遺言書か法定相続か遺産分割協議か、相続の優先順位は?

遺言書か法定相続か遺産分割協議か、相続の優先順位は?

遺言書があれば、遺言書に従うのが普通と言えると思います。厳密な話では、相続人全員が合意すれば、傍目(はため)に不公平であろうと遺産分割協議で決着できます。長男が他の相続人を押し切って独り占めしようと、他の相続人の納得があれば、どのような分け方でも誰からも文句を言われる筋合いはありません。

そういう意味では、遺言書か法定相続かあるいは遺産分割協議かという優先順位は、相続人全員が合意できなければ、遺言書優先となります。遺言書がなければ相続人同士の協議になり遺産分割協議をまとめることになります。話がまとまらないような場合の落としどころは、法定相続に従い遺産分割協議書を仕上げて実印を押すことです。 続きを読む

遺言書の書き方はシンプルに、財産目録はエクセルで超簡単見本。

遺言書の書き方はシンプルに、財産目録はエクセルで超簡単見本。

自筆証書遺言書の法務局保管が始まりました。従来の遺言書のルール以外に、法務局保管用の独自ルールが出てきました。遺言書の本文は、自筆で書かなくてはなりません。しかし相続財産の目録はパソコンで作成してもよくなりました。

自分で書いた遺言書を法務局に保管できれば、一件落着となります。ただ自筆の遺言書は、丁寧に長々と書くほど間違いが出る可能性が高くなります。 続きを読む

遺言書を法務局に預けると失敗する理由。

遺言書を法務局に預けると失敗する理由。

遺言書を法務局に預けると、必ず失敗すると言うわけではありません。おすすめしている自筆証書遺言書の法務局保管制度に、注意すべき点があります。改めて本記事で補足しておきたいと思います。

自分で書いて自分で保管する「自筆証書遺言」と公証人役場で証人を立てて公証人によって作成される「公正証書遺言」があります。

自筆証書遺言書は、誰にも見せずにこっそりと気軽に作れます。金庫やタンスの奥、仏壇の底などに保管しておけば秘密にできます。 続きを読む

死因贈与とは、相続・遺贈の違い、メリットデメリット。

死因贈与とは、相続・遺贈の違い、メリットデメリット。

死因贈与とは、遺言書とは別に贈与者の死亡を原因として、贈与が発生する契約です。前回の記事に続き、死因贈与を取り上げます。相続には関係しますが、遺言書と直接の関係はありません

■遺言書の効力がものを言う、絶対必要な7つのケース。

◆ 意味不明な「死因贈与」の補足。

死因贈与というだけでは、意味することがよくわからない言葉について、補足が必要になります。実は被相続人の財産を引き継ぐ方法として、前回解説した相続や遺贈だけでなく「死因贈与」という方法があります。 続きを読む

遺贈と贈与・相続人と受遺者の違い、ここを具体的にくわしく。

遺贈と贈与・相続人と受遺者の違い、ここを具体的にくわしく。

いろんなサイトに遺贈と贈与・相続人と受遺者の違いがかかれています。しかし何度読んでもすっきりわからない、不思議な感覚が残ります。もう少し普通の人間がすんなり理解できる説明は、できないものかと思案しました。言葉の意味や権利関係はその通りなのですが、要するに何が違うのかわからないのです。素人がすんなり理解しやすい説明にチャレンジしてみました。 続きを読む

予備的遺言の効果、相続人死亡の場合遺言が無効に。

予備的遺言の効果、相続人死亡の場合遺言が無効に。

普通は、遺言者が先に亡くなるのですが、そうでないことも起こり得ます。その場合、遺言書を書き直せばよいのですが、そのときに、遺言者に遺言書を書き直す気力が残っているかということがあります。あるいは認知症を患って遺言書を書けないということも考えられます。

そういう意味で予備的遺言は、細心の用心として意味があると思います。

■遺言書の効力がものを言う、絶対必要な7つのケース。 続きを読む

遺言書で怖い認知症、進まぬ財産整理、老いは意欲を減衰させる。

遺言書で怖い認知症、進まぬ財産整理、老いは意欲を減衰させる。

遺言書については何度も書いてきました。遺言書が書けない被相続人が多いことも実感として感じています。自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる便利な制度もスタートしました。

