支払調書への対応を生命保険各社に確認しました。
生命保険の支払調書の発行基準と記載事項の変更情報は下記のページに詳細に説明しました。本ページは、その続編のような内容になっています。
上記ページでは、かなり詳しく書いたつもりですが、読まれた方は消化不良になられているようで、申し訳ないので、では実際はどうなるのかを生命保険会社数社と特に詳しい代理店営業に調べてもらいました。
そのポイントを下記にまとめました。
実際は、代理店や金融機関、生命保険会社など十数社と取引がありますが、支払い調書の変更を
「【ご参考】保険契約の異動(契約者変更)に関する支払調書の新設等のご案内」
として昨年の10月に送ってきたのは外資系の一社だけです。
そのほかのルートはお知らせどころか、よく知らない営業がほとんどです。
平成30年1月1日から支払い調書の発行ルールが変更になる事は知っていても、それが実際の運用はどうなるのか、既契約者に影響があるのかどうか、要するにさかのぼって契約者変更が明らかになるのかどうかは今のところ誰も答えられないのです。
hokenfpとしては法人でも個人でも名義変更は普通にやっています。調べる動機としてはいかにも不純ですが、当局には知られたくない事情もいくばくかはあります。
保険金を受け取ったり解約したりすると解約返戻金が支払われます。知られたくないことも往々にしてあるものです。
情報を総合すると以下のようになります。
1)契約者死亡時の契約者変更にかかる異動調書の発行。
契約者死亡による契約者変更(名義変更)手続きを行った場合に新たに「異動に関する調書」が発行されることになります。
確かに支払いは発生しませんから各社ともに、支払調書とは言わずに異動調書という表現になりそうです。相続発生時に生命保険契約を契約者変更(名義変更)で引き継ぐ場合、相続税の課税漏れにならないよう税務署に異動調書でお知らせする仕組みです。
【契約者死亡の際の異動調書に記載される項目】です。
死亡した契約者の氏名・住所・死亡日(平成30年1月1日以降手続き分)
新契約者の氏名・住所
解約返戻金相当額
既払込保険料総額
死亡した契約者の既払込保険料
よって相続発生時以外の契約者変更(名義変更)は通知が行かないということです。
では、それ以外の契約者変更は当局に知られないのかということになりますが、そうは問屋が卸しません。その第二のポイントは次項です。
2)支払調書に最終契約者の既払込保険料等の記載を追加。
現在も100万円以上の支払いがある場合、発行されている支払調書については、契約者変更に関する項目が以下のように追加されます。
【支払調書に追加される予定の項目】です。
支払時の契約者の直前の契約者の氏名・住所
⇒平成30年1月1日以降手続き分として明確にしている生命保険会社があります。
契約者変更の回数
⇒平成30年1月1日以降の契約者変更の回数として明確にしている生命保険会社 があります。
支払時の契約者の既払込保険料
⇒平成30年1月1日をまたぐ契約者については記載不要として明確にしている生命保険会社があります。
どうも、概ねの記載事項の条件の方向性としては上記にならざるを得ないと考えています。
契約者のことを優先に考えるなら当然の帰結です。生命保険会社はシステム設計に手間がかかるでしょうが、わざわざ平成27年度税制改正大綱で
「(注)上記の改正は、平成30年1月1日以後の契約者変更について適用する。」
とまで政治的配慮がなされているのに無粋なことはしないはずです。
契約者死亡の際の異動調書及び生命保険金や解約返戻金、満期保険金などの支払時の支払調書のいずれも平成30年1月1日以降に契約者変更を行った場合のみ記載され、原則として平成30年1月1日(施行日)以前の契約者変更に関しては記載されないと解釈してよさそうです。
ただし、原則としてという意味合いには、税務署から個別に問い合わせがあった場合等は、全部報告するという従前のスタンスです。
3)まとめと補足
見えてきた情報によると、支払調書の変更に関しては平成30年1月1日(施行日)以前に変更した内容は原則として記載されないということでよさそうです。
ただし高額な契約、所得に見合わない保険金受領などは当局が生命保険会社に照会をかければすべて明らかになる事をご承知おきください。
姑息なアドバイスで申し訳ありませんが、施行日までの駆け込みの契約者変更(名義変更)は支払調書に記載されないことになります。あと3か月余り、生命保険関係の営業の方は保全業務が多忙になるかもしれません。
補足として申し上げるならすべての生命保険会社が同様の対応をするとは確認できていません。ベテランの代理店営業もそこを危惧していました。駆け込みを狙うなら裏を取ってからお願いします。
逓増定期の名義変更は時期があるので駆け込みというわけにはいきませんが、当局の把握能力が強化されることは間違いないので、潮時ということも考えておく必要がありそうです。
上記の情報は不完全なものです。契約者変更等を行う場合、自己責任でお願いします。hokenfpとしては一切の責任を負うことはできませんのであしからずご了承下さいませ。
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