ワンマン社長の認知症は会社を潰す。

事業承継の停滞が言われていますが、全国の社長の高齢化が大きなうねりとして進んでいます。社長に限らず、人は高齢化すると体力的な問題や病気のリスクが高くなります。

社長の中でもとくにワンマン社長は、一人で決裁権を握っていますから、社長万が一のとは会社の一大事に発展します。

誰でも年をとると、物忘れがひどくなります。それだけだと大きな問題にはならないのですが、その物忘れの原因が病的なものであると、認知症を発症する可能性が高くなります。

今後、高齢者の増加により認知症患者は急増すると予測されています。さらに高齢化がすすみ、社長の認知症というような事態になれば一大事です。。経営という場面では、想定外の障害が発生することが予測されます。

■経営権移譲の難しさ、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者。

◆ 経営の視点で認知症リスクを評価。

家族に認知症の人がいるとわかりますが、それと気付いてもなかなか物忘れ外来などの医療機関を受診しようとしません。そのため治療することが遅れてしまい、病状が進んでしまうことがあります。

自分が認知症かもしれないというのは、一種の恐怖ですから受診に抵抗感があることは理解できます。

認知症がすすんでから、あわてて専門医に診てもらっても簡単に治る病気ではありません。治療しながらも、病状はさらに深刻化します。

体はいたって元気なのに物忘れだけでなく、現状が認識できない見当識障害が現れます。さらに進むと、家族の顔すらわからなくなり徘徊を始めます。

そこまで病状がひどくならなくても、認知症になればそれまでできていた正しい判断ができなくなります。それは経営において、致命的な問題を露呈することがあります。

・外から見てもわかりにくい認知症。

ご本人の外見だけでは、認知症の進行度はわかりません。外部顧客との対応は普通にできたり、電話の受け答えもちゃんとできたりしますので、問題がないように感じることもあります。でもその内容をすっかり忘れて、思い出せないのであとで問題がおこります。

認知症が進めば、一見大丈夫そうでも大事な約束を忘れてしまい、思いだすことができなくなるというようなことがあります。周囲の方が気をつけて見守るより仕方がないのですが、病状が進むとどこかで、どうしようもなくなるときがきます。

経営という視点で考えれば大事になる前に、認知症のリスクを正しく認識し、経営の一線を退いていただくよりありません。

もちろん後継者がいれば、という条件がつきます。後継者がいないか決まっていない場合では、経営を継続する選択肢が狭くなり、判断が一層難しくなります。

■事業承継のまさかと後継者の力量不足が会社を揺るがすリスク。

◆ ワンマン社長の認知症がやっかいな理由。

ワンマンで経営を一手に握って社員を引っ張ってきたような社長は、とくにご自分の病状を納得できないという傾向が強いようです。物忘れ外来の受診をすすめても逆に怒り出す始末です。

ワンマン社長の認知症はこうして、はれものにさわるように進行していきます。

専門医でしっかり診察を受けて治療すれば、病状の進行を遅らせたり、周囲の方の理解を深めたりできます。しかし頑固一徹のワンマン社長では、自分で自分のリスクが認識できずに、事態を深刻化させてしまうというやっかいな側面があります。

中小企業の社長と言えば、ワシがワシがで押し切るようなカリスマ性が必要です。経営ではそれが強力なリーダーシップとなって会社を引っ張る原動力になるのですが、認知症という病を得ると治療の障害になるということがあります。

◆ 決裁と決済ができない、契約ができない認知症社長。

社長の仕事は、経営判断と決裁です。そして中小企業の社長は、自ら支払の決済をされている方も多いと思います。認知症が進行し、医師が認知症と診断を下すと車の免許証の更新もできなくなります。

さらには本人の銀行口座からお金をおろすことや、契約などの行為ができなくなります。決裁ができなければ、もはや社長としての機能を失っていると言われても仕方がありません。

認知症社長は制約が多くなりますが、経営する会社は法人ですから認知症になることはありません。よって会社の口座が凍結されることはありません。

銀行印が押せれば、経営の資金は回していけます。ただ、後継者がいない場合や決済権を与えていない場合は、権限の移譲をすすめる必要があります。

決済権を離さずに認知症が進んだ場合は、後見人をたてて、かわりに判断を仰ぐ仕組みに移行するほかありません。

自分の病気を認めたくない社長でも、病状が進むとこれはまずいと気づきます。そのタイミングが遅いか早いかで、打つ手も変わります。ワンマン社長の首に鈴をつけられる側近、または家族がいるかどうか、というようなことになりそうです。

◆ 認知症で会社をピンチにしない事業承継。

ワンマンであろうがなかろうが、社長というのは経営の責任を一身に担っています。守らなければいけないのは自分の家族だけではなく、社員や社員の家族ということがあります。

認知症で判断を誤り、経営が行き詰るようなことがあれば、社員の家族の人生にまで影響を与えてしまうのです。

経営者の認知症によるあらゆる経営上のリスクを避けるために、社長はご自分が認知症になる可能性も考えておかなくてはならない重責がある立場だということです。

そのためには、いち早く事業承継対策に取り組み後継者を育成することが必要です。また「もしも」のとき経営判断をサポートしてくれる人材を身近においておくことが大事です。

経営上のリスクは認知症、だけではありません。コロナ禍でも平気で飲み歩く社長のような、リスクに無頓着では、経営の責任を自覚しているとは言えないのです。

■事業承継に既契約の生命保険が強い味方になる理由。

◆ 社長の認知症リスク、まとめ。

世間では2025年問題がささやかれています。団塊の世代約800万人が、75歳以上の後期高齢者になるタイミングが2025年です。

その中に事業承継ができていない社長が、どれくらいいるかということが、問題になります。認知症から要介護認定に進むと、もはや経営判断どころではなくなります。自分で自分の世話ができかねるところまで、病状は進みます。

現状の要介護認定率は75歳から急増します。85~89歳になると約半数以上のひとが要介護状態になると言われています。

ところが、世の社長さんは独善的で自分だけは運があり、大丈夫だと思っているものです。そのため事業承継やリスク対策が後手に回ってしまうのです。

「ワンマン社長の認知症は会社を潰す。」などと脅かせてしまいました。しかし会社の経営ということで見ると、社長が認知症として診断され、後見人が選任されない限り経営判断は有効です。

認知症であっても取締役の立場や代表権は維持できます。誰かサポートがついて、認知症からくる物忘れや判断を補っていれば、大きな問題にはならずに済みそうです。

・保険の見直しは認知症になる前に。

hokenfpからのアドバイスとして、物忘れを感じ始めたら契約している保険を整理して見直すことをおすすめします。認知症になってからはどうすることもできなくなりますので。

しかし、そうなる前に自らが一歩引いてでも事業承継や認知症リスクについて社内で共有してください。できる対策を講じておくことが、社長のつとめであると思います。現実はそれほど甘くなくないということは、実感としてわかっています。それでも経験的に申し上げれば、認知症のリスクは経営において侮れないのです。。

■引退の引き際を誤る経営者を体系的に解説したページ
社長の引退は制度では決まらない|引き際を誤る経営者の共通点。

経営者の運が会社の運命を決め、社員とその家族の運命を左右する。

中小企業の事業承継がピンチ:高齢化と後継者不在で廃業・清算の苦境。

事業承継のまさかと後継者の力量不足が会社を揺るがすリスク。

事業承継のまさかと後継者の力量不足が会社を揺るがすリスク。

70歳以上の高齢社長の企業の48.17%が減収というデータがあります。後継者がいないと、いつまでも社長を引退することができません。これは高齢だから業績が悪いのではなく、業績が悪いから後継者がいないと言えそうです。

業績の良い会社でも、やる気の後継者を得ることは難しいという実態があります。中小企業の社長業は今どきの若者には人気のない職種のようです。

人は、いつかは引退し死亡しますが、会社は後継者がいる限り、そして経営が安定している限り死ぬことはありません。

そのためには適切な事業承継対策が早くから行われなければなりません。日々泥縄の経営であれば、事業承継対策とか、後継ぎなどということは、ついつい後回しになります。

ところが人間は生身です。病気や事故など思いがけない災難が降りかかることもあります。経営者の「まさか」は会社の「まさか」です。突き詰めるとそれは事業承継の「まさか」と言えると思います。

■経営権移譲の難しさ、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者。

◆ 事業承継の「まさか」が経営を危うくする。

人生には「まさか」がありますが、事業承継にも「まさか」があります。順調だと思っていても、いかに頑健な経営者といえども、様々な問題が降りかかるのが人生です。それを細心の注意でクリアしていくことが、生きているということです。

たとえばの「まさか」では、経営者の体調が急変するなど、大病ということもあります。身体は丈夫でも自社株評価が高くなりすぎ、多額の相続税が発生するというような経済的な「まさか」もあります。

また後継者として育成してきた息子が、自分のやりたい道に進む決断をしたというような、事業承継にとっては青天の霹靂(へきれき)のような事態も起こりえます。

その想定外の「まさか」にいかに用心深く準備して、事業承継を成功に導くかも経営者の手腕と言えると思います。

■経営者の運が会社の運命を決め、社員とその家族の運命を左右する。

◆ 社員が陰口をたたく若輩後継者の力量不足、人望は後からついてくる。

すべての後継者が優秀で人望もあり、適任ということはそもそもあり得ません。適任でなくても人望がなくても、経営者にならなければならないこともあります。

後継者は、当然若いですから経験も知識も未熟です。若輩後継者は、どうしても社員から力量不足と見られがちです。それはそれで自然なことだと言えると思います。経験を積んで、失敗をして、痛い目にあって経営者としての素養は蓄積されます。

若輩な後継者が経営の重責を担う際、社員からの陰口や不安が生まれ、会社全体の安定性が揺らぎます。しかし、人望や力量は時間とともに築かれるものであり、後継者には成長のチャンスも存在します。

最初からうまくいく経営者は、後が怖いと言えそうです。経営者は小狡く、用心深く、リスクに敏感でないとつとまりません。社員の言うことを鵜呑みにせず、自己責任で情報のウラを取るぐらいの、猜疑心が求められるのです。

そういう経験を積み重ねて、力量不足を補い、なめられないようになると、人望は後からついてくるとしたものです。吹けば飛ぶような中小企業のオーナー経営者に求められるのは、カリスマ性と徹底した用心深さです。

◆ 後継者はベンチャーであるべし、経営運次第。

後継者は、先代が歩いてきた道とは違う道を歩もうと、必死でもがきます。すでにレールができている道を外れてベンチャー的にチャレンジすると、それほど簡単に軌道にのるわけがありません。

しかし、後継者に経営運があれば、道が開けることもあります。経営とは、運次第なのです。いくら優れた事業アイデアでも時代の潮目にのれなければ、あるいは時期尚早であれば、目に見える成果を上げることはできません。積み重なると不採算事業のオンパレードになります。

それは本人の努力というより、持ち合わせた運に左右されるのです。それゆえリーダーシップや新しいアイデアを持つことが、後継者に求められます。挑戦的な環境での経験は、企業の発展にプラスの影響を与える可能性があります。

そんなはずはない、自分の実力でのし上がったのだとお考えのオーナー経営者もいらっしゃると思いますが、そう考えるのも運の内なのです。

■事業承継の失敗事例は、経営権の移譲ができない意外な理由。

◆ 解決策とサポートの重要性。

後継者の力量不足や事業承継に伴うリスクに対処するためには、慎重な計画と効果的なサポートが不可欠です。まず、企業は後継者の育成に重点を置くことで、組織内でのスムーズな承継を促進できます。教育プログラムやメンターシップを通じて、若手経営者が必要なスキルや知識を身につけることが期待されます。