パソコンで作成可能になった財産目録には、保険契約や不動産、銀行口座、株式などの債権、負債などを特定できるように整理する必要があります。なぜ財産整理が進まないのか、第一の原因は、相続人に財産の実態を知られたくないので、自分一人でやろうとするところにあります。そうこうしているうちに目が衰えピントが合わなくなります。パソコンに向かう気力がなえてきます。そして遺言書で最も怖いことが、認知症の発症です。 続きを読む

遺言書の財産目録はパソコンOK、それでも書けない被相続人。

遺言書は手書き、財産目録はパソコンOK、それでも書けない理由が深刻。

本来、遺言書は全文手書きが原則でしたが、財産目録の部分だけはパソコンで作成できるようになりました。これは便利になったので遺言書作成のハードルはずいぶん下がったと思います。

パソコンで作成可とはエクセルなどのソフトを使って財産一覧表のデータを作成し、プリントアウトしたものを遺言書に添付(本人の署名捺印は必要)すれば有効ということです。修正や変更のたびに遺言書を全文書き直さなくても、データの一部を修正しプリントアウトすればそれでOKです。 続きを読む

遺言書がいらないカカア天下。

サラリーマン家庭では遺言書がカカア天下。

遺言書の必要性を再三訴えてきて、今さら遺言書がいらないとは自己矛盾ですが、家庭内の権力構造によっては、思いを込めて遺言書を書いても無視されるか生前破棄されることもあるのです。

家庭内の権力構造において、妻の権威・権力・威厳が夫を上回っている家庭を指すことをカカア天下と呼びます。

こういう場合一次相続の被相続人である亭主は、生命保険被保険者契約者にはなれますが受取人にはなれません。それだけではなく遺言書の意味合いも違ったものになってきます。まともな話ではありませんので、何?それ!と思われるのも無理はありません。リラックスしてお読みください。 続きを読む

遺言書の法務局保管制度は自筆証書遺言が検認不要、費用激安。

遺言書の法務局保管制度は自筆証書遺言が検認不要、費用激安。

自筆証書遺言書の法務局保管が、2020年7月10日から開始になりました。民法の中の相続に関する規定が改正され、自筆証書遺言書の法務局保管という新しい遺言書保管制度になりました。改正の中でも、遺言書の中の財産目録をパソコンで作成可能となり、遺言書の作成や変更がとても便利なりました。

遺言書作成で手間がかかるのが財産目録ですが、財産は時間が経過すれば変化します。その都度全文を書き直すのは骨が折れます。パソコン作成なら変わった部分のデータだけを修正し、プリントアウトすれば簡単です。手書きではないので、文字も読みやすくきれいに仕上がります。 続きを読む

改正民法2019|遺言書の法務局保管、PC作成。

改正民法2019|自筆証書遺言の法務局保管・財産目録PC作成。

2020年7月11日追記:自筆証書遺言の法務局保管が7月10日から開始になりました。

DSCF1887民法の中の相続に関する規定が改正され、相続のための手続きが簡素化されたり便利になったりしています。

中でも自筆証書遺言の法務局保管という新しい遺言管理制度と遺言の中の財産目録をPC作成可能に変更されたことは大きな改正と言えると思います。

民法改正の主な項目をあげました。今回は「3)自筆証書遺言の法務局保管制度の新設。財産目録のPC作成。」についてです。 続きを読む

遺言書の誤解、遺書の無力まとめ。

遺言書の誤解、遺書の無力、記事のまとめ。

CIMG3614遺言書については過去に何度か記事に書きました。そして遺言書は元気なうちに!と何度も進言しました。それでも遺言書が書けない理由を問いただすと、なんと遺言書と遺書の区別がついていないのです。

遺書の間に「言」の一字が入るだけで遺言書は意味も役割も機能も全く異なります。

関連記事を検索しても専門家以外のサイトでは完全に混同が見られます。誤解の多くは遺言書も遺書扱いで最後に言い残す言葉になっています。 続きを読む

遺言書は保険。

遺言書は円満相続のための保険。

CIMG3381遺言書は一般のサラリーマン家庭ではあまり書きませんね。最近ではエンディングノートがはやりですが、残念ながら遺言書のような法的な強制力はありません。

相続税がかかるほど資産がないので相続対策ということが頭に浮かばないようです。

相続税対策」は不要でも相続人同士の争いを未然に防ぐ「相続対策」は必要になります。

相続財産が少ない方が争族になりやすいことは家庭裁判所の調停データが示しています。残念ながら遺言書の法的文書としての効力と遺産分割を指定することで争族を防ぐ機能が十分知られていないように思います。 続きを読む

遺言書の効力が相続争いを防ぐ理由と検認の意味。

遺言書の効力が相続争いを防ぐ理由と検認の意味。

生命保険をあつかっていると、相続にかかわることが出てきます。保険好きな国民性ですから、資産家も貧乏人も生命保険に加入しています。ところが遺言書を書くという人はあまり見かけません。

遺言書は相続税がかかる資産家が、相続争いを防ぐために書くものと言う風潮があるようです。

遺言書と遺書の区別ができていないというのが、大方の実態ではないかと思っています。よって遺言書の効力が、一般に正しく理解されているとは言い難い状況です。 続きを読む

生命保険の見直しと遺言書はお盆に!

