生命保険、支払調書の抜け穴をOB税理士に確認。

生命保険、支払調書の抜け穴をOB税理士に確認。

生命保険の契約者は保険会社に申し出れば、簡単に名義変更ができます。契約者とは保険料負担者です。生命保険契約を名義変更すれば、元の契約者がそれまでに支払った保険料は、新しい契約者が贈与を受けたことになります。

混乱を避けるため使う言葉を定義しておきます。下記のイコールでつなぐ言葉は、ほぼ同じ意味で使用します。

契約者=保険料負担者

名義変更=契約者変更

年間110万円以上贈与すれば、贈与税がかかります。例えば親が契約者で、子を被保険者にして一時払いで1,000万の終身保険を契約します。半年後に契約者を子変更すれば、まぎれもなく子への贈与になります。

この場合、もちろん契約者の親も被保険者の子もお元気で相続は発生していない場合です。

ここで名義変更とは、生命保険の契約者変更のことを意味します。また今回のテーマである保険会社から税務署への通知は「支払調書(異動調書)」と言います。

生命保険の名義変更をした場合、保険会社から税務署に通知はいかないのでしょうか。それまでの抜け穴だらけの支払調書は平成30年に改正されました。名義変更によるみなし相続財産の見落としを防ぐ目的で細かく規定され、保険会社はその通達に従う義務があります。

しかしそれでも実務的に事例を見ていくと抜け穴があります。いかにも怪しい話ですが、保険営業をされていれば、よく出くわすケースです。

資産税担当で相続税の税務調査をしていたOB税理士に確認して裏を取った話です。お役に立つかどうかではなく、こういうこともあるということで気楽にお読みください。

■国税OB税理士の自己矛盾を暴くと驚く話が山盛り。

◆ 支払調書の改正による生命保険の名義変更。

支払調書の取り扱いに関しては、以下の記事に詳細に分析しています。どういう条件でどのような内容の支払調書が、税務署に行くのか詳しく書いています。

それにより生命保険の名義変更は、すべて贈与として税務署に捕捉され課税対象となるのでしょうか。

■生命保険の支払調書が危ない理由。

課税当局の考え方ですが、生命保険は名義変更しただけでは贈与とはなりません。

よって贈与税の時効は、名義変更しただけでは始まりません。保険金を受け取ったり、解約返戻金を受け取ったりしたときに、名義変更していれば贈与となります。

保険がお金に変わるとき、贈与が開始します。100万ずつ減額解約すれば、支払調書が税務署に行かないという話法は通用しません。最後に解約したときにそれまでの保険料負担者、解約返戻金などの総額が、支払通知書により税務署に知られることになります。

■保険の支払調書で隠れ贈与がバレバレに!

今回の支払調書(異動調書)の記載事項の変更は、相続時の契約者変更を捕捉し、みなし相続財産として生命保険の権利に対する課税モレをなくすことが目的です。

例えば契約者が親、被保険者が子という場合です。親が保険料を払って子に保険をかけるというパターンですが、親の死亡により相続が開始しますが、子は生きていますから生命保険金は払われません。

しかし親が保険料を負担した生命保険契約です。子が契約を引き継ぐにしても、その権利は相続財産として課税されなくてはなりません。こういう場合に支払調書が発行され、保険料の負担者と名義変更の回数が税務署に通知されます。

・異動調書は契約者死亡が条件。

ところがこの異動調書の通知義務は、契約者死亡による名義変更となっています。契約者死亡が条件になっているのです。

何が抜けているかと言えば、相続が発生する前に名義変更を行えば支払調書は発行されないことになります。ホントにそう書いてあります。

課税当局は生命保険の名義変更に網をかけたつもりでも、結構大きな穴があります。通常、保険会社との契約では、契約者変更(名義変更)は簡単にできます。

でも名義変更だけでは、支払調書が税務署に行かないはご承知の通りです。

とすれば、名義変更後にしばらくして、元契約者である親が死んだとしても保険会社は知る由もありません。

現在の契約者と被保険者が存命であれば、保険会社にとって支払調書を発行する理由がありません。もちろん税務署も支払調書が来なければ名義変更の事実を知ることはできません。