さらに、外部のアドバイザーやコンサルタントの利用も検討すべきです。経験豊富な専門家が企業に的確なアドバイスを提供し、事業承継の成功に向けて支援します。

◆ 若手後継者の成長促進と信頼構築。

若手後継者が社員や従業員から信頼を得るためには、経営力の向上だけでなく、コミュニケーションやリーダーシップのスキルも重要です。

効果的なコミュニケーションを通じて、社員との信頼関係を築くことが、組織内の安定性を保つ一因となります。また、後継者が自身のビジョンをクリアに伝え、組織全体を巻き込むことも重要です。

◆ 事業承継の将来展望と中小企業の役割。

事業承継の問題に直面する企業が解決策を見つけ、持続可能な形で経営を継続することは、地域社会や雇用にとってもプラスの影響を与えます。

中小企業は地域経済において重要な役割を果たしており、健全な事業承継はその存続と成長に寄与します。

◆ 中小企業の事業承継M&A:失敗が5割以上のリスク。

後継者がどうしても見つからない場合は、M&A(合併・買収)は確かに合理的選択肢です。しかし失敗すると廃業への道が待っています。中小企業で後継者がなく、事業承継M&Aを考える経営者が増加していることは、後継者不足の折から間違いないところでしょう。

ただ、事業承継M&Aであってもその失敗例は数え切れません。一説には半分以上が、失敗の道をたどるそうです。決して楽な道のりではないわけです。

M&Aでは、知らない会社同士が、腹の内を隠してくっついていくわけですから、シナジー効果を言う前に相互不信が渦巻くのが普通です。M&Aに進む前にまず力量不足の後継者をやる気にさせ、じっくりウイスキーの熟成のように育成します。そして保険契約などを駆使して、事業承継の「まさか」をカバーします。

事業承継M&Aは、高齢化が進む中小企業経営者の事業継続における切り札的な手法です。しかしこれは、慎重な計画やリスク管理の必要性を示唆しており、リスク覚悟の最終選択肢と言えそうです。

後継者不足が深刻化する中、中小企業の経営者はリスクを覚悟した最終的な選択を迫られています。事業の未来を見据え、戦略的な判断が求められます。リスクヘッジや適切なサポートを得ながら、持続可能な事業承継を模索することが極めて重要です。

■中小企業の事業承継がピンチ:高齢化と後継者不在で廃業・清算の苦境。

◆ 事業承継の「まさか」と後継者の力量不足、まとめ。

事業承継はそのつもりであらゆる手を尽くして、早くから準備しても予定通りにはいきません。後継者もなかなか腹をくくりませんし、力量にも不満が残ります。税制や法制度が変わり、準備してきたことが無駄になることもあります。

総じて、事業承継における後継者不足の問題は複雑であり、個々の企業に合わせた戦略が必要です。ただし、適切なサポートを受けながら計画的かつ柔軟に対応することで、中小企業の事業承継が成功する可能性が高まります。早くから事業承継対策に取り組んでいると、次の対応もやりやすくなります。

事業承継には「まさか」という思いがけないリスクもあります。後継者には任せて、失敗させて、力量を蓄積させることです。失敗から学ぶことが人を大きく成長させます。

ワンマン社長の認知症は会社を潰す。

事業承継に既契約の生命保険が強い味方になる理由。

中小企業の事業承継がピンチ:高齢化と後継者不在で廃業・清算の苦境。

中小企業の事業承継がピンチ:高齢化と後継者不在で廃業・清算の苦境。

日本の中小企業が直面している深刻な課題の一つが、事業承継の困難さです。高齢化社会の中で後継者が不在となり、企業は清算・廃業かM&Aかという厳しい選択を迫られています。

中小企業が直面する事業承継の危機に焦点を当て、後継者不在がもたらす中小企業の事業承継の深刻な状況に迫ります。高齢化が進むなか、経営者の後継者が見つからないという課題は、事業の存続を脅かす重要な要因となっています。

■経営権移譲の難しさ、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者。

◆ 事業承継の停滞と社長の高齢化がピンチを招く。

日本の中小企業の社長の現状は高齢化がすすみ、社会問題化しています。高齢者とは、65歳以上の方を指すそうです。総務省のデータによれば2020年は3617万人です。これは総人口の2割を超え28.7%となり、過去最高となりました。

高齢化した社長が多くなっているにも関わらず、事業承継が進まないのは、高齢な社長がいつまでも居座っているからではありません。後継者が不在であったり、事業承継対策が遅れていたりすることが根本の原因にあります。

その結果、日本の社長さんの平均年齢の上昇が続いています。その中で後継者不在に悩む企業は、全体の65%と危機的な状況になっています。

このままいけば、日本の中小企業は半減することになりかねません。日本全体で見れば、地方切り捨てであり、中小企業に依存する庶民の生活を、脅かすことに他ならないと言えると思います。

■事業承継のまさかと後継者の力量不足が会社を揺るがすリスク。

◆ 中小企業の廃業は深刻な社会問題。

日本の中小企業は全企業の99%に及びます。そこに雇用されている従業員数は、労働人口の70%といいますから、中小企業や個人事業者の存続は、社会問題になるわけです。

データによれば、団塊世代の経営者の大量引退時代を前にして、なんと法人・個人合わせて、半分の経営者が廃業すると答えているそうです。

廃業に至る理由は様々ですが、後継者不在という深刻な問題が、廃業理由の3割に上ります。

■経営者の運が会社の運命を決め、社員とその家族の運命を左右する。

◆ 高齢化と後継者不在の背景。

日本の中小企業は、多くが家族経営や創業者主導で成り立っています。しかし、高齢の経営者にとって、後継者に経営を引き継ぐことが難しくなりつつある現状があります。

後継者候補が家族や親しい関係者に限られる中、後継者候補が経営に興味を持たない、または他の職業や生活選択を優先するケースが増加しています。このため、経営者が高齢であることが、後継者不在の課題をより深刻化させています。

◆ 中小企業では、息子はいても後継者はいないという摩訶不思議。

残念なケースでは、会社の業績は悪くなく、子供がいるのに継ぐ意思がないというケースです。継ぐ意思がある子がいても継がせられないというのも困りものですが、継ぐべき能力があっても、自分の能力を生かした道で生計を立てたいというケースも見かけます。

今どき誰もが、社長になりたいとは思っていないということがあります。重い責任を背負って経営を引き継ぐには、それなりの覚悟が必要です。

うまく経営できてあたりまえ、方向性を誤って経営を左前にしようものなら全責任を背負って途方に暮れなければならないのです。穏やかな人生を望む方には、まさに試練の選択になります。できれば平和なサラリーマンが理想の人生ということも、価値観としては当然あると思います。

摩訶不思議と書いたのは、息子がいて、継ぐ気もあるのに任せられないというケースです。すべての息子さんが後継者に向いているわけではないという事実は、事業承継では誠に悩ましい問題になります。

息子に継がせるか、それ以外の選択肢を模索するか、自社株をどう動かすか。こういう事業承継は、さらに苦慮を伴う判断を迫られることになります。

◆ 事業承継税制の整備が進んでも、後継者不在では使いようがない。

事業承継を円滑に進めるために、事業承継税制が整備されてきました。納税猶予制度による事業承継にかかる相続税は、猶予とは言いますが、後継者の代で考えれば実質免除と同じです。

事業承継税制が整備されても、自社株を誰に引き継ぐかが問題になります。後継者がいなければ、実際なすすべがありません。

後継者不在の中小企業は多数に上りますが、後継者がいなければ育てるしかありません。それができなかったり失敗したりすると、その先は廃業・清算かM&Aかということになります。

事業承継とは一方では税金との戦いであり、もう一方では後継者の選定と育成であるということです。後継者は親族である必要はないのです。選択肢を広く構えて人選を急ぐことが肝要です。

■事業承継の失敗事例は、経営権の移譲ができない意外な理由。

◆ 中小企業切り捨ての国策と事業承継支援の矛盾。

多くの中小企業に生活を依存する、大多数の裕福ではない勤め人は、中小企業が切り捨てられたからといって大企業に転職できるわけではありません。貧しいながらも、額に汗して真面目に働く人たちがいます。国が目ざしている生産性の向上が、直ちに国民皆の幸福につながるとは言えないと言うことです。

後継者が、意欲をもって中小企業の経営に取り組めるような環境整備が必要なのです。補助金や助成金などのバラマキ政策だけでなく、事業承継に前向きになれる市場環境、地方復権につながる施策を立案すべきときがきています。

◆ 行き詰まる事業承継、廃業・清算かM&A。

後継者不在が続く場合、事業の行方は極めて厳しいものとなります。一つの選択肢は、事業の廃業・清算です。企業としての活動を停止し、従業員を解雇することを含みます。資産を整理し債務を精算することで、経営者が安心して引退できる一方で、地域経済や雇用に与える影響は大きいです。

もう一つの選択肢はM&Aであり、どちらの選択肢も地域社会や従業員、取引先といった関係者に多大な影響を及ぼす可能性があります。

(M&A(エムアンドエー)とは「Mergers and Acquisitions」(合併と買収)の略で、資本の移動を伴う企業の合併と買収を意味します。)

◆ 解決策と支援制度の模索。

後継者不在の事業承継の問題を解決するためには、様々な角度からのアプローチが求められます。地域社会や業界全体での情報共有やネットワーキングの促進、若手経営者の育成プログラムの強化などが考えられます。

また、国や地方自治体が提供する支援制度の充実も重要です。経営者の相談窓口の整備や資金援助、事業引継ぎのための助言などが、後継者不在の企業にとって救済策となり得ます。

後継者不在が中小企業における事業承継を脅かすなか、包括的で持続可能な解決策の模索が求められます。この問題への理解と対策が、地域経済の安定と中小企業の持続可能な発展に貢献することでしょう。

◆ 後継者がいない事業承継の選択肢、M&Aのハードルまとめ。

事業承継において後継者が不在であれば、企業は存続の危機に陥ります。引き継ぐことに失敗すれば廃業・清算かあるいはM&Aという、社員にとっては厳しい幕切れが待っています。

後継者が不在という状況は、企業にとって大きなピンチです。後継者を人選し育成するか、M&Aを検討することを始めなくてはなりません。

選択肢として考えられる手法。

・社員の中から後継者候補を選抜

・外部から経営者候補の招へい

・M&A事業譲渡の検討

・廃業・清算

後継者がいない中小企業では、会社を存続させるために事業承継の選択肢としてM&Aを検討することもあります。

後継者がいないからと廃業すると、社員や取引先にも迷惑が及びます。できることなら誰かに引き継いで会社を存続させたいと思うのは、経営者の自然な気持ちだと思います。

ここにきて導入が決まっているM&A税制も事業買収の大きな動機になります。M&Aの仲介機関も多岐にわたり活発に活動しています。M&Aはひとつのチャンスではありますが、後継者の選定に行き詰った場合の次善の手段です。後継者がいなければ、まず後継者を育てる努力が必要でしょう。

