生命保険で同居の嫁の相続悲劇は救えるか。

生命保険で同居の嫁の相続悲劇を救済する方法。

CIMG3049家制度ははるか昔になくなりましたが、家の嫁という考え方はまだまだあります。

核家族化が進んだとは言え、息子が結婚すればその嫁は自分の娘と同じことです。

誰しも確実にもれなく老います。果ては体が弱り人のお世話になります。

息子の嫁に世話にならなければならないことも起こります。

お世話になった嫁には感謝の気持ちとして、いくばくかの財産を残してやりたいと思うのも当然です。

ところが相続は嫁に限りなく冷たくできています。

実の親子ではないので相続人ではなく、遺産を受け継ぐ何の権利も保証されていません。

まだ相続人である夫が存命なら表立ってはないにしても意見を言えるでしょうが、田舎では相続に口を挟まない嫁がよい嫁とされたものです。

親と同居するのは長男の嫁が多いと思います。同居の嫁は遺産分割に関しては、家のことも親のことも責任を放棄している他の兄弟に比べると著しく不公平なのです。

この状態を同居の嫁の相続悲劇として、少しでも解消できる方法について生命保険を柱に列挙しました。人生経験と生命保険の知識がお役に立てば幸甚です。

1)同居の嫁に相続権なし。

同居の嫁は息子の配偶者です。被相続人たる親から見れば、いくら世話になっても血がつながっていません。赤の他人ではないですが、法的には姻族という事になります。

よって相続権が元からありません。相続権がないから当然ながら相続人一人当たりの相続税の基礎控除(600万)も生命保険死亡保険金の非課税枠500万もありません。

意図的に手を打たなければ、同居の嫁に相続に関しては権利も特権も一切ありません。

2)同居の嫁を生命保険の受取人に指定。

生命保険金は受取人固有の財産として判例が確定しています。同居の嫁を生命保険の受取人に指定すれば誰はばかることなく報いることが可能になります。ただし注意すべきことがいくつかあります。

・生命保険金は受取人固有の財産ですが、相続税の納税義務が発生します。

・納税義務が発生しても相続人ではないので相続税の基礎控除(600万)も死亡保険金控除(500万)も使えません。

・嫁が受け取る生命保険金が相続財産に合算され計算されるので、他の相続人にとっては増税になります。

・もし生前贈与を受けていれば、相続として納税義務が発生した時点で贈与3年以内のもち戻しが発生します。

生命保険では各社微妙な違いがありますが、受取人は原則として、配偶者および2親等以内の血族(祖父母、父母、兄弟姉妹、子、孫など)とされています。

生命保険にはモラルリスクということがあります。嫁は血族ではなく姻族ですから原則外になります。

よって息子の嫁を死亡保険金の受取人に指定する場合は、個別に理由等を確認することになり、ケースによっては調査が入る場合があります。でも受取人に指定できないということはありません。