今後支払調書が発行されるとすれば、何十年も先です。被保険者である子が死亡して、生命保険金が支払われたときです。

そのとき支払調書には確かに過去の保険料負担者と契約者変更の回数は記載されています。数十年前の相続時にみなし相続財産としての生命保険契約が、課税対象として見落とされていたことが判明します。

でもその時に相続税を払うべき子は、被保険者としてあの世です。それより、一度相続で見落とされたみなし相続財産は、時効が開始します。その場合、相続税は5年(意図的な場合は6年)で時効となります。

◆ 資産税担当OB税理士が支払調書の抜け穴を確認。

こういう抜け穴解釈は一般的に都合のよい解釈となります。課税当局には通用しないとしたものですが、念のため資産税を担当していたOB税理士に確認してみました。

資産税担当の調査官といえば、相続税調査に来る泣く子も黙る国税調査官です。当然、税務署での対応や考え方はよくわかっているわけです。

OB税理士によると、その抜け穴は気がついていなかったとのことです。支払調書が相続発生時の名義変更のときだけ発行されるとは考えていなかったようです。

しかし、確認していただくと生前の名義変更は支払調書の対象外です。

あくまでも生命保険契約がお金に変わるときか、あるいは契約者死亡による名義変更時にだけ支払調書が発行されるというルールは確認できました。

OB税理士によれば、保険会社が通知しなければ、生前に行われた名義変更は知ることができないそうです。

ただし、相続税の申告内容に疑念を持てば、全保険会社に照会をかけることもあるそうです。ゆえに安全とばかりは言えないということもあります。また相続税の税務調査が行われれば、隠し通すことは不可能です。

◆ 相続税がかからない方の名義変更には関心なし。

ただ、OB税理士に念押しで聞いたことですが、相続税がかからないレベルのサラリーマン庶民が、保険契約の名義変更をしようが、それが贈与税の対象になっても特に関心はもたないそうです。

相続という網で受けたときに、かからない贈与にまで手間はかけていられないそうです。

しかしながら、養老保険などで満期保険金の受取人を契約者以外にしていると支払調書が発行されますから、贈与税の対象となます。

支払調書から贈与とみなされると税務署としては放置しておけないのです。贈与ではありませんかと「お尋ね」がありそうです。

◆ 税務署の調査能力は甘くないのでやりすぎ注意。

支払調書の発行ルールの変更は、完全に網をかけられるわけではなさそうです。しかしそうかと言って、やりすぎはいけません。

例えば相続発生前に、巨額の一時払終身保険を何本もかけて名義変更するような、乱暴なやり方は捕捉されやすくなります。

税務署の調査権限と能力は甘くないのです。銀行に照会をかければ、家族全員の過去10年分の銀行口座の動きを税務署は知ることができます。

OB税理士によれば、お金の動きが追えれば、たいていのことはわかるそうです。疑念をもたれないよう、やりすぎにはご注意いただきたいと思います。

◆ 支払調書の抜け穴、まとめ。

生命保険の名義変更に関して、気になっていたところをOB税理士に確認した結果をまとめました。支払調書の記載事項の変更は、生前の名義変更を通知する義務までは定めていません。

確かに出口課税ということがあります。生命保険契約が保険金や解約返戻金に変わるときに支払調書が発行されれば、それまでの保険料負担者は明白になります。

税務署の立場では、名義変更しただけでは贈与とはならず、名前だけを借りた元の契約者の名義保険と考えるようです。贈与でもないのに、支払調書はいらないという理屈だと思います。

相続税がかからない程度のご家庭で、遺言書も書かれないようなケースでは、生命保険の受取人指定で財産分与を決めることがシンプルでもめないコツです。

生前の財産分けとして契約者は親、子を被保険者とした一時払終身保険を契約し契約者を子に名義変更します。これを子それぞれに契約しておくとすっきりします。

一時払終身保険や年金保険は、販売停止の保険会社が多くなりました。最近では取り扱っている保険会社もわずかながらあります。また予定利率が変わって一時払終身保険の見直しをすすめている保険会社もあります。

・解約すれば支払調書

老婆心ながらご注意申し上げると、子が新しい契約者として保険契約を解約すれば、キャッシュに変わり支払調書が発行されます。

この場合、支払調書では保険料負担者と解約返戻金を受け取った人が違うことを明らかにします。さすがにこれは贈与ですから税務署は放置できません。

よって解約するにしても、せめて相続が終わって6年後以降にしていただきたいところです。

生命保険の支払調書で隠れ贈与がバレバレに!

