遺言書はシンプルでいい|失敗しない書き方とエクセル財産目録の作り方。

自筆証書遺言は「きちんと書こう」とするほど、失敗しやすくなります。

丁寧に書いたつもりが、形式不備で無効。
訂正方法を間違えて無効、よくある話です。

実は遺言書は、立派に書く必要はありません。
むしろシンプルな方が安全です。

さらに現在は、財産目録をパソコンで作成できるようになりました。
この仕組みを使えば、遺言書のミスは大きく減らせます。

この記事では、できるだけ失敗しない書き方に絞って、シンプルに解説します。

■遺言書の効力がものを言う、絶対必要な7つのケース。

◆ 遺言書はシンプルに、余計なことは書かずに民法の要件を満たすこと。

自筆証書遺言書はできる限りシンプルにしておけば、
失敗が少ないと言えそうです。

ついつい士業の専門家が作った見本を参考にして、
立派な遺言書にしようとあれこれ書きたくなります。

しかし最小限の情報に限定し、相続人や財産が特定できればよいと言えます。
できるだけ余計なことは入れないことが、間違いをなくすことにつながります。

遺言書の最低限の項目は、誰に、何をどれだけ相続させるかを特定できるように
書くことです。日付は西暦でも和暦でもかまいません。

特定できる日付、あとは遺言者の署名と捺印があればそれで立派な遺言書です。
相続人の続柄や生年月日は、必須ではありません。
印鑑も実印でなくても、一般的には認印でも問題ありません(シャチハタは避ける)

・財産目録はエクセルで。

遺産の明細は、別紙のエクセル作成の相続財産目録に書いておけば、
財産構成や内容が変わっても簡単です。

手書きが必須とされる遺言書の本文は、修正しなくてもよいので、
ミスも少なくなります。

財産目録はエクセルで作成して、プリントアウトし署名・捺印すれば
あとは法務局保管です。

財産の内容が変われば、エクセルを修正して法務局に出し直すだけです。
どうしても心配な場合は、遺言執行者を指定することもできます。

遺言書の手書き見本です。

相続登記するときに相続人の本人確認が必要ですので、
間違いなく特定するために生年月日を入れておく方がよいと思います。

字の上手下手は関係ありません。間違いなく読めれば大丈夫です。

■法務局の遺言書の見本はこちら。

民法で定められた自筆証書遺言の要件と注意事項:

・遺言書本文は、ご自分が手書きで書くこと。
(財産目録はエクセルのプリントアウトに署名捺印でOK。)

・ご自分の戸籍に書かれている名前を正確に書く。

・日付は西暦でも和暦でもOK、令和4年3月10日のように日にちまで特定する。

・印鑑を押す。シャチハタはダメですが認印でもOK。

・財産目録は、特定できるよう地番や口座番号などを正確に書く。

・相続人には「相続させる」、相続人以外には「遺贈する」と書く。

・訂正する場合は箇所を示し、訂正又は追加した旨を付記し署名、押印する。
(これは書き直したほうが良いかもしれません)

・検認前に遺言者開封はNG。

法務局保管制度を利用すれば、家庭裁判所の検認は不要になります。

しかし、自宅の金庫に保管するなどの場合は注意が必要です。

封筒は遺言書の要件ではないので、なくても有効です。

封筒に入れて封がしてあると、
家庭裁判所で検認を受ける前に開封してはいけません。

検認前に開封すると5万円以下の過料(罰金)となる可能性があります。

最初から封筒がない場合は仕方ありませんが、
検認しないで開封することは、法律的にNGと覚えておきましょう。

書き損じた遺言書は、ゴミ箱にそのまま捨てないで
シュレッダーして復元できないようにしてください。

◆ 財産目録のエクセル見本とは。

遺言書の本文は一度書くと修正が面倒です。
しかし財産目録をエクセルにしておけば、内容が変わっても簡単に修正できます。
財産目録を手書きで書き直すのは、財産が多ければとても大変で、
間違えるリスクが多くなります。

財産目録をエクセルで作成できれば、修正や追記は容易です。
これは今回改正の最大のメリット言えるかもしれません。

財産目録とは、遺言者である被相続人の財産を特定できるように
エクセルなどで一覧にしたものです。
これがあれば、遺産分割協議をする場合でも、相続税の申告をする場合でも、
残された相続人の事務処理はとても便利になります。

相続財産というのは、財産を所有する被相続人しかわからないことがあります。
それゆえ財産目録を整理しておくと、相続人の負担軽減につながります

・財産目録のエクセル見本。

ネット上には、財産目録のエクセル見本がありますが、どうもしっくりこないの
で、網羅的に作成した見本です。
このレベルまで相続財産を特定する必要があります。

エクセルフォームのダウンロードも考えましたが、ネットからエクセルをダウン
ロードすることは抵抗があろうかと思います。
見本を参考に、ご自身でエクセルを作成してください。