3)同居の嫁には遺言書で遺贈。

簡単なようでなかなかできない遺言書ですが、書き方さえ間違わなければもっとも簡単に同居の嫁に財産を遺贈することができます。

遺言書で指定すれば、相続人でなくても財産を渡すことができます。この場合、他の相続人にも配慮しないと後後揉めることにもなります。

世話になった嫁が孤立して困ることがないよう、他の相続人の遺留分を侵害するようなことがなく、また遺贈の意思を言い含めておくことも必要です。

4)同居の嫁を養子縁組して相続人に。

他の相続人がとやかく言わないなら、確実な方法としては嫁を養子にしてしまうことです。そうすれば晴れて相続人となり権利も特権も発生します。

相続税の基礎控除(600万)も死亡保険の非課税枠500万も使えます。

明快かつ確実な手法ですが、心情的にひっかかる方もあろうと思います。

養子縁組の手続きには証人が2名必要ですが、書類さえ整えば簡単です。

5)まとめ

そうは言っても実際はなかなか遺言書も書かない方が多いですし、嫁を養子縁組するのは他の兄弟姉妹の手前、はばかられることがあるのもわかります。

相続権のない嫁にいくばくかの財産分与を考えるなら生命保険で受取人指定をすることが最も簡易でベストではないかと思います。

ただ言えることは本当に同居の嫁に感謝の気持ちがあるなら、頭がしっかりしているうちに上記のいずれかの手を打つことをおすすめします。

老いというのは体力だけでなく気力も失われていきます。何かを形にするにはエネルギーが必要です。

いつかやろうと思って先延ばしにしているうちに思いがけずハードルが高くなってくるものです。

思い立ったが吉日とはよく言ったものです。

遺産分割4つの方法。

遺産分割4つ方法、共有が最悪な理由について。

CIMG3051遺産はいろいろな形で相続されます。

現金・不動産・生命保険・株式等に分かれ
ますが、分けやすいものとばかりは限りません。

遺言書あればそれに従って相続することになりますが、まだまだ多くのケースで遺言書がきちんと保存されているケースは少ないように思います。

相続争いを避けるためには相続税がかからなくても遺言書は必要です。でも被相続人が遺言書を書かずに相続が発生してしまえば後の祭りです。

遺産分割協議で相続人が合意できればよいですが、遺産を分けるということは欲得の絡み合いですから、それぞれの主張が食い違うのが普通です。いわゆる争族になります。

結局、お互いが譲らない場合は法定相続に従い分割するよりありません。

ところが遺産というものは現金ばかりではないので、分けるといっても簡単ではないのです。遺産分割の方法としては大きく4つの方法があります。

◆ 遺産分割4つの方法

1)現物分割

これは遺産を現物のまま分ける方法です。現金なら簡単ですが、それ以外のものを平等に分けることは難しいと思われます。

手続きは簡単になりますが、相続人間の納得を得られにくいことが多くなります。

遺言者で現物分割をきちんと指定していれば、それほど揉めることもなかったはずです。

2)換価分割

これは現物分割では公平に分けることが出来ないので遺産を売却して現金化して分割する方法です。

あっさり現金化できれば一番公平に分割可能ですが、今住んでいる家だと売るわけにいかない場合もあります。

また不動産は相続で売却するとなると買い手に足元を見られ、買いたたかれるのが相場です。

3)代償分割

遺産を公平に分けようとしても分けられない場合、かつ現在居住しているような場合は代償分割という方法が相続人間の納得には有効です。

例えば不動産をもらう代わりに遺産分割の取り分で超過した部分を他の相続人に対して現金で支払うことで合意を得ようとする手法です。

問題はそれだけの支払い能力があるかどうかになります。そのための生命保険活用は以下に詳しく書きました。参考にしてください。

◆代償分割と生命保険で相続のもめごとはクリアできる。

4)共有

とりあえずの問題先送りが共有です。今納得できないからと言って先送りすれば問題はさらに複雑化することが往々にしてあります。

将来処分するときに揉めることは予測できますし、次の相続でも発生すれば、さらに権利関係の整理が混とんとします。

共有は単なる時間稼ぎに終わる可能性が高いと考えるべきでしょう。

まとめ

遺産分割には確かに4つの方法がありますが、言ってみれば当たり前の手法です。その中で相続に関してお役に立つ部分は二つあります。

一つは遺産分割で代償分割が予想される場合は、生命保険活用が間違いなく有効です。被相続人が被保険者である生命保険の死亡保険金を代償分割の資金に充当します。(くれぐれも受取人指定を間違わないようにご注意下さい。)

もう一つは遺産分割においては不動産などを分割できないからと言って共有にすることは最悪の結果を招くことがあるので、先送りの妥協は極力避けられることをお勧めします。

相続税┃税務調査で狙われる理由。

相続税の税務調査で狙われる理由があります。

CIMG3059課税当局の調査する側の人脈やOB税理士にネットワークがあるといろいろな情報が入手できます。

署の幹部の方々は納税に協力的な優良申告法人などの企業には格別に親切ですし、納税協会の行事等で一杯はいると内輪の情報もアドバイスいただけます。

優良申告法人と言えども本音は多額の納税を望んでいるわけではなく、できるだけ少ない納税で税務調査に配慮、はやりの言葉で「忖度」を期待しているにすぎません。

狐とタヌキの化かし合いのような面もありますが、双方にメリットがありますから、それはそれで機能する仕組みなのです。

すぐに転勤になるとは言え、署の幹部方とは親しくさせていただいて損はありません。

それだけ見返りの配慮も情報も質が良いと思います。ただ税務署も組織が分かれていますからお得意分野があります。そこは心得ておく必要があります。相続税なら資産税部門が担当します。

今回の相続税の基礎控除の縮小[基礎控除が5,000万⇒3,000万、相続人一人当たり控除が1,000万⇒600万 相続人が3名いるなら4,800万控除]で、相続税が庶民にも身近になった感がありますが、資産家にとれば誠に過酷な税制です。

