パスワードリストの管理はエクセル、デジタル遺品の整理は解決。

パスワードリストの管理はエクセル、デジタル遺品の整理は解決。

デジタル遺品と言えば姿や形があるわけではありません。元から物理的実体がありません。目に見える記録という形で残さないと、遺族に伝えることができません。

たとえばパソコンやスマホに残されたデータは、代表的なデジタル遺品と言えますが、削除すれば消えてなくなります。ログイン用のパスワードやパスコードが伝わっていなければ、見ることや活用することはできません。

遺品となったデジタル機器に保存されたデータ、インターネット上の登録情報などもデジタル遺品と言えそうです。またSNSのアカウント、知人や友人の連絡先、日記や予定表、ネットショッピングの利用履歴やクレジットカード情報なども考えられます。とにかくその種類と数は、驚くほど多岐にわたっています。

デジタル遺品管理のポイントは、ログイン手段としてIDとパスワードが整理できているかどうかです。そしてそれが、遺族に形あるものとして残せるかどうかです。デジタルという性質上、必ずログインする必要があり、そのためのパスワードが必ずついて回ります。

デジタル遺品整理とは、端的に言えばログインIDとパスワード管理に集約されます。

◆ パスワード管理とは、見渡せば膨大。

世の中見渡せば、パスワードだらけです。何をするにもパスワードを求められます。パスワードとは、合言葉や暗証番号という意味になりますが、とても暗唱できるようなものではありません。

パソコンやスマホはもちろんのこと銀行のキャッシュカードからマイナンバーカード、ショッピングサイトの決済手段、免許証に至るまで何から何までパスワードなのです。

少ない人でもIDやパスワードが数十種類はあると思います。それを覚えることなどできないのですが、デバイス側で覚えているので何とかなっています。ときどきバージョンアップして、パスワード入力を求められるとあわてることがあります。

よくよく身の回りを見渡せば、膨大なパスワードの海に浮かんでいるようなものです。それだけに記憶するのではなく、記録することが大事です。しかし自分が関係するIDやパスワードのすべてを整理している人はあまり見かけません。老齢となればなるほど、パスワードはリスクとなります。意識がしっかりしている間に、リスト化にチャレンジする必要がありそうです。

◆ デジタル遺品がやっかいな理由。

IDとパスワードが分かっていれば、というか整理されていればデジタル遺品は扱いが簡単になります。しかし、整理する前に亡くなったり認知症が悪化したりすると、デジタル遺品はやっかいな遺品に変わります。

パスワードは、知らなければ簡単には解読できません。ログインしてデータを取り出すためには、専門の業者に依頼せざるを得ないことも起こります。解除ツールなどもありますが、うまく解除できるかどうかは保証の限りではありません。

そうならないように、IDとパスワードのリストを作成しデータとして保存するだけではなく、紙にプリントアウトして遺族が発見しやすいところに保存しておきます。

デジタルデータには、質量がありません。ですからログインIDとパスワードがわからなければ単なる電気信号であり、存在しないのと同じことになります。それゆえにパスワード管理の重要性は高いと言えるのです。

◆ パスワードの管理はエクセルリスト、プリントアウト保存がベスト。

デジタル遺品の整理とは、パスワードの管理と申し上げました。元気で頭がしっかりしている間に、引き継ぐ必要があるIDとパスワードはエクセルでリスト化しておきましょう。

エクセルのよいところは、データの更新が容易なことです。リストを意識して作成し始めると、実にたくさんのパスワードが出てくるものです。時間とともに思い出すたびに追記していき、抜けがないように整理してしまいます。後で気がつくことも多くて、まとめ上げるには数か月はかかると思います。

できればカテゴリー分けをして、見やすくすれば親切だと思います。またパスワードは記号や数字が混じってきますので、その都度手入力をするのではなくできるだけコピーペーストして、見直して間違いがないことを確認しておいてください。間違えて保存すると意味のない結果になりますからご注意ください。

ある程度抜けがなくなった時点で、A4くらいにまとめてプリントアウトして、遺族が必ず見るであろう通帳や財布などに保存しておきましょう。そして自分のパスワードリストがあることを伝えておくと、遺族も安心できます。

◆ パスワードの更新忘るべからず、怖いのは認知症。

パスワードが心配になる年頃は、高齢化して記憶に自信がなくなり、パソコンの文字が見にくくなります。そうなる前に整理が終わるとよいのですが、そのあとからでも新規のパスワードが出てくることがあります。

新しいパスワードができたら必ずパスワードリストを更新してください。そして再度プリントアウトして、保存しているパスワードリストを交換するようにしてください。

必ず更新の日付を入れておいて最新情報であることが分かるようにしておいてください。更新を忘れてしまうと、そこだけが抜け穴になってしまいますのでご用心ください。

恐いのは何と言っても認知症です。認知症の初期段階で自覚があれば、パスワードリスト更新は打ち止めになります。それは裏を返せば、認知症になったらパスワードリストの更新はどんどん難しくなるということです。

最後にはパスワードを忘れるだけでなく、パスワードリストの存在を忘れてしまいます。それまでにパスワードリストの完成と、プリントアウト保存を完了して下さい。

◆ パスコードがわからないと遺影や連絡先が。

今の時代は、カメラの代わりにスマホで撮影します。同時プリントしてアルバムに残さないので、パスコードがわからないと写真フォルダにアクセスできません。葬儀の際の遺影の写真が見つからないなどということも起こるわけです。

さらにはお付き合いのあった方の連絡先もスマホやパソコンの中の電話帳ですから、連絡先が分からないということにもなります。もっと困るのは故人が利用していた金融機関(特にオンライン)との状況が分からなくなります。

デジタル遺品は、実体のない遺品ですので、故人のパソコンやスマホ内にアクセスできないと遺族が困ることになります。デジタル遺品と言えども、あの世には持っていけません。せめて後に残る遺族の役に立つように、そして迷惑にならないよう整理しておくことが旅立ちの礼儀というものです。

最近ではセキュリティーを高めるために、二段階認証やSMS認証が多用されています。パスワードだけでなく、メールアドレスや携帯の電話番号もセットでないと、ログインできないようなこともあります。パスワードの管理に関係する情報の追記も、お忘れなきようお願いしておきます。

◆ パスワード管理はエクセル、まとめ。

たとえばWordpressを運営していると、ログインのためには18ケタに及ぶ英数記号大文字小文字交じりのパスワードが必要になります。とても覚えられるようなものではなく、手入力を正確に行うことすら難しい文字列になります。

ドメイン管理料の支払い、レンタルサーバの支払い、サーバのコンパネにログインするにもユーザーサイトにログインするにもパスワードです。

ある程度高齢になると、いつ認知機能が低下するか、いつお迎えが来るかわかりません。レンタルサーバ費用などの支払いを自動更新にしていると、誰かがどこかで解除しない限り費用が引き落とされ続けます。

すでにパソコンのモニターを見つめていると、目がしょぼしょぼしてピントが合わなくなっている御仁もいらっしゃると思います。

ここは思い立ったが吉日ということもあります。今日中にエクセルでパスワードリストの作成に取り掛かってください。

やり始めるとあれもこれも、次から次へとパスワードが出てきます。出来上がったときには、ご自分の覚えとしても大きな安心感が得られることは請け合います。

Pocket

「パスワードリストの管理はエクセル、デジタル遺品の整理は解決。」への1件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です