バレンタインショックの生き残りになるか逓増定期の名義変更。

バレンタインショックの生き残りになるか逓増定期の名義変更。

来る来る保険営業マンや保険代理店が、バレンタインショックなどと言い出しています。バレンタインショックはhokenfpの造語だと思っていたら、それ以前にバレンタインショックを言い出しているサイトが確認できました。考えることは皆同じなのですね。

先週のブログでは、短期払い医療保険の最新情報を書きました。その後もう少し詳しい情報が入りましたので、項目として追記します。また一番気になる逓増定期の名義変更に関しても、現時点でわかっていることを補足しておきます。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 国税庁のもたつきの原因。

パブリックコメントで大枠が固まったと思ったら、国税庁が通達の発遣にもたついています。

大方の予想されていた通達の発遣日が6月10日(月)ごろから、どうも延期され父の日を過ぎた6月17日(月)以降ではないかという情報です。その原因は短期払い医療保険もけしからんと言うことで網をかけようとしたものの、解約返戻率は全くないか極端に低いのでルール決めが難航しているらしいのです。

最高解約返戻率という共通項を持ち出し、資産計上割合を指定する新ルールは確かに一網打尽の妙案のように思います。しかし国税庁がいくら頭をひねっても、完全な網をかけることはできないと考えるべきです。

しかし保険には配当もあれば健康祝金、何たら金と解約返戻金以外の支給方法はいくらでもひねり出せます。実質返戻率の表記を規制すると言う話まであるそうです。そんなことは保険営業の現場では通用しません。

◆ 短期払い医療保険は販売停止か。

国税庁の通達の発遣が遅れると言う情報から言えることは、あと一週間ぐらい駆け込み契約のチャンスです。暇を持て余している保険代理店は必死の攻勢です。

保険代理店にしてみれば、バレンタインショック前後の未曾有の契約ラッシュから4ヶ月もの間、開店休業状態です。通達が出ない限り、主力の保険商品は販売停止中ですから何もできないので、ここは躍起になるところでしょう。

問題は短期払い医療保険に、どのような規制がかかるかと言うことですが、販売停止と言うことではなく情報によると保険料の資産計上と言うことになる予想です。

短期払いが問題ではあるのですが、資産計上するなら保険契約として名義変更することは問題ないわけです。とすれば契約を個人に名義変更するときに保険積立金が雑損失になるだけです。利益が出ている会社では、結構な節税効果があります。オーナー企業では、こういうとき損失とはとらえないのです。

そうは言っても手間のかかる保険積立てなどよりも、今なら簡単な駆け込み契約により全額損金で処理が可能です。確かに加入を検討するなら今ですね。

ちなみに各社とも名義変更時は、入院日額の10倍の解約返戻金と言うことですが、そこまで正直にやらなくても払込込満了の次に解約返戻金が出る前にゼロ円で名義変更が可能だそうです。最後の保険料を支払って、解約返戻金がゼロ円のうちに名義変更すれば、終身の医療保険がタダで手に入ります。おいしいですね。

そういうタイミングがあるので、無料で譲渡が可能だそうです。やりすぎの感はありますが。

◆ 逓増定期保険は販売停止か。

逓増定期の名義変更は、国税庁の通達により法人保険最後のスキームになるかどうかと言う問題が気になるところです。逓増定期の名義変更は専門で販売する代理店、積極的には販売しない代理店、問題視する税理士、現時点では問題なしとするOB税理士の見解などを紹介してきました。

実際、税務調査で問題視された例を聞いたことがありません。銀行系の保険代理店は逓増定期の名義変更には消極的です。否認され問題化すると、責任が負いきれないので避けているようなところがあります。

まだ通達が出ていない段階では、販売停止中ですからなんとも申し上げられませんが、ある代理店からの情報では逓増定期の名義変更は存続すると言えそうです。

国税庁の通達にしたがって保険料を資産計上しても、結局名義変更時には保険積立金が雑損失にかわり、節税できることは短期払い医療保険の場合と同じです。

保険積立て割合が高くなりますから、雑損失もそこそこ巨額になりますが、自社の財務と照らし合わせて、利益の抑制に利用できます。

複数社から逓増定期の新商品が発売になる可能性があります。この逓増定期の名義変更スキームは、事業承継時に後継者にバックボーンとなる資金を集中する手法として有益なのです。契約時に注意点がひとつあります。

税務調査の対象となる決算期が、名義変更により雑損失が発生する決算期に重ならないよう前後させてください。これまでのところ問題なしではありますが、あえて目立つことはしない方がよいという配慮です。

もし国税庁が網をかけてきたら、ピーク時に解約すればよいだけです。このときは出口対策が必要でないフリーキャッシュが生まれます。法人契約の保険としては、これはこれで意味があるのです。

◆ 今後の保険商品開発の方向性。

私が申し上げるようなことではありませんが、各社次の保険商品の開発に取り組んでいると思います。通達後にすぐに新発売では角がたつので、お盆明けぐらいまで様子見でしょうか。

それで、ほとぼりが冷めようが冷めまいが、保険会社も保険代理店も手をこまねいて止まっていることはできません。

上の項目に書きましたが、解約返戻金でなければよいのです。アイデアはいくらでも出てきます。ただ認可する金融庁も慎重になるでしょうから知恵比べですね。これはいくら国税庁がイタチごっこを終わらせると息巻いても、イタチも事業を継続しなくてなりませんからね。

◆ バレンタインショックの生き残り逓増定期、まとめ。

一連のバレンタインショックに関する情報は基本的にOB税理士、税理士法人、複数の保険代理店、保険会社の管理職などからの伝聞情報ですので、信頼性は保証できません。自己責任でお願いしたいところです。

しかし買う側であればこそ、いろんな情報が集まります。関係者はそれぞれの立場で漏れ伝わる情報の読み取り方が異なります。売らんがための言い方や個人の希望的観測や憤(いきどお)りまで加わりますから、額面通りには受けとれないことも多いのです。それらの情報を総合して、ある程度言えることをまとめたつもりです。

これにより法人保険にかかわる皆様の不安が若干でも解消できればhokenfpとしてはまずまずよしとしたところです。

来週か再来週にはさすがに通達が出て、バレンタインショックに一応の決着がつくと思われます。既契約への遡及は見送られたと考えて間違いなさそうですから、それはよしとして保険会社としては次の事業戦略を考えることですね。

辛口のアドバイスですが、保険代理店は今までのように一気に契約を集めることは難しくなるでしょう。生活レベルをダウンサイジングして、ときを待つか、転職するかですね。

Pocket

「バレンタインショックの生き残りになるか逓増定期の名義変更。」への1件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です