生命保険の支払調書で隠れ贈与がバレバレに!

過去の記事で、生命保険の支払調書の改正についてくわしく書きました。今読み返してみるとわかりやすく書いたつもりが、すっきり頭に入ってこないのです。

これでは読まれる方も大変だと思いますので、もう一度頭をやわらかくしてやさしく、わかりやすい説明を心がけました。生命保険の支払調書にまつわる贈与税の不安を、少しでも軽くできればうれしく思います。

■生命保険の支払調書が危ない理由。

今回の生命保険の支払調書の改正は、庶民のみなさんには影響が大きいはずだと思うのですが、あまり理解されていないように見受けます。

生命保険の営業をされる方でも、ちゃんと問題点を説明できないのです。これではいけないと反省し、あらためてシンプルでわかりやすくポイントをしぼりこみました。

生命保険の契約者変更(名義変更)は、お金が動いていませんが贈与になります。

贈与は年間110万円の基礎控除を越えると、贈与税を申告して納税する義務があります。所得税か消費税ぐらいしか縁のない庶民には、ピンとこない税金です。

しかしそれでも納めないと、言い方はよくないですが脱税ということになってしまいます。気がつかないうちに贈与になっているということもよくありますから、注意が必要です。

・相続税がかからなければ、贈与税はクリア。

生命保険の名義変更をされた方は贈与税がかかるのではないかとご心配されることもあるかと思います。しかし相続税の基礎控除が下がり裾野が広がっても、庶民では9割以上の相続で相続税はかかりません。

相続税がかからないのであれば、贈与にならないよう注意し、相続で受ければ贈与税はかからないことになります。

相続税がかかるくらいであれば、適正に申告されることが大事です。しかし、多くの契約者変更では、贈与税がかかることを考える必要はあまりないということです。なぜそうなるかを、わかりやすく、踏み込んでご案内します。

◆ 生命保険は契約者の財産。

生命保険は契約者がお金を払いますから、契約者のものです。体を提供する被保険者のものでも、保険金受取人のものでもないのです。

契約者が毎月、毎年保険料というお金を保険会社に払うことで成り立ちます。保険料を払っていない人が名義変更で新たに契約者になれば、生命保険契約を手に入れたことになります。

生命保険という財産の所有者が変わりますから、これはまぎれもない贈与ということになります。

実際はお金が動くわけでなし、手元に保険証券さえいらない時代です。新たな契約者にしても、お金をもらったという実感がなくて当然です。この辺のたよりない感覚のなさが、贈与として大金をもらったという気にならない原因なのでしょう。

◆ 契約者を親から子に変更すれば贈与。

いちばんわかりやすい例でいうと、親が子に保険をかけて保険料を払うことはよくあります。ある程度の年になれば、契約者を親から子に変えて子が保険料を払うようになります。

社会人になって、いつまでも親が保険料を払っていれば、やはり贈与といわれても仕方がないところです。極端な例でいうと親が子を被保険者として、一時払の終身保険を1,000万かければ、契約者は親です。

後に子に契約者を変更すれば、そのお金のもち主は子に変わります。

解約するなど生命保険に関する権利は、すべて契約者について回ります。新たな契約者である子は、解約してそのお金を自由に使うことができます。それゆえ、契約者を変更すれば贈与になります。

◆ 贈与には贈与税。

たとえ親からでも1,000万をもらうと、もらった子は贈与税を払わなくてはいけないきまりです。贈与税の基礎控除は110万円までです。それ以上は納得できるかできないか、そんなことは関係なく税務署は贈与税の支払を求めてきます。

贈与税は知っていても自分が払うとなると、さすがに納得できないものなのです。貧乏人にとればまことに理解不能、理不尽な税金です。

サラリーマンのように所得税は給料から天引きされ、納税意識が薄いほど贈与税の申告はハードルが高くなります。

庶民でも資産家でも、贈与には贈与税がかかります。贈与税が納得できるかどうかは問わないのです。法にしたがい納税しなければ責任を問われるという仕組みになっています。

◆ 税務署は生命保険会社からの支払調書で贈与を見つけます。(契約者変更=名義変更)

