医療費控除はe-Tax、簡便化からスマホまで、まとめ。

医療費控除はe-Tax、簡便化からスマホまで、まとめ。

DSCF177511月末の時点では、平成31年度(令和元年度)の医療費を集計することはできません。まだ、年内に医療機関を受診する可能性が残っています。

もちろん保険者(協会けんぽetc.)からの「医療費のお知らせ」も届いていません。スマホからe-Taxが利用できるとう記事も前回書きましたが、使えるようになるのは令和2年が1月からです。

少し早めにこれまでの医療費控除の確定申告の変遷をまとめておこうと思いました。毎年医療費控除の還付金という恩恵を受けている身の上ですから、少しでも多くの方が医療費控除の申告が手軽にできるようハードルを下げるために貢献したいと思っています。

税務行政には物申したいことも多々ありますが、医療費控除の確定申告に関して言えば、e-Tax簡便化からスマホ申告までの改善はお堅い組織としてはまさに画期的でした。

家族が若くて健康な間は、医療費の領収書などは普通捨ててします。ところが年齢とともに医療費も増加し、大きな病気を経験すると医療費は一気に膨らみます。医療費が家計の大きな負担になるようになると医療費控除を考えるようになります。

せっかく使える制度があるのですからこまめに領収書を集めて医療費控除の確定申告をされて還付金をゲットしてください。翌年の住民税も下がりますから二重に美味しい医療費控除です。

 ◆ 医療費控除の変遷を時系列で整理。

これまでの記事をまとめて順に並べました。上の方が最近の記事です。医療費控除の明細書のエクセルダウンロードはおかげさまで好評をいただきました。e-Taxで確定申告する場合、いきなり医療費を入力することもできるのですが、事前に整理して確認するためのフォームとしてはまだ有効にご活用いただけるのではないかと思っています。

■医療費控除をスマホで確定申告。

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2020年1月から医療費控除の確定申告はe-Taxが使えればスマホで完結します。税務署に出向いてIDとパスワード発行してもらう必要がありますが、これはe-Tax簡便化に続くセンター前ヒットです。

■5年以内ならいつでもできる医療費控除。

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医療費控除の還付申告は、過去に忘れていても5年以内なら確定申告をすれば所得税が還付されます。e-Taxで確定申告するなら24時間可能です。医療費の領収書は対象になりそうなものをしっかり保存するようにしてください。

 ■医療費控除の確定申告をe-Taxでやってみた。

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税務署からIDとパスワードを発行してもらい、国税庁の確定申告コーナーで申告書を作成し、実際にe-Taxで完結したチャレンジの記録です。マイナンバーカードは作らず(写真なしのマイナンバー通知書のまま)ICカードリーダーも購入していません。

■医療費控除の確定申告で補聴器が使えない理由。

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昨年から医療費控除の対象に補聴器が加わったのですが、まだ浸透しておらず補聴器を買う人の立場になっていない欠陥制度のために補聴器を買い替えたものの医療費控除に使えなかったという、怒りの記録です。

■医療費控除はe-Taxが便利?簡便化まとめ。

ID・パスワード方式の届出完了通知2

お堅い国税庁が考えた利用者の立場になっていないガチガチのe-Taxの簡便化を進めた結果、ICカードリーダーなしでもIDとパスワードでe-Tax使えるようになってたという感動の物語です。せっかく莫大な投資をして導入したe-Taxの利用が進まず、税務署の人手不足が深刻になった結果のe-Taxの簡便化が大きな改善になったという話です。

 

■医療費控除改正の問題点。

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医療費控除を改正して医療費控除の明細書を作成するようにしたり、セルフメディケーション税制なるチンケな仕組みを導入したりと、利用者の立場に立っていない改正が目白押しだった頃の記録です。使えないe-Taxに怒りを覚えながら問題点を指摘しています。

