法人保険は事業承継の裏ワザ|400号到達。

法人保険は事業承継の脇役、裏ワザフル活用。

CIMG3465「保険は相談するな!」足かけ4年半400号到達で思うことはいろいろあります。ずいぶん勉強もさせいただきました。

今が法人保険を通じて事業承継・相続設計の全体像が一番よく見渡せているような気がしています。

法人保険の有効性をテーマに書き続けてきましたが、400号を機に法人保険を活用した事業承継・相続設計の裏ワザというかテクニックを項目ごとに簡単にまとめました。

 ◆ 法人保険は事業承継と相性が抜群。

法人保険の目的が多彩であることは幾度も申し上げてきました。事業保障や利益の繰り延べによる節税などが華々しいところですが、それだけにとどまりません。

法人保険はその機能をうまく活用することで事業承継や相続設計に組み込むことができます。

事業承継と相続設計はある意味では資金の引き継ぎでもあります。資金移動が円滑にできないと後継者は難儀することになります。それを税金というコストを最小限に抑えて可能にできるのが法人保険なのです。

多少の知識とテクニックは必要になりますが、法人保険を事業承継は相性が抜群に良いと申し上げることができます。以下にいくつかの法人保険の活用パターンを簡単なまとめとしてご案内します。詳細は個別ページを検索いただくとよろしいかと思います。

 ◆ 退職金準備

法人保険では事業保障と退職金準備を兼ねるケースがほとんどです。保険料を費用で落とし税金を回避しながら簿外に資金を蓄積していきます。解約するとそれまでに払い込んだ保険料が解約返戻金として雑収入になります。

この雑収入を役員退職金にあてればものの見事に出口対策となっています。法人保険の大きな目的のひとつが経営者の退職金準備です。

◆ 後継者への資金移動

事業承継では後継者にいかに資金を集めるかが重要になります。経営するには自己資金が豊富でないとどうしようもありません。金融機関の信用だけでなく資金の裏付けがないと打つべき手が滞るというものです。

後継者に資金を集中する基本的な手法は役員報酬の増額ですが、一気に移すことはできません。この問題をクリアして法人保険で後継者へ資金を移動する方法はいくつかあります。

このサイトでも何度か紹介していますが、逓増定期の名義変更というスキームはまだ有効です。何本かの逓増定期保険を複数社で契約すれば数年でまとまった資金移動が可能です。一時所得を得た後継者は確定申告を忘れずに行うと同時に、次の保険加入を検討し逓増定期の名義変更を連続させます。できれば税務調査が予想される年には名義変更が起こらないよう調整に配慮いただく方がよろしいようです。

もう一つの方法はどこの会社でも昔の保険契約を何本が抱えているはずです。なかには払い込みを終えた保険もあるかもしれません。また払い込みが続いている保険は払済にしてしまいます。この時点では契約者は法人、被保険者は現経営者、受取人は法人となっていると思います。この保険を解約返戻金相当額で後継者に譲渡します。受取人も後継者に変更します。買い取り資金は会社が貸し付けるか逓増定期の名義変更を活用した資金を利用します。

これで相続発生時に後継者が死亡保険金を一時所得で受け取ることができます。解約返戻金と死亡保険金との差額が儲けというか税的には一番お得な一時所得となります。ミソは相続発生時に資金に変わりますが相続税の対象ではなく、後継者の個人的な資金となります。古い保険ほど予定利率が高くレバレッジが効いているので差額が大きくなり資金移動としての価値が高くなります。

◆ 相続税対策

上記のように法人保険を使った後継者への資金移動はそれだけで相続税の納税資金対策になっています。換金できない自社株を引き継がなければならない後継者には納税資金として保険金というキャッシュが必要なのです。

相続税対策とは相続税の節税より納税資金確保を優先すべきです。とくに中小企業の自社株は換金性がありませんから、業績好調な企業は相続の時バカ高い評価に苦しむことになります。借金をして納税しなくてはならないのでは後継者の意欲もなえると言うものです。それゆえあの手この手で後継者に資金を集中し納税資金をしっかり確保することが大事かと思います。

◆ 争族対策

後継者が買い取りきれない現経営者が被保険者の法人保険は役員退職金として現物支給すCIMG3466ることもあります。会社としては引退する現社長の生命保険を持っていても仕方ないところもあるでしょうから、できれば退職を機に譲渡したいと思います。

引退する現経営者が退職金として生命保険を現物支給されると、契約者が会社から引退する現経営者に変更となり相続発生時に保険金が相続財産に合算されます。

受取人を会社から相続人に変更することになりますが、ここで受取人を指定すると生命保険金は相続財産からはずれ(相続税の課税はあります。)受取人の固有の財産となります。これで経営に関与しない他の相続人の遺留分を満たすことができます。

うまく使えば保険は争族対策の手段としてもすこぶる優れものなのです。

◆ まとめとして「保険は相談するな!」足かけ4年半400号到達で思うこと。

2014年の7月に「保険は相談するな!」を開設し仕事を別に持ちながら足かけ4年半、週末に書き続けて400号に到達しました。ブログという形態はとっていますが、法人保険や相続・事業承継関連の情報発信サイトとして実務に即した内容を心がけてきました。

これまでの文字数はざっくりですが80万字、単行本5冊分に相当するコンテンツに育ちました。

さすがにジャンル拡大しカテゴリー枠にはまりきらなくなり無理がでてきましたが、  ① 事 業 承 継 ② 保 険 余 話 ③ 法 人 保 険 ④ 相 続 と 保 険 ⑤ 節 税 保 険    ⑥ 経 営 と 保 険 ⑦ 贈 与 と 保 険 の7分類をとりあえず守っています。

基本的なターゲットは中小企業のオーナー経営者としていましたが、読者の主力はどうも保険関係者のように感じています。最近では医療費控除の確定申告関係の読者が急増しています。継続は力なりと申しますが続けるためには相当の情報収集能力と気力を必要とします。

また自分の自由時間を削り書き続けるには多大なエネルギーを必要とします。ただひたすら、どこかで誰かのお役に立っていると信じつつ今後も続けて行く所存です。ご愛読賜ればこれにまさる喜びはございません。