しかし相続税には課税当局にも大義名分があります。

◆ [課税庁側の大義]相続税の真の狙いは・・・

・一生分の所得税の課税漏れの精算、最後の砦

サラリーマンをしていると所得税は源泉徴収という名目で自動的に有無を言わさず天引きされてしまいますので、徴収漏れということがありません。しかし法人でも個人でも見解の相違も含めると所得税の課税漏れはそれなりにあるはずです。

企業会計原則の一般原則でも「保守主義の原則」という考え方があります。企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならないという幅のある解釈もあります。

それやこれやをひっくるめて、所得課税できていないものを相続税で清算していただきますと言う、血も涙もない課税の最後の砦が相続税というわけです。

・富の集中抑制機能、財産保有状況の均衡化

課税当局には基本的に公務員が務めています。普通に暮らしていれば資産がそれほど蓄積されることはないでしょう。

一般国民たる庶民にとって課税当局の職員は、鼠小僧次郎吉のようなもので富裕層や資産家から財産を没収して公平をもたらしてくれる正義の味方と言えるかもしれません。

ここに税務署の相続税を徴収する大義名分があります。

自由主義経済ではどうしても富が一極集中しがちです。それを何代も課税ぜずに引き継げば社会的不公平と貧富の差は拡大します。

相続税が重税であるがゆえに、財産保有状況の均衡化が図れるというわけです。

◆ 無知な人ほど狙われる相続税調査

・相続税の知識不足による安易な解釈

相続税で一番危ない、狙われるパターンは、相続直前に多額の現金を引き出す事だそうです。

田舎のJAや郵便局なら顔見知りですから、親が行かなくても現金を下せる場合があります。葬式代のつもりで多めに現金を下すことはよくあります。

でもうまく立ち回ったつもりが裏目に出るのが相続直前というタイミングの悪さです。

課税当局は資産の動きはすべてお見通しです。

無知な人に罪はないのですが、知らなかったでは済まないのが相続税です。

専門家に相談するなり、自分で勉強するなりして相続税に対する無知を克服しておくことが重要です。

言っておきますが、勝手解釈はケガの元です。税理士などの専門家と縁がない素人でも相続税がかかりそうなら税務署に相談に行くなり、税理士さんにお願いするなりの対策が必要です。

◆ 富裕層を狙う税務署は・・・

・富裕層の資産状況は長年の蓄積データで分析

狙われる富裕層は早い時期からあの手この手で専門家による相続税の節税対策を行っているものです。

しかし資産家たる中小企業のオーナーの実際の相続税対策をみると、ずいぶんグレーゾーンが多いですし、自分の都合のよいように解釈して節税したつもりが多いように思います。

例えば時効になりもしないのに6年で贈与時効を待っていたり、贈与になるにもかかわらず生命保険の名義を変えて知らんふりもよくあります。

概して資産家というものは猜疑心が強く人を信用するということがあまりないように思います。家族にも相談相手にも手の内はすべて明かしません。ところが本人よりもまた担当税理士よりも詳しく資金の流れを把握しているのが税務署です。