■セルフメディケーション税制の注意事項。

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医療費控除かセルフメディケーション税制の選択になっていますが、医療費控除の10万の壁がクリアできるなら使う必要のない制度です。利用者が伸びない理由は手間ほどに還付が期待できないのと医療費の領収書のようにすっきり分けることができない点が難点ですね。

■医療費控除で保険金がマイナスされる本当の理由。

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医療費控除の明細書を作成するとき右端の欄に生命保険等で補填される金額とあります。自分が金を払って加入している保険から保険金や給付金が出たのにその分を医療費控除の金額から差し引くとは何事かと憤るかたもいらっしゃいます。これには筋の通った理屈があります。

■医療費控除の明細書|エクセルダウンロード。

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一番人気のページです。多くの方に医療費控除の明細書をエクセルで作成したものをダウンロードいただきました。エクセルを微調整しながら何度も直して丸一日かかりました。我ながら先行して作成した作です。今でも医療費の手元集計にお使いいただけるのではないかと思っています。

◆ 医療費控除はe-Tax、簡便化からスマホまで、まとめ。

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サラリーマンは年末調整の時期を迎えていると思います。会社が全部やってくれるから便利という反面、税金の仕組みや確定申告に縁がなくなります。自分がどれだけ所得税を支払っているのか、

どういった所得控除があるのかなどに関心が薄くなります。自分確定申告をやってみる機会として医療費控除の確定申告はとても勉強になります。国税庁が進めているe-Taxは初めのころハードルが高すぎて使い物になりませんでした。その後法人の申告で利用者が拡大しましたが、個人ではまだまだ使う気にならない堅物(かたぶつ)の仕組みでした。

昨年からのe-Taxの簡便化に始まる改善は成果を上げてきています。来年からスマホでe-Taxという一歩進んだ仕組みも導入されます。何しろ最近では家にスマホはあってもPCがないという若い世代が増えているのです。確かにスマホ完結の時代になりました。財布忘れてもスマホ忘れるなが古い言葉になり、電話はもちろんのこと情報も決済も予約もショッピング、メールや写真や友人知人のネットワークまでもすべてスマホ1台で処理ができてしまします。

駅前でスマホを紛失し泣きながら途方に暮れているご婦人を交番のおまわりさんがなだめている場面に遭遇しましたが、スマホ紛失は確かに命取りになるほど悲惨です。GPSで探せればまだとり戻せることもあるでしょうが、そうでなければ一から人生をやり直すような気分になり、さすがにお先真っ暗です。

話がそれましたが、スマホ時代に対応したe-Taxはすこぶる便利な仕組みだと思います。医療費控除が楽しくなるかもしれません。一度お試しください。

医療費控除をスマホで確定申告。

医療費控除をスマホで確定申告、e-Tax完結が来年から可能に。

DSCF1776保険業界で保険営業は基本的に個人事業主として確定申告が必要です。給料は会社から出ますが、経費は自己管理になりますから確定申告で調整します。しかし普通のサラリーマンが確定申告をすることはあまりないと思います。

しかし会社の給料以外の収入が発生したり、医療費が大きくなったりして医療費控除の確定申告をするときは申告書の提出が必要になります。申告書の作成は国税庁の確定申告書作成コーナーでとても便利に作成できるようになりました。

■国税庁 確定申告書等作成コーナー

ネットで確定申告書を作成すると、印刷して郵送する方法とe-Taxでオンライン提出する方法があります。e-Taxの簡便化により税務署で発行されるIDとパスワードがあれば今後はスマホで提出ができて、確定申告があっさり完結します。

スマホのような小さな画面でできるかどうか心配になりますが、かなり改善と工夫がされたようです。令和2年1月から利用可能になりますので、ぜひチャレンジしてみたいところです。

◆ 医療費控除の確定申告をスマホでe-Tax。

税務署スマホe-Tax1裏 (2)税務署スマホe-Tax1裏 (1)

 

 

 

 

 

 

 