特別受益と遺留分減殺請求は経営者の落とし穴。

特別受益の持ち戻しで狂い出す遺留分減殺請求。

CIMG3457用心深い経営者は、人の話やアドバイスを鵜呑みにすることなくセカンドオピニオンならぬ裏オピニオンをとります。

立場が異なれば専門家でも違うことを言いますから、細心の注意を払うのは賢明なことなのです。

そこまで用心深い経営をされているオーナー経営者であっても、事業承継や相続となるとお金だけでない広い範囲の情報と知識、また裏情報や人間関係も含めて設計しておかないと足下をすくわれることがあるのです。

とくに事業承継と相続は深く関連しています。打つ手をすべて打って抜かりない事業承継・相続設計をされたつもりでも特別受益の持ち戻しと遺留分減殺請求はやっかいなのです。

どうやっかいなのか、どうすれば良いのか、隙のない経営者の方に老婆心でいっぱいのhokenfpがご意見申し上げたいと思います。

 特別受益:贈与や遺贈を受けた相続人と受けていない相続人の不公平をなくすための制度。後継者への生前の自社株贈与など。

遺留分減殺請求:法定相続人の権利として認められた最低限の遺産の取り分である「遺留分」を確保する手続きのこと。

ある程度知識をお持ちの経営者を前提に書いていますので、説明不足や専門用語が混在します。申し訳ございませんが、専門用語や具体的な手法や手順は他のサイトを検索されますようお願いいたします。

 ◆ 自社株贈与でも安心できない特別受益の持ち戻し。

あの手この手で自社株評価を下げて、後継者である相続人に相続時精算課税制度を使い自社株を一気に贈与(今となっては相続税の納税猶予制度がありますが。)して安心しているオーナー経営者がいらっしゃると思います。

節税対策も生命保険も万全に準備し、相続税の納税資金もしっかり用意し後は遺言書を書くだけというわけです。しかし、相続人が嫁と子が一人であればもめることはないでしょうが、兄弟姉妹がいるとそうは問屋がおろさない場合があります。

被相続人たる親にしてみれば後継者でない子には、それなりのものを生前に渡して事業CIMG3458承継に口出ししないよう言い含めておいたとお考えでしょう。そのときは確かに親の威信と威厳のまえにしおらしく納得するかもしれません。

申し上げたいことは、相続が発生したと言うことは経営者たる親は、そのときこの世にいないのです。

納得していた後継者でない兄弟姉妹にすれば、財産分与はまったく不公平ですから、親の威圧がなくなれば何を言い出すかわからないのです。

自分の子に限りそんなことはないと思いたいと思いますが、こういうケースでよく見かけるのは知り合いの弁護士のアドバイスという話です。相続権がない嫁や婿が食えない専門家を連れてくるのです。(済みません。弁護士の方に恨みはありません。)

弁護士でも行政書士でもファイナンシャルプランナーでも同じことですが、親切そうに相談にのりつつ同情しつつあおります。あおり運転ではないですが、そそのかすのです。食えない士業が仕事に食いつくのは仕方がないのですが、やっかいなことに「私の分は?」と言われると遺留分が問題になります。

それ相当のものをすでにもらっているのに、「私の分は?」と言うためには根拠が必要です。入れ知恵されると特別受益の持ち戻しを主張し始めます。そうなると争族は泥沼間違いなしです。

後継者に渡した自社株は現在の時価で再計算され持ち戻しの上、遺留分を計算し直す羽目になります。親という「たが」が外れた状態こそが相続なのです。こうなると事業承継がうまくいったとは言えないのです。相続は目の前のお金の奪い合いそのものだと考えておく必要があります。

 ◆ 遺言書を書けば遺留分が見えてくる。

では、どうすれば良いのでしょう。まずしっかりと財産目録を整理(PCで作成しても良くなりました。)し遺言書を書くことです。そして一言「特別受益は持ち戻しを免除する。」と遺言して下さい。これで万全とは申しませんが、歯止めになることは間違いありません。

遺言書を書くためにはご自分の資産を整理し評価額を算定し、渡すべき相続人を指定しなければなりません。遺言書を書くことで誰にいくら渡すかがハッキリするので、相続人ひとりひとりの遺留分が見えてきて、遺留分を侵害した遺言になっていないかが明確になります。遺言書を書けば遺留分が見えてくる、そして特別受益の持ち戻し免除を追記することが大事です。

 ◆ 遺留分減殺請求をさせない遺言の書き方。

CIMG3459遺言書で財産分けを指定しても、相続人の権利である遺留分を侵害している場合は、遺留分減殺請求を家庭裁判所に申し立てれば、申し立てた相続人の言い分が通ります。

経営を任せる後継者に財産を集中する必要がある事業承継では、他の相続人が遺留分減殺請求をしないよう遺留分に配慮した遺言を書くこと、そして生前贈与を含めて納得させておくことが親の責任というものです。遺言書には親の意思として事業承継を優先した財産分けをしたことを書く必要があります。

田舎では今でも残っていると思いますが、昔は長子相続が普通でした。事業承継はそれに似ています。立場が変われば、他の兄弟姉妹にとり事業承継に名を借りた遺産の独り占めであり、許しがたい不公平に感じるのは自然なことです。

それだけの事情がありますから、よくよく吟味され遺留分減殺請求をさせないような、思いを込めた遺言書を書くことが大事だと思います。

 ◆ 遺言書は保険という意味。

本サイトは保険がテーマですが、遺言書は争族を未然に防ぎ、事業承継を円滑にするための保険のようなものです。

遺言書のない事業承継は生命保険のない人生と同じでリスクに満ちています。

遺言書は書いたときからリスクに対する備えをしていることになります。人生には年齢や財産に関係なく病気や事故のリスクがつきものです。ある日突然、何の前触れもなく心臓が止まることもあります。

保険をかけておかなければ後に残された家族や従業員や後継者は難渋を極めることでしょう。遺言書も保険と同じ、思い立ったらいますぐに書いておくことです。

 ◆ まとめ

しっかり相続対策をしていても、遺言書を先送りしているととんでもないことになります。遺言書を書いたら忘れずに特別受益の持ち戻し免除をお書きください。特別受益の持ち戻しの免除は遺言書に書かなくても意思表示すればよいとされていますが、死後のことはわかりません。ご自分では確認するすべがないので確実に意思を明記することがよろしいようです。あれこれ踏まえていただき、遺言書は保険と思いすぐに書き始めることが大事です。