これまで税務署は、支払調書で生命保険の名義変更を知ることはできませんでした。

しかし、平成30年の支払調書の改正から、税務署は居ながらにして生命保険の契約者変更による贈与の実態を知ることができます。

いつ名義変更を行おうとも、何回名義変更を行おうとも逃れすすべはありません。すべて生命保険の贈与に関係する契約者変更は、税務署が把握するところとなります。

生命保険会社は、確実に生命保険の名義変更の事実を支払調書により税務署に通知します。

一方税務署にすれば、支払調書の内容によっては、いくら忙しくても贈与とわかれば放置することはできないことになります。ここに今回の支払調書改正ねらいの一つがあります。

◆ 贈与に対する税務署の考え方は保険がお金にかわったとき。

かりに契約者変更をしても、生命保険が解約返戻金などのお金に変わらない限り支払調書はいかないことになっています。

税務署の考え方は契約者変更のときが贈与ではなく、生命保険契約がお金に変わるとき贈与と考えます。

契約者変更をして税務署から何のおとがめもなくても、それでは安心できないのです。

契約者変更をしても、名義を借りて保険契約をしているだけで名義預金と同じと考えられます。実質的なお金の所有者は元の契約者と判断されます。

よって契約者変更により贈与をしたつもりでも、贈与税の時効(原則6年、意図的7年)が開始しないというやっかいな問題が残ります。

生命保険契約がお金に変わるとき、いわるゆる出口課税ということがあります。名義変更したからと言って、贈与税の申告をされても税務署は困るわけです。

納税するというなら納税を拒むことはないと思います。しかし納税する必要がないのに贈与税の申告をすることはないわけです。

結局、生命保険契約がお金に変わるとき、生命保険金や解約返戻金に変わるとき、納税申告の必要があるか判断することになりそうです。

◆ 平成30年から支払調書がくわしくなりました。

平成30年1月1日から支払調書の記載事項が改正になり、より詳しく報告されることになりました。結論的にいえば2点に集約されます。

・契約者死亡時に異動調書。

まず一つ目は相続が発生すると、生命保険がお金にかわっていなくても支払調書が発行されます。この場合は異動調書となります。

つまり契約者は被相続人ですが、被相続人が被保険者でない契約では生命保険が、死亡保険金に変わっていません。みなし相続財産として解約返戻金相当額で評価され、契約者変更の経緯はすべて支払調書により税務署に知れることになります。

・現契約者の負担保険料と契約者変更回数。

今ひとつの改正は生命保険がお金にかわったとき、支払調書は契約者変更の回数と現契約者(最終契約者)が負担した保険料を支払調書で報告します。

何年前に契約者を変更しても贈与税の時効は開始しません。契約者変更による保険料負担者が税務署に報告されれば、明確な贈与です。税務署としても税の公平という立場から放置することはできなくなります。

税務署は支払調書が届いた時点で、贈与税か相続税かを判断し申告がされていなければ、お尋ねすることになります。

◆ 生命保険の契約者変更(名義変更)は完全にバレます。

これまで見てきたように、今回の支払調書の記載事項の追加はスキがありません。

これまでの保険業界の名義変更のような安易な契約者変更は、すべて網がかかる可能性があります。

そうすれば、多くのこれまでの保険契約の名義変更の実態が白日の元さらされることになるのでしょうか。

細かい話ですが、平成30年1月1日以前の生命保険契約における異動の記録はこの対象ではないということですから、訴求はされないことになっています。

◆ 生命保険の隠れ贈与、まとめ。

今回の支払調書の報告内容の改正は、抜かりがありません。課税当局の積年の念願が実現したような形です。生命保険契約の契約者変更(名義変更)に関しても贈与税の対象としてきちんと目を光らせていますよということです。

しかし実態から考えると、相続税の基礎控除がさがり裾野が広がっても、庶民では9割以上の相続で相続税はかかりません。そもそも契約者変更で贈与税がかかることを考える必要はあまりないということです。

