保険営業を辞めても消えない「あと一件」リアルな体験談。

※本記事は筆者の保険業界での勤務経験および、その後に保険を買う側となった
立場からの体験に基づく個人的見解です。保険会社や代理店によって制度や運用
は異なります。

保険営業の仕事に興味があり、転職をお考えの方へ。

保険営業の厳しさというと、ノルマや成果主義、
あるいは収入の不安定さが語られます。
しかし本当に辛いのは、数字そのものではありません。

保険営業を経験した人間だけが知る独特の重圧があります。

それが「あと一件」です。

私は今、法人保険を買う側の立場になっています。
多くの保険営業職員や保険代理店の担当者と接する機会がありますが、
売る側だった経験は今でも役に立っています。

しかし一方で、保険営業時代の記憶は完全には消えません。
退職して何年経っても、ふとした瞬間に思い出すことがあります。

あと一件。どうしても届かなかった、あの一件です。

■保険営業はやめた方がいい?向いている人・向いていない人を元営業が解説。

◆ 保険営業の壁、実体験のリアル情報がすごい。

保険営業を始めると最初に感じることがあります。

保険はそう簡単には売れないということです。
家に次ぐ大きな買い物と言われるだけあり、お客様は慎重です。
自動車保険の更新とは違います。

生命保険の場合は、「本当に必要なのか」「他社と比較したい」
「家族と相談したい」という流れになります。

契約までの期間が長いのです。

転職するときは、多くの人が成功を夢見ています。
私もそうでした。ところが現実は違います。
成果が出るまでには時間がかかります。

場合によっては三年、五年という単位で苦しむことになります。

生活費は減り、前職の退職金は減り続けます。もちろん貯金も減ります。

■保険営業の経費は自腹?転職前に知るべき自己負担の実態。

それでも成果は思うように増えません。
保険営業は、成功するまでの時間との戦いでもあります。

腰掛け転職なら辞めれば済みます。
しかし家族を養い、住宅ローンを抱え、
人生をかけて飛び込んだ人にとってはそう簡単な話ではありません。

だから悲壮感が漂うのです。

◆ 過去の縁や名刺は役に立たない保険営業の苦境。

営業経験者は前職時代の名刺を財産だと思います。
ところが保険業界に入ると、その考えはあっさり崩れます。

何百枚の名刺があっても成果にはなりません。

会ってくれる人はいます。一度は話も聞いてくれます。
しかし簡単には契約につながりません。

保険は人間関係だけでは売れないからです。
その結果、一度会えても次はありません。
紹介をもらっても続きません。

そして気が付くと行き先がなくなります。

アポが取れない、訪問先がない、さらには電話を掛ける相手もいないとなります。

保険営業を経験した人なら、この閉塞感は理解できると思います。

たまに契約が上がると飛び上がるほど嬉しいのですが、
その喜びは長続きしません。

なぜなら翌日からまたゼロだからです。
昨日の一件は今日の生活を保証してくれません。

そこが保険営業の苦しさです。

◆ 保険営業は自己矛盾との戦いになる。

保険営業の辛さは、数字だけではありません。
自分自身との戦いがあります。

お客様のためと言いながら、本当に欲しいのは
今月の成果ではないのかという自己矛盾があります。

本当に顧客本位なのか、それとも自分の生活のためなのか
という疑問が心のどこかに湧いてきます。

理想と現実のズレです。

会社が売りたい保障性の商品があり、自分が売りたい全期型の商品
とのせめぎあいです。保障性か貯蓄性かで悩むこともあります。

お客様に必要だと思う商品と契約から得られる成績が一致しないこともあります。

そのとき保険営業は葛藤します。
この葛藤を乗り越えられる人もいます。
乗り越えられない人もいます。

保険営業が精神的に厳しい仕事だと言われる理由は、
こうした自己矛盾との戦いにあるように思います。

■保険営業にノルマは必要か?経験者が考える成果主義と生命保険の役割。

◆ 保険営業を辞めても夢に出る「あと一件」。

保険営業を経験した人に共通するものがあるとすれば、それは「あと一件」です。

あと一件で目標達成ということ、あと一件で資格維持ということもあります。
さらにあと一件で生活が楽になるという場面もあります。

経験的言えば、保険営業が行き詰まる第一の原因は、
あと一件のために行動力が低下することにあると思います。

その一件さえあれば、今月は落ち着いた営業ができるということもあります。
ところが、その一件が遠いのです。

一番近い見込みが案件が流れる、予定していた紹介が消える。こともあります。
決まりかけた契約が延期になることもあります。延期になるとリセットは難しく
なります。そんなことは珍しくありません。