特別受益の泥沼相続。

特別受益にこだわると泥沼相続に。

CIMG3350 優良な中小企業は毎年利益が出ます。ところが事業承継ではこの利益の蓄積が足かせになることがあります。もうければもうけるほど自社株評価はうなぎ登りとなり後継者に自社株を贈与しようにも贈与税という大きな壁が立ちはだかります。

しかし何の対策もせずに相続が発生すれば莫大な相続税となり後継者が納税キャッシュに困ることになります。

賢明なオーナー経営者はいち早く事業承継対策に取り組み自社株評価を下げる工夫をして自社株を贈与しようと考えます。

せっかく贈与税に大枚はたいて自社株贈与を終えたと思ったら中小企業者の納税猶予制度です。最初は使い物にならない縛りがありましたが、緩和修正され中小企業の事業承継に役立つ仕組みとなりました。

その結果、用心深く先手で手を打った贈与が裏目に出てしまったようなものです。税制改正というものは後手に回るとしたものですが、もはや後戻りもできません。結果的には自社株の贈与による事業承継は納税猶予制度の出現で見込み違いになりました。でも自社株贈与の問題はそれだけではありません。

自社株の生前贈与は特別受益と見なされ贈与時の評価ではなく現在の時価で持ち戻しとなるリスクをはらんでいます。特別受益を言い出すと相続協議は泥沼にはまります。特別受益の泥沼相続は抜け出せるのか、オーナー経営者のもくろみが外れるとどのような問題が噴出するのか、順に見ていくことにします。

■相続┃特別受益持ち戻しの恐怖。

◆ 特別受益の範囲。

特別受益とは聞き慣れない言葉です。「トクベツジュエキ?何それ、お肌にいいの?」日常では意味が通じません。言ってみれば生前贈与ですが、それが扶養の範囲なのか遺産の前渡しなのかは相続人の立場の違いにより難しい判断になります。

親にすれば子はすべて平等に育てたつもりでも、兄弟姉妹で差がつくのが普通です。昔は嫁にやる娘には花嫁道具一式にお金をかけて相続の時は放棄するという暗黙の合意がありました。言ってみればこれも特別受益です。

マンションのローンの頭金を出してもらっても同じく特別受益です。今どき大学までの学資は扶養の範囲ですが、他の兄弟が高卒で就職していれば、その差は特別受益と見なされるかもしれません。相続税に関係なく相続には特別受益問題がからみついてきます。

民法上、特別受益の対象となるのは以下の3つですが立場上4.項目目を追加しました。

1.遺贈

2.結婚または養子縁組のための贈与

3.生計の資本として受けた贈与

4.自社株贈与

実は5番目に生命保険金を入れるかどうか迷うところです。生命保険契約による保険金の受取人は相続財産とは一線を画し、受取人の固有財産として遺産相続協議にかかわらず保険金を受け取る権利があります。しかし特別受益と言えないことはないのです。やはり安全なのは、受け取り生命保険金の持ち戻しの免除を明記することです。

被相続人が特別受益の持ち戻し免除の意思表示をせずに亡くなると、特別受益の対象となる遺贈または贈与を受けた相続人は原則として特別受益の持戻しをする必要があります。

被相続人にすれば会社を守るためにせっかく生前に計画的に争いが起きないよう生前贈与を行ってきたにもかかわらず、持ち戻しの免除の意思表示を忘れるとすべてご破算になってしまうのです。

こうなると争いの種をまき散らしたようなもので、収まりのつかない特別受益の泥沼相続に突入するかもしれないのです。

 ◆ 特別受益の持ち戻し免除の意思表示。

生前に苦慮を重ねて相続税や贈与税の節税と財産分与に知恵をしぼってきた方にとれば、特別受益であっさりひっくり返されたので死にきれません。これまでの財産を築いた親の思いと意思が、相続には反映されることが本来の姿です。死にきれませんとは申し上げました、そのときには被相続人はこの世の相続に意見することはできません。

それゆえ遺言書で特別受益の持ち戻しを免除する意思表示(わかりやすく言えば、遺言者が生前贈与などを遺産に加えないことを指示する。)それだけに最後に抜かることなく遺言書に一言「遺言者は、これまで長男○○○○、にした生前贈与による特別受益持ち戻しについては、これをすべて免除する。」書き加えてください。  老婆心までに申し上げておきますが、遺留分に配慮し、相続人にはよくよく言い含めておくことが大切です。

 ◆ まとめ

資産税専門の税理士や相続案件の多い税理士にとり円満相続を目指すことは、業務上のメリットがあります。相続人が権利の主張ばかりになるとまとまる話がまとまらなくなります。事業承継に配慮し苦心の末、自社株贈与を終えたオーナー経営者には、事業継続すら危うくする「特別受益」と「遺留分」は落とし穴になる可能性があります。後継者がもうければもうけるほど特別受益が膨らみ事態は深刻になります。また経営者でなくても争族の原因となる特別受益には注意が必要です。

恨みはないですが、相続に関しては弁護士がからむとやっかいです。食えない弁護士が相続に口出しすると収まりがつかなくなるのです。この話はよく聞きますが、OB税理士も同意見でした。税理士は話をまとめることで業務が円滑に進みますが、弁護士は一相続人の利益を最大にすることで自分の収益も大きくなりますから、もめればもめるほど金になります。皆さんがそうだとは申しませんが、相続人の知り合いの弁護士がからんでくると特別受益だ遺留分だという話になり、親が必死で考えた相続設計をひっくりかえしてしまいます。

繰り返しになりますが、遺言書は被相続人の生前の意思です。そうなると唯一の武器が特別受益の持ち戻しの免除を明記した遺言書になります。経営者の多くはうちでは、そのようなことは起こらない。ちゃんと言い聞かせてあるとおっしゃいます。そうはいかない人間の性(さが)が誰にも潜んでいるからこれだけ争族が多いのです。我が子といえどもこの件に関しては信用してはいけないということです。ここを外されないようお願いしておきます。

事業承継の壁、後継者の責任。

事業承継の最大の壁は経営権の委譲と後継者の責任。

CIMG3205法人保険にかかわっているといろんなケースに出くわします。売る側での経験と買う側での経験は、事業承継の本質的な部分と違った側面を見ることができます。