相続税を節税するなら、暦年贈与と生命保険の組み合わせがベストです。

契約者=子、被保険者=子で保険料を親が子に毎年贈与します。もちろん贈与税の基礎控除110万円以下で行うと手間がかかりません。

生命保険の契約者変更を無事に乗り切っても、お金にかわるとき贈与の事実はバレバレになります。相続税がかかるかどうかは微妙なケースもあります。そういう方は、そのときあわてるより、早めの時期から暦年贈与をご検討ください。

生命保険、支払調書の抜け穴をOB税理士に確認。

どうなる!?支払調書|保険の契約者変更。

支払調書への対応を生命保険各社に確認しました。

生命保険の支払調書の発行基準と記載事項の変更情報は下記のページに詳細に説明しました。本ページは、その続編のような内容になっています。

◆生命保険の支払調書が危ない理由。

CIMG2984上記ページでは、かなり詳しく書いたつもりですが、読まれた方は消化不良になられているようで、申し訳ないので、では実際はどうなるのかを生命保険会社数社と特に詳しい代理店営業に調べてもらいました。

そのポイントを下記にまとめました。

 

実際は、代理店や金融機関、生命保険会社など十数社と取引がありますが、支払い調書の変更を

「【ご参考】保険契約の異動(契約者変更)に関する支払調書の新設等のご案内」

として昨年の10月に送ってきたのは外資系の一社だけです。

そのほかのルートはお知らせどころか、よく知らない営業がほとんどです。

平成30年1月1日から支払い調書の発行ルールが変更になる事は知っていても、それが実際の運用はどうなるのか、既契約者に影響があるのかどうか、要するにさかのぼって契約者変更が明らかになるのかどうかは今のところ誰も答えられないのです。

hokenfpとしては法人でも個人でも名義変更は普通にやっています。調べる動機としてはいかにも不純ですが、当局には知られたくない事情もいくばくかはあります。

保険金を受け取ったり解約したりすると解約返戻金が支払われます。知られたくないことも往々にしてあるものです。

情報を総合すると以下のようになります。

1)契約者死亡時の契約者変更にかかる異動調書の発行。

契約者死亡による契約者変更(名義変更)手続きを行った場合に新たに「異動に関する調書」が発行されることになります。

確かに支払いは発生しませんから各社ともに、支払調書とは言わずに異動調書という表現になりそうです。相続発生時に生命保険契約を契約者変更(名義変更)で引き継ぐ場合、相続税の課税漏れにならないよう税務署に異動調書でお知らせする仕組みです。

【契約者死亡の際の異動調書に記載される項目】です。
死亡した契約者の氏名・住所・死亡日(平成30年1月1日以降手続き分)
新契約者の氏名・住所
解約返戻金相当額
既払込保険料総額
死亡した契約者の既払込保険料

よって相続発生時以外の契約者変更(名義変更)は通知が行かないということです。

では、それ以外の契約者変更は当局に知られないのかということになりますが、そうは問屋が卸しません。その第二のポイントは次項です。

2)支払調書に最終契約者の既払込保険料等の記載を追加。

現在も100万円以上の支払いがある場合、発行されている支払調書については、契約者変更に関する項目が以下のように追加されます。

【支払調書に追加される予定の項目】です。
支払時の契約者の直前の契約者の氏名・住所
  ⇒平成30年1月1日以降手続き分として明確にしている生命保険会社があります。

契約者変更の回数
  ⇒平成30年1月1日以降の契約者変更の回数として明確にしている生命保険会社 があります。

支払時の契約者の既払込保険料
  ⇒平成30年1月1日をまたぐ契約者については記載不要として明確にしている生命保険会社があります。

どうも、概ねの記載事項の条件の方向性としては上記にならざるを得ないと考えています。

契約者のことを優先に考えるなら当然の帰結です。生命保険会社はシステム設計に手間がかかるでしょうが、わざわざ平成27年度税制改正大綱で

「(注)上記の改正は、平成30年1月1日以後の契約者変更について適用する。」
とまで政治的配慮がなされているのに無粋なことはしないはずです。

契約者死亡の際の異動調書及び生命保険金や解約返戻金、満期保険金などの支払時の支払調書のいずれも平成30年1月1日以降に契約者変更を行った場合のみ記載され、原則として平成30年1月1日(施行日)以前の契約者変更に関しては記載されないと解釈してよさそうです。

