OB税理士、驚きの相続税調査裏事情。

OB税理士先生のピンキリ、相続税調査の裏事情。

CIMG3656法人保険は閑話休題のような内容になりますが、税理士という職業はOB税理士であろうと税理士試験合格組であろうと保険の知識は避けて通れないところがあります。

しかし今回は保険のことはさておき、そもそもOB税理士とは何者なのでしょうか。

OB税理士とは何か、知らない方には意味不明です。

◆ OB税理士とは何者か?

OBとは一般に税務署のOBを指します。税務署に一定期間勤務すると退職後税理士資格を得ることができる仕組みがあります。例えば何々署の署長を務め定年後は税理士として開業されます。

それまでかかわりのあった企業や優良申告法人を顧問先をとして取り込み、税理士としてこれまでの税務署内の経験とコネクションを活用して主に税務署と企業の橋渡し業務を生業とされます。ものの例としてはよろしくないですが、警察と泥棒が入れ替わったような感じです。

なにしろ元署長ですから、税務署に顔が効きます。税務調査のツボと落としどころを心得ています。税務調査の場面でも「もうその辺でやめといたらどうや。」などと統括官に言える立場なのです。OB税理士とは税理士のOBではなく国税庁や税務署のOBなのですね。

 ◆ 切れ者のOB税理士とはったりのOB税理士。

OB税理士の先生は税務署内での職務により得意分野が限定されます。法人担当や資産税などの調査担当、酒税担当など様々です。ですから税理士にはなったものの試験合格組ではないですから得意分野以外はそれほど詳しくないわけです。その結果、はったりで乗り切るOB税理士も見かけます。しかし、切れ者のOB税理士もまれに存在します。税務署の事情にも詳しいし専門知識も豊富となれば鬼に金棒です。ただし、ピントの外れたOB税理士は大勢いますが、切れ者のOB税理士はほとんど見かけません。

 ◆ 税務調査の調査率が低下。

その切れ者のOB税理士に聞いた話ですが、相続税の税務調査では8割以上が指摘を受けるそうです。しかし最近は税務署でも人手不足が深刻になり、相続税の税務調査の調査率は20%~12%に低下しているとのことです。ということは8割以上が調査なしのお咎めなしということです。裏を返せば申告内容が怪しいもの、資産家、無申告のような問題があるもの、海外資産が絡むものなどに絞り相続税の税務調査を行っているということになります。

申告内容がしっかりしているもの、書面添付制度による税理士の意見書がついているものは調査対象になりにくいそうです。ひと手間かかりますが、やはりしっかりした申告書というイメージがあるのですね。

一般的に相続税の税務調査は申告後2年から3年で来るそうです。三回忌の法事も済んだ頃、言ってみれば相続の内容を忘れたことに来るイメージです。

 ◆ 調査官の出世要件は成果だけではない。

OB税理士によれば調査官は調査で成果を上げても賞与加算は10万までだそうです。調査官の成果とは申告の誤りや不正を発見して如何に多額の追徴課税を課せるかが問われます。いやな仕事ですが、若手調査官は出世ルートにのるために厳しい調査、成果求めてくるそうです。

税務署での出世は税務調査での成果より人間関係と所属部署がものを言い、30歳過ぎで出世ルートに乗れるかどうかで人生が決まるとのことです。銀行のようにわりと振り分けが早いのですね。

 ◆ OB税理士の本音のアドバイス。

切れ者のOB税理士は手広くやってますから話題も豊富です。その税理士によると相続を取りまとめるとき一番困るのが弁護士の登場だそうです。弁護士は相続がもめればもめるほど金になり、依頼人である相続人だけの利益の最大化を目指しますから、他の相続人にすればまとまる話もこじれてしまいます。

税理士報酬は相続財産の0.5~1%なのに対して弁護士は成果報酬ですから結局財産が減少します。例えば成果報酬20%もの財産がなくなります。相続人の誰にとっても分け前の減少にしかなりません。こういう争いをすると果ては家族の後の付き合いまでなくなる羽目になるそうです。お互いが譲りあう心を持ち、争族にならないよう心掛ける方が取り分が増えるということです。言うことは簡単ですが、できないからこそ争族は後を絶たないのですね。

誤解のないよう申し上げておきますが、決して弁護士の先生方に恨みがあるわけではございません。弁護士と言えども士業としてのビジネスですから、依頼人の利益を最優先に考えるのは当然のことです。

◆ OB税理士、まとめ。

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切れ者のOB税理士のアドバイスは納得できるものが多いです。実際に相続税調査をした実績がある元調査官ですから裏事情にも詳しいのです。とにかく大事なポイントとして挙げていたのは相続には外部の人間を入れないこと、相続人だけで話し合うことが大事だそうです。

外部の人間とは相続権のない相続人の配偶者とかその知り合いの弁護士などを指します。間接的に利害関係がある人が相続に絡むと話が難しくなります。これは正直、実感します。

あと付け足すことは、遺言書は家族に意図を説明することが必要だということです。せっかく遺言書を書いたのですからそのままにしないで、自分の思いと意図することを生前に伝えることが争族を抑制する力になるそうです。

また遺言信託という制度があるそうですが、もめているあるいはもめそうな案件は引き受けないし、コストの割には何もしてくれないと嘆いていました。遺言信託では遺言の執行は粛々と行いますが、もめ事の調整や節税対策は期待できないということです。

畑違いの専門家ですが、経験に裏打ちさた話は価値があります。税務調査での経験から一言ありましたが「真実ほど強いものはない。」なるほどです。

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