相続以外で課税されるみなし相続財産と生命保険。
相続財産と言えば、親などの被相続人が所有していた財産を指します。所有者が死亡したためその財産は相続財産として配偶者や子らの相続人に受け継がれます。しかし実際の相続の対象となる財産には「みなし相続財産」があります。
被相続人の死亡を原因として発生する財産として生命保険金や死亡退職金があります。また被相続人が生前に所有していた金銭の受給権などの権利も死亡を原因として消滅しない場合、引き継ぐ権利も相続財産となります。
◆ みなし相続財産の4パターン。
被相続人がなく亡くなったときに相続人に受け渡される財産は生前にキャッシュでなくても実質的に相続財産と同様の資産的価値がありますので「みなし相続財産」として相続税に合算されます。大きく分けると以下の4パターンがあります。
・生命保険金。
被保険者死亡により保険金を請求する権利が指定された保険金受取人に発生します。生命保険金は受取人固有の財産として判例が確定していますが、相続財産としての課税対象になります。知らん顔はできません。
・生命保険契約に関する権利。
被保険者(親)が相続人(子)を被保険者として保険料を負担する契約者である場合、相続発生時に生命保険契約は保険金にはなりません。相続財産として生命保険契約を解約返戻金相当額で引き継ぐことになります。
・死亡退職金や弔慰金。
被保険者が会社を経営していたり、会社に勤務していたような場合、在籍中に死亡すると死亡退職金や弔慰金が支払われたり、経営者などか功労金などという名目でお金が支払われることがあります。これも被保険者死亡を原因として発生する「みなし相続財産」となり相続税に合算され課税の対象となります。
・個人年金などの定期金に関する権利。
個人年金の受給権なども確定保証期間があれば残りの定期金の受給権も「みなし相続財産」となります。個人年金では被相続人が働いていたときに積み立てておいたお金を定期金で受け取っていたわけですから、受給権者が亡くなった後は遺族に支払われることになるため相続発生時にはお金に変わっていませんが、相続財産とみなして課税対象となります。
実は上記のほかにもいろいろあります。単純な例では債務の免除なども該当します。
遺言で親から借りていた借金を免除してもらっても、お金は動きませんがみなし相続財産として課税対象になります。みなし相続財産は見落としがちなので注意が必要です。なんとなく得をしたような感じ、ずるいような感じがすればみなし相続財産の可能性があると思いください。
上記の記事はみなし相続財産としての生命保険について詳しく書いています。生命保険はいかに相続の場面では威力を発揮するかがよくわかると思います。
◆ みなし相続財産の申告忘れは追徴課税へ一直線。
みなし相続財産は見落としがちですが、税務署は見落としません。みなし相続財産の申告忘れは、意図的か失念かは別にして追徴課税は避けとおれませんので、慎重に財産目録の洗い直しをお願いします。
みなし相続財産のうち生命保険金と死亡退職金には相続税の非課税枠という特典がついています。死亡保険金控除の500万円や死亡退職金控除の500万円枠はみなし相続財産に対する課税庁の特別の配慮でしょうか。しかし将来的には非課税枠の見直しが行われる可能性があります。