そして締切が近づくにつれて頭の中はその一件で埋め尽くされます。

休みの日も食事中も考えます。
家族といても考えます。
追い詰められると夢にまで出てきます。
私は冗談ではなく、夢の中で申込書をもらったことがあります。
朝起きた瞬間に、「あ、夢だった」
と気付くのです。

保険営業経験者以外のサラリーマンならなら笑う話かもしれません。
しかし笑い話ではありません。

後一件がどうしても届かない日々では、成果に近い顧客の動向を見張る日々が続きます。

まるで刑事か探偵かのように顧客の動きを追うことがあります。それぐらいあと一件は重く、土日も関係なくプレッシャーがかかります。

それほどまでに保険営業にとり「あと一件」は重いのです。

◆ 転職しても契約者のことが気になる。

保険営業を辞めると解放されると思う人がいます。
確かに数字のプレッシャーからは解放されます。

しかし別のものが残ります。自分でおすすめして取り扱った契約です。
一生懸命お願いした契約者に対する責任です。

保険営業の辛いところは、軌道に乗るまでの契約です。結局、商品力よりしがら
みと同情、縁故と付き合いで親戚・縁者・友人・知人に売り込むとあだになると
いうことがあります。

結果的に行き詰り、転職となれば契約者に対する裏切り感にさいなまれます。
会わせる顔がなくなります。保険営業は、自分のあつかった契約が気になり、
退職後も気持ちが晴れない日々が待っています。

あの契約は大丈夫だっただろうか。
保険金は支払われただろうか。
更新時に困っていないだろうか。
そんなことを思い出すことがあります。
契約するときは、この先もフォローする約束です。それを裏切ったような
自責の念が残ります。

とくに苦労して契約した案件ほど忘れられません。

転職すれば終わりではないのです。
保険営業は人の人生に関わる仕事です。
だから記憶に残ります。

形のある商品を売る営業とは少し違います。

◆ 買う側になって初めて見えたこと。

今は法人保険を買う側です。
保険営業だった頃には見えなかった景色があります。

売る側は必死です。
しかし買う側はそれほど保険のことを考えていません。
この温度差は想像以上です。

売る側は人生をかけていますが、買う側は日常業務の一つです。
だから保険営業は焦ります。

しかし買う側になってみると、その焦りが見えるようになります。
逆に言えば、保険営業の焦りが顧客に見えた瞬間に契約は遠のきます。

保険営業とは不思議な仕事です。足元を見られると言いますが、
必死になればなるほど結果が逃げていくことがあります。

■保険営業|飛び込み20日間で1,000軒の成果をまとめると。

◆ 保険営業を経験したから得られたもの。

ここまで読むと保険営業は悲惨な仕事に見えるかもしれません。
しかしそうとも言い切れません。

私は保険営業を経験したことを後悔していません。

人を見る目、断られても立ち上がる力、相手の立場で考える習慣などは
より深い次元で身につくと思います。

また、個人だけでなく法人も対象にしていると経営者との会話力も
身につくと思います。

それだけの準備をして臨まないと相手にしてもらえないからです。

数字への責任感というレベルではなく、生き残るための必死の思いと努力を
重ねることの重要性、そうしたものは保険営業で鍛えられました。

普通の仕事では経験できない世界があります。
追い詰められると、脳が活性化し知恵がわいてきます。
それまで見えていなかったチャンスが見えるようになります。

だから私は今でも、「覚悟があるなら挑戦してもよい」と思っています。

当たれば面白い保険営業ですが、
なかなかストライクゾーンにボールが来ないというジレンマがあります。

甘い気持ちでは難しいでしょう。
成功か挫折かという大げさではなく、その二択に近い世界だからです。

◆ 保険営業を辞めても消えない「あと一件」まとめ。

保険営業を辞めても、あと一件は消えません。
数字は消えても記憶は残ります。
契約は終わっても責任感は残ります。

転職しても、ふとした瞬間に当時の顧客を思い出します。
保険営業は単なる営業職ではありません。

人の人生に踏み込む仕事です。
だからこそ苦しいときもあり、だからこそ忘れられない契約者もあります。

もし保険営業への転職を考えているなら、華やかな成功談だけではなく、
その裏側にある現実も知っておくべきだと思います。

それでも挑戦したいと思うなら止めません。
保険営業は過酷ですが、その経験は人生のどこかで必ず財産になります。

そして退職した後も、きっと心のどこかに残るはずです。
「あと一件」という言葉とともに。

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