生命保険の見直しと遺言書は今年のお盆にお考え下さい。

CIMG3200耐え難い猛暑が続いていますが、熱中症でぽっくり旅立つのも悪くないと思ったりしています。

ガンで亡くなる身内を見ているとそこまで治療で苦しまなくてもよいのではないかと・・。

どちらにしても少なくとも遺言書を書く余裕はありません。元気で気力がないと遺言書は書けないもののようです。

老いてくると生命保険の整理も必要になりますが、こちらはさらに頭がしっかりしている間でないと理解できない難しさがあります。何事にも適切な時期があり節目があります。 続きを読む

遺言書の効力がものを言う、絶対必要な7つのケース。

遺言書の効力がものを言う、絶対必要な7つのケース。

効力とは、言い換えれば有効性ということになります。「遺言書」は「遺書」とは違い、法的な効力をもった民法に定められた法律文書です。被相続人の思いを伝えるだけではなく、相続財産の分割を法的に指定するものです。

遺言書を書くか書かないかは、あの世へ旅立つ被相続人の自由です。

しかし遺言書があればそれがもつ効力により、法定相続より優先されます。遺言書がなくても、円満におさまることもあると思います。しかし多くの場合、後に残された相続人にとれば、財産の分け前を決める遺産分割協議とは、心穏やかではないのです。 続きを読む

遺言書のメリット、とことん書けない本当の理由を行動分析で。

遺言書のメリット、とことん書けない本当の理由を行動分析で。

物事に取り組むには、それから得られる見返りとしてのメリットがなくては行動が生起しません。行動の原理から言うと遺言書に取りかかるという行為は、被相続人にとってそこから得られるメリットが直接的でなく、茫漠としているのです。

■遺言書の効力がものを言う、絶対必要な7つのケース。

◆ 遺言書にメリットを見いだせない経営者。

遺言書が、なかなか書き始められない経営者がいらっしゃいます。ハナから書く気のない方もいらっしゃいます。 続きを読む

遺産分割協議は法律行為|遺言書は法律文書。

遺産分割協議は法律行為|遺言書は法律文書。

◆遺産分割は元々私的なもの。

遺産分割は元々、私的なものです。

CIMG2706被相続人にすれば自分の財産ですから自由に処分する権利があり、その権利を侵害するような遺留分という制度すら納得できないものがあります。

ただ生前であれば被相続人は自分意思で自分の築いた財産を自由に分けることができるのですが、贈与税という別の壁が立ちはだかります。

被相続人の死後、その財産は相続人に権利が移ってしまいます。 続きを読む

遺言書優先の原則と遺産分割協議の矛盾について。

遺言書優先の原則と遺産分割協議の矛盾について考えてみました。

遺言書には遺書とかエンディングノートと違い、民法に定められた法律行為として法的な強制力があります。

それは法定相続よりも遺言が優先されますから、遺言書優先の原則などと言われたりします。遺言書は優先と言っておきながら、相続人の合意があれば遺産分割協議が遺言書より優先される場合があります。

これは財産を自分の意思通りに譲りたい遺言者にとれば、明らかな矛盾です。 続きを読む

遺言書、書き損じればただの遺書|それでも解らない経営者へ。

遺言書、書き損じればただの遺書、どうしても遺言書が書き始められない経営者へ。

遺言書と遺書の違いについては詳しいサイトはいくらでもあります。ここでは社長たる経営者が遺言書と遺書の区別ができているようでできていない実態について書いています。

cimg2534経営者にとって遺言の重要性は家族だけでなく、会社にかかわるステークホルダーとその家族にまで影響を及ぼします。それゆえ踏み込んで理解し有効な遺言を元気なうちに書いていただきたいと申し上げております。 続きを読む

遺言書とはグレーなものに白黒をつけること。

遺言書とはグレーなものに白黒をつけること、自分の思いに決着をつけること。

遺言書を書いておかないともめることが予想される家庭や、遺言書がなければ事業承継が混乱する経営者が大勢いらっしゃいます。遺言書を書くということは自分の人生の総まとめでもあります。

◆ 遺言書に手がつかない原因は??

