医療費控除で保険金がマイナスされる本当の理由。

医療費控除では保険金をマイナスする理由があります。

医療費控除で納得できないことの一つに、支払った医療費から受け取った保険金(給付金)を差し引かなくてはならないことです。

普通に健康な家族が風邪をひいたり歯科医にかかるぐらいでは10万円の医療費にはならないものです。

しかし家族の誰かが入院するとかガンにかかって手術を受けるような、いわゆる大病をすると10万円の医療費はすぐに越えてしまいます。

当然医療費の増加は家計を圧迫しますから医療費控除という仕組みはよくできた税制です。ところが自分で保険料を払い契約している医療保険から保険金(給付金)が出ると、何故かその保険金分を医療費控除から差し引くルールになっています。

高額療養費などの社会保険から補填される分を差し引くのは当然としても、自分の意思でかけてきた保険から支払われる保険金を医療費控除から差し引くとは、素直に納得できない方もいらっしゃると思います。

■医療費控除とは、わかりやすく超簡単に!基本のキまとめ。

◆ 課税当局にはそれなりの理屈があるのです。

被保険者が受け取る医療保険金(診断給付金、手術給付金、入院給付金などの生前保険金)は死亡保険金や満期保険金と異なり基本的に非課税で受け取れます。保険金といえども所得に違いないのですが、所得として確定申告する必要はありません。

(※死亡保険金や満期保険金は受取人が受取り、契約形態により所得税、相続税、贈与税の対象となります。)

実はここで一度非課税の特典があるので、その二重の非課税を避けるために医療費控除から保険金は差し引いてくださいねと言う趣旨なのです。

これは、課税当局にすれば納税者の公平を図るという意図があります。引っかかりのある方あまたいらっしゃるでしょうが、しぶしぶ納得されましたでしょうか。

■医療費控除e-Tax全手順まとめ。

◆ 保険金についていくつか注意事項があります。

 

受け取った保険金はその補填の対象とされる医療費ごとに控除することとなっています。補填対象以外の医療費から差し引く必要はないのです。

わかりやすく言うと妻が病気で医療費が8万かかり保険金が20万出たとしてもそれは妻の医療費に対する補填なので他の家族の医療費からは差し引く必要はないのです。

保険で補填される妻の医療費を除く他の家族の医療費合計が10万を越えていれば医療費控除の対象となります。

要するに保険金は家族合計からマイナスするのではなく対象となる医療費だけから差し引くのです。

医療費控除で医療費のお知らせが役に立たない理由。

◆ 医療費控除でマイナスしなくてもよい保険金、補足と注意。

医療費控除でマイナスしなくてもよい保険金(給付金)としては、医療費を補填していない保険金や給付金は差し引く必要はありません。たとえば手術給付金はマイナスしなくてはいけませんが、ガン診断給付金や病気で入院して働けないときに受取る就業不能給付金等は医療費の補填ではないと考えられるたマイナスしなくてよいのです。出産一時金も同様にマイナスする必要はありません。同じお金ですがついている色が違うと解釈も変わるということです。

■法第72条《雑損控除》関係 (医療費をほてんする保険金等)73-8
(医療費をほてんする保険金等に当たらないもの)73-9(スクロールしてください。)

■国税庁、医療費を補填する保険金等が未確定の場合

◆ 保険金の受取を翌年にずらしても差し引きを免れません。

少しばかり知恵が回ると、保険金請求に関して言えばあわてる必要はないので、医療費が少なくなる翌年の医療費控除に回せば都合がよいのではと考えてしまします。でもそれほど甘くはできていません。

実際は受け取る保険金等の額を見積もって、その見積額を支払った医療費から控除することが正しい処理です。保険金の支払い対象となった医療費と結び付けて判断されますから、浅知恵では誤魔化せないようになっています。

もし後日、その保険金等の確定額が、見積額と異なることとなったときは、遡ってその年分の医療費控除額を訂正することになります。誠にめんどくさいですが。

医療費控除の明細書|エクセルダウンロード。

◆ 税務署は保険金支払いを知りえるのでしょうか。バレルかどうか?

保険金が支払われると支払調書が発行されます。支払調書の発行基準がH30.1.1より変わりましたが、基本は同じです。

1回の支払金額が100万円を超える死亡保険金、満期保険金、解約返戻金等が支払われた場合、税務署に支払調書が行きますが、逆を言えばそれ以下なら支払調書が発行されないということでもあります。

医療費控除、保険金がばれるのは支払調書。

がん保険の診断給付金などがある場合、100万を越えることはあると思います。普通、保険会社から税務署に支払調書が発行されることになりますので、ここは保険金のマイナスをしていないとバレてしまします。

100万以下なら支払調書が発行されないからバレル心配はないのでしょうか。ところがそうも言えないのです。保険の知識と税務署の調査権限を知っていると侮れない部分があるのです。

ただスピード違反の取り締まりのようなもので運が悪ければ網にかかるということです。

これもOB税理士に聞いた話ですが、人手不足で全部調べるなどとてもできないので、医療費の申告金額が大きなものをピックアップして照会をかけるそうです。

確かに金額が大きい場合は大病をして保険金を受け取っている可能性が高くなります。医療費の領収書の金額が大きくてこれは怪しいと睨んだら、銀行に照会をかけることで、申告者の家族のお金の動きが筒抜けになり、保険金が入金していれば保険会社がわかります。

保険会社は税務署からの照会には洗いざらい報告します。庶民の想像以上に税務署の調査権限は強力なのです。プライバシーも何もありません。

医療費控除でいくら戻る、還付金を事例で紹介。

◆ ガンになると医療費控除は強力な味方です。

ガンになると医療費控除はありがたい仕組みであることを実感します。

がんは急性期より再発を抑制するための通院費の負担がとても大きく、医療費の不安が毎年大きくのしかかるのです。この期間はガンにもよりますが10年続くと思って下さい。がん保険の保険金が出て医療費控除ができなくても翌年の通院費からあっさり10万円を越え医療費控除が使えるようになります。

誰しも高齢になるとガンのリスクが高まります。ガンに限らず体のどこかに不調をきたし医療費がかさむようになります。かといって医者通いを我慢するというわけにもいかないのです。

医療費をやむなしの必要経費と考えて医療費控除を最大限活用し、少しでも税金の還付を受けることが、生活の助けになります。

医療費控除で交通費はどこまで、還付留保と真実。

◆ まとめ

シンプルに医療費控除における私の結論をまとめました。

受け取った保険金や給付金が税務署にバレルかどうかというようなことで気をもむのは得なことではありまん。

正しいルールを知り、早めの医療費控除の確定申告をお願いします。

・医療費控除は賢く使う。
・姑息なことは考えない。

また新しく始まったセルフメディケーション税制の方でも医療費控除との選択制ですが、保険金を差し引くという記述が見られます。普通に考えれば、セルフメディケーションに対応する症状が保険金補填の対象となることはあまりないでしょうし、金額的にも少額(12、000円以上から88,000円まで)ですから問題にならないと思います。

・e-Taxの手順をまとめました。医療費控除の確定申告はこちらをご参考に。

医療費控除で自費診療が使える理由。

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