事業承継対策の柱は円滑な権限委譲と自社株対策になります。

もちろん法人保険がかかわる範囲は限定的で、退職金の原資を生命保険で準備するとか、後継者に資金を集中するための名義変更などのスキーム活用があります。

自社株の贈与もいろんなスキームがありますから、そこは専門家に任せておけばいくつかの選択肢を提案してくれると思います。

◆ 後継者への権限移譲は難しい。

一番難しいのは後継者の指名と育成、そして権限移譲ではないかと感じています。これはなかなか適切な相談相手がいないとしたものです。事業承継の手順として決まったパターンや正解もありません。

そういう意味では事業承継において、最大のリスクは、後継者がやる気をなくすような事態であると言えるでしょう。

ワンマンのオーナー経営者は、これまですべて自分の一存で経営判断をされてきてきたと思います。経営者としての資質もあったのでしょうが時代の流れにうまくのることが今日の成功を築いたとしたならば、後継者の判断はたとえ実の息子でも未熟で甘いものと映ることでしょう。

これも仕方がないことではあるのですが、立場かかわれば柔軟に考えることができなくなります。

◆ 後継社長の未熟さ責めるな、来た道だもの。

経験や知識が少ない後継者が判断を誤ったり、失敗するのはあたりまえです。それを積み重ね、経験としての財産を積み上げていくわけです。最初からうまくいくと、その方が後々よほどリスクが高くなるものです。

後継者にとれば、たとえ我が子でも、親族外の社員からでも社長を継ぐということは、非常に勇気のいる決断です。それができなければM&Aか廃業・精算を考えなければいけないわけですから、オーナー社長はそのことを肝に銘じることが必要です。

後継者に対しては、口出ししない明確な経営権の委譲が必要です。社員も決定権がどちらにあるか、微妙にかぎ分けているものなのです。

ところが、経営権を譲り任せたつもりでも、後継者にすればそうは思えないことが多いのが実際です。このギャップが後継者を追いつめることになります。

自分としては身を引いて譲ったつもりでも縄付きではいかんのです。任すなら成功も失敗も全部後継者責任で任せることです。経営者として駆け出しのころは自分も数々の失敗と判断ミスを積み重ねて今日あることを自覚すべきです。

◆ 事業承継の失敗は社員が不幸になる。

私の知る例では、40歳台になっても永遠の副社長で、最終決済の権限がなく、副社長として決めたことを権限を離さない社長に再三くつがえされることに嫌気がさし、高級車で暴走し瀕死の重傷を負った例がありました。これで反省して経営を任すかと思いきや、暴走する息子にいよいよ経営権を委譲できなくなり事業承継は暗礁に乗りあげた格好です。こうなって生命保険でもどうしようもありません。

立場が変われば、思いも感じ方も違います。経営を任せる立場は、感謝の気持ちを持たなければなりません。ゆめゆめ「譲ってやった」などと考えてはいけないのです。

事業承継に失敗して困るのは従業員とステークホルダーです。

社員間に不安な心理が拡大し後継者社長に対する求心力も低下します。

◆ まとめ

後継者に対し、常に「継いでくれた」という感謝の気持ちが何より大事です。口出ししないということは難しいと思います。一度任せたら仕事内容を見ないこと、後継者から聞かれるまでアドバイスしないこと、それができないなら決済をすべて任せて出社しないことです。

経験不足で招いた事態は後継者が自己責任で乗り越えてこそ経営者としての資質が身につくというものです。事業承継の壁を乗り越えるために必要なことは、相手の立場を理解するということに尽きると思います。ただワンマンオーナー経営者には残念ながら誰も本音で言わないし、物事の真実は伝わらないものなのです。

事業承継と生命保険の危機!

生命保険でも救えない中小企業が半数。

CIMG2266中小企業の事業承継には厳しい時代になりました。

いきなりではありますが、どこの会合に顔を出しても高齢の経営者が多いことに気が付きます。

別に驚きはしないのですが、団塊世代経営者の、老いて尚の頑張りに目を見張ります。

サラリーマンならとうに引退している年齢です。楽隠居はできないでしょうが一線は退いていて普通の年齢です。

かくいう私が団塊世代の後の世代ですが、体力的に無理をしないよう心掛けるようになりました。

毎朝ストレッチ体操から始めないと関節が痛むようになりましたから、団塊の世代は気力体力ともに限界に近づいている経営者が多いものと思います。

◆ 中小企業の廃業は深刻な社会問題。

なにしろ日本の中小企業は99%、そこに雇用されている従業員数は70%というから中小企業や個人事業者の存続は社会問題になるわけです。

データによれば、団塊世代の経営者の大量引退時代を前にして、なんと法人個人合わせて半分の経営者が廃業すると答えているそうです。

◆ 廃業理由の3割が後継者不在。

廃業に至る理由は様々ですが、後継者不在という深刻な問題が、廃業理由の3割に上ります。

悲しいのは会社の業績は悪くなく、子供がいるのに継ぐ意思がないというケースです。

継ぐ意思がある子がいても継がせられないというのも困りものですが、継ぐべき能力があっても、自分の能力を生かした道で生計を立てたいというケースも見かけます。

◆事業承継税制の行く末と効果。

事業承継税制は改正に改正を重ね、中小企業のオーナーの考え方に近いものになりつつありますが、これが事業承継の追い風になるかどうか、見極めが必要になってきました。

より安全な事業承継はできるだけ早い時期に後継者を指名して時間をかけて対策を講じることが必要です。

事業承継税制の詳細は平成30年度税制改正大綱を読みこむ必要がありますので、後日まとめることとしますが、中小企業のオーナー経営者にとれば経営の手の内を明かしたくないし、経営上の縛りや制約が多くなることは避けたいのです。

来年のこともわからないのに雇用維持など約束できるわけがないのです。そんな間の抜けた縛りでは、経営がピンチになっているとき人員削減もできないことになります。リストラすれば遡って課税されるとなれば、それこそ全く弱り目に祟り目という他ありません。

