改正電帳法の宥恕措置とは?終了後も残る“現場の違和感”

改正電帳法(電子帳簿保存法)は、2021年1月1日に施行されました。
電子取引データの保存が義務化されるなど、大きな制度変更が行われています。

ただし施行当初は、中小企業の対応が間に合わないケースが多く、
結果として「宥恕措置(ゆうじょそち)」という経過措置が設けられました。

この宥恕措置は2024年1月で終了し、現在は原則どおり電子保存が求められています。

とはいえ実務の現場では、制度の進め方について「迷走ではないか」という見方が出ているのも事実です。

■恐怖の質問検査権、税務調査で電帳法改正の狙いが明らかに。

◆ 宥恕措置とは何だったのか(すでに終了)。

宥恕措置とは、簡単に言えば、「電子保存できていなくても、一定条件ならすぐ
には否認しない」という経過的な取り扱いです。

ただし、この「宥恕」という言葉自体が分かりにくく、現場では最初から混乱の
原因になっていました。本来であれば「猶予」や「経過措置」とすればよいとこ
ろをあえて難解な用語を使っている点に違和感を持った方も多いはずです。

広辞苑によると宥恕とは「寛大な心で許す」ことだそうです。納税者からすれば
単に猶予と言えばわかりやすいところを、ことさらに日常的でない難解な漢字を
あてています。中小企業では、「宥恕措置」とは、意図不明と感じた方もおら
れるのではないでしょうか。

◆ 制度の本質:電子取引はデータ保存が原則。

改正電帳法のポイントを整理すると次のとおりです。

・電子取引データ → 電子のまま保存(義務)
・紙書類 → スキャナ保存(任意)
・帳簿の電子化 → 任意

ここで重要なのは、メール添付やダウンロード書類は紙保存NG、という点です。
プリントアウトして保存する方法は、原則として認められていません。

◆ 「緩和」と「義務化」が同時に進んだ制度。

制度改正では一方で要件緩和も行われています。

・税務署の事前承認 → 不要
・タイムスタンプ要件 → 緩和
・検索要件 → 簡素化(日時・金額・取引先)

一見すると「使いやすくなった改正」に見えますが、対応しなければリスクがあ
る点は変わっていません。
青色申告の取消しなど、実務上の影響は無視できません。

◆ 実務で感じる“腰砕け感”の正体。

現場感としては、次のような流れに見えます。

・強い義務化を打ち出す
・現場が対応できず混乱
・宥恕措置で一時的に緩和
・最終的に義務化へ回帰

この経過から、「最初の設計が現場実態と乖離していたのではないか
と感じる事業者がいても不思議ではありません。

◆ 中小企業の実態とのズレ。

一般的に、日本企業の大半は中小企業であり、
さらにその中でも、さらに小規模事業者の比率が高いとされています。

実務感としては、従業員数が少ない、専任の経理担当がいない、
IT投資余力が限られる、という企業が多数派です。

この状況で、「すぐに電子保存へ完全移行」
というのは、言うほど簡単ではありません。

◆ 対応の現実解:システム導入と運用設計。

実務的には、会計ソフト(クラウド型含む)電子保存システムの導入により、対
応している企業が増えています。

一方で、「最低限の運用ルールが整っていない」ことがリスクになるケースもあ
ります。

大事な点として、データ保存は“バックアップ前提”です。電子保存には別のリ
スクもあります。データ消失、システム障害、操作ミスが起こりえます。紙と違い「実体がない」ため、バックアップ体制は必須と考えるべきです。

◆ 国税庁のFAQから見える読み違い。

大半の中小企業が50人以下、というより50人近くも従業員がいればそこそこ
の中規模企業というべきです。従業員数が一桁というような零細企業に対して、
青色申告のメリットを取り消すようなペナルティがあっても、簡単に変われるも
のではないということがあります。

電子帳簿保存法改正は、実態が把握できていないことによる国税庁の読み違いと
いうより、制度的にはそもそも勇み足の感が残ります。

国税庁のFAQに追加された解説に以下のようなものがあります。

Q:当面、電子取引の取引情報に係る電子データ保存への対応が間に合いませんが、
どのような対応をすればいいでしょうか。

(参考)
A:この宥恕措置の適用にあたっては、保存要件に従って保存をすることができな
かったことに関するやむを得ない事情を確認させていただく場合もありますが、
仮に税務調査等の際に、税務職員から確認等があった場合には、各事業者におけ
る対応状況や今後の見通しなどを、具体的でなくても結構ですので適宜お知らせ
いただければ差し支えありません。

文言的には、不明確な言い回しに感じると思います。やむを得ない事情とはなに
か?具体的には何も書かれていません。要するに、現在の対応状況と今後の見通
しが説明できれば、問題ないとい解釈で大丈夫のようにもとれます。

当時の国税庁FAQでは、「やむを得ない事情があれば説明すればよい」
という趣旨の記載がありました。

ただし、何が「やむを得ない事情」かは明確でなく、判断基準も具体的ではない
ため、実務では「どこまで許されるのか分かりにくい」という声が出ていたのも
事実です。

宥恕措置終了後の現実(現在)、現在は宥恕措置は終了しており、電子取引デー
タは電子保存が原則です。

ただし例外的に、「相当の理由がある場合」「税務署長の判断が関与する場合」
など、一定の柔軟対応が認められるケースもあります。

※この点は個別判断となるため注意が必要です

■中小企業の経営課題はその日暮らし、体験を側近が語ると泥縄経営。

◆ 2年の宥恕措置の難解な意味は、まとめ。

そもそも、宥恕とは法律用語です。直接的な意味では寛大な心で罪を許すことで
す。

すでに宥恕措置は終了しています。その間、企業では電子取引に対応すべく
デジタル的な仕組みを構築していると思います。

実際は、それなりの会計ソフトを導入しクラウドでデータ管理をしていれば、改
正電帳法には概ね対応できるはずです。しかしそれにも対応できていない零細企
業は、まだまだたくさんあると考えられます。

電子取引データ保存というのは、質量がありません。紙ベースで保存してきた企
業では頼りない感じがするのではないでしょうか。

またクラウドと言えども人為的なシステムです。紙で保存している場合の火災に
よる消失リスクには対応できるかもしれません。しかしデジタルデータを妄信す
るのではなく、少なくともバックアップは二重にとっておいたほうが安全です。

経営者は自分のリスクが理解できない本当の理由がアブナイ。

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