生命保険の契約者変更と受取人変更 | 課税関係を解明。

生命保険の契約者変更と受取人変更の課税関係を解明します。

生命保険は簡単な手続きで契約者も受取人も変更が出来ます。しかし被保険者は体の健康を提供していますから、その契約に関しては決して変更できません。

CIMG2421課税関係を考えると結構ややこしくて面倒なのに生命保険としての変更手続きは拍子抜けするほど簡単に出来てしまいます。

もともと生命保険は契約するときに一番手間がかかります。診査があったり告知を書いたり、時には条件が付いたりと、とても入りにくい生命保険ですが、ひとたび契約してしまうと後の手続きは比較的スムーズに進みます。

それだけに何気なく安易に変更することで、後でもめたり追徴課税が発生したりという面倒なことになりがちです。他の金融商品には被保険者も受取人もなく契約者がすべての権利を持ち、判断します。

ところが生命保険には利害が絡む受取人と被保険者が必ず関与します。被保険者は体を提供しますから元から受取人にはなり得ません。これはわかりますね。自分の死亡保険金を自分が受け取ることはできないと言うことです。ですから契約者と被保険者が同じとき、契約者は自分を受取人に指定することはできません。

その場合、自分以外に受取人を指定すれば保険金を受け取る時の課税関係は贈与か相続になります。

生命保険といえども、こっそり内緒で、宝くじのように課税関係無縁で大金は入らないのです。

わかりにくい部分もあるので表にしてみました。生命保険の契約者変更(=名義変更)と受取人変更にかかる変更可否、権利関係、課税関係がこれでお分かりいただければありがたいですが、いかがでしょうか。

 (契約者)(受取人)(被保険者)
変更可否不可
変更手続契約者変更=名義変更
A.無償譲渡⇒贈与
B.有償譲渡⇒売買
受取人変更不可
権限変更は契約者の意思契約者が指定同意
権利/受取・解約(解約返戻金)
・受取人指定
死亡保険金生存給付金(入院給付金etc.)

課税関係受取時課税
(A)新契約者:贈与税
(B)新契約者:一時所得
受取時課税
贈与税
相続税
非課税

その1) 

変更可否、契約者と受取人は契約者の意思で変更できますが、被保険者は変更できません。

その2)

世間では名義変更と言うほうがよくわかりますが、生命保険契約の契約者変更です。お金を払って保険契約を買えば売買ですが普通は無償で変更します。無償で保険契約を譲渡すれば贈与ということになり、贈与税の課税対象となります。

その3)

契約者の変更も受取人の指定も契約者の権利ですが変更する場合、被保険者の同意が必要になります。保険会社の変更請求書には被保険者の自署欄があります。

その4)

契約者は受取人を指定する権利がありますが、契約そのものを解約し解約返戻金を受け取る権利があります。

その5)

受取人は被保険者死亡時に生命保険金を受け取る権利を有しています。この時課税関係に注意する必要があります。自分が契約者でない場合、相続税か贈与税になります。

その6)

被保険者が生存中に病気になって受け取る入院給付金などの生存保険金は基本的に非課税です。

その7)

解約返戻金にしても生命保険金にしても名義を変更しただけでは税法的には課税されません。保険がお金に代わる時課税関係が発生します。

◆生命保険の受取人変更12の実務ポイントをどこよりも詳説。

生命保険の受取人指定は遺言書より確実な理由。

生命保険の受取人は遺言書より確実なのに自分が受取人であることに自覚がないのです。

CIMG2426残念なことですが本稿に興味を持ち検索されるのは主に契約者の方であり、被保険者や指定された受取人はその時まで関心があまりないのが普通です。

生命保険の受取人に警鐘を鳴らしたいと思っても、どうも効果は薄いようなので契約者の方に受取人指定の機能がいかに有効で卓越しているかを下記の4項目でご説明申し上げたいと思います。

① 生命保険は契約者の意思で受取人が指定できる。

② 生命保険契約は契約者のもの。

③ 生命保険の受取人指定機能は争族を未然に防ぐことができる。

④ 生命保険は遺言より確実に受取人が指定できる。

家族内でも相続に関しては譲り合うことが出来ないケースが多いのです。相続税どころかわずかなお金を巡って裁判になる事も珍しくありません。生命保険の受取人指定機能を活用して少しでももめ事を未然に防げればとの思いです。

実際は受取人を指定しても争いになります。しかし契約者である被相続人(亡くなった親)の意思は明確にすることができます。また生命保険会社は指定された受取人以外にはびた一文支払うことはありませんから決着はついています。

① 生命保険は契約者の意思で受取人が指定できる。

契約者は自分で保険会社と契約します。自分で保険料も支払いますから保険契約に関してはもっとも自覚があり契約の意志があります。

体を提供する被保険者は通常告知書の記入やら診査がありますから被保険者としての自覚はあります。しかし保険料を負担していない分、自覚は低いですし、忘れる可能性が高くなります。