・後継者の育成と経営権の移譲をスムーズに。

そうなる前に、事業承継の対策を行うことが大事です。そして後継者が決まれば、高望みせずさっさと潔く全面的に引退することです。

経営者から見れば後継者は誰しも未熟です。欲を言えばきりがありません。どこかのアンケートのように、後継者に望むものとして「事業経営への高い意欲・社員に信用される優れた人間性・事業承継に応じる強い意志・業界に精通していること・業界内の交友関係に長けていること」があります。

そんなものは、最初から後継者に身についているはずがありません。現経営者でもいくつか欠けているとしたものです。

後継者を育成するには時間がかかります。そのことを念頭に事業承継に取り掛かることが大事です。事業を継続することは、従業員の雇用の維持や企業としての社会的責任の継続でもあります。

ワンマン社長の認知症は会社を潰す。

事業承継、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者の悲劇。

事業承継、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者の悲劇。

前経営者がなかなか経営権を委譲してくれないということは、事業承継の上でよく聞く話です。経営権を委譲するとは、決裁権を与えて任せることです。

決裁権を与えて任せるということは、後継者がやることにいちいち口出ししないということです。

前経営者が経営に口出しすれば、幹部社員は新経営者のご機嫌を伺いつつ前経営者の方を見てしまいます。そうなると、物ごとの決裁が遅れ経営に悪影響を与えます。後継者がいるにもかかわらず、事業承継で失敗する例として一番あげられることは、経営権を手放せない前経営者が、組織のガンになることです。耳の痛いオーナー経営者の方に辛口の進言となります。

経営者の運が会社の運命を決め、社員とその家族の運命を左右する。

◆ 一番多いのは経営権の委譲ができない。

代表権を返上して会長職に就くと第一線を引退したという体裁は作れますから、役員退職金の支給が可能になります。しかし税務署は実際に引退しているか、決裁権や指揮権を委譲しているかに着目します。毎日、のこのこと会社に出てきてあれこれ指示を出したり、決裁印を押していると引退したとは認めてもらえません。朝の出社時間を遅らせて早めに帰宅し、ゴルフの回数を増やして毎週コースに出ても、実質的な指揮権を離さなければ引退したとはならないのです。

事業承継の難しさ、双頭の経営権。

◆ アドバイスと口出しの違いがわからない経営者。

引退したつもりの前経営者にすればアドバイスをしているつもりだと思いますが、実際の場面では後継者が決定してすすめていることを片っ端からひっくり返しているようなことがあります。よかれと思い意見するのでしょうが、後継者や幹部社員にすれば前経営者の言葉は神の声と同じです。抵抗したり逆らったりすることはあり得ません。いくら理不尽なアドバイスでも、自分の考えと違っていても、また後継者の思いと違っていても面従腹背、ごもっともと言わざるを得ないのが宮仕えの辛いところです。

その結果、後継者は自分で判断して決めることを止めてしまいます。経験の浅い経営者にとって、面白かろうはずがないですし、やる気が萎えるのも無理ないところです。かといって内緒で進めて後でバレようものなら誰かが責任を取らされます。幹部社員は保身ばかり考えて前経営者の太鼓持ちになり下がっています。

権力や決裁権を握ったまま引退してもそれは事業承継とは呼べないのです。権力を握っている立場でアドバイスと言ってもそれは口出し以外のなにものでもないのです。口出しはそのまま命令と同じ効果と意味を持ちます。残念ながらアドバイスと言いながら後継者の決定を覆してメンツを丸つぶれにする、口出し前経営者の何と多いことか。

後継者にすれば、代表権のある社長に就任しても営業部長程度の決裁権しか与えられていないことになります。やる気をなくしてもそう簡単に別の選択肢があるわけでもなし、社員のように転職するというわけにもいかない苦しい立場です。

権力を握る日まで、じっと耐え忍んで待つよりありません。後継者の絶対的な強みは若さであり健康な身体です。いつか必ず来るチャンスを待てるかどうか、それまで会社が持ちこたえるかどうかという問題は残ります。

社長の生命保険は後継者に譲渡で得する裏ワザ!?

◆ 経営者はそれぞれの運で道を切り開く。

後継の社長は自分のやり方で結果を出そうと焦ります。ところが世の中それほど甘くないので、やること為すこと的が外れるか、時期尚早ということが往々にしてあります。

またそれを見て前経営者は、それ見たことか、まだまだ未熟、ワシが教えにゃならんとばかりしゃしゃり出てきます。

アドバイスとか指導の名目で横やりを入れてきます。困ったものですが、世間の親子の事業承継は似たようなものです。

経営者はそれぞれの運で道を切り開くとは申し上げましたが、理不尽な口出し前経営者との付き合い方もひとつ運であり社会勉強の一環です。それをいくらまずくても丸呑みできるだけの器量があるかどうか、経営者の資質はそんなところにあるのかもしれません。

事業承継と生命保険の危機!

経営者の運が会社の運命を決め、社員とその家族の運命を左右する。

人は生まれながらに、不平等に運命づけられています。「経営者なら、自分の運命は自分で切り拓け。」とはよく言われます。しかし運命は切り拓けるものではなく、定められたものであるがゆえに運命であります。

親の代から会社を経営していれば、後継者は経営者になることが、ある程度運命づけられていることになります。

人は意志さえあれば何でもできるはずだと思いがちですが、そういう思いは、人間の思い上がりでもあります。縁があれば経営者になることはありますが、そこから成功者になるには、また別の経営者としての運が必要なのです。

求めても得られないから運なのですが、強運などと言ったり運命を変えるなどと言ったりする言い方があります。

これは視点の違いから起こる勘違いのようなものです。天地の法則では、運命というものは定まった川を川筋に沿って流れるものです。決して低いところから高いところへは流れません。

■経営権移譲の難しさ、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者。

◆ 人には自分で選べない運がある。

経営者に限らず、人には親を選んで生まれてくることができないように、自分で選べない運があります。この世に生を受けたときから選択範囲は限られてくるのです。

外から見れば、なぜ狭い範囲で苦渋の選択をするのかわからないこともあります。それは、運で定まった範囲しか見えていないからなのです。選択肢は無限にあっても、運命づけられた範囲でしか道は見えないし、拓けないようになっています。

日本に生まれれば、アメリカに生まれることはできません。生まれたときの環境条件が、人の運命を決定づけます。たまたま貧農に生まれて、財を成す人がいたとしても、その人生ストーリーはやはり運命づけられているのです。

それなら努力する意味がないかと思われるかもしれませんが、そうではありません。

この世に生を受けるということは、それなりに意味あり、学びを重ねるための人生だと考えることができます。

運命のなかに身を置く身であれば、運命を左右することはできない相談です。それでも前を向いて努力をすれば、運命は拓けると思うように運命づけられているということになります。

禅問答のような話になり恐縮ですが、人間には本質的に理解できない運命です。

◆ 経営の成否は、努力でも才能でもなく経営者の運できまる。

人には自分で選べない運があるとすれば、経営者が成功するかどうかは経営者の才能でも努力でもなく、その経営者がもっている経営の運ということができると思います。

いくら艱難辛苦し、真面目に経営に取り組んでも、経営の運がないと成功することはありません。

反面、一つのアイデアが大きく花開き成功する運のよい経営者もいます。概して言えることは、規模は別にして会社を成す経営者は、どこかで何かの運が向いてきて、メンターに出会い成功するようにできています。

それはその経営者の運ですから、幹部社員全員が反対している新製品を強引に突き進んで販売しても、成功するときは成功します。全社員が期待する新製品を市場に投入しても、運がなければ、ヒットはしません。

成功するかどうかは、実は確率では測れません。それは運というものが、人類の英知でも検知したり測定したりできるようなものではないからなのです。ましてやAIにわかるはずのないことです。

日経新聞の私の履歴書をお読みの方には、お分かりかと思います。成功者は運命のラインに乗って出会いがあり、メンターの支援があります。そしてその結果として、アイデアがヒットし道が開けるようになっています。

・経営者の運とおかげ。

経営の成否は、経営者の運で決まるのですが、その幸運には限りがあります。良し悪しを含めて起こることは、人生の最後には帳尻が合うようになっています。

神様のおかげという考えがありますが、おかげが必ずしも良いことだけを連れてくるとは限りません。良いことも悪いことも生起するすべてのことが、おかげであると考えれば、ストンと納得できるのではないかと思います。

■ワンマン社長の認知症は会社を潰す。

◆ 経営者の運が会社の運であり、社員の運命を左右する。

そうなると経営者と仰ぐ社長の運が、会社の運命を左右します。当然、その会社の社員は運命共同体ですから経営者の運が、そこで働くものとその家族の運命を左右することになります。

経営運のある社長につけば、道が拓け出世できるかもしれません。そうでない社長につけば、リストラか経営破綻などという、最悪の運命が待ち受けることになります。

会社にお世話になるということは、どこかで縁があったのです。その縁はたまたま目についたハローワークの求人票かも知れませんし、インターネットの募集要項が、自分の希望に合っていたのかもしれません。

しかし、細いながらもよくよくたどると縁は必ずつながります。そのきっかけがなければ、自分は今ここにいないというようなことはもちろんです。考えてみれば、遠い昔のわずかな選択が出会いを生み、その結果目の前にいる孫が生まれたということでもあります。

そのわずかな選択がなければ、目の前のかわいい孫は存在しないか、あるいは別の人格になっているということも起こりえるのです。

運と言えども運だけではなく、必然的にすべての事象にからみついているという事実は歴然と存在します。

◆ 運は運であるが、運を運とせず生きるところが経営の本質。

では、何をしても、しなくても自分に選択肢がないのであれば、運は運任せだいうことになります。やる気も希望も失せてしまうのでしょうか。

一時はそういう気になることもあるかもしれませんが、それも運の一部だということです。運に翻弄されているように思えるのも無理からぬところです。

しかし天に任せた運に抵抗するすべなど、人間にはありません。運の理屈などはさらりと忘れ、生きていくためにもがきながら、運を切り拓こうとします。どこかで聞いたセリフですがシンプルに「これでいいのだ!!」こそが真理だと言えるかもしれません。

ましてや経営は、多くの社員と家族の生活を背負っています。経営者には、運任せにはできない責任があります。

運は運ですが、卑小な人間には運を制御することはできません。一人の人間とし運を運とせず、めいっぱい走り続けるところに経営の本質があるように思います。

■事業承継のまさかと後継者の力量不足が会社を揺るがすリスク。

◆ 経営者の運、まとめ。

経営者の運ということで、実感していることをまとめました。よく考えれば運や運命は経営者に限らず、万人に公平に作用します。

まさか何が公平なものかと思われるのは当然です。また運と運命は似ていますが、本質的な意味は異なります。

運とは、人の意思や努力ではどうしようもない物事の巡り合わせを指します。そして運命とは、人の意思や想いを越えて、人に幸不幸を含めた事象を与える力と定義できます。運も運命も、人の意志ではどうすることもできない巡り会わせや大きな流れを意味します。

そうなると非力な人間では、なすすべがなくなります。しかしこの世に生きていると、そこまで諦念することもないのです。

私たちは大きな流れの中の一部ですから、全体を見ることも把握することもできません。ゆえに運命の一部として、自分で道を選択することを実感することもできるのです。

長々と経営者の運について記事をつないできました。いよいよネタ切れで、運が尽きたような気がします。

■引退の引き際を誤る経営者を体系的に解説したページ
社長の引退は制度では決まらない|引き際を誤る経営者の共通点。

事業承継に既契約の生命保険が強い味方になる理由。

事業承継の失敗事例は、経営権の移譲ができない意外な理由。

経営権移譲の難しさ、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者。

前経営者がなかなか経営権を移譲してくれないということは、事業承継の上でよく聞く話です。事業承継とは経営権を後継者に引継ぎ、会社を継続的に存続させる手続きを指します。具体的に経営権を移譲するとは、後継者に決裁権を与えて任せることです。