◆ 生命保険はそれなりに進化、でも時間はかかります。

生命保険で資金的な対策をするにしても自社株を相続あるいは贈与するにしても時間がかかります。できれば10年欲しいところです。

ところがその生命保険も予定利率最低時代で、かつての時代のようなスキームが使えなくなってきました。

とはいえ、生命保険会社も生き残りをかけて合従連衡を繰り返し、使い勝手はいまいちですが、ギリギリの商品開発を進めてきました。

保険会社が新しい全損タイプの法人保険を設計するなら中小企業オーナーが求めているツボを押さえなくては的外れと言わざるを得ません。選択肢は徐々に増えてきましたが、まだここが弱いと感じています。

団塊世代の経営者の引退とそれに伴う事業承継・相続設計に生命保険が有効であることは変わりません。

死亡退職金が所得税なしでも有利だとは言えない理由。

死亡退職金には所得税がかからなくても、かならずしも有利だとは言えない理由があります。

中小企業のオーナー経営者にとって経営の一線から引退するということは口で言うほどたやすくはありません。

退職慰労金用に法人保険を設計する場合、引退時期に合わせて解約返戻金の返戻率のピークをもってきます。

この引退時期がずれると保険代理店は喜びますが買う側の保険設計者としては困るわけです

保険商品によってはピークがマッターホルンの様に一点一時期に集中しているケースもあります。これをずらすには二段式とかいろいろテクニックはありますが、保険に入り直すことで戻りのキャッシュが目減りするのです。CIMG2091

ところが経営者はいずこも同じで引退後のことを考えたり後継者の能力を言い訳にして、様々な理屈をつけて社長の椅子を譲ろうとはせず一度ならず二度三度引退時期を延期します。

果ては「死亡退職金は所得税がかからへんから有利やと聞いたので調べてくれんか。」ときます。思わず「いつ死亡退職金を受取られる予定ですか?」とあほな質問を繰り出します。聞かずにはおれない話です。

10年後か20年後かもっと先か、全く未確定の退職慰労金支給時期に合わせて何ができると言うのでしょうか。

それよりそんな未来に今の会社が健全に存続しているかどうかすらわかりません。せっかく既得権の全損で簿外にため込んできた法人保険解約返戻金も解約時期がわからないでは、どうにもしようがないというものです。CIMG2037

保険の種類によって数年は返戻率が落ちないもののありますが、被保険者の年齢や性別によってはピークを過ぎて解約返戻金のカーブがお辞儀を始めるものもあります。解約返戻金の返戻率は落ちだすと早いものが結構あります。

だいぶ愚痴を書いてしまいましたが、確かに計算してみるまでもなく

死亡退職金は所得税や住民税から見るとかなり有利になります。

わかりやすく言えば生存退職金には所得税と住民税がかかりその上相続税が課税されるW課税です。ところが死亡退職金には故人に所得税は課せられないですから所得税も住民税もなしでいきなり相続税だけが課せられます。

とすれば経営者にとれば渡りに船です。税金が安くなるから死亡退職金にすると言えばとりあえず引退は形だけにすることもできるのです。ただ形だけの引退にしても役員報酬を減額すれば退職慰労金の支給額にも影響してきます。

とはいえ死亡退職金と言えば退職金でありながら経営者が自ら受取り自由に使うことはもはやできない相談です。後継者に資金を残してやると言う親ごころと思うほかありません。

堂々巡りのような話ですが中小企業のオーナー経営者にとれば会社のお金は自分のお金とイコールです。自分のお金は会社のためにあるようなものです。要するに会社と経営者は一蓮托生ですから早い話が(少しも早くはないですが。)相続税の納税資金さえ準備できていれば退職慰労金を受け取る意味はないということにもなります。

会社に置いとけば後継者が役立ててくれるということです。

いくらお金があっても三途の川には一円たりとも持っては行けません。お金はこの世においてのみ意味のある随伴する属性にすぎません。美味しいものも人の2倍は食べられません。美味しい酒も飲みすぎれば体を壊します。金に飽かせた酒池肉林も身を滅ぼすだけです。

なんか妙な人生訓になりました。確かに死亡退職金は税金の計算だけでは有利です。しかし原資の都合や後継者の経営権そして本人の人生という視点から見れば必ずしも有利とは言えない事情が垣間見えるのです。

役員退職金の否認が増えている理由と対応策について。

役員退職金の否認が増えているとすれば重大なことです。

役員退職金の否認が増えている理由とは書きましたが、知り合いの税理士法人に確認すると否認の事例はあるがそれが一般的とは言えないという意見です。

保険の営業トークに役員退職金を二度もらうみなし退職という話法がありました。

今もありますが何かと問題をはらんでいます。その役員退職慰労金の原資を法人契約の生命保険で準備しませんかというスキームです。CIMG2062

確かに役員退職金は高額になりますからよほど優良企業でも準備なしでいきなり支給するのはキャッシュフロー的に厳しいものがあるでしょう。

それで役員退職金は別枠で用意する必要があるのですが、その話は別のページにゆだねるとして、ここで申し上げたい注意すべき点は役員退職金の正当性です。

OB税理士の先生がよく言うことは、

1. 形式基準を満たしているか。

つまり正式な取締役会、株主総会を開催してきちんと議事録を残しているか。
社長が一人で決めて議事録を形だけで作成していないか。

2. 実質基準を満たしているか。

本当に引退、退職しているか。やめたふりではないか。
経営の実権や決済権を握ったまま偽装引退になっていないか。

3.  役員退職金の支給額が妥当かどうか。

支給額は税務署に事前相談すればリスクは軽減されます。自分勝手に決めないことです。

それやこれやを考えても一般庶民からすれば考えられないような巨額の役員退職金ですから本来税制優遇されるのは得心できないところでしょう。

しかし資本主義経済のもとでは中小企業の事業承継における存続と言うことを考えると課税当局にとっては退職金税制も許容範囲と言うことのようです。

退職と言えば会社を離れ縁が切れるのが普通の感覚です。

それを形だけ引退したように見せかけ、退職金だけ有利な税制で受け取ることは許しませんよと言うことが課税当局の意図するところです

退職金は過大でない限り法人としては損金算入が認められます。また受け取った役員にしてみれば通常の所得税から見ると退職所得控除があり、残りの額の半分が課税対象になります。

