も即答できずに調べて回答しますとのことでした。15年ほど昔の予定利率の良い時代の保険ですから減額後の保険金もそこそこありますからまずまずの話です。名義変更後そのまま持ち続けても被保険者が100歳までの長寿はなかろうと踏んで、相続対策に充てられそうです。

法人保険の減額と失効は使える手ではあるが要注意。

D. 損保系のやたら長い名前になったS生命は、逓増定期保険です。でも普通に描く短期繰延の逓増定期保険とは異なりゆったりとした逓増定期です。

前期期間の14年間は保障額は同じで12年目から逓増し最終的に保険金額は5倍まで増加します。全期間が23年になっているので被保険者が保険期間より一日でも長生きすれば保険金も解約返戻金も0円となります。

早めに契約形態を変更して憂いをなくしておきたいところです。サポートに電話するとすぐには回答できないので折り返し電話するとのことです。そんなことがわからないはずはないのですが。内容的に専門部署から再度連絡するということになりました。

結局その日は連絡がなく翌日に連絡がありました。どうも窓口の言い方は冷淡な感じでしたが払済終身保険に変更可能でありなおかつ期間は同じで払済定期保険にも変更可能とのこと。その場合元が逓増定期保険ですから後半部分の前払いの保険料が返金になりますとのこと、すごいですねこれ。

言ってみれば余分に払っていた保険料が戻るだけなのにうれしい気持ちになります(解約返戻金ではなくまた自分のお金でもないですが)。相続に充てるためですので払済終身保険にするのは当然で、中途半端な定期保険にはできませんが、仕組みとしてはなかなか多彩です。逓増定期というのは多くの会社で払済終身保険に変更できないケースが多いので上出来だと思います。

E.  国内生保のN社は営業職員が出入りしています。ここには95歳満期の長期平準定期保険と20年で全損扱いの定期保険があります。

何度聞いてもまともな回答が来ないので欲求不満になりそうです。バックにアドバイスしている営業部長なる人物がいて自社商品の取扱いには精通しているはずなのですがどうも噛み合いません。

営業職員が問合せの意図を伝えられていないのか、営業部長の部下への説明がへたくそなのか定かではありませんが、時間の浪費はおびただしいところです。ついでに保険契約の話がかみ合わない原因が、名寄せが不完全で上記2件の定期がN社のシステムに表示されておらす担当職員が契約を把握できていないのです。

全く何言うてんねん、です。保険証券を目の前に差し出すとやっと納得で話がかみ合う始末です。で、結論的には延長保険という仕組みは平成22年から廃止になったそうです。定期保険でも長期平準定期保険でも払済終身保険に変更できるそうです。ここでは払済と言えば終身保険に決まっているのです。その点安心ですがね・・。

CIMG2062ここには出てきませんが法人契約が専門だったり、法人契約が多い保険会社は払済に柔軟な傾向があります。反面がん保険が払済に出来なかったりと、まったく油断も隙もありません。

終身保険への払済変更を行うとそれまで損金で処理してきた保険料は解約返戻金という形で雑収入になりますから経理的には洗い替えが必要になります。

キャッシュが手元に入るわけでもないのに法人税の支払いが発生しますから注意が必要です。

長々と書きましたが、まとめとして申し上げると払済への変更は実に各社まちまちであり、その都度確認が必要であるということ。できれば法人契約をする場合、払済の可否を加入時点で確認しておくこと。保険会社のサポートにフリーダイヤルで電話して確認するのははなはだしい忍耐と根気がいるということ。

保険商品は奥が深くて難しいですが、顧客サービスはなおのこと難しいことを実感した次第です。

保険の間違いやすい経理処理、注意点まとめ。

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