多くの場合やっかいなことは、実質的な経営権の移譲は、それほどたやすくないということがあります。

■事業承継のまさかと後継者の力量不足が会社を揺るがすリスク。

◆ 経営権の移譲ができない前経営者。

代表権を返上して会長職に就くと、第一線を引退したという体裁は作れますから、役員退職金の支給が可能になります。

しかし税務署は実際に引退しているか、決裁権や指揮権を移譲しているかに着目します。

毎日、のこのこと会社に出てきてあれこれ指示を出したり、決裁印を押したりしていると引退したとは認めてもらえません。

朝の出社時間を遅らせて早めに帰宅し、ゴルフの回数を増やして毎週コースに出ても、実質的な指揮権を離さなければ引退したとはならないのです。

・幹部社員の混迷と指揮命令権の破綻。

引退間際の経営者にとり、長年の経営経験に基づく進言を、老害などという言われ方は心外だと思います。しかし、しつこく会社に顔を出して、後継者が決めたことを覆(くつがえ)しているようでは事業承継はできません。

役員退職金が否認されるリスクだけではなく、会社としての指揮命令権が破綻してしまいます。幹部社員がどちらを向いて仕事をすればよいか、わからなくなるというものです。

前経営者が経営に口出しすれば、幹部社員は新経営者のご機嫌を伺いつつ、前経営者の方を見てしまいます。そうなると、物ごとの決裁が遅れ、経営に悪影響を与えます。

後継者がいるにもかかわらず、事業承継で失敗する例として一番にあげられることは、経営権を手放せない前経営者が、組織のガンになることです。

事業承継の難しさは、実質的な経営権の移譲にあると申し上げても過言ではないと思います。頭が二つになれば、経営判断が割れてしまいます。船頭は一人でよいのです。双頭の経営者など、組織運営では迷惑になるだけなのです。

■経営者の運が会社の運命を決め、社員とその家族の運命を左右する。

◆ アドバイスと口出しの違いがわからない経営者。

引退したつもりの前経営者にすれば、アドバイスをしているつもりだと思います。実際の場面では後継者が決定してすすめていることを、片端からひっくり返しているようなことがあります。

よかれと思い意見するのでしょうが、後継者や幹部社員にすれば、前経営者の言葉は神の声と同じです。抵抗したり逆らったりすることはあり得ません。

いくら理不尽なアドバイスでも、自分の考えと違っていても、また後継者の思いと違っていても面従腹背、ごもっともと言わざるを得ないのが宮仕えの辛いところです。

・アドバイスと口出しの違いを整理。

①アドバイスとは後継者が望んでいることに関して、自分なりの知識や他の考えを提案すること。

②口出しとは、後継者が望んでいないことを自分勝手に決め付け、押し付けて混乱させること。

その結果、後継者は自分で判断して決めることを止めてしまいます。経験の浅い経営者にとって、面白かろうはずがないですし、やる気が萎えるのも無理ないところです。

かといって内緒で進めて後でバレようものなら、誰かが責任を取らされます。幹部社員は保身ばかり考えて、前経営者の太鼓持ちになり下がります。

権力や決裁権を握ったまま引退しても、それは事業承継とは呼べないのです。権力を握っている立場でアドバイスと言っても、それは口出し以外のなにものでもないのです。

口出しは、そのまま命令と同じ効果と意味を持ちます。アドバイスと言いながら、後継者の決定を覆して、メンツを丸つぶれにするような口出し前経営者の何と多いことか。

後継者にすれば、代表権のある社長に就任しても、営業部長程度の決裁権しか与えられていないことになります。やる気をなくしてもそう簡単に別の選択肢があるわけでもありません。社員のように、転職するというわけにもいかない苦しい立場です。

権力を握る日まで、じっと耐え忍んで待つよりありません。後継者の絶対的な強みは若さであり、健康な身体です。いつか必ず来るチャンスを待てるかどうか、それまで後継者が耐えられるか、会社が持ちこたえるかどうかという問題は残ります。

■中小企業の事業承継がピンチ:高齢化と後継者不在で廃業・清算の苦境。

◆ 後継者は失敗するために経験している。

後継者は年齢も若く経験も少ないので、判断すべき情報や経験が少なくなります。また価値観がそもそも違いますから、正しい判断ができるとは限りません。

引退した経営者が適切なアドバイスをすることで、物事がうまく進むことがあるかもしれません。

しかし、若き経営者は失敗をするために経験しているのです。失敗を重ねて経験を積み、経営者としての知識や知見を得て成長するのです。

後継者にとり、失敗ほど価値のあるものはありません。いくら経営の本を読んでも、経営セミナーで学んでも身につくものではありません。実際の経営の現場で体験した知識こそ価値があります。

若き後継者は自分で判断し、幹部を動かし、会社をコントロールしようとします。あたりまえのことですが、それが最初からうまくいくはずがありません。

自分の意向をくんで行動できる若手の部下を配下に集めます。経営者は往々にして、耳の痛いことを言う幹部を遠ざけます。。先代についてきた経験豊富であるが、煙たい幹部を役職から外したり、排除したりします。

そこには、会社全体を含めた世代交代が起こります。その結果、これまで蓄積されてきた知的資産とベテランによる暗黙知はリセットされ、新たな経験値の蓄積が始まります。

ワンマン社長の認知症は会社を潰す。

◆ 後継者が首尾よくできないのは当たり前。

後継者が先代オーナーより首尾よくできないのは、むしろ自然なことなのです。「子供叱るな来た道じゃ、年寄り笑うな行く道じゃ」という言葉ありますが、人生は一度きりです。

子供時代は2回経験出来ないですし、老人はやがて旅だちます。そうして物事や人は繰り返し入れ替わるようになっています。

経験不足で間違いや失敗があるのは、すべて今生での学びのためです。さんざん失敗から経験し、世の中の仕組みを学んでようやく経営者として知恵がつきます。

駆け引きでは小狡く立ち回り、ようやく経営のなんたるかがわかりかけたころは、足腰も弱って口うるさいだけの老害老爺になり果てているのです。

物事には順番があります。後継者がうまくできないのはあたりまえ、自分の来た道を思い返せばわかるはずです。

◆ オーナー経営者、譲れないなら引退無用。

何人もの創業オーナー経営者を見てきましたが、権限移譲は口で言うほどたやすくはありません。むしろ見苦しいまでに拘泥します。とことん支払いに関する決済権は手ばなさず、入院するとき決済印を病院に持ち込むほどのこだわりがあります。

オーナー経営者はワシがワシがでやってこられたわけですから、今さら引っ込むすべを知らないのです。よくよく聞いてみると自分は遠慮して任せているつもりというケースが多く、口出しの自覚がまるでないのです。

体が元気なら、動けなくなるまで、ボケるまで経営者を続ければよいのです。譲れもしないのに引退しないことです。

その結果せっかく段取りして着々と進めてきた事業承継の資金計画は、再度リセットする羽目になりますが、それも仕方がありません。譲れないなら引退無用と申し上げたいところです。

事業承継に既契約の生命保険が強い味方になる理由。

事業承継の失敗事例は、経営権の移譲ができない意外な理由。

◆ 経営者はそれぞれの運で道を切り開く。

後継の社長は、自分のやり方で結果を出そうと焦ります。ところが世の中それほど甘くないので、やること為すこと的が外れるか、時期尚早ということが往々にしてあります。

またそれを見て前経営者は、それ見たことか、まだまだ未熟、ワシが教えにゃならんとばかりしゃしゃり出てきます。

アドバイスとか指導の名目で横やりを入れてきます。困ったものですが、世間の親子の事業承継は似たようなものです。

経営者は、それぞれの運で道を切り開くと申し上げました。言うなれば、理不尽な口出し前経営者との付き合い方もひとつ運であり社会勉強の一環です。

それをいくらまずくても丸呑みできるだけの器量があるかどうか、経営者の資質はそんなところにあるのかもしれません。

◆ 事業承継の難しさ、まとめ。

事業承継は、経営権の移譲です。引退当初の経営者は、まだ頭髪が白くなったり、薄くなったりしていますが、馬力があります。ご自分の体力や知力にも自信があります。

会社ですることが少なくなったからと言って、毎週毎週ゴルフで時間をつぶすにも限界があります。家にいても奥方様に煙たがられます。時間がゆっくり流れだすと、目につくのが後継者の甘さです。

経営に不慣れな若き後継者は、頼りなく見えるのは当然のことです。それがなおさら見た目以上に事業承継の難しさを象徴しています。しかし、如何に困難な事業承継でも、時間がたてば問題はなくなっていきます。

老いるということは万人に公平に訪れます。やがてパソコンの小さな字が見えにくくなり、しばらくすると目がかすんできます。足腰が弱り階段の上り下りに勢いがなくなります。お酒も弱くなり、人間ドックではいくつもD判定がならび再検査の指摘を受けるようになります。

時間が自然に事業承継を進めてくれるのですが、それまで後継者が待てるか、辛抱できるかという問題が残ります。

経営とは、環境適応業であるとも言われます。時代の潮目に合わせて変化し、改革しなければ生き残れないのです。時代に合わせて一定のリスクを取りながら、先行投資をためらってはいけないのです。

しかし双頭の経営になると中長期的な投資計画がとん挫し、変化への対応がおざなりになります。これが長引くと経営はじり貧に追い込まれ、先行投資する余力を失い、事態は深刻なゾーンに突入します。

・経営権の移譲に失敗すると。

ある会社では後継者に権限の移譲ができず、後継者は長らく副社長という立場でした。要するにお前には任せないという、創業経営者の意思が現れています。先代が創業オーナーであると、余計に事業承継は難しくなります。まさに双頭の経営権が長年続くと、会社も幹部社員も疲弊します。

15年もの間副社長で、ようやく順番が回ってきたときには、すでに会社が傾いて手放さなければならないという、事業承継失敗の図も事例があります。

引退するならあっさりと、一切の口出し御法度で任せてしまうことです。お気持ちは察するにあまりありますが、しがみつくのもほどほどにと申し上げたいところです。

■引退の引き際を誤る経営者を体系的に解説したページ
社長の引退は制度では決まらない|引き際を誤る経営者の共通点。

法人保険は事業承継の裏ワザ|400号到達。

法人保険は事業承継の脇役、裏ワザフル活用。

CIMG3465「保険は相談するな!」足かけ4年半400号到達で思うことはいろいろあります。ずいぶん勉強もさせいただきました。

今が法人保険を通じて事業承継・相続設計の全体像が一番よく見渡せているような気がしています。

法人保険の有効性をテーマに書き続けてきましたが、400号を機に法人保険を活用した事業承継・相続設計の裏ワザというかテクニックを項目ごとに簡単にまとめました。

 ◆ 法人保険は事業承継と相性が抜群。

法人保険の目的が多彩であることは幾度も申し上げてきました。事業保障や利益の繰り延べによる節税などが華々しいところですが、それだけにとどまりません。

法人保険はその機能をうまく活用することで事業承継や相続設計に組み込むことができます。

事業承継と相続設計はある意味では資金の引き継ぎでもあります。資金移動が円滑にできないと後継者は難儀することになります。それを税金というコストを最小限に抑えて可能にできるのが法人保険なのです。

多少の知識とテクニックは必要になりますが、法人保険を事業承継は相性が抜群に良いと申し上げることができます。以下にいくつかの法人保険の活用パターンを簡単なまとめとしてご案内します。詳細は個別ページを検索いただくとよろしいかと思います。

事業承継に長期契約の法人保険活用がメリット大!

