遠距離介護で夫婦別居の危機。

遠距離介護で夫婦別居の危機。

人間誰でも毎年ひとつづつ年をとります。親が年をとれば、自分も同じだけ老いているわけです。親の元気な間は、一人暮らしでもどうにかなるります。しかし軽度認知障害からさらに進むと、一人暮らしをさせておけなくなります。

車の運転は危ないので、免許証を返上させて、通いで日々の世話をすることになります。生活のために仕事を持っていれば、遠距離介護にならざるを得ません。遠距離介護も人それぞれ、様々です。

隣町では遠距離とは言えません。でも他府県をまたぐ場合や新幹線を使わないと行けない場合、さらに航空機を利用しないと行けない場合や車でしか行けない僻地の田舎の場合など様々なケースがあります。

遠距離介護では、交通費という経済的な問題が大きくなります。もう一つの問題は、介護のために配偶者が見守りに行くと残された夫は単身赴任状態になります。

遠距離介護は、夫婦別居になる期間が長くなります。その結果、夫婦関係に微妙にねじれが生じます。遠距離介護は、夫婦破綻の序章と言えるかもしれません。

■介護離職か介護放棄か!やせ我慢と無知が招く介護破産の危機。

◆ 親の介護で夫婦別居生活。

遠距離介護では、何かと異例の問題が発生します。親の生活している田舎と子供夫婦の生活拠点が離れていると、移動も時間的かつ費用的に大変です。

しかしそれだけではなく、親を病院や介護施設に連れていくための条件として、コロナ禍では2週間以上県内在住が求められました。介護や見守りが必要な場合、どちらかがそばに居なければならないとすれば、結局、夫婦別居にならざるを得ません。

認知症が進めば、目が離せなくなります。認知症に中期の手前ぐらいでは、情緒が不安定になりわがままが出るので扱いにくくなります。

今は要介護1ですが、親本人は元気であり、介護施設にお世話になる気はまるでありません。

担当医にいつまで自宅で介護すれはよいのでしょうかと聞けば、自分がもう限界という時点で施設入居を考えればというアドバイスです。

それって先が見えない、ロングランの夫婦別居になります。介護施設に入れる前に、夫婦破綻になりそうです。実は現在進行中の実話です。

■生命保険と認知症は相性が最悪である理由。

◆ 遠距離介護に目からウロコのアドバイス。

親ですから年老いて弱ってくると、我が子を頼りに思うのは当然です。子もできるだけのことをしようと、無理を頑張ってしまいます。

ドライになれない、踏み出せない親子の悲劇と言ってしまうのは簡単ですが、それでは遠距離介護は救われません。

親の介護を子が頑張る姿を見ると、介護の本質は自己犠牲であり、一面では自己満足と言えると思います。さすがに親の介護を自己満足と言われると、腹が立つ気持ちはよくわかります。

介護の初めのころは、社会的な介護の仕組みや支援制度の情報が十分に届きません。今どきの情報化時代ですから必要な情報は届いているのですが、理解が腑に落ちていないので踏み出せないまま迷っている状態なのです。

誰かに頼ったり、あるいは相談したり支援をお願いすることは、日本人的感覚で言えば遠慮があります。また家族の問題に他人が介入することに抵抗感があります。介護はその辺の踏ん切りというか、割り切りが大事なようです。

遠距離介護で気が付いたことを列記します。あくまでも個人的な主観と体験によります。

①金銭管理と記録の保存。

遠距離介護では、介護する人の交通費や親の年金からの支出など金銭管理の重要性が大きくなります。支出が大きくなるだけでなく、金銭管理は記録や憑依書類を必ず残しましょう。

②公的介護保険と民間の介護保険活用。

公的な介護保険は、介護認定されれば有効に使うべきですが、それでも支出はかさみます。民間の介護保険や認知症保険はいざというときの経済的な助けになります。介護状態になってからでは加入できません。生命保険の一種である介護保険は、お元気なうちにお考え下さい。

■老後に難民とならないための耳の痛い処方箋。

③遠距離介護は事態の輻輳に注意。

遠距離介護は、事態の輻輳(ふくそう・集中すること)が破滅を招くと言えると思います。遠距離介護の最中に兄弟姉妹が入院したり、孫が体調不良で保育園に行けなくなったりすると追いつめられます。親の助けがいるような条件が重なると、にっちもさっちもいかなくなることがあります。

有給の連取で済めばよいですが、覚悟を決めて会社を休職する選択肢も考えなくてはなりません。戻れば席はない中小企業ですが、この際やむを得ません。

④兄弟姉妹はあてにしない、介護はもとから不公平。

すべてに当てはまるわけではないと思いますが、遠方の兄弟姉妹はあてにならないばかりか、障害になることがあります。兄弟姉妹は遠慮がないので、自分のことは棚に上げて意見を押し付けてくるようなことがあります。介護は公平にはなりませんし、またできません。

⑤頼みづらくても介護のプロ、割り切りが大事。

慣れないうちは、病院のソーシャルワーカーやケアマネージャーの支援には限界があると思います。お金を払って、人に介護負担をお願いすることに馴染むまでが苦労です。金さえ払えばよいと割り切れないと思います。しかし相手も介護のプロですから、本音でぶつかることも必要です。そうは言っても、よく知らない人には相談しにくく、頼みづらいのです。

⑥見守りシステムは便利、でも心配の種。

見守りだけならAmazon Echo spotアレクサ(スマートスピーカー)などが便利で合理的です。しかしそばで見守りをしないと責任放棄のような気がして、心配なので踏み込めないのです。また情報がリアルタイムで届くと、逆に心配の種が増えるというマイナス効果の場合もあります。

◆ 遠距離介護、克服実体験、まとめ。

遠距離介護、克服実体験と書きましが、まだ克服できたわけではありません。要介護1では、まだこれからが介護本番です。

おかげでずいぶん情報収集をしました。その結果、公的介護が充実しているけれども、利用するまでには自分の中にいくつもハードルがあることを痛感しました。

遠距離介護で一番負担になる交通費の割引は、航空会社を始めいろいろ出てきています。しかし運賃割引は条件・制約が多く、今のところ介護移動に役立たずのようです。

また相続に関しては、多少詳しいのですが「相続の公平、介護の不公平」は枚挙にいとまがないと言えると思います。介護の不公平を相続で是正してくれるわけではないことを、腹積もりしておかなくてはなりません。

また相続対策では、親の意思あるうちにやるべきことがたくさんあります。しっかり遺言書で親の意思を残しておくことです。その辺は下記リンクをご参考になさってください。

■遺言書の効力がものを言う、絶対必要な7つのケース。

介護状態が進んでいくと、やがて家族の見守りや付き添いに限界が来ます。しかしすべからく物事は、案ずるより生むがやすしと言えると思います。

言えることは追い詰められる前に、声を上げることです。また遠距離介護で単身となった方も、夫婦別居を楽しむ工夫をしてください。料理や将棋などで一人暮らしが苦でないように、ゆとりある心で接していくことが重要ですね。

・介護の試練は学びの機会、おかげに感謝。

後で思い返せば、辛いことも悲しいことも恥ずかしいことさえも起こることすべてが、おかげであると気づくことができます。介護を経験しているときですら、すべてが順調な学びのときであり、試練もおかげと感謝することが出来れば幸せなことです。そんな気になれないお気持ちは、痛いほどわかります。ただ、感謝の気持ちが、心を柔らかくすることは間違いないところです。

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