ただし、原則としてという意味合いには、税務署から個別に問い合わせがあった場合等は、全部報告するという従前のスタンスです。

生命保険、支払調書の抜け穴をOB税理士に確認。

3)まとめと補足

CIMG2980見えてきた情報によると、支払調書の変更に関しては平成30年1月1日(施行日)以前に変更した内容は原則として記載されないということでよさそうです。

ただし高額な契約、所得に見合わない保険金受領などは当局が生命保険会社に照会をかければすべて明らかになる事をご承知おきください。

姑息なアドバイスで申し訳ありませんが、施行日までの駆け込みの契約者変更(名義変更)は支払調書に記載されないことになります。あと3か月余り、生命保険関係の営業の方は保全業務が多忙になるかもしれません。

補足として申し上げるならすべての生命保険会社が同様の対応をするとは確認できていません。ベテランの代理店営業もそこを危惧していました。駆け込みを狙うなら裏を取ってからお願いします。

逓増定期の名義変更は時期があるので駆け込みというわけにはいきませんが、当局の把握能力が強化されることは間違いないので、潮時ということも考えておく必要がありそうです。

上記の情報は不完全なものです。契約者変更等を行う場合、自己責任でお願いします。hokenfpとしては一切の責任を負うことはできませんのであしからずご了承下さいませ。

医療費控除、保険金がばれるのは支払調書。

生命保険の支払調書の改正が危ない理由。

生命保険の契約者変更(名義変更)に関する支払調書の改正(平成30年施行)の影響が、意外に大きいのです。契約者を変更すれば、生命保険契約の贈与になります。

贈与ということになれば、基礎控除の110万円を越える部分は贈与税の対象になります。税務署は支払調書により課税対象を把握し、適正に申告されているかどうかを確認しています。

保険会社は、ルールに従い保険金や解約返戻金などを払うと、税務署に支払調書を提出する義務があります。どういったときに支払調書が発行され、その内容がどのように改正されたか、影響範囲を含めて検証しました。

・ 念のための用語説明。

契約者=お金を出すひと、契約の所有者(変更できる)
被保険者=体を出すひと(変更できない)
受取人=保険金をもらう人(契約者が指定・変更できる)
保険料=保険会社に払うお金
保険金=保険事故のとき保険会社から受取るお金
保険事故=死亡などの保険金支払い事由に該当する事故
解約返戻金=解約した時に残っていれば受け取れるお金
契約者変更=名義変更
支払調書=特定の支払いをした事業者が、その明細を税務署に提出する書類
(多数の支払調書がありますが、ここでは生命保険会社が、税務署に提出する支払調書について書いています。)

[引用1] ・平成27年度税制改正の大綱(H27.1.14閣議決定)P47
(4)調書について、次の措置を講ずる。
① 保険会社等は、生命保険契約等について死亡による契約者変更があった場合には、死亡による契約者変更情報及び解約返戻金相当額等を記載した調書を、税務署長に提出しなければならないこととする。
② 生命保険等の支払調書について、保険契約の契約者変更があった場合には、保険金等の支払時の契約者の払込保険料等を記載することする。
(注)上記の改正は、平成30年1月1日以後の契約者変更について適用する。

◆ 生命保険の支払調書の改正点。

支払調書は種類がいろいろありますが、生命保険の支払調書の記載事項について、の変更点を整理しました。

保険金や給付金、解約返戻金などが支払われると、保険会社は税務署に支払調書を提出します。

所得税の対象となる保険金などは、翌年1月31日まで、相続税や贈与税がの対象となる保険金などは、翌月の15日までに支払調書が提出されることになっています。

これまでの支払調書はシンプルです。

[平成30年以前の記載事項]支払調書では、以下の項目が税務署に報告されていました。

・受取人氏名、住所、個人番号
・契約者氏名、住所、個人番号
・被保険者氏名、住所
・保険金額等(又は満期金額、解約返戻金額)
・保険料総額(既払込保険料総額)
・保険事故発生日、保険金等の支払日