 ◆ 退職金準備

法人保険では事業保障と退職金準備を兼ねるケースがほとんどです。保険料を費用で落とし税金を回避しながら簿外に資金を蓄積していきます。解約するとそれまでに払い込んだ保険料が解約返戻金として雑収入になります。

この雑収入を役員退職金にあてればものの見事に出口対策となっています。法人保険の大きな目的のひとつが経営者の退職金準備です。

◆ 後継者への資金移動

事業承継では後継者にいかに資金を集めるかが重要になります。経営するには自己資金が豊富でないとどうしようもありません。金融機関の信用だけでなく資金の裏付けがないと打つべき手が滞るというものです。

後継者に資金を集中する基本的な手法は役員報酬の増額ですが、一気に移すことはできません。この問題をクリアして法人保険で後継者へ資金を移動する方法はいくつかあります。

このサイトでも何度か紹介していますが、逓増定期の名義変更というスキームはまだ有効です。何本かの逓増定期保険を複数社で契約すれば数年でまとまった資金移動が可能です。一時所得を得た後継者は確定申告を忘れずに行うと同時に、次の保険加入を検討し逓増定期の名義変更を連続させます。できれば税務調査が予想される年には名義変更が起こらないよう調整に配慮いただく方がよろしいようです。

もう一つの方法はどこの会社でも昔の保険契約を何本が抱えているはずです。なかには払い込みを終えた保険もあるかもしれません。また払い込みが続いている保険は払済にしてしまいます。この時点では契約者は法人、被保険者は現経営者、受取人は法人となっていると思います。この保険を解約返戻金相当額で後継者に譲渡します。受取人も後継者に変更します。買い取り資金は会社が貸し付けるか逓増定期の名義変更を活用した資金を利用します。

これで相続発生時に後継者が死亡保険金を一時所得で受け取ることができます。解約返戻金と死亡保険金との差額が儲けというか税的には一番お得な一時所得となります。ミソは相続発生時に資金に変わりますが相続税の対象ではなく、後継者の個人的な資金となります。古い保険ほど予定利率が高くレバレッジが効いているので差額が大きくなり資金移動としての価値が高くなります。

社長の生命保険は後継者に譲渡で得する裏ワザ!?

◆ 相続税対策

上記のように法人保険を使った後継者への資金移動はそれだけで相続税の納税資金対策になっています。換金できない自社株を引き継がなければならない後継者には納税資金として保険金というキャッシュが必要なのです。

相続税対策とは相続税の節税より納税資金確保を優先すべきです。とくに中小企業の自社株は換金性がありませんから、業績好調な企業は相続の時バカ高い評価に苦しむことになります。借金をして納税しなくてはならないのでは後継者の意欲もなえると言うものです。それゆえあの手この手で後継者に資金を集中し納税資金をしっかり確保することが大事かと思います。

◆ 争族対策

後継者が買い取りきれない現経営者が被保険者の法人保険は役員退職金として現物支給すCIMG3466ることもあります。会社としては引退する現社長の生命保険を持っていても仕方ないところもあるでしょうから、できれば退職を機に譲渡したいと思います。

引退する現経営者が退職金として生命保険を現物支給されると、契約者が会社から引退する現経営者に変更となり相続発生時に保険金が相続財産に合算されます。

受取人を会社から相続人に変更することになりますが、ここで受取人を指定すると生命保険金は相続財産からはずれ(相続税の課税はあります。)受取人の固有の財産となります。これで経営に関与しない他の相続人の遺留分を満たすことができます。

うまく使えば保険は争族対策の手段としてもすこぶる優れものなのです。

◆ まとめとして「保険は相談するな!」足かけ4年半400号到達で思うこと。

2014年の7月に「保険は相談するな!」を開設し仕事を別に持ちながら足かけ4年半、週末に書き続けて400号に到達しました。ブログという形態はとっていますが、法人保険や相続・事業承継関連の情報発信サイトとして実務に即した内容を心がけてきました。

これまでの文字数はざっくりですが80万字、単行本5冊分に相当するコンテンツに育ちました。

さすがにジャンル拡大しカテゴリー枠にはまりきらなくなり無理がでてきましたが、  ① 事 業 承 継 ② 保 険 余 話 ③ 法 人 保 険 ④ 相 続 と 保 険 ⑤ 節 税 保 険 ⑥ 経 営 と 保 険 ⑦ 贈 与 と 保 険 の7分類をとりあえず守っています。

(2021年から 医 療 費控除 、保険受取人変更、保険解約、役員退職金、支払調書、相続時精算課税、相続登記、逓増定期、遺言書を追加しました。)

基本的なターゲットは中小企業のオーナー経営者としていましたが、読者の主力はどうも保険関係者のように感じています。最近では医療費控除の確定申告関係の読者が急増しています。継続は力なりと申しますが続けるためには相当の情報収集能力と気力を必要とします。

また自分の自由時間を削り書き続けるには多大なエネルギーを必要とします。ただひたすら、どこかで誰かのお役に立っていると信じつつ今後も続けて行く所存です。ご愛読賜ればこれにまさる喜びはございません。

事業承継に既契約の生命保険が強い味方になる理由。

事業承継に既契約の生命保険が強い味方になる理由。

会社を存続させるためには、経営者の代替わりである事業承継は避けて通れません。会社で契約する生命保険は事業承継の強力な味方になります。

現経営者の万が一により、突然の事業承継となったような場合でも、運転資金不足や自社株の買取資金などに生命保険金が威力を発揮します。

事業承継では、スムーズな経営権の移譲だけでなく、後継者への自社株の移転や経営資金の集中などが必要になります。

事業承継を円滑に進め、経営の安定を図るためには、新規に生命保険契約を考えるだけではなく、以前から保険料を払いつつ継続している既契約の生命保険活用も重要なポイントになります。

昔に契約している生命保険契約は、予定利率が驚くほどよいものがあります。有効に活用すれば事業承継の大きな助けになりますから、そのポイントをまとめました。

保険営業や保険代理店にとれば、新規契約か契約転換でないと成績になりませんから、昔の生命保険の有効活用はあまり踏み込まないところです。

ところが、ここに今では考えられないようなお宝ともいうべき保険があり、保険を後継者に譲渡するテクニックが使えます。事業承継をひかえた中小企業のオーナー経営者や事業承継にかかわる方の参考になれば幸甚です。

■経営権移譲の難しさ、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者。

◆ 法人保険は事業承継と相性が抜群。

どこの会社も事業承継の時期になると、保険契約の内容の見直しが必要になります。

後継者あるいは新しい役員を被保険者とした新たな事業保障を確保するために、新規の保険加入を検討します。そうなると先代経営者を被保険者とした昔の生命保険の処遇が問題になります。

その時点で先代経営者は会長か相談役か、あるいは引退かはわかりませんが、第一線を退くと思います。その結果、経営権を後継者に移譲することになります。

そうすると会社としても、事業保障として必要性が低くなった法人契約の生命保険をどうするか、ということが問題になってきます。

会社契約の生命保険の場合は、下記のような契約関係になっていると思います。

契約者=会社

被保険者=先代経営者

受取人=会社

被保険者=先代経営者が万が一の折、会社が生命保険金を受取るようになっている契約です。

いくつか法人契約の生命保険を長年かけていれば、その中には払込満了(保険料の支払が終わること)の保険、保険料の支払いが継続している契約などがあると思います。それぞれによって処理が変わってきます。

これ以上保障が必要ない場合は、解約を検討することになりますが、解約するだけでは生命保険の特性とメリットを生かしきれているとは言えません。

古い時代の生命保険は、その機能をうまく活用することで事業承継や相続設計に組み込むことができます。法人保険は事業承継と、とても相性がよいのです。

■事業承継の失敗事例は、経営権の移譲ができない意外な理由。

◆ 引退する経営者の生命保険を整理。

会社には経営者がいますが、いつかは必然的に経営権を後継者に譲らなくてはなりません。企業を安定的に継続するためには、円滑な事業承継が求められます。

経営者が会社の責任を負っているときは、相応の事業保障が必要です。しかし権限を後継者に移譲すれば責任が軽くなりますから、必要な事業保障も見直しを必要とします。

後継者が育ってきて社長の座を運よく譲ることができれば、それまでの経営者にかけていた生命保険は役割を終えることになります。新しい経営者に事業保障を集中し、それまでの先代経営者を被保険者とした生命保険は整理する必要が出てきます。

引退する経営者を被保険者とした生命保険は、会社の状況や契約内容にもよりますが、以下の選択肢が考えられます。

・払込満了の終身保険は会社で保持する。

・長期定期保険は解約するか払済を検討する。

・医療保険は引退する経営者に支給を検討する。

・解約して経営資金に充てる。

・解約により多額の雑収入が見込まれるときは役員退職金に充当する。

・後継者や相続人に有償譲渡する。

役割を終えた生命保険は、その後の活用次第で経営上のキャッシュフローや事業承継の大きな助けになります。払込を終えた終身保険であれば、被保険者である先代社長が亡くなったときに保険金に変わります。

定期保険の場合は、解約返戻金の有利な時機を見て解約するか、払済にする手を考えます。

また多額の雑収入が見込まれる保険は、引退する社長の退職金支給を検討します。せっかく損金で課税を繰り延べしてきたわけですから、しっかり出口対策を行って無用な税金を納めすぎないようにします。解約返戻金が大きければ雑収入も大きくなりますので、解約のタイミングを合わせます。

引退する社長の医療保険は、会社でもっていても意味がなくなりましたので、役員退職金として現物支給することを考えます。

■経営者の運が会社の運命を決め、社員とその家族の運命を左右する。

◆ 後継者への有償譲渡が美味しい理由。

なかでも意外な盲点が、後継者への有償譲渡です。ベテランの保険代理店でも会社契約の保険を個人に名義変更すると言えば、引退する社長である被保険者に退職金として現物支給すると考えてしまいます。

これまでの経営者に法人契約の生命保険を退職金の現物支給とすれば、退職所得税がかかり、相続発生時には保険金が相続税の課税対象となります。解約すればキャッシュにはなりますが、死亡保険金ではないので額は大幅に少なくなることが多いと思います。

一番お得な名義変更は、先代経営者が被保険者の保険の契約者を、会社から後継者へ変更することです。後継者への有償譲渡になりますが、この手法が有利であるという理由は、先代経営者死亡時の保険金が、相続税の課税対象とならない点です。

有償譲渡すれば、財産としての生命保険の所有者(契約者)が後継者になります。このため相続発生時に受取保険金から、買い取り資金を引いた額が一時所得となります。一時所得は50万の基礎控除があり、差額としての儲けの半分は非課税となりますからかなりお得になるのです。

◆ 後継者へ買い取り資金の集中と融資。

法人契約の生命保険の解約返戻金は、長年の積立ですから結構巨額になっていることがあります。後継者には早くから買い取り資金を集中することが必要です。

役員報酬を増額したり、贈与を活用したりします。あれこれ手はありますが、資金が足りない場合は、買い取り資金を会社から融資するか、金融機関から借りる必要があります。後継者には資金がありませんから返済は、役員報酬の増額とか、親からの暦年贈与でまかなうことになります。