先日、国税統括調査官がチラシを2枚持ってやってきました。

来年から確定申告がスマホでできるようになるのでご利用いただきたいという案内です。

もちろんマイナンバーカードを読み込めるリーダー機能があるスマホであればわざわざICカードリーダーを購入しなくてもe-Taxで申告書の提出が完結します。

マイナンバーカードを読み込めないスマホでも税務署でIDとパスワードを発行してもらえばe-Taxが簡単に利用できますというわけです。PCを持たない世代や家庭が増えているそうで、スマホさえあれば日常生活では困らないんだそうです。

税務署の悩みは人手不足、これを解消するにはe-Taxの普及と浸透しかないそうです。署をあげて優良申告法人まわりをされているとか。まだサイトがオープンしていないので使ったことはないが、とてもスマホで使いやすく改善されているそうです。その国税統括調査官はいまどき珍しいガラケイをお持ちでしたが。

税務署確定申告裏 (1) 税務署確定申告裏 (2)

 

◆ 医療費控除のツボ、気が付いた医療費控除のポイントを列記しました。

 ・生命保険料控除は会社でする年末調整、医療費控除は自分でする確定申告。

生命保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書を年末調整の用紙に貼り付けて会社に提出するのが生命保険料控除、医療費の領収書を集めて自分で確定申告をするのが医療費控除、なんとなく言葉は似ていますが完全に別ものです。

 ・医療費控除は医療費分の所得税の還付、医療費が戻るわけではありません。

医療費控除は医療費の払い戻しをするわけではありません。医療費として支払った費用分の所得税を還付する制度です。原則的に税金を払ってなければ還付はありません。

 ・意外に広い医療費控除対象の費用、補聴器に通院タクシー代、風邪薬まで。

医療費控除の対象となる費用は医療費だけではありません。鍼灸やマッサージ、補聴器、通院費用、薬局で買った風邪薬でも治療目的であれば対象です。

 ・医療費の通知書は期間が不一致、健康保険適用の医療費だけで役立たず。

毎年年明けに協会けんぽなどの保険者から送られてくる「医療費のお知らせ」は健康保険が適用される医療費だけが記載されており、確定申告の期間と内容が一致しません。結局、集めた領収書を集計して自分で医療費控除の明細書を作ることになります。

 ・医療費の通知書だけでは集計できないので領収書は捨てないで。

「医療費のお知らせ」がくるからと安心して領収書を捨てないでください。医療機関の領収書だけでなく薬局の領収書や通院タクシー代の領収書まで怪しい(?)領収書はしっかり残すようにしてください。領収書がないと医療費の集計と確認ができません。

 ・セルフメディケーション税制は労多く還付少なし、でも住民税は安くなる。

セルフメディケーション税制は医療費控除の10万に届かない人のための還付制度です。ややこしい薬局の領収書を集めてOTC医薬品だけを選別して集計する手間はかなり煩雑になりそうです。申請できる金額の範囲が小さいので還付額も少額、せっかくの制度も利用者が伸びていません。

 ・e-Taxの簡便化で確定申告は一気に便利に、IDとパスワードは税務署で。

e-Taxの簡便化でマイナンバーカードやICカードリーダーがなくてもe-Taxで申告書を提出できるようになりました。そのためには免許証持参で税務署に出向いてIDとパスワードを発行してもらう必要がありますが。

・医療費控除の明細書は必要、やっぱりエクセルダウンロードが何より便利。

スマホしかないというなら仕方がないですが、PCでエクセルを使って医療費を集計するとミスが少なくなり結局作業がはかどります。医療費控除の明細書を作成してe-Taxの結果と比較すると間違いが少なくなります。

 ・医療費控除の還付申告は年中可能、さかのぼって5年前まで申告OK。

医療費控除の確定申告は、納税申告ではなく還付申告ですからe-Taxなら年中24時間提出OKです。忘れていても5年前まで申告可能ですから領収書は捨てないでください。