税務署には資産家たる被相続人に関する長年のデータが蓄積されています。

当然毎年の確定申告情報はもちろん不動産の所有状況や金融機関の取引情報も家族を含めて手の内にあります。

年間所得から想定すれば相続税が正しく申告されているかどうか見当がつきます。あるはずの資産内容が相続税の申告に反映されていないと相続税調査の対象になるわけです。

◆ 相続税対策の基本をアドバイス

・余裕を持った生前贈与がベスト

相続税対策の基本は何と言っても生前贈与をうまく活用し、相続する財産を減らしておくことです。生前贈与で効果を上げるにはある程度の年数が必要です。

なるべく早い時期から始めることです。他のページに山ほど生前贈与の手法には書いていますので、ここでは詳細には触れません。

下記を参考になさって下さい。

◆生前贈与を非課税に|何から始めてよいかわからない方へ。

・生命保険による対策が基本

少々の相続税なら生命保険で対策が可能です。被保険者の年齢や健康状態という問題はありますが、生命保険の活用は最も安全確実で効果的です。

予定利率が最低の時代ですから、外貨建ての一時払終身保険が狙い目です。最低でも相続税が控除される生命保険死亡保険金控除だけは確保するようにして下さい。

下記を参考にして下さい。

◆相続対策は生命保険が圧倒的に有利な9つの理由。

・不動産投資による節税はハイリスク

何とか建託とか建設関係の話に乗って不動産投資をするのはお勧めできません。

相続税対策として不動産投資で効果を上げるのは難しいと思ってください。何と言っても素人にはハイリスクです。

余程換金性の高い駅前物件でもない限り借金だけが残ります。資金を貸した銀行は、融資先が行き詰まれば担保を押さえるだけです。

この手の失敗が近郊や郊外で多くなっています。行き詰ってから相談に来られても、もはや打つ手がないのです。景気はいつまでも良いとは限りません。

◆ まとめ

CIMG3060安全な生命保険とそれを組み合わせた生前贈与で対策を行い、それを越えた分は割り切って相続税を払うことです。

その方が将来にわたりよほど安全確実、かつ安心です。

相続税の税制は、代替わりの度に何もしなければ財産が半分になる感じですから、江戸時代の年貢の五公五民のような厳しさがあります。

中小企業のように、キャッシュがなく自社株だけのような場合は、全く理不尽極まりない感じさえします。(事業承継税制として納税猶予制度ができましたが、適用要件が厳しいと感じています。)

ゆえに工夫を凝らし、グレーゾーンギリギリでも事業承継対策をして生き残りを図ります。

庶民としても相続税がかかりそうなときは、自分で調べるのも結構ですが、できるだけ早く相続税を得意とする専門家に相談することです。

依頼することによる多少の出費は覚悟して、後後困ることがないような万全の対策をできるだけ早く行うことが身を守ることになります。

名義変更後の減額による課税回避策。

名義変更後の減額による課税回避策に対する私見。

CIMG3024生命保険契約はいろんなテクニックが使えます。

やりすぎはいけませんが、合法的な範囲で工夫をすることも節税になることがあります。

特に思いがけない相続税がかかるような場合、基本的には生前贈与で手持ちの資産を減らしていく手法が王道です。

ご承知のように贈与には110万円の基礎控除があり、もらったお金が年間で基礎控除以内なら贈与税はかかりませんし、贈与時の申告も不要です。

名義変更した生命保険契約を贈与税の基礎控除の範囲で減額して解約返戻金を受け取るようにすれば、手間暇はかかりますが、贈与税無しで解約返戻金を渡すことができます。

生命保険の減額は契約者の自由ですから解約返戻金が110万を越えないように年に一回減額解約を繰り返します。

仮に解約返戻金が100万を越えると税務署には保険会社から支払調書が行きますが、基礎控除の範囲であれば問題になることはありません。

その解約返戻金で契約者を子(受贈者)に被保険者を親(贈与者)で新たな生命保険契約をすれば確かに生命保険を子に移転したことにはなります。

このスキームは一定の条件を伴います。

理解できない方もあろうかと思いますので、基礎的な要件を整理します。

注意1)

生命保険契約は名義変更(契約者変更)をすれば贈与になりますが、生命保険が現金に変わる時(解約返戻金)に贈与が発生したとみなされます。名義変更しただけでは贈与にはなりません。従って贈与税の時効も開始しません。

注意2)

元々被相続人たる親が契約者であり、同時に被保険者の生命保険契約が名義変更の対象ですから、予定利率のよい時代の保険を解約することにならないような注意が必要です。

注意3)

名義変更後、再度親を被保険者として契約しようとしても体調などの理由で契約できないこともあり得ますし、年齢的には元の契約よりも被齢が上がりますから保険料の割には保障額が少なくなります。予定利率も変わっているでしょうからよくなることは少ないと考えられます。

注意4)

他に贈与できる現金があるなら、110万円以内で贈与を繰り返し、そのお金で子を契約者とし親を被保険者とする新たな生命保険契約をするほうが、無駄がなく、理にかなっています。

◆ 話の出どころと結論

代理店営業がコピーを持ってきた新日本保険新聞なる記事の中の「保険税務・そこが知りたい」のQ&Aからhokenfpとして違和感じたところを書き残すことにしたものです。

生命保険の名義変更後の連年減額のスキームは生保のおばちゃんがよく持ち出す話です。そうすれば税務署に支払調書が行かないので贈与がバレル心配ないという話法です。

しかし、名義変更して減額するくらいなら暦年贈与で現金を渡せばよいと言えるように思います。

すでに相続税対策で毎年暦年贈与を行っているなら使えないスキームになります。

よって「名義変更後の課税回避策」と大きなタイトルになっていますが、さほどのメリットが感じられないところです。

誤解があるようなら、しかるべきご意見を頂戴できれば幸甚です。