それでも遺言書にはなかなか手がつかないものなのです。何故なのでしょう。よく考えてみれば遺言とは財産の振り分けを決めること、さらに言えばもらう人である相続人の評価を決めることでもあります。そこに遺言書に取り掛かるハードルの高さがあるように思います。 続きを読む

「遺言信託」と「遺言代用信託」の違い。

「遺言信託」と「遺言代用信託」の活用法と違いについて。

日経新聞に遺言信託と遺言代用信託についての記事が掲載されていました。庶民には、信託という言葉そのものがわかりにくい仕組みです。保険とは直接関係ないですが、争族予防システムと言う意味では保険のようなものです。

遺言信託と遺言代用信託とは相続に関係するという点と、読んだ文字面ではとてもよく似ていますが、内容的には全く別物です。遺言信託は相続税がたくさんかかる資産家で費用がかかっても自分の死後、遺言をきっちり執行して欲しい方向けの仕組みです。主に銀行や証券会社が資産家の社長向けに提案してきます。 続きを読む

簡単に廃除できる!?できの悪い息子に相続させない方法。

簡単に廃除できる!?できの悪い息子に相続させない方法。

好き勝手に家を出て行って寄り付きもせず、金の無心をするときだけ突然帰ってくるような息子がいます。親の病気を気遣うどころか、見舞いにも来ないような放蕩息子がいれば、親としては財産を相続させたくない思いがあると思います。でもこの程度では、相続権をはく奪して廃除にはできないということです。

結論から書いてしまいましたが、相続手続きには「廃除」と言うものがあります。どうすればできの悪い息子を廃除できるのか、廃除すれば遺留分はどうなるのか、遺言書で排除できるのかをまとめました。 続きを読む

遺言書は今年のお盆に、そこまで言う理由をまとめました。

お盆にゆっくり遺言書を、なかなか手が付けられないのが遺言書。

日頃は書かねばと思いつつ手付かずになっている遺言書を書く心境になるのがお盆です。

とても日本人的な心境ですが最近は簡素化されたというもののお盆は生死観の凝縮された一つの文化的な行事です。そのお盆にじっくり遺言をまとめるというのも意味があるというものです。CIMG2039

遺言書の必要性は十分すぎるほど理解して事業承継の円滑化には避けて通れないことも頭ではわかっておりながら不思議に書けないのです。 続きを読む

お盆は欲ボケ争族、エンディングノートより遺言書が重要な理由。

お盆は欲ボケ争族の季節です。

核家族化すると家族親族はあちこちに分散します。冠婚葬祭でも日本全国から駆けつけるような時代です。交通網が発達し時間が短縮されたといっても旅費もかかるしそうそうたびたび帰省できません。

しかしまとまっていない遺産分割協議はお盆に相続人が揃ったときにということもあります。

揉めることはないはずの話し合いがご先祖様の前になるとギクシャクします。 続きを読む

遺言書を破棄したら罪になるかを事例で説明。

遺言書を破棄したら罪になるかを事例で説明。

保険から閑話休題ですが、遺言書を長男が破棄した事例がありました。会社の金庫に仕舞ってあった自筆証書遺言をいち早く長男が破棄したのです。遺言書の内容は知らされていなかったのですが、次男坊の方が出来がよくて社員に人望があるので、後継者を次男にすべく自社株を遺言書で相続するように指定している可能性があるわけです。

■遺言書か法定相続か遺産分割協議か、相続の優先順位は? 続きを読む

遺言書は元気なうちに遺書は間際に生命保険は早めに!

CIMG1759遺言書は元気なうちに遺書は間際にと申し上げておきます。

まだそういったことを意識したことがない人も多いと思います。遺言書遺書の区別も考えたこともないのが本音、言われてみれば内容的にも別物です。

被相続人の意志として不動産や生命保険、現預金、株式等の財産の分割を指示するのが遺言書です。ですから書式も決まったルールがあります。

公証人役場に出向いて口述して証人まで必要な公正証書遺言から家庭裁判所の検認が必要な自筆証書遺言まで様々です。争いがなければ裁判所などの第三者の関与は不要ですが相続は思いがけない展開もありますから用心に越したことはありません。 続きを読む