これで予定利率のよい、レバレッジの効いた保険を後継者が手にすることができます。もちろん保険金受取人は後継者に指定します。

・たとえばの例をあげます。

某国内生保大手の契約です。

保険種類:定期保険付終身保険

被保険者:先代経営者

契約者:法人→後継者に有償譲渡

保険料:払込満了(定期保険部分はなくなり終身保険が残っています。)

契約日:S60.11.20(予定利率が5.5%)

保険金:5,000万(終身保険です。)

解約返戻金:3,200万

これで、後継者は3,200万を負担しますが、相続発生時には保険金5,000万を手にすることができます。相続税にはかからず、差額の1,800万は、後継者の一時所得です。

さらに予定利率がよい時代ですので、解約返戻金の増え方も半端ではありません。先代経営者の退職金として支給すれば、保険金は相続財産となり、相続税が課税されます。この違いはかなり大きいと言えます。

ミソは相続発生時に資金に変わりますが相続税の対象ではなく、後継者の個人的な資金となります。

古い保険ほど予定利率が高くレバレッジが効いているので、差額が大きくなり資金移動としての価値が高くなります。

最近の予定利率は1%以下で、たとえばある国内生保では0.85%などとなっており、古い時代の契約が、いかに予定利率がよいかわかります。

◆ 事業承継に既契約の法人保険活用、まとめ。

法人保険は、事業保障と退職金準備を兼ねるケースが多いと思います。今では費用化できる割合に規制が入り、保険料を損金で落とせる比率が少なくなりました。

それでも保険料を費用で落とし、税金を回避しながら簿外に資金を蓄積出来れば有利です。通達が発遣される前の契約では、まだ全額損金や半額損金が、既得権として認められている契約も多数あると思います。解約するとそれまでに払い込んだ保険料が、解約返戻金として戻ってくるので雑収入になります。

法人保険の大きな目的のひとつが、経営者の退職金準備です。この雑収入を役員退職金にあてれば、うまい具合に利益の出口対策となっています。

また事業承継では、後継者にいかに資金を集めるかが重要になります。経営するには自己資金が豊富でないとどうしようもありません。金融機関の信用だけでなく、資金の裏付けがないと打つべき手が滞るというものです。

後継者に資金を集中する基本的な手法は、役員報酬の増額ですが一気に移すことはできません。この問題をクリアして、法人保険で後継者へ資金を移動する方法はいくつかあります。

事業承継と相続設計はある意味では、資金の引き継ぎでもあります。資金移動が円滑にできないと、後継者は難儀することになります。それを税金というコストを最小限に抑えて可能にできるのが法人保険なのです。

法人保険を使った後継者への資金移動は、それだけで相続税の納税資金対策になっています。換金できない自社株を引き継がなければならない後継者には、納税資金として保険金というキャッシュが必要なのです。

事業保障目的の法人保険は、代が変われば役割も変わるということです。会社の信用と責任を負う人に、事業保障は集中すべきです。そしてこれまでの経営者にかけていた生命保険は、役割を終えたわけですから整理していかなくてはなりません。しかし単純に解約したり、退職金として現物支給したりするだけが手ではないのです。

役割を終えた経営者保障になっていた生命保険は相続対策へ。言うは簡単ですが、さっさと解約できない経営者心理という問題もあります。この辺は経営者の引退という別の問題にからんできます。

ワンマン社長の認知症は会社を潰す。

中小企業の事業承継がピンチ:高齢化と後継者不在で廃業・清算の苦境。

事業承継の壁、後継者の責任。

事業承継の最大の壁は経営権の委譲と後継者の責任。

CIMG3205法人保険にかかわっているといろんなケースに出くわします。売る側での経験と買う側での経験は、事業承継の本質的な部分と違った側面を見ることができます。

事業承継対策の柱は円滑な権限委譲と自社株対策になります。

もちろん法人保険がかかわる範囲は限定的で、退職金の原資を生命保険で準備するとか、後継者に資金を集中するための名義変更などのスキーム活用があります。

自社株の贈与もいろんなスキームがありますから、そこは専門家に任せておけばいくつかの選択肢を提案してくれると思います。

◆ 後継者への権限移譲は難しい。

一番難しいのは後継者の指名と育成、そして権限移譲ではないかと感じています。これはなかなか適切な相談相手がいないとしたものです。事業承継の手順として決まったパターンや正解もありません。

そういう意味では事業承継において、最大のリスクは、後継者がやる気をなくすような事態であると言えるでしょう。

ワンマンのオーナー経営者は、これまですべて自分の一存で経営判断をされてきてきたと思います。経営者としての資質もあったのでしょうが時代の流れにうまくのることが今日の成功を築いたとしたならば、後継者の判断はたとえ実の息子でも未熟で甘いものと映ることでしょう。

これも仕方がないことではあるのですが、立場かかわれば柔軟に考えることができなくなります。

◆ 後継社長の未熟さ責めるな、来た道だもの。

経験や知識が少ない後継者が判断を誤ったり、失敗するのはあたりまえです。それを積み重ね、経験としての財産を積み上げていくわけです。最初からうまくいくと、その方が後々よほどリスクが高くなるものです。

後継者にとれば、たとえ我が子でも、親族外の社員からでも社長を継ぐということは、非常に勇気のいる決断です。それができなければM&Aか廃業・精算を考えなければいけないわけですから、オーナー社長はそのことを肝に銘じることが必要です。

後継者に対しては、口出ししない明確な経営権の委譲が必要です。社員も決定権がどちらにあるか、微妙にかぎ分けているものなのです。

ところが、経営権を譲り任せたつもりでも、後継者にすればそうは思えないことが多いのが実際です。このギャップが後継者を追いつめることになります。

自分としては身を引いて譲ったつもりでも縄付きではいかんのです。任すなら成功も失敗も全部後継者責任で任せることです。経営者として駆け出しのころは自分も数々の失敗と判断ミスを積み重ねて今日あることを自覚すべきです。

事業承継、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者の悲劇。

◆ 事業承継の失敗は社員が不幸になる。

私の知る例では、40歳台になっても永遠の副社長で、最終決済の権限がなく、副社長として決めたことを権限を離さない社長に再三くつがえされることに嫌気がさし、高級車で暴走し瀕死の重傷を負った例がありました。これで反省して経営を任すかと思いきや、暴走する息子にいよいよ経営権を委譲できなくなり事業承継は暗礁に乗りあげた格好です。こうなって生命保険でもどうしようもありません。

立場が変われば、思いも感じ方も違います。経営を任せる立場は、感謝の気持ちを持たなければなりません。ゆめゆめ「譲ってやった」などと考えてはいけないのです。

事業承継に失敗して困るのは従業員とステークホルダーです。

社員間に不安な心理が拡大し後継者社長に対する求心力も低下します。

経営権移譲の難しさ、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者。

◆ まとめ

後継者に対し、常に「継いでくれた」という感謝の気持ちが何より大事です。口出ししないということは難しいと思います。一度任せたら仕事内容を見ないこと、後継者から聞かれるまでアドバイスしないこと、それができないなら決済をすべて任せて出社しないことです。

経験不足で招いた事態は後継者が自己責任で乗り越えてこそ経営者としての資質が身につくというものです。事業承継の壁を乗り越えるために必要なことは、相手の立場を理解するということに尽きると思います。ただワンマンオーナー経営者には残念ながら誰も本音で言わないし、物事の真実は伝わらないものなのです。

事業承継と生命保険の危機!

生命保険でも救えない中小企業が半数。

CIMG2266中小企業の事業承継には厳しい時代になりました。

いきなりではありますが、どこの会合に顔を出しても高齢の経営者が多いことに気が付きます。

別に驚きはしないのですが、団塊世代経営者の、老いて尚の頑張りに目を見張ります。

サラリーマンならとうに引退している年齢です。楽隠居はできないでしょうが一線は退いていて普通の年齢です。

かくいう私が団塊世代の後の世代ですが、体力的に無理をしないよう心掛けるようになりました。

毎朝ストレッチ体操から始めないと関節が痛むようになりましたから、団塊の世代は気力体力ともに限界に近づいている経営者が多いものと思います。

◆ 中小企業の廃業は深刻な社会問題。

なにしろ日本の中小企業は99%、そこに雇用されている従業員数は70%というから中小企業や個人事業者の存続は社会問題になるわけです。

データによれば、団塊世代の経営者の大量引退時代を前にして、なんと法人個人合わせて半分の経営者が廃業すると答えているそうです。

事業承継の壁、後継者の責任。

◆ 廃業理由の3割が後継者不在。

廃業に至る理由は様々ですが、後継者不在という深刻な問題が、廃業理由の3割に上ります。

悲しいのは会社の業績は悪くなく、子供がいるのに継ぐ意思がないというケースです。

継ぐ意思がある子がいても継がせられないというのも困りものですが、継ぐべき能力があっても、自分の能力を生かした道で生計を立てたいというケースも見かけます。

◆事業承継税制の行く末と効果。

事業承継税制は改正に改正を重ね、中小企業のオーナーの考え方に近いものになりつつありますが、これが事業承継の追い風になるかどうか、見極めが必要になってきました。

より安全な事業承継はできるだけ早い時期に後継者を指名して時間をかけて対策を講じることが必要です。

事業承継税制の詳細は平成30年度税制改正大綱を読みこむ必要がありますので、後日まとめることとしますが、中小企業のオーナー経営者にとれば経営の手の内を明かしたくないし、経営上の縛りや制約が多くなることは避けたいのです。

来年のこともわからないのに雇用維持など約束できるわけがないのです。そんな間の抜けた縛りでは、経営がピンチになっているとき人員削減もできないことになります。リストラすれば遡って課税されるとなれば、それこそ全く弱り目に祟り目という他ありません。

◆ 生命保険はそれなりに進化、でも時間はかかります。

生命保険で資金的な対策をするにしても自社株を相続あるいは贈与するにしても時間がかかります。できれば10年欲しいところです。

ところがその生命保険も予定利率最低時代で、かつての時代のようなスキームが使えなくなってきました。

とはいえ、生命保険会社も生き残りをかけて合従連衡を繰り返し、使い勝手はいまいちですが、ギリギリの商品開発を進めてきました。

保険会社が新しい全損タイプの法人保険を設計するなら中小企業オーナーが求めているツボを押さえなくては的外れと言わざるを得ません。選択肢は徐々に増えてきましたが、まだここが弱いと感じています。

団塊世代の経営者の引退とそれに伴う事業承継・相続設計に生命保険が有効であることは変わりません。

経営者の引退間際の悩みをとことん深掘り、共感間違いなし。

60歳から70歳ぐらいのお年になると、事業承継セミナーなどに参加され頭の中に「引退」の文字が浮かび始めます。このお年頃になると「功成り名遂げて身退くは天の道なり」とは言いますが、実情はいくら資産があっても引退間際になるとオーナー経営者の悩みは尽きません。

■経営者は自分のリスクが理解できない本当の理由がアブナイ。

◆ 後継者への不満が悩みの種。

後継者に会社を任せるとは言ったものの、何もわかっていない、経験不足の後継者に不安は募る一方です。口は出さないと宣言したものの、大人しく見ていられない苛立ちが渦巻いています。