この支払調書には、契約者変更は記載する必要がありませんでした。税務署も保険会社から提出される支払調書だけでは、過去の贈与の事実はつかめませんでした。

また、保険金や解約返戻金等の支払が100万円超でなければ、支払調書は発行されません。(年金は雑所得となりますので、年間20万円超となっています。)

生命保険の支払調書の改正点を、できるだけわかりやすく整理しました。一つは提出ルールの変更です。もう一つは支払調書の記載事項の変更です。

[提出ルールの変更]

保険契約者等の異動に関する調書で下記項目を報告。

契約者死亡による契約者変更(名義変更)手続きを行った場合に、新たに「異動に関する調書」が発行されることになります。

・新保険契約者、氏名、住所
・死亡した保険契約者、氏名、住所
・被保険者氏名、住所
・解約返戻金相当額
・保険料総額(既払込保険料総額)
・死亡した保険契約者の払込保険料
・評価日

(異動調書の見本)

契約者死亡(相続時)による契約者変更(名義変更)に異動調書提出義務。

契約者が死亡しても被保険者が生存していれば、保険金は支払われません。保険契約をみなし相続財産として、相続人が引き継ぐことになります。

・保険金支払が発生していなくても、契約者死亡により相続が発生すると解約返戻金相当額で異動調書提出。

・相続で引き継がれる生命保険契約の把握が目的。

・事例でいうと、

契約者(保険料負担者)=親 被保険者=子

契約者死亡により契約者変更=子が新契約者

この場合被保険者は生存していますから、死亡保険金は支払われませんが、生命保険の契約者は変更になります。みなし相続財産として解約返戻金相当額が相続税の課税対象となります。

相続人が新たな契約者として保険料を払い続けるか、払済みにするかは人それぞれです。しかし生命保険会社では、契約者死亡による契約者変更は解約返戻金相当額を記載した異動調書を発行することが義務化されました。

[記載事項の追加・変更]

生命保険契約等の一時金の支払調書で下記項目を報告。

生命保険の支払調書には現行記載事項に以下が追加されます。

・直前の保険契約者等の住所・氏名を記載
・現契約者が払い込んだ保険料を記載
・契約者変更の回数を記載

(記載事項追加の見本)

【生命保険契約等の一時金の支払調書】の注意事項から抜粋しました。

(6)契約者以外の者が保険料等の払込みをしていることが明らかなものについては、「保険契約者等」の欄にその保険料等の払込人を記載すること。
(7)第86条第1項第8号に規定する契約者の変更があった場合には、次によること。
イ 「直前の契約者等」の欄に、当該変更前の契約者の氏名又は名称及び住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地を記載すること。
ロ 「既払込保険料」の項の内書に、現契約者((6)に該当する場合には、その保険料等の払込人)が払い込んだ保険料等の額を記入すること。
ハ 「契約者変更の回数」の欄に、当該生命保険契約等に係る契約者の変更の回数を記載すること。

既払込保険料総額から現契約者が払い込んだ保険料を引けば、死亡した契約者からの贈与になる保険料の額がわかります。

契約者変更の回数が多ければ、保険会社に照会をかけてもともとの保険料負担者を確認することができます。

ここまで詳細に支払調書で報告されれば、相続財産に生命保険契約の加算漏れはほぼなくなると思います。それが課税当局の狙いです。

・契約者死亡時でなければ契約者を変更しても支払調書は提出されません。

・保険契約がお金に変わる時(保険金、解約返戻金等)支払調書提出義務が発生。

・生命保険契約の契約者変更による贈与事実の把握が目的。

契約者を変更しただけでは贈与は発生しません。当然贈与税の時効も開始しません。

ここを勘違いすると痛い目にあいます。税務署は生命保険契約がお金に変わるときを贈与の開始とみなします。その結果、支払調書が提出されると、税務署は贈与の事実を把握することになり「お尋ね」を発行する場合が出てきます。

誰から誰に契約者変更が行われたかを追記することで、契約者変更により支払時契約者(最終契約者)に相続されたことが明確になります。

生命保険契約はみなし相続財産として相続されます。最終契約者が負担していない保険料に相当する解約返戻金は、相続税の対象と言うことになります。

一時払終身保険などの契約者変更(名義変更)を行えば最終契約者の保険料負担は0円ですから、そっくり相続税の対象となります。

支払調書がなければこれも把握できないことになりますが、支払調書の改正により明白になります。

◆ 保険業界の大量の契約者変更(名義変更)