・医療費の領収書は証拠物件、調査に備えて5年保存義務。

e-Taxになって一番面倒なのは領収書保管です。医療費の通知書があれば領収書保存は不要と言いますが、そもそも期間や領収項目が一致しないので結局領収書は全部保存してしまいます。医療費の申告では、よほど異常値かどう見ても保険金か給付金が出ていると思われるケースぐらいしか税務調査できないと思います。税務署も人手不足で困っているからe-Taxを進めているわけですからね。

 ・生命保険などから補填される分はマイナスすることを忘れずに。

多くの場合保険金や給付金がでるとかかった医療費を上回ります。その場合は還付金がありませんので、素直にあきらめてください。自分が加入している生命保険や医療保険から給付金がでるのにそれをマイナスするのはなかなか納得できないと思いますが、それにはそれなりの理屈があります。

 ・医療費は家族合せて、収入の多い人からが原則。

医療費の確定申告は家族の中で一番収入の多い人からが原則です。税率が高い方が還付率もよくなりますからまとめてください。他の家族に収入があってもかまいません。一人にまとめることで10万円の壁が越えやすくなります。

 ・医療費控除の対象となるものならないものは結構ややこしいので都度確認。

医療費控除の対象となる費用は結構判断が難しいのでその都度確認する必要があります。差額ベッド代などは基本的に対象外ですが、医者が治療に必要だと言えば対象になります。見方としては治療なのか治療ではないで判断します。健康診断や健康維持のための費用であれば対象外になります。

 ・所得税なしでも医療費控除の確定申告で翌年の住民税が安くなる。

マンションなどの購入時に住宅ローン減税を適用すると所得税が0円ということがあります。その場合でも医療費控除の確定申告をしておくと所得税の還付金はありませんが、翌年の住民税が安くなる場合があります。

 ・医療費の明細書と医療費控除の明細書は別のもの、区別してください。

医療費の明細書と医療費控除の明細書は別のものですが、内容的には同じものと考えてよいと思います。要するに医療費の人ごと、医療機関ごとの明細書です。

 ◆ 医療費控除をスマホで確定申告、まとめ。

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医療費控除の確定申告をしていない人を結構見かけます。やり方がわからない、めんどう、還付額が思ったより少ない、PCが苦手など理由はいろいろあります。しかしひと手間かければ遣った医療費のいくばくかは戻ってきます。

これまで医療費の確定申告は領収書を集めて整理すれば、あとは国税庁の確定申告コーナーで申告書を作成してプリントアウトしていました。医療費の領収書を添付して税務署に郵送するのです。それがe-Taxの簡便化という改善により税務署でIDとパスワードを手に入れれば、オンラインで申告が完了するようになりました。

マイナンバーカードとICカードリーダ機能付きのスマホならそれだけでe-Taxまで完了できますが、まだICカードリーダー機能付きのスマホは一般的ではないですし、マイナンバーもいまだに写真のないマイナンバー通知書のままという方も多いのではないかと思います。

来年からはさらに進んで、申告書の作成からe-Taxまでスマホで完結できるようになります。そのためには手間がかかりますが、免許証持参で税務署に出向いてIDとパスワードを発行してもらうことが必要です。こればかりは税務署の職員による本人確認が必須になります。

いまだにキーボード引き出しタイプのスマホにこだわるhokenfpもICカードリーダー機能付きのスマホに買い替えようかと思案しています。

改正民法2019|相続法改正まとめ。

改正民法2019|相続法改正、ポイントまとめ。

DSCF1773民法のなかに相続に関して規定した部分があり、別に相続法と呼びます。

相続法では、相続人の指定、遺産分割のルール、被相続人の権利義務などがどのように受け継がれるかなどの相続に関する基本的なルールが定められています。

相続とは本質的には私的な行事です。法令で規定しなくても個人の自由な裁量で決めればよさそうなものですが、それではおさまりがつかないので相続法で事細かにルール決めがなされています。

相続法に従わない相続をしても、それでもめなければ誰も何も言いません。法律違反として逮捕されるわけでもありません。相続は遺産というお金の奪い合いでもありますから、相続法で基本的なルールを示すことにより遺産分割に合理的な説明をつけて納得できるようにしているのです。

