ワンマン社長の認知症は会社を潰す。
事業承継の停滞が言われていますが、全国の社長の高齢化が大きなうねりとして進んでいます。社長に限らず、人は高齢化すると体力的な問題や病気のリスクが高くなります。
社長の中でもとくにワンマン社長は、一人で決裁権を握っていますから、社長万が一のとは会社の一大事に発展します。
誰しも年をとると物忘れがひどくなります。それだけだと大きな問題にはならないのですが、その物忘れの原因が病的なものであると、認知症を発症する可能性が高くなります。
今後、高齢者の増加により認知症患者は急増すると予測されています。さらに高齢化がすすみ、社長の認知症というような事態になれば一大事です。。経営という場面では、想定外の障害が発生することが予測されます。
■経営権移譲の難しさ、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者。
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◆ 経営の視点で認知症リスクを評価。
家族に認知症の人がいるとわかりますが、それと気付いてもなかなか物忘れ外来などの医療機関を受診しようとしません。そのため治療することが遅れてしまい、病状が進んでしまうことがあります。
自分が認知症かもしれないというのは、一種の恐怖ですから受診に抵抗感があることは理解できます。
認知症がすすんでから、あわてて専門医に診てもらっても簡単に治る病気ではありません。治療しながらも、病状はさらに深刻化します。
体はいたって元気なのに物忘れだけでなく、現状が認識できない見当識障害が現れます。さらに進むと、家族の顔すらわからなくなり徘徊を始めます。
そこまで病状がひどくならなくても、認知症になればそれまでできていた正しい判断ができなくなります。それは経営において、致命的な問題を露呈することがあります。
・外から見てもわかりにくい認知症。
ご本人の外見だけでは、認知症の進行度はわかりません。外部顧客との対応は普通にできたり、電話の受け答えもちゃんとできたりしますので、問題がないように感じることもあります。でもその内容をすっかり忘れて、思い出せないのであとで問題がおこります。
認知症が進めば、一見大丈夫そうでも大事な約束を忘れてしまい、思いだすことができなくなるというようなことがあります。周囲の方が気をつけて見守るより仕方がないのですが、病状が進むとどこかで、どうしようもなくなるときがきます。
経営という視点で考えれば大事になる前に、認知症のリスクを正しく認識し、経営の一線を退いていただくよりありません。もちろん後継者がいれば、という条件がつきます。後継者がいないか決まっていない場合では、経営を継続する選択肢が狭くなり、判断が一層難しくなります。
■事業承継のまさかと後継者の力量不足が会社を揺るがすリスク。
◆ ワンマン社長の認知症がやっかいな理由。
ワンマンで経営を一手に握って社員を引っ張ってきたような社長は、とくにご自分の病状を納得できないという傾向が強いようです。物忘れ外来の受診をすすめても逆に怒り出す始末です。
ワンマン社長の認知症はこうして、はれものにさわるように進行していきます。
専門医でしっかり診察を受けて治療すれば、病状の進行を遅らせたり、周囲の方の理解を深めたりできます。しかし頑固一徹のワンマン社長では、自分で自分のリスクが認識できずに、事態を深刻化させてしまうというやっかいな側面があります。
中小企業の社長と言えば、ワシがワシがで押し切るようなカリスマ性が必要です。経営ではそれが強力なリーダーシップとなって会社を引っ張る原動力になるのですが、認知症という病を得ると治療の障害になるということがあります。
◆ 決裁と決済ができない、契約ができない認知症社長。
社長の仕事は、経営判断と決裁です。そして中小企業の社長は、自ら支払の決済をされている方も多いと思います。認知症が進行し、医師が認知症と診断を下すと車の免許証の更新もできなくなります。
さらには本人の銀行口座からお金をおろすことや、契約などの行為ができなくなります。決裁ができなければ、もはや社長としての機能を失っていると言われても仕方がありません。
認知症社長は制約が多くなりますが、経営する会社は法人ですから認知症になることはありません。よって会社の口座が凍結されることはありません。
銀行印が押せれば、経営の資金は回していけます。ただ、後継者がいない場合や決済権を与えていない場合は、権限の移譲をすすめる必要があります。
決済権を離さずに認知症が進んだ場合は、後見人をたてて、かわりに判断を仰ぐ仕組みに移行するほかありません。
自分の病気を認めたくない社長でも、病状が進むとこれはまずいと気づきます。そのタイミングが遅いか早いかで、打つ手も変わります。ワンマン社長の首に鈴をつけられる側近、または家族がいるかどうか、というようなことになりそうです。
◆ 認知症で会社をピンチにしない事業承継。
ワンマンであろうがなかろうが、社長というのは経営の責任を一身に担っています。守らなければいけないのは自分の家族だけではなく、社員や社員の家族ということもあります。
認知症で判断を誤り、経営が行き詰るようなことがあれば、社員の家族の人生にまで影響を与えてしまうのです。
経営者の認知症によるあらゆる経営上のリスクを避けるために、社長はご自分が認知症になる可能性も考えておかなくてはならない重責がある立場だということです。
そのためには、いち早く事業承継対策に取り組み後継者を育成することが必要です。また「もしも」のとき経営判断をサポートしてくれる人材を身近においておくことが大事です。経営上のリスクは認知症、だけではありません。コロナ禍でも平気で飲み歩く社長のような、リスクに無頓着では、経営の責任を自覚しているとは言えないのです。
◆ 社長の認知症リスク、まとめ。
世間では2025年問題がささやかれています。団塊の世代約800万人が、75歳以上の後期高齢者になるタイミングが2025年です。
その中に事業承継ができていない社長が、どれくらいいるかということが、問題になります。認知症から要介護認定に進むと、もはや経営判断どころではなくなります。自分で自分の世話ができかねるところまで、病状は進みます。
現状の要介護認定率は75歳から急増します。85~89歳になると約半数以上のひとが要介護状態になると言われています。
ところが、世の社長さんは独善的で自分だけは運があり、大丈夫だと思っているものです。そのため事業承継やリスク対策が後手に回ってしまうのです。
「ワンマン社長の認知症は会社を潰す。」などと脅かせてしまいました。しかし会社の経営ということで見ると、社長が認知症として診断され、後見人が選任されない限り経営判断は有効です。
認知症であても取締役の立場や代表権は維持できます。誰かサポートがついて、認知症からくる物忘れや判断を補っていれば、大きな問題にはならずに済みそうです。
・保険の見直しは認知症になる前に。
hokenfpからのアドバイスとして、物忘れを感じ始めたら契約している保険を整理して見直すことをおすすめします。認知症になってからはどうすることもできなくなりますので。
しかし、そうなる前に自らが一歩引いてでも事業承継や認知症リスクについて社内で共有してください。できる対策を講じておくことが、社長のつとめであると思います。現実はそれほど甘くなくないということは、実感としてわかっています。それでも経験的に申し上げれば、一声あげずにはおれないところです。
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