その上分離課税となっていますから半端な有利性じゃないのです。それだけに課税当局としても退職金に関しては微に入り細に入り厳しい見方をするのです。

注目すべきは「法人税基本通達9-2-32」です。以下引用です。
法人が役員の分掌変更又は改選による再任等に際しその役員に対し退職給与として支給した給与については、その支給が、例えば次に掲げるような事実があったことによるものであるなど、その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合には、これを退職給与として取り扱うことができる。
 (1)常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)になったこと。
 (2)取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者及びその法人の株主等で令第71条第1項第5号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる要件の全てを満たしている者を除く。)になったこと。
 (3)分掌変更等の後におけるその役員(その分掌変更等の後においてもその法人
の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)の給与が激減(おおむね50%以上の減少)したこと。

何を言っているかということを一言でいうと「実質的に引退したかどうか」ということを損金算入の条件にしているということでしょうか。

会社には毎日来ていないが、家に経理部長を呼びつけて決済している、幹部には家から携帯とメールで叱咤指示しているというケースは口裏を合わしても隠ぺいするのは難しくなるでしょう。

実際のケースでは優良申告法人などでは未だに退職金でも形式要件さえ満たしていれば大目に見てもらえるという暗黙の了解のような感覚が経営者にあります。

経営者の本音からすれば未熟な後継者に経営の実権をゆだねると幹部連中が増長して会社の存続を危うくするから、自分が目を光らせていないと心配でならない。

そんなもん税務署が何やかや言ったところでいざというとき助けてくれないのは銀行と同じ、会社が立ち行かなくなったのではとても引退どころではなくなってしまう。

軌道に乗るまで見守るのがいかんわけがない。という理屈も首肯できないこともないです。

ただ見方が厳しくなる傾向にありますから形式要件だけでなく実質的な要件にも十分配慮して思いつくままにアバウトでやらないことです。

そこの押さえがきちんとできていて退職金が認められることは会社にとっても経営者の事業承継・相続設計にとってもすこぶる重要な要件なのです。

役員退職金を否認されない極意。

役員退職金を否認されない極意について若干のアドバイスです。

必死の思いで保険料を払い続け、やっとこさで資金を貯めて相続税の納税資金や老後資金に充て自分への褒美のつもりで役員退職金を支給します。

その結果、税務調査で役員退職金を否認される様なことにでもなれば引退する経営者にとって最悪の結果になります。

◆役員退職金は保険で準備すると節税できる理由。

否認されると役員賞与と見なされ会社は役員退職金の損金算入が認められなくなり法人税が課せられます。これはかなりきつい処分です。個人の方も有利な退職金税制が認められないので普通の所得税が追徴課税されることになります。これまたえらくキツイのです。CIMG2120

それだけに用心の上にも用心が必要です。支給にあたっては株主総会を開いて議事録を残しておかなくてはなりませんが、中小企業では議事録は多くの場合作文でしょう。

株主総会も取締役会さえまともに開催することはまずありません。そりゃ全権がオーナー社長にあるから当然です。

特に最近は役員退職金の税務調査での見方が厳しくなっていると聞きます。顧問税理士さんのアドバイスだけに頼らず自己責任で念には念を入れる用心深さが身を守ります。

気を付ける点としては一般的な功績倍率を自己都合で甘くしないこと、役員退職金支給規程に定めて功労金加算までしても課税当局が認めなければ過大と判断されてしまいます。実際課税当局は独自の基準があり功労金加算も含めて功績倍率を見てきます。

OB税理士の先生を通じてお尋ねを入れると、ここまでは大丈夫だがこれ以上だとちょっとねという感じで回答があります。それ以上はダメですよという課税当局の意思表示が読み取れます。CIMG2031

税務署に事前のお伺いを立てるのは手間はかかりますが支給前に相談して妥当な線を引き出しておくことで安心できます。

 

支給額の妥当な線は残念ながら思惑の金額とはいくばくかのかい離があるのが普通です。それはその分だけ会社に資金が残るわけですから辛抱してください。

当局は相談に行ったことは担当が代わってもきっちり引き継がれますから安心です。

もう一つの役員退職金を否認されないための重要なポイントは本当に引退することです。

これがオーナー経営者には一番難しいと思います。毎日会社に顔を出してあれこれ指示を出していたのでは否認してくださいと言わんばかりです。形式ではなく実質的に引退したかどうかですからくれぐれも勝手解釈しないようにお願いします。経営の実権も反面調査をされれば隠し通すことはほぼ不可能です。

まとめとして繰り返しておきますが、重要なポイントは3つです。

①役員退職金支給に至る手順は手を抜かないこと

②自分の都合のいいように考えないで税務署に事前相談に行くこと

③実質的に引退すること

高額な役員退職金を安い税率で支給するわけですから調査対象から外れる可能性など夢にも思わないことですね。

◆役員退職金は法人保険の全損か半損かの迷いに決着。

役員退職金は法人保険の全損か半損かの迷いに決着。

役員退職金は法人保険の全損か半損かで財務戦略が違ってきます。

CIMG2076中小企業のオーナーのようなケースは長年経営者として会社を引っ張ってきていますから役員在籍年数が長くなり20年30年はざら、中には40年超というような長期社長在籍年数を誇る方もいらっしゃいます。

必然的に役員退職金は巨額になりますから、そんなにおいそれと退職金を工面できるものではありません。

事前に何の対策も取らないでいきなり退職金を支給することは財務的には普通かなり困難を伴うことでしょう。

役員退職金のキャッシュを用意するなら助けになるのが法人で契約する生命保険の解約返戻金です。

退職金原資を全損で簿外に準備すれば解約返戻金は全額雑収入になります。それをそっくり退職金に充てればプラスマイナスゼロになり会社の財務に影響を与えずに退職金を受け取ることができます。

この時、自社株は既に後継者に移転してることが条件になります。なぜなら自社株移転のために評価が高くなりすぎた自社株を退職金支払いによって評価減するという手が使えなくなります。

経営者の役員退職金は自社株の評価を下げる千載一遇のチャンスでもあります。

自社株の評価を下げて後継者に移転するスキームは数ありますが退職金支給は過大でない限り最も安全策ではあります。

役員退職金支給で自社株評価を下げるのであれば半損型の長期平準定期が有利になります。

終身保険などは入り口で税金というコストを支払って保険積立金として利益を積み上げていますから退職金の原資とすると大きな財務上マイナスが発生します。

もちろん自社株評価を減じるには効果が高いことになりますからそれはそれで意味があります。

しかし半損の長期平準定期保険で戻りの率がよいものを選べば財務上のマイナスを抑制しつつ50%の雑収入を退職金で相殺することが可能になります。まさに役員退職金の支給ソフトランディングです。

