配偶者控除にかかる3つの制度の違い。

配偶者控除にかかる3つの制度の違い。

CIMG3081配偶者控除と一言でいっても制度としては3つあります。

控除と言うだけに税金を負けてもらう公的な制度です。

それぞれ課税される税金が異なるので配偶者に関する点では同じですが制度として全く別のものです。

ただなじみが深いのは所得税の配偶者控除で、それ以外は日常的にあまり出てきません。とは言えいずれ関わる配偶者の老後を保証する仕組みですから知らないでは困るケースも出てくると思います。

詳細は他のサイトに譲るとして、3つの配偶者控除に関する制度を区別できるよう概略をまとめました。内容が根本的に違うことをご理解いただければ幸いです。

二次相続の対策が手薄になる人間模様、驚きの本音で語ると。

その1) 所得税の配偶者控除

その名の通り配偶者の所得額により世帯主の所得から一定額を所得控除できます。ようするに配偶者の年収が規定以下であれば生活が大変でしょうから所得税をお負けしますという制度です。

ほとんどのサラリーマンは会社の年末調整で処理されていますから、自分で税務署に申告するようなことはありません。

これまで配偶者の年収が103万円以下であることが条件でしたが、2018年度以降は税制がかわりややこしくなりました。ざっくりと言うと103万円の壁が150万の壁に変わります。奥様が働きやすくなったと言えると思います。

その2) 相続税の配偶者控除

もう少し正確に言うと相続税の配偶者の税額軽減です。夫がなくなり相続が発生すると基礎控除以上の財産に相続税が課税されます。

このうち配偶者が相続する財産には半分まであるいは1億6000万円まで相続税を無税とする制度です。これによると配偶者が一次相続で相続税を納税するようなことはほとんどありません。

もちろん二次相続では配偶者が逆に被相続人となりますから、相続税を払うことはありません。他の相続人が相続税を負担して財産を引き継ぎます。

配偶者と言うのはとても優遇されていて普通であれば相続税を払うことはないのです。

従って配偶者と言うのは相続税の節税を考える習性がないので、節税対策の生命保険提案でも人ごとのようになり、二次相続の節税対策をまとめるのはまことに難しいことになります。

その3) 贈与税の配偶者控除

贈与税の配偶者控除はオシドリ贈与。

婚姻期間が20年以上あれば配偶者に居住用の不動産(自宅)もしくはその購入資金は2000万まで贈与しても贈与税が非課税となる仕組みです。生前贈与し申告が必要です。

せっかく配偶者の老後の住居を確保したつもりが、特別受益として持ち戻しになり遺産分割の対象にならないように、相続でもめそうな場合は遺言書で持ち戻しの免除を明記しておくことです。

いずれの相続の場合にも共通する注意点ですが、遺言書はとても有効な手段です。形式要件を誤らなければ法律文書としての有効性があります。

揉めない先の杖として、相続税がかからなくても遺言書をお書きいただくことを推奨します。

二次相続、奥様を生命保険の受取人にする間違い。

その4) まとめ

配偶者を優遇する民法の相続分野の改正が話題になっています。法制審議会が法務大臣に答申して、法改正の案がまとまるものと思います。

それによると配偶者の相続を手厚くし夫と死別後も配偶者居住権を設定し相続で住む家を手放さなくてもよいように改正される予定です。

改正民法2019|配偶者居住権。

どれを見ても相続税制と配偶者の不思議な関係が思い当たります。いくら手厚くされても二次相続と同じように配偶者はどうもピンと来ないように思います。

夫婦として配偶者のことが心配であれば二つの対策をおすすめします。配偶者を受取人とした生命保険に加入すること、きちんと遺言書を書いて配偶者が路頭に迷わないように配慮することの2点です。

相続税、妻のへそくりは夫のもとという理不尽。

二次相続、家なき子、生命保険、代償分割。

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