しかし生命保険の契約では契約者と被保険者が同じということはよくありますからそういう場合は忘れて仕舞うようなことはあまりないわけです。

ところが生命保険の受取人に至っては契約者が申込書に指定するだけですから全く自覚がありません。契約者が本人に伝えなければ自分が受取人であることを知らないということもあります。

相続が発生すれば受取人は重要な立場ですが、どうもピンとこないケースが多いように思います。受取人は契約者以外に変更する権限は誰にもありません。契約者の意思による変更以外に絶対に変更できないのが生命保険の受取なのです。

② 生命保険契約は契約者のもの。

CIMG2453生命保険契約は基本的に契約者のものです。保険料というお金を払った人に所有権があります。他の金融商品でも損害保険でも契約者は同時に指定せずとも受取人になります。

考えれば至極あたりまえです。金融商品はお金を負担した人が結果として得られる収益を手にすることが出来ます。

唯一生命保険だけが受取人を指定する仕組みがあります。それは保険事故発生時には被保険者かつ契約者が死亡していることもあるので、保険金を受け取る人を指定する必要があるわけです。

もう一つのケースは契約者と被保険者が異なる場合(例:契約者=親、被保険者=子)受取人は契約者にするのが普通です。

生命保険契約は契約者のものですが人の死亡を前提としていますから受取人を指定しておく必要があるのです。

③ 生命保険の受取人指定機能は争族を未然に防ぐことができる。

相続では生命保険の受取人は相続財産と区別して受取人固有の権利として認められています。相続の場面で生命保険契約がものを言うのは、この受取人指定という他に例をみない機能によります。

生命保険は金融商品ですが受取人指定という特殊な機能を有している訳ですからこれをうまく使うことが大事です。

銀行預金にも株式や証券、不動産にも受取人指定の機能はありません。死亡保険金だけに受取人指定があります。これは特別なことなのです。これは相続税対策においてはとても大きな特色なのです。何気なく見過ごすことなく、慎重に受取人指定を活用してください。

相続税がかかる人もかからない人も争族争いを未然に防ぐ切り札こそ生命保険の受取人指定だということをご理解ください。

④ 生命保険は遺言書より確実に受取人が指定できる。

相続において遺言書以外に受取人指定が出来ると言うことはすごいことなのです。

さらに言えば遺言書は形式不備により、また遺産分割協議により必ずしも被相続人の意志が反映されるとも限りません。

しかし生命保険の支払いは保険会社が責任を持って履行します。誰が何と言おうがテコでも契約は守るのが保険会社です。それは間違いなく保証できます。

それだけに受取人指定をしっかり考えて、憂いなきようにと申しあげたいわけです。

遺言書で生命保険の受取人を変更できますが、問題もあります。生命保険の受取人変更は驚くほど簡単ですが押さえておくべきポイントはいくつもあります。受取人変更に関する詳細情報は上記リンクよりご参照ください。

生前贈与でもめずに節税できるはずがない。

生前贈与でもめずに節税できるはずがないとは情けないですが、贈与の難しさです。

生前贈与の対極にあるのが相続ですが、生きている間に贈与する相続税対策あるいは相続対策として生前贈与にはいくつかの方法があります。

基本的には「贈与税がかからない生前贈与まとめ」にリスト化しました。

ただそれは生前贈与の方法論であって実際の場面ではそれぞれの思いや経済事情があり、関係者の内には心情論が渦巻きます。あえて「生前贈与でもめずに節税できるはずがない。」と申しあげたのはそういう事情こそが生前贈与の障害になると考えているからです。

どこのサイトも公平に贈与することを当然のように勧めていますが、私は経験的に申し上げれば、生前贈与は不公平が当たり前と考えています。

CIMG2414兄弟姉妹は元々他人の始まりと言うではありませんか、お互いが譲り合うということは相続の場面では無理があるのです。親としても自分が子として育ててきた兄弟姉妹といえども公平なつもりでも好き嫌いが出てくるものです。

兄弟姉妹それぞれこれまでかかった養育費は異なります。家庭の経済事情も変わっていて当然です。ましてやそれに嫁でも絡もうならさらに激しくなるのはいずこも同じこと。

親がいくら公平に思って配慮しようが、子に取れば公平などということはありえません。どの子にも納得させる方法はそれぞれの贈与を秘密にすることです。そしてこっそりあげることが本人の自己満足につながります。すべてのケースにあてはまるとまでは申し上げませんが、知らぬが仏ということもあります。

相続税がたっぷりかかる方は怠りなく生前贈与を活用して節税してください。そして遺言書を書いてもめることがないよう執行人も指定してください。

しかし相続税がかかりもしない人ほど、お金には汚くて争いは熾烈になるのは例をあげるまでもありません。それだけに被相続人たる親は自分が生きている間に生前贈与を活用して好きな子に財産譲っておくことです。何と言われようと自分の財産ですから自分が決めればよいのです。