会社の財務事情、自社株の評価等によりこの辺の使い分けが必要になります。自社株の評価減を考えておられるケースでは半分の雑収入が邪魔に感じるかもしれませんがこれまで毎期保険料の半分を費用で落としてきたわけですから結果としては同じことです。CIMG2185

かといって終身保険のように税金を払いつつ保険料を資産計上して、その解約返戻金が雑収入にならないのは当たり前で、まるまる税金を払って積み立てても得なわけがありません。

役員退職金が費用で落とせるなら、利益の繰り延べで出てきた雑収入は誠にありがたいことだと言えるのではないでしょうか。

ただ一番得なのは全損で雑収入をまるまる役員退職金で受けることです。

見事に完全な出口対策になります。会社の財務にもダメージを与えずに退職金を堂々と受け取れます。ただ全損保険商品は選択肢が狭くなりました。半損の保険商品は単純返戻率が見劣りするものが出てきました。見方によれば半損もこの低金利時代に有効な選択肢ではあります。

いずれにしても役員退職金生命保険で準備しつつ、早いうちから後継者へ自社株の移転を進めておくことです。

自社株移転は専門家にご相談いただきリスクを理解したうえでご自身と会社に適したスキームで、できるかぎり早期に始められることが肝要です。

役員退職金の支給に際しては以下のページの注意事項をご参考になさってください。

◆役員退職金を否認されない極意。

社長の生命保険は後継者に移せば二重のマル得。

社長の生命保険は後継者に移せば二重のマル得になります。

引退間際の社長が被保険者になっている保険契約は退職慰労金の一部として現物支給する企業も多いと思います。

それよりももっとうまい方法があります。CIMG2050

わかりやすく順を追ってに説明します。多くの法人では社長を被保険者にした法人契約の保険に古くからの分を含めて何本か加入していることと思います。昔の契約だと予定利率の良い頃に契約した国内生保の終身部分の厚い定期付き終身保険が多いと思います。他にも長期平準定期であったり医療保険であったり外貨建の終身保険だったりします。

これらの保険は払込が満了しているものも多いと思います。払込が終身になっているものは払済保険に変更して保険料の支払いをストップします。

その保険を社長の退職金ではなく後継者に譲渡します。

すなわち

契約者:後継者、被保険者:社長、受取人:後継者とするのです。

そうすると社長引退後、万が一の時死亡保険金は後継者が受け取ることになります。

[マル得その一]

後継者の受取保険金は相続財産になりませんから相続税の課税対象になりません。後継者の買い取り費用を上回る保険金部分が一時所得となります。相続税の納税資金に充当できるわけです。

一時所得のメリットはこちら

◆一時所得は美味しい

[マル得その二]

解約返戻金は銀行預金よりもはるかにしっかり増加していきます。保険商品や契約時期により増加率はかなり開きがありますが、有利で確実な資産運用です。必要なときには解約したり契約者貸付を受けたり自由に資金として活用できます。

ここまで読んで疑問に思った方はそれなりに保険の知識のある方ですね。。そうです後継者に保険を譲渡するときの買い取り資金をどうするかということです。役員報酬を増額してもそこまでの買い取り一時金は見込めません。

そこで出てくるのが逓増定期の名義変更です。このスキームをうまく組み合わせれば後継者の買い取り資金が捻出可能となります。被保険者の被齢によりますが実際5000万程度の一時所得が毎年発生するようにすることも可能です。

この一時所得を資金として社長の保険を後継者が買い取るのです。

◆保険の名義変更は使えるスキーム

保険ですから社長死亡時にはレバレッジが効いて大きな保険金が一時所得として受け取れるメリットは大きいと言えるでしょう。CIMG2057

難点は5年ばかり法人で保険料を払う必要があり今すぐには使えない点です。それまでの間社長が後継者に保険の買い取り資金を貸し付けておけばよいのです。それ以外にも契約者貸付でつないでおくことも可能です。死亡事故が発生すれば精算すれば良いだけの話です。逓増定期の名義変更時期が来ればその一時所得で精算することが基本ではありますが。

この方法で後継者に資金移転して相続・事業承継に備えるのです。

保険の持つ金融商品としての特性をフル活用しています。まさに社長の契約後継者に移せば二重のマル得があるといえるでしょう。

今一つの難点というか注意事項を申し上げると法人保険の管理レベルを高めておく必要があります。

逓増定期の名義変更リスクはこちらを。
◆逓増定期の名義変更で落ちると怖い落とし穴を経験者が語ると

法人保険の出口対策プランは事業の中長期戦略である。

法人保険の出口対策プランは事業の中長期戦略であ。

法人保険を検討するとき考えなくてはならないことは出口対策であると言われます。

出口対策とは保険に加入し節税してた結果、課税を繰り延べることができたとしてもどこかでその分の益出しをしなくてはなりません。その設計がうまくできていなかったり、予定が変わったりすると出口対策が機能せずに利益を繰り延べしただけに終わってしまいます。CIMG2032

ただ実際の場面ではとりあえず繰り延べするために法人保険に加入することもあります。解約返戻金のピーク時期が近づいてくればその時にまた考えればよいと言うわけです。

先のことはわかりませんが、とりあえず繰延しておけば太陽光発電設備の一括償却がうまくかみ合って保険の解約返戻金で益が出ても帳消しになったりするものです。

他のケースでいえばガン保険などを社員に付保していると定期的にメンテナンスと称して退職者の解約をする必要がありますが、この時も結構な解約返戻金による雑収入が発生しこれを受ける対策が必要なこともあります。

それやこれやで考えると法人保険に加入する判断の根拠となるものは企業としての中長期的戦略と重なります。戦略として設備投資や事業拡大の将来的計画があり、また事業承継、引退時期の見通しにより資金需要も中長期的に予測していかなくてはなりません。