できるだけ財産を幅広くとらえていますので、適宜調整してください。

生命保険に関しては、相続時に保険金に変わる契約と、
保険契約を相続するものを区別してください。
損害保険で積立型のものや長期契約で解約返戻金がある契約も
もれずに記載してください。

相続人ごとにシートを区分し、財産目録①~③のように指定してください。

片面印刷が条件です。それぞれのシートに遺言者が署名捺印してください。

最近ではインターネットバンキングなどということもあります。
もれなくリスト化することは、簡単ではありません。
時間をかけて考えると、後から後から出てくることがあります。

遺言書用の財産目録であれば、特定できればよいので
概算評価額はとくに必要ではありません。
しかし相続税の申告などに使うことを考えれば、評価時点を明示
した概算評価額があった方が便利かもしれません。

◆ 法務局の自筆証書遺言保管制度の細かいルールとは。

相続手続きで必要になる遺言書は、法律文書として形式要件が厳格です。
とくに注意すべき点は、民法で定められた自筆証書遺言の要件に従うことです。

しかし法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する場合には、
さらに細かい要件が別にあります。

自筆証書遺言書保管制度を利用しないで、
金庫に保管しておくなら民法で定められた要件だけでよいのです。
でも法務局保管制度を利用する場合は、用紙のサイズ指定や余白指定など
事細かに従う必要が出てきます。

難しい指定ではありませんので、法務局のサイトをじっくり読めば間違うことはありません。
法務局に預ける場合は、指定通りにできていないと保管してくれません。
面倒でもやり直しをしなくてはならないので、間違いがないよう作成してください。

自筆証書遺言書保管制度を利用する場合の要件(民法の要件に追加):

・用紙サイズ:A4サイズ(297×210mm)。

・余白は上部5mm、下部10mm、左20mm、右5mmを確保
(財産目録も同様)。

・必ず片面に記載(財産目録も両面は不可)。

・各ページに1/2、2/2のように総ページ数がわかるようページ番号を記載。

・ホッチキス止めや封筒は不要(バラでスキャナー読取りのため)。

・ボールペンや万年筆などの消えにくい筆記具を使用。

・遺言者の氏名は、ペンネーム等ではなく戸籍どおりの氏名を自署。

法務局らしい細かい指定ですが、保存と管理のために必要なルールです。
融通はききませんから、事前にしっかり確認してください。

■遺言書の法務局保管制度は自筆証書遺言が検認不要、費用激安。

■法務省、自筆証書遺言書保管制度(03遺言書の様式等についての注意事項)

■遺言書を法務局に預けると失敗する理由。

◆ 遺言書はシンプルに、まとめ。

遺言書を書き残す場合の注意事項としては、遺留分に配慮するとか、
遺言書の開封に際しては家庭裁判所で検認が必要だとか法的なことがあります。

しかし円満な一般家庭では、そこまで気にしなくてもよいかもしれません。

相続人同士で話し合いがまとまり、合意できるなら、遺産分割協議書で相
続登記を終えることもできます。

・遺留分配慮を忘れずに。

相続人間でもめそうなケースや、お金に困窮している相続人がいるような場合に
は、遺留分に配慮が必要です。その調整を目的として遺言書を書くという場合は、
財産目録を整理して専門家にご相談いただきたいと思います。

遺留分や特別受益、代償分割のための生命保険契約などについて検討しておく必
要があると思います。

相続財産の目録は、やはりエクセル管理がベストです。パソコン作成OKとなりま
したので、ご自分でできなければ信頼できる他の人に依頼することもできます。
エクセルが使えればとても便利です。全体を書き直す手間がかからず、追加修正、
分割整理などは自由自在なところに価値があります。

しかし遺言書の本文は、すべて手書きが条件です。手書きは書き損じのリスクが
ありますから、できるだけシンプルに最低限に絞ります。
(ただし、予備的遺言という細心の用心もあります。気になるからはこちらをご確認ください。)

財産の内容が変われば、エクセルのデータを修正しプリントアウト、署名捺印でOK
です。遺言書の本文を書き直す必要はありません。
本稿の主張では、遺言書はシンプルに書くことですが、
それよりも相続財産の正確な目録作成には、相当の手間がかかります。

・財産目録のデータ収集こそ大変。

不動産関係は固定資産税納税通知書を頼りに、
法務局で物件の登記簿と公図をあげて、実際の物件との照合をしておいてください。

保険契約や有価証券、書画高騰品から使っている自動車まで、5万円を越え
る価値があれば拾い出してリストにする必要があります。

遺言書の作成よりも、財産の正確な情報を集めることがよほど大変かもしれません。

まず財産目録の作成に着手すれば、遺言書に書くべき分割の内容も見えてきます。

■遺言書の法務・実務を体系的に解説したページ
遺言書は「書かないこと」こそが最大のリスク|法務・実務・人間心理の落と し穴 。

遺言書の法務局保管制度は自筆証書遺言が検認不要、費用激安。

遺言書がいらないカカア天下。

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