◆贈与税がかからない生前贈与まとめ

① 暦年贈与

最も基本的な方法はご承知の通り年間110万円の基礎控除を使う暦年贈与です。相続税がかかるなら贈与契約書と贈与税の申告、時々の納税と通帳・印鑑はもらった子が管理ということが条件です。

でも相続税がかかりもしない貧乏人が贈与契約書や贈与税の申告するほどアホらしいことはありません。とてもそんな手間をかける気にならないのが普通の神経です。子に贈与するときは現金、それもあまり大きな金額にしないで、多めのおこずかいの範囲で何度もあげてください。ただし習慣化しないようくれぐれもご注意を。もらうのが当たり前になると副作用が出てきますから。

②相続時精算課税制度

この制度は相続税がかかる方にはお勧めしていません。コツコツと暦年贈与を繰り返し相続財産を減額していくのが基本的な節税になります。

相続税がかからないサラリーマンが、親からローン返済の支援を受けるときはご検討ください。親からといえども、また相続税がかからなくても贈与税は逃れられないものと思ってください。唯一相続時精算課税制度を活用すれば非課税で2500万まで資金援助を受けることができます。

相続時精算課税制度はいろいろルールがあり申告が必要ですが、相続税がかからないレベルならあとはそれほど手間はかかりません。

③教育資金の一括贈与

意味不明の制度ですが資産家の方は早めにお孫さんに教育資金をまとめて渡すことで相続財産を減らすことができます。

相続税がかからないほどほどの資産家の方には孫が喜ぶ顔見たさに無理してあげたいでしょうがやめておくことです。孫の教育費をあげるならその都度必要なだけあげればよいことです。もちろんそれで非課税に決まっています。その方がよほど感謝されます。

もともと課税されない教育費や養育費を1500万まで非課税にする制度は金融機関のためにあるようなものです。それより老後資金が不足することがないようしっかり管理することが大事です。

④相続時精算課税選択の特例と住宅取得等資金の非課税の特例

これは使えます。住宅取得等資金の非課税の特例は平成28年から金額の枠が少なくなりましたがまだまだ使えます。相続時精算課税選択の特例とは住宅取得等資金の場合親の年齢制限なしで2500万の贈与税の非課税枠が使える制度です。平成28年6月時点で最大3700万まで非課税で贈与が可能です。かなりの物件が入手可能になります。

CIMG2404相続税がかからなければ精算することはないのでこの制度は使い得ですが、考えてみれば普通に親から3700万もらえるような人は相続税がかかるような気がします。値上がり確実な都心のマンションなら価値を固定する意味で価値がありますが、そうでないなら別の節税対策を検討することも必要になりますね。

この情報は難しいところがありますので専門サイトへいって概略を把握しこれはいけると思ったら専門家にお尋ねしてください。

⑤贈与税の配偶者控除

使える範囲が狭いので若い人向きではありません。婚姻期間が20年以上の夫婦の間という大前提があります。居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合ということがハードルになります。居住用の不動産に限るわけです。

うまくすれば配偶者控除2000万と贈与税の基礎控除110万は非課税になりますが、要するに家を贈与ずるか買う資金を贈与せねばなりません。とりあえず住むところがあれば使いようがないのです。普通の熟年夫婦なら二人仲良く今の家に住んでいるでしょうし、仮に建て替えるにしても家内に贈与して建て替える意味はないように思います。

他のページでも触れましたが家内に遺産が入ってもそれを贈与税の配偶者控除としては、主人名義のローン返済には使えないのです。ローン返済は居住用不動産を取得するための金銭ではないですから。で、やむなく家内に借金してローン返済を終えて、毎月家内に返済を続ける羽目になったのが他ならぬ私の事例です。贈与税の配偶者控除は贈与税の申告を必要としますから、普通はめんどくさいことになります。

⑥まとめ

生前贈与について勝手ながらの私見を述べてきました。しゃくし定規にはいかないのが贈与です。うわべは平静を装いつつも貰うほうは心中穏やかではないのです。

CIMG2432とはいうものの親にしてみれば自分の死後、子供たちがわずかばかりの財産を巡って醜い争いをするようなことは、自分の目の黒いうちになくしておきたいものです。

遺言書を書くほどの財産も器量もないなら不公平だろうが何と言われようが自分の思うように生前に贈与しておくのがよろしいようです。

ただし生命保険の名義変更は慎重にと申し上げておきます。

するならば生命保険は受取人変更にしておくことです。相続税がかからなければ何事も起こらず生命保険受取人固有の財産になりますから確実な死因贈与と同じです。

生前贈与の仕組みを5項目紹介しました。概ね網羅できていると思います。ここでは生前贈与の概要と私見を披露していますので、具体的な情報は当ブログ内の他のページを検索してご確認くださいませ。