この資金を計画的に準備しかつ節税しつつロスのないように資金を有効活用するには法人保険が大きな助けになります。

ただ申し上げておきますがそれなりのブレーンとして信頼できる保険代理店を見つけることです。

その上で経営者はある程度法人保険を自ら理解し人任せにしないことが重要です。

法人保険の難点があるとすればまさにこの保険としての特異性と多様性でしょうか。

先のことは誰にもわからないがゆえに、中小企業が勝ち残るためには知恵をだし創意工夫して少しでも多く資金を残して無駄のない事業計画を続けていかなくてはなりません。

だからこそ企業の守りのテクニックとして法人保険の出口対策プランは事業の中長期戦略と同じことであると申し上げたいのです。

役員退職金は保険で準備すると節税できる理由。

役員退職金は保険で準備すると節税できる理由。

中小企業のオーナー経営者は社長を長年続けるケースが多いですね。20年30年はよくありますが中には40年間経営の指揮をとり続けている方も見かけます。

このくらいのベテラン経営者になると会社の中のことはすべてお見通しで、どこそこの支店で鉛筆が一本倒れてもわかると豪語されます。CIMG1975

役員の退職慰労金計算は在職年数をかけますから、長きにわたり経営者であれば当然退職金も多額になります。

役員退職金といっても老後資金と言うよりは多くの場合相続税の納税資金になります。それだけに企業の継続ということからみてもそれなりの額が必要になります。

(参考例)

役員退職金=(退職時の役員報酬月額×役員在任年数×功績倍率)+功労加算
(例:役員報酬5,000千円、在任年数30年、功績倍率3倍、功労金3割加算)

役員退職金基本額:5,000千円×30年×3倍=450,000千円
功労金加算3割=135,000千円

役員退職金支給合計=585,000千円①

この退職金を会社の利益剰余金から支払うのはいかにももったいない気がします。企業の利益剰余金は税金を払った後での蓄積です。退職金税制は緩やかにできていますが、その後にくる相続税はご承知の通り厳しい税率です。税金の二重三重払いと言えるでしょう。ここに役員の退職金準備に保険活用の価値があります。

退職所得控除額:(20年超) 70万円 ×(勤続年数 – 20年)+ 800万円
退職所得控除額合計:700千円×(30年-20年)+8,000千円=15,000千円②

退職金課税=(退職金①-退職所得控除額②)÷2×税率(分離課税)
(585,000千円-15,000千円)÷2=285,000千円
退職金課税は退職所得控除を引いた残りに1/2課税、かつ分離課税という有利さです。

生命保険を活用すれば解約返戻金という形で必要なときに現金化できます。それまでの間は保険料として一部または全部を費用化できるのです。この間の税負担は押さえることができなおかつ簿外に解約返戻金というキャッシュを積み立てることができます。

法人保険には事業保障という役割がありますからよほどのキャッシュのピンチでもない限り解約はしないものです。どうしても緊急のキャッシュが必要な場合は契約者貸付という仕組みを利用することもできます。もともと自社のお金ですから審査も手間もなく短期でキャッシュを都合できます。利息が高いので早めに返さないと損しますがね。

生命保険の解約返戻金出口対策ができていなければ単なる雑収入でしかなく課税対象になります。これを役員退職慰労金にあてれば見事に節税できています。現金で銀行に残しておいても退職金支給の時期まで残るものではありません。生命保険ならではのうまい仕組みだと言えるでしょう。

ただしこの生命保険設計は複数の保険会社の商品を扱うそれなりのプロに依頼してください。その上で

買う側の責任として契約内容をしっかり理解し、定期的に見直すようにしてください。

相続税・贈与税は資産税を専門とする税理士に相談しないとヤバイ。

CIMG1809貧乏人にはあまり関係がないでしょうが資産税は会計や申告とは別の専門家がいます。

 

税理士の先生でも得意分野があります。お医者様に科目があり専門医がいるように。

相続も専門とするあるいは得意とする税理士の先生でないと万全の対策はできません。

相続と贈与は資産税という分類になります。税務署でも資産税は専門の部署があります。

資産税の専門家・エキスパートはそれだけのことがあります。

専門外だと一応基本的なことは理解しているが応用や突っ込んだ話になると調べて対応することになります。

特に相続と贈与は元々の事例が少ないですから専門家も少ないといえるでしょうか。中には医療法人の事業承継・相続設計専門の税理士がいたりします。

相続の案件は個人のプライバシーに関わる部分も多くなり一般的に資産家は秘密主義の傾向がありますからなかなか全部を話していただけないものです。信頼している相手にもすべては話さないということです。

情報が小出しになりますから相続設計も何度も見直しになることがあります。相談相手を選ぶなら忍耐強く誠実で話しやすい専門家がよいのですが、さて、いるんでしょうかそんな人。

保険は相談するな!の真意

CIMG1735保険は相談するな!の真意を申し上げます。

保険を批判的に書くとアクセスが集まります。

ビジネスとして競争に晒される保険業界は顧客サービスが向上する面と競争激化で経営の質も営業職員の質も低下せざるを得ない面があります。

その結果保険会社は叱咤激励を通りこして短期成果を上げるためノルマの追い込みをします。毎月の締めが近づくと土俵を割るか生き残るかの瀬戸際営業が保険相談の質をさらに下げます。

なぜなら自分がお仕舞いなのに見込み客の相談など聞いていられないからです。

残る日数でこれまで提案した少しでも見込みのある顧客に追い込みお願いアプローチしかありません。顔色は平然としていても心の内は火の車だったりします。

これは成果の上がらない営業職員に限ったことではないのです。年に何回も海外旅行に行くようなお金儲けのうまい代理店でも同じなのです。

一度得た資格、収入レベルは生活レベルとして身につきます。それを手放すことは容易ではないのです。かと言ってこれだけ法律が変わったり金融庁の締め付けが強化されると継続して高いレベルで成約をとることはやり手代理店でもすこぶる難事です。

そもそも成果に直結しない保険メンテナンスに手間暇かけられるほど余裕がある世界ではないのです。

保険の世界では見込み客も大事ですが今月の成約、今日の成約が何より必要になります。

すべてがそうだとは言いませんが相談相手としてとても適任だとは思えないのです。ここに情報収集すれど相談せず、自己責任、セカンドオピニオンという考え方がでてきます。保険は相談するな!真意はそんなところです。