できれば自分が指導したいが、口を出すと反発があるので、アドバイスと言う名目で口出しします。これが事業承継をよりややこしくしてしまいます。

幹部社員もどちらを見て指示を仰げばよいか、判断ができなくなります。どちらにも良い顔をしつつ、何もしないで雲行きを見るようなことになります。

■経営権移譲の難しさ、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者。

◆ 引退間際の経営者の悩みを11項目にまとめ。

退職金をもらって引退するとしたものの、会長職にとどまり毎日出社するようになります。そうするとタガが緩んだ幹部社員が気になりだします。社内の空気も緊張感がありません。かと言って口出しすると後継者が嫌がります。

引退したとは言うものの、体はまだまだ元気です。口出ししようにも、情報が聞こえてこなくなります。まさしく引退間際の経営者の悩みや本音は、ますます深刻になります。

① 後継者に会社を任せるのはまだまだ心配。

引退した経営者とは違う、新しいことをやりたがる後継者がいます。リスクをとれば利益は見込めるかも知れないですが、継続企業という視点からはハイリスクです。後継者は、自分の手柄をあせりますから、相談なしで突き進んでしまいます。任せたもののまだまだ心配は尽きません。

そういうリスクには、万が一の緊急予備資金として、また事業保障として法人保険は有効な手段です。

② 自分が心血注いだ会社は残して欲しい。

引退した経営者にすれば、M&Aの道もあったが、社員や関係者の生活を考えて会社をどうにか守ってきたという自負があります。

自分一代でここまで育ててきた会社です。自分の人生であり、分身でもある会社を人手にわたすようなリスクは、避けたいと思うのは当然の心情でしょう。運よく後継者がいても、事業が継続できるかどうか心配は尽きません。

③ 世の中のルールなど穴だらけ、馬鹿正直が損をする。

経営は教科書や手順書があるわけではありません。法律も世間常識も、コンサルタントのアドバイスすら当てにできないものです。信じられるのは自分だけであり、世の中の決まり事を杓子定規に守っていては、会社守れないと考えます。

そのような経営センスは、経験が浅い後継者に期待するのは無理と言うもの、やはり心配は尽きません。

世の中のルールより生命保険の解約返戻金の方が、よほど確実で信用できると言うのも無理からぬところです。

④ 税務署も労基も公務員は身の保身第一。

敵に回してはいけませんが、仲良くしすぎてもいけないのが公務員です。強気に出れば引っ込むし、下手に出ればつけあがるのでつきあい加減が難しいというわけです。

しかし公務員との付き合いのさじ加減は、やたら大きいので経営においては駆け引きも大事です。後継者に教えてもどこ吹く風、ますます心配の種は尽きません。

⑤ 経営は日々泥縄、辛抱と始末が大事。

どんな企業も内輪は問題山積、一つ間違えると一大事を、だましだまし乗りこえるのが経営です。諦めず用心深く、お金は始末が第一です。

入るを量りて出ずるを制すれば、すなわち残るものが儲けです。経営でケチ精神は、何より大事な心掛けと言えるでしょう。吟味せずに出資する後継者に、心配はさらに重なります。

⑥ 人を動かす力は金と権力。

社員も家族も関係者は、基本的に面従腹背です。金と権力が人を動かします。これは人間社会の法則です。金の切れ目が縁の切れ目とならないよう、キャッシュを確保することが大事です。

社員を信用し過ぎないことが経営の要諦ですが、後継者は、お金の管理も人任せ、これでは心配はなくなりません。

リスクに備えた法人保険こそ、いざというときのキャッシュであり強い味方です。

⑦ 相続税ほどばからしいものはない。

払いたくない税金の中でも、相続税ほどばからしいものはありません。中小企業はまともに相続税を払っていたら、存続できません。あの手この手で相続税の節税を図ります。

しかし、相続対策の内容は、後継者には秘密にしたいと思う経営者も多いことです。

相続税対策は、遺産の分割対策でもあります。経営を優先しつつ、他の相続人からも異議が出ないよう考えなくてはなりません。ここは、決めかねる悩ましい部分になります。

⑧ 贈与をすれば無駄遣いが心配。

贈与を活用すれば節税できるのはわかっているが、後継者に現金を渡せば無駄使いが心配です。財産は保険にして名義変更しておけば、そのときは使えない資産ですから感謝されませんが、ひとまず安心です。

生前贈与のリスクは、無駄遣いということがあります。生命保険で対策をしておけば、緊急事態はキャッシュに早変わりします。

⑨ まだまだやれるのに遺言書など書きたくない。

自分はまだまだ元気、まだまだ後継者を指導しないと安心できないというのがオーナー経営者の本音です。やいのやいの言われても、遺言書などまだまだ先でよいと考えてしまいます。

資産を整理することは大事ですが、割り振りをあわてて決めることはないと考えています。自分はまだまだ長生きするはずであると思うのも、体が動くうちはそう考えて当然です。

でもやっかいなことに、体が弱ると遺言書のことを考えるのが、億劫になるようです。

⑩ 信用できるのは自分だけ、最後まで金は離したくない。

経営者は、金のことに関して家族といえども言うことを信用してはいけないと思っています。何と言っても信用できるのは自分だけ、相続対策を早くやりすぎて、金を手放すと金の切れ目が権力の切れ目となります。

果ては縁の切れ目にもなる可能性もありますから、慌てないことです。

⑪ 裏切らないのはお金と保険だけ。

まさに裏切らないのは、お金と生命保険だけです。お金はそのまま相続財産として残すと、色がついていないので何かと分割に際しては厄介です。

保険なら受取人指定で争いの種になりません。裏切らないのはキャッシュと保険だけとは、厳しい現実です。保険会社が第三者として契約を粛々と履行しますから、安心できるわけです。

■高齢社長が引退しないと困る理由、本音はやめたくない。

◆ 引退間際の経営者の悩みと本音、まとめ。

経営者の本音と悩みを、思いつくままに列挙しました。経営という仕事は、決して楽な仕事ではありません。時として厳しい決断も求められます。責任も重大ですし、気の休まる時もありません。

さりとて尊敬されるか、感謝されるかといえば、必ずしもそうとは言えない面があります。どちらかと言えば、恨みを買うことの方が多いように感じます。

言ってみれば経営とは、孤独を覚悟することでもあります。このブログの立場上、せめての助けに法人保険は有効であると申し上げておきます。

■引退の引き際を誤る経営者を体系的に解説したページ
社長の引退は制度では決まらない|引き際を誤る経営者の共通点。

中小企業の経営課題はその日暮らし、体験を側近が語ると泥縄経営。

社長の生命保険は後継者に譲渡で得する裏ワザ!?

社長の生命保険は後継者に譲渡で得する裏ワザ!?

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法人保険は役員保険とも言われますが、被保険者が社長などの役員、会社が契約者で受取人も会社という形態が法人契約の基本的なパターンです。

経営者や役員を被保険者として万が一のとき、会社に保険金が入ることにより事業上のリスクを回避することが目的です。それだけではなく昔に契約した予定利率が高い時代のお宝保険があれば、法人契約の生命保険を後継者に譲渡することで、法人から個人へ資金移動することに使えます。

◆ 予定利率の高い金庫保険を使い道。

どの会社でもこれまで何本かの法人保険に加入しているはずです。社長の身に何かあれば会社や従業員が困りますから、どんな会社でも事業保障目的で何本かの法人保険に加入していると思います。金庫の奥深く、金庫株ならぬ金庫保険の証券が見つかるものです。払込をすでに終わった予定利率のめちゃくちゃ高いころの終身保険が静かに眠っています。払込満了ともなると毎年の支払いが発生しませんからB/Sに載りますが財務担当者は、PLに関係がありませんから、普通あまり興味を示しません。

他にも退職金準備と事業保障を兼ねた長期平準定期保険があったり、余裕のあったころに知り合いの代理店に拝み倒されて入った変額終身保険だったりと、他にもいろいろな契約があると思います。

当然この話は社長が被保険者で会社契約の保険の話です。

◆ 後継者に社長の保険を有償譲渡。

下手な財務担当なら予定通り解約して退職慰労金に充てようとします。少し知恵が回ると法人保険を退職慰労金の現物支給として考えます。

ところが生命保険の有効活用という視点ではまだ知恵が足りないのです。損金保険などで簿外に退職慰労金の原資が蓄積されているなり、他で資金が工面できるなら医療保険を除き社長被保険者の保険は、すべて後継者に譲渡してしまうのがうまいやり方です。

解約返戻金相当での保険の譲渡ですから何の問題もありませんが、一つだけあるとすれば後継者の購入資金です。

そんなものは社長が貸し付ければよいのです。相続発生までスズメの涙ほどの利息を払いつつ借りっぱなしでよいのです。相続が発生したら保険金で精算すればよいだけです。逓増定期の名義変更というスキームで資金移動して保険の購入資金に充てることもできましたが、2021年5月現在、もはやその手は国税庁により封じられました。

保険譲渡の良いところは後継者の買取資金に保険というレバレッジが効いて何割か増しの保険金が受け取れます。解約返戻金よりも死亡保険金が上回るのが普通です。また解約返戻金は銀行預金などよりはるかにしっかり増加していきますから有利で確実な資産運用です。ただ保険商品や契約時期により予定利率がかなり異なりますからそこは開きがあると思います。

◆ 死亡保険金に相続税はかからない後継者の一時所得。

それも相続税はかからずにです。どういうことかと言うと譲渡後の形態は契約者が後継者、被保険者が社長、受取人が後継者になりますから、税制上はとても有利な一時所得になります。

一時所得は美味しい|生命保険で徹底活用。

契約形態:被保険者は変わりませんが契約者と受取人を後継者に変更します。

契約者:法人→変更後後継者

被保険者:社長

死亡保険金受取人:法人→変更後後継者

さらに他の相続人に遠慮することなく後継者に資金を集中できます。後継者の受取保険金は相続財産ではなく保険金受取人である後継者の一時所得です。保険金全体が一時所得ではなく、保険金から譲渡金額を差し引いた残りが一時所得の課税対象となります。この保険金は相続税の納税資金に充当できますから、事業承継対策に一役買っています。

だから申し上げたいのは簿外に退職慰労金の資金をしっかり貯める法人保険の長期的計画が会社の存続に大きな影響を与えるのです。

長い目で法人保険を活用すると相続・事業承継で驚くような働きを見せてくれるのです。ホントにここをお分かり頂きたい。

◆ 生命保険の名義変更とは、課税関係を確認!?