保険営業や名義変更をした契約者にとっては、気になるというより内心戦々恐々といったところではないかと思います。保険営業の場面では契約者変更(名義変更)はそれほど珍しい保全手続きではありません。

親が子を被保険者にして親自身が契約者になり保険料を負担すれば、いずれ必然的に契約者を子に変更するときが来ます。

子が独立したり結婚すれば契約者を子に変更し、保険料負担者も子に移行します。

仮に契約者を変更せず親が保険料を負担し続けても、いつかは相続が発生し生命保険契約は子に引き継がれますから、やはりどこかで契約者変更は避けられないのです。

実はよく考えれば保険料は、生活費でも養育費でもありません。親から子へのまぎれもない贈与です。税法上贈与税の対象になるのは当然と言うべきです。

相続間際に生命保険契約の名義変更を行うケースもあります。子を被保険者にして一時払終身保険に何本か加入して、子に名義変更します。名義変更しただけでは支払調書はいきません。課税当局に把握されることなく相続財産を減額できることになります。

しかし相続税がかかる方にとり相続税の税務調査となれば、すべては明るみに出ますので、そうは問屋が卸しません。

・相続税がかからない庶民は9割。

実は相続税がかからない方は、相続件数の9割以上というデータがあります。ほとんどの庶民は相続税がかからないのです。

相続税がかからなければ、相続税の税務調査もありません。多くの場合、途中で解約して現金化しないかぎり、贈与税という問題にはならないと考えられます。

これまでは、契約者変更しても保険金の支払いが発生しなければ、支払調書は提出されませんでした。税務署は生命保険契約の贈与について生命保険会社に照会をかけないとわからなかったのです。

この手の隠れ贈与とでもいうべき生命保険契約は、保険営業のセールストーク「支払調書が行くわけでなし、税務署にわかることはありません。」に乗せられて大量にあると思われます。

どうしても解約して現金化するなら、一気にせずに支払調書が出ない解約返戻金100万以下の減額を心がけてください。相続が発生するまでは、保険が継続する程度の残額は残しておく必要があります。

◆ 支払調書の改正点、まとめ。

生命保険の支払調書の改正点を整理して、その影響範囲を検証しました。かなり踏み込んだ改正により、課税当局の課税漏れをなくそうという姿勢が見えてきます。

課税当局の姿勢は、所得税や贈与税の補完機能として相続税を考えています。相続が発生する前に課税漏れがあった場合、一生分の課税漏れを相続税ですべて清算させるという狙いがあります。まさに相続税は税務の最後の砦な訳です。

裏を返せば、相続税がかからない程度の庶民が、こっそり行う生命保険契約の名義変更は、それほど大きな問題ではないのかもしれません。

しかし相続した生命保険を解約してしまいますと支払調書が税務署に提出されます。

万が一課税当局に捕捉されれば、追徴課税が課せられます。追徴課税というのは状況にもよりますが、最悪の意場合、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税、の4つのパターンに延滞税がオンされる可能性があります。

また支払調書に過去の名義変更が記載されていないからと言って、安心できるわけではありません。税務署が過大な保険契約や不審に感じれば、保険会社に照会をかけます。こうなれば洗いざらい報告されることは避けられません。

・相続税がかからなければ、解約しないこと。

生命保険の契約者変更(名義変更)は、まぎれもない贈与です。しかし何度も申し上げていますが、生命保険契約の契約者を変更したからと言ってその対価を支払うことは家族内ではありえないことです。

対価を払えば売買ですから贈与ではないですが、そんなことは誰もしません。

士業のサイトでは、資産家をターゲットにしていますから、生命保険契約の名義変更は、贈与税と相続税に注意するよう赤字で書いています。相続税がかからない庶民は、そこまで気にする必要はないわけです。

相続税がかかるなら正直に申告し、相続税がかからないなら解約して現金化を急がないようにすれば、とくに生命保険を名義変更をしても大きな問題になることはないと言えそうです。

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