生命保険の契約者を変更することを名義変更と言います。保険会社の書類も契約者を変更する場合「名義変更請求書」となっています。個人から個人へ変更する場合も法人から個人へ名義を変更する場合も同じく名義変更です。

名義変更すれば契約者が変わりますから、生命保険という財産が譲渡されたことになります。一般的に個人間では有償譲渡はあまりないでしょうから贈与か相続になるでしょう。いずれにしても課税の対象となります。

法人から個人へ名義変更する場合は、給与か退職金か有償譲渡になります。給与か退職金で保険を支給されると解約返戻金相当額に所得税が課税されることになります。解約返戻金相当額で有償譲渡する場合は売買ですから課税関係は発生しません。

◆ 保険譲渡で得する裏ワザ、まとめ。

裏ワザとは書きましたが、実際は何の問題もない保険の売買です。裏ワザと申し上げたのは保険活用において意外な盲点になっているからなのです。

保険代理店にしても保険営業にしても名義変更を積極的に提案することはあまりありません。手続きそのものに自分の利益が伴わないからです。

また企業の財務管理者は、事業承継の資金繰りまでかかわろうとしないことに原因があります。この仕組みのメリットがあるのは保険の予定利率が大きく変わってきたからです。

お宝保険と言われるころの予定利率は5%以上あったものが今では1%を割り込んでいます。保険契約は契約時点の予定利率を引き継ぎますからお宝保険だと解約返戻金の増加率も、死亡保険金も大きくなりますので名義変更する価値が大きくなります。そこを理解したうえで後継者への有償譲渡を提案するわけです。できれば解約返戻金が大きくなる前に、早めの譲渡が効果的です。

掛け捨て生命保険の名義を相続発生直前に書き換える。

事業承継スキームとして掛け捨て生命保険の名義を相続発生直前に書き換えるという手法を提案している書籍があります。

それも定期保険を、だそうです。全くバカげた話です。

確かに生命保険契約の名義変更は何度でもできます。そういう意味では会社で契約していた生命保険を死をまじかに控えた経営者に名義変更すると死亡保険金は家族の受取となり相続税の対象となります。CIMG2233

法人で死亡保険金を受け取ってしまうと払込保険料を費用で処理していれば保険金は全額雑収入にはなりますが、これは会社の信用を維持するための運転資金になるものです。

その生命保険はもともと何の目的でかけたかということです。

それ以前の問題として定期保険で解約返戻金が0などというものはお勧めしにくい商品ではありますが保険料を押さえて保険金を大きくする仕組みだと思います。

でも定期保険です。そのうち保険期間が満了してしまいます。

終身保険や超長期定期保険なら受け取れることでしょうが解約返戻金が0になることも保険料を全額損金にすることもできません。

ただし95歳ぐらいの長期平準定期保険を後生大事に抱えておき被保険者死亡を待つという手も、姑息ながらありますが。実際無理な話です。

毎年保険料を払う時期だけ法人名義にしてあとは個人名義にしておいて死亡保険金を受け取るのを待つようなことになります。そんなこと普通の神経でできますか。

私の憤りに対して間違いを指摘していただける方を募集します。本代返せ、です。

とは言え生命保険の受取人変更の注意事項も必要になると思いますので、下記をご参照ください。

◆生命保険の受取人変更12の実務ポイントをどこよりも詳説。

法人に資産を積み上げる間違いを指摘すると。

法人に資産を積み上げる間違いを法人保険で解消することができます。

中小法人で継続的に利益がでていると自己資本比率は高まります。

会社としては結構なことでしょうが長期にわたり利益が積みあがると事業承継的には自社株評価が高くなりすぎて困ることがあります。後継者に自社株を譲渡するときの評価額が高すぎて、贈与しようにも贈与税でどうにもならないことになります。

しかし経営者としてはいくら自己資本比率が高くなっても安心できると言うことにはならないものです。一番良いのは経営者自身が資金力を持つことですがそのためには役員報酬を上げて多額の所得税を支払わなくてはなりません。

右を向いても左を見ても税金でがんじがらめになっています。

保険料は保険積立でもキャッシュアウト法人保険もほどほどに。

これをクリアする最も手堅い手法が法人保険の活用です。

一つは法人保険の損金で利益を落としておき簿外に積み立て退職金で受け取る方法です。有利な退職金税制を最大限活用します。

もう一つの方法はやはり逓増定期の名義変更を活用し資産の移転を行います。逓増定期の名義変更サイクルは多くの場合5年ですので、毎年逓増定期に加入し5年後から順に毎年名義変更を行い一時所得を手にする戦略です。

名義変更後に解約すれば被保険者の契約枠が空きますし、法人としてもこれまで払っていた保険料の枠も空いていることになりますから引き続き加入します。

加入枠は一般的に最大保障額の5億が多いですから契約としては被保険者一人に契約一本ということになります。経営者の奥様が役員をされているならもう一本加入も可能です。若い後継者では保険料が伸びないので移転できる額も少なくなります。

法人から名義変更する契約者は経営者の親族であれば誰でもかまいませんが、経営を継続するために資金を必要とする人、いわゆる後継者がもっとも適切です。CIMG2022

現経営者に名義変更することも多いですがよく考えるとせっかく安い税率で移転した資金が最終的に相続税にかかることから考えものではあります。

社長の生命保険は後継者に譲渡で得する裏ワザ!?

事業承継に長期契約の法人保険活用がメリット大!

後継者なら解約返戻金を受け取った時、差額利益に対し一時所得だけになります。

実際10年間で役員報酬以外に2億から3億以上の資金移動が可能です。しかも堂々と税務署には一時所得で申告済みですからまずは安心です。

いかんのは欲を出しすぎて支払調書が行かないという話を鵜呑みにすることです。保険の理屈から言えば解約返戻金が支払保険料累計を100万以上回ることは逓増定期保険では普通あり得ません。(保険会社によりますが)

とすれば支払調書は本来税務署にはいかないのです。がしかし、ここは変わりつつあるところなので、名義変更のながれは当局は把握されているものと考えるのが安全です。

ゆえに解約返戻金から個人で払った費用を差し引いた部分を一時所得として申告して下さい。

得た資金はそのまま相続税の納税資金にもなります。まさに一石二鳥どころか一石三鳥にも四鳥にもなります。嘘のような本当のウルトラスキームです。

事業承継の失敗事例は、経営権の移譲ができない意外な理由。

事業承継の失敗事例は、経営権の移譲ができない意外な理由。

経営権と後継者の嫁ということが、事業承継での思いがけないリスクになることがあります。オーナー経営者は、我々が思いもよらない心配をします。

■経営権移譲の難しさ、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者。

◆ 事業承継の壁は人間不信。

思いがけないことが原因で、事業承継が進まないばかりか、果ては失敗事例になってしまうことがあります。息子を後継者にする以外に選択肢はないのですが、なかなか事業承継・相続設計が進まないケースがあります。

さっさと対策して株を渡せばよいものを、何を悩んでいるかと思いきや、先行きの心配が半端じゃありません。

権限の移譲ができないだけではなく、人間不信が根底にあることがあります。まさかと思うような後継者の嫁リスクは、実際の悲劇の事例として経験があります。

◆ 後継者の嫁リスクの真実。

息子、すなわち後継者の万が一を恐れているのです。

後継者がいなくなることをではなく、会社の経営権を息子の嫁やその家族に取られることを危惧しているのです。

そりゃ後継者万が一のとき、その配偶者が相続するのは当たり前です。しかしそれでは、経営の実権を失うことになる現経営者は、たまらないというわけです。

もしもそうなったとき、息子の嫁から会社の株を返してもらうには、多額の資金がいります。かといって縁が切れたからといって、他に売りさばかれても困るわけです。

だから最後まで、評価の高い自社株を過半数以上は手放さなくなるのです。孫でもいれば、多少事情は変わるかもしれませんが、経営権という点では同じリスクになります。

これが事業承継設計のときに当たる意外な壁です。ある経営者などは、息子がつきあっている彼女の一族を興信所で調べ上げて、寝てもさめても心配していました。資産があるということは、その分だけ悩みも多く、心配も尽きないということです。

■事業承継のまさかと後継者の力量不足が会社を揺るがすリスク。

◆ 事業承継の失敗事例、意外な理由、まとめ。

事業承継をすすめようとすると、想定外の障害が立ちはだかることがあります。その多くは妄想であり取り越し苦労ですが、どうすることもできない思い込みなのです。

そういうときは、誰が何を言おうと、経営者は聞く耳をもちません。考えてみれば、それも一つの定めの内なのかもしれません。

人は皆、あることないことに妄想を抱きます。そのほとんどは杞憂に終わるのですが、当人は至ってまじめに考え、真剣に心配します。その結果、自分の体力や気力の衰えを棚に上げて、経営権の移譲にしても、まだまだ無理だと考えてしまいます。

自分だって、何もわからず経営を始めた時期があることを考えれば、同じことです。後継者には後継者の運命があります。先行き短い身の上では、それについて回ることはできません。

会社をつぶすか発展させるか、それはその後の後継者の人生のなかで、巡りくる選択の結果です。一人の人格をもった後継者のたどる道です。他者が介入しえない運命であり、どうすることもできないものなのです。

経営者の運が会社の運命を決め、社員とその家族の運命を左右する。

中小企業の事業承継がピンチ:高齢化と後継者不在で廃業・清算の苦境。

ワンマン社長の認知症は会社を潰す。

後継者に足りないものは生命保険。

Hydrangeas後継者に足りないものは経験とお金です。

経験は仕方がありません。試行錯誤しつつ積み上げていくより方法はないですね。

でもお金なら何とか手段があります。相続で渡すのではなく生前に移行することが節税になります。

その手段に生命保険を活用することは有効です。大事なことはなるべく現金を残さないよう組立を考えることです。

早期に解約をすると損になるような保険にしておくと資産として支えになってくれますが、渡すにしても現金はあきません。現金を手にして気が大きくならない人はいません。

ここは大事なところです。頭が良くても真面目でも関係ないのです。現金をもったということに体と脳が反応してしまうのです。

後継者にもうひとつ足りないものがあります。知識です。特に一生懸命事業承継のため親や専門家が考えて説明しても、うわべだけの理解となり本番では役に立たないことがおこります。

仕方がないですがその結果損をするか得をするかは運任せ。後継者の人生は後継者の運命で決まります。

良い参謀が現れれば大きなけがをせずにすむかもしれませんし、一気に走って会社を左前にしてしまうかもしれません。とやかく言っても人生ですね。その時に備えて資金源として後継者にはうまく生命保険を付けていく。経験から言って効果的です。

知る限り後継者は現経営者と違うことをしたがります。養子さんであろうが実子であろうが同じことです。逆らうか従うかはそれぞれですが面従腹背は社員と同じです。後継者を自分の思いどおりに従わせるなどできない相談です。いくら頑張っても若さと馬力にはかなわないとしたものです。また血気盛んな社長でもいつか衰えます。その時にはあきらめるしかないです。後継者の出来不出来はそれぞれですが、」経営とは資質だけで決まるものではないことは身に染みて理解しているのが経営者です。

結論的に申し上げます。ゆずる時は譲る。失敗は本人の責任、衰運は本人の運次第。出来ることは生命保険で簿外にいくばくかの資金を用意しておくことです。キャッシュは後継者のその時に必ず役に立ちます。

目先の小金と生命保険の大金

目先の小金と生命保険の大金、人は誰でも目先の小金には渋いが見えない大金にはうといもの。

生命保険はたいていの場合大きなお金が関わります。法人契約ならなおのこと巨額になることが多いのですが、保険証券を見てもその価値が札束のように実感できません。

後継者にとって親の会社を継ぐことはうっとおしいし、サラリーマンやってる方が気楽でよいという考えの人もいることは間違いありません。

でもそのときはそうでも人生にはお金がいる時期があります。それほど簡単に達観できるものではないのです。

ある時期会社というのはお金の塊であることに気づきます。

平たく言えば壁や柱にお金が埋まっているのが会社です。

生命保険に正解はないが経営も正解はない。

生命保険は相続事業承継においてお金を見えにくくする効果があります。

またいつでも現金化できるのに解約はもったいない気持ちと煩わしさがあり換金しにくいのです。金に困っている場合はこの限りではありませんが、生命保険はお金を静かに眠らせてくれます。

そして本当に必要なときに正義の味方よろしく忽然とキャッシュに変わります。生命保険金としてあるいは解約返戻金として姿を現すのです。

過大な生命保険は同族会社の行為計算の否認に当たるか。