生命保険を販売する保険営業は相続に関係することがあります。直接介入するようなことはありませんが、相続に関する基本的な知識は避けて通れません。相続とは人の生死に関係して財産の移動が発生しますが、生命保険も人の生死に関係する金融資産です。今回の民法改正は40年ぶりの大改正です。

生命保険や相続・事業承継設計に関わる人は基本的な改正点を押さえておき、アドバイスできると顧客からの信頼も高まるというものです。

民法改正の主な項目をあげました。今回は1)~6)までのポイントをまとめた総集編です。各項目からそれぞれのページへ飛ぶリンクがはってあります。

1)配偶者の居住権を保護「配偶者居住権」の新設。
2)預貯金の仮払い制度の創設。
3)自筆証書遺言の法務局保管制度の新設。財産目録のPC作成。
4)遺留分制度の見直し、金銭請求。
5)相続財産の所有権に登記や登録を重視。
6)相続人以外の特別寄与分の請求権。

本サイトは民法改正のポイントや問題点について実際の場面や庶民の立場で解説しています。改正内容は士業の先生方のサイトの方が分かりやすく詳細に書いてあります。詳細な条件や事例などを確認されたい場合はそちらをご参照ください。

◆1)配偶者の居住権を保護「配偶者居住権」の新設。

■改正民法2019|配偶者居住権。

DSCF1883遺産分割で配偶者が住む家を追われることがないように配偶者居住権が設定されました。世の中が世知辛くなると思いもしない制度が必要になります。親の住む家を売ってでも金欲しやの相続がまかりとおるから配偶者居住権が必要になるのですね。配偶者居住権を利用した節税スキームは後日アップ予定しています。

◆2)預貯金の仮払い制度の創設。

■改正民法2019|相続時、預貯金の仮払い制度。

DSCF1881ややこしい手順はさておき、当座に必要なお金はさっさとキャッシュカードで下ろしおけば安心できます。もめそうな家庭の場合は、念のため相続時のお金の引き出しは預貯金の仮払い制度が安全なようです。便利になったのか不便になったのかはまだわかりません。

◆3)自筆証書遺言の法務局保管制度の新設。財産目録のPC作成。

■改正民法2019|遺言書の法務局保管、PC作成。

DSCF1887自筆証書遺言が法務局で保管できるようになったので、家庭裁判所での検認は不要になります。公正証書遺言と法務局保管制度の違いはまだこれから明らかになりますが、公正証書遺言のほうが精度と信頼度ではまだ優位のようです。財産目録のPC作成はクリーンヒットです。

◆4)遺留分制度の見直し、金銭請求。

■改正民法2019|遺留分の現金支払と特別受益もち戻しの時効。

DSCF1917遺留分の怖いところは特別受益という生前にもらった援助はすべて持ち戻して分けなおすというとこです。分けられない財産を無理やり分ける遺留分から現金支払いもOKになり融通が利くようになりました。遺留分に関する特別受益の元戻しも時効が設けられました。金銭となると譲渡益課税がどうなるかです。

◆5)相続財産の所有権に登記や登録を重視。

■改正民法2019|相続財産の所有権は登記優先。

DSCF1766せっかく受け継いだ相続財産も登記を先送りすると第三者に対抗できないなど、相続より登記を優先するようになりました。所有者不明土地の拡大に歯止めをかける目的だと思われますが、相続時に引き継いだ土地の登記を相続人が先送りしないようやんわり圧力がかかっています。

◆ 6)相続人以外の特別寄与分の請求権。

■2019|相続人以外の特別寄与料の請求権。

DSCF1768相続人以外の親族に特別寄与料の請求権が認められるようになりました。特別寄与料とは被相続人の療養看護などの貢献を無償で行ったとき相続人に請求できる権利です。相続権のない息子の嫁に介護の苦労が報われるのでしょうか。相続人の特別寄与の権利は残りますが、どうも不公平感が残ります。

◆ 民法改正2019まとめ。

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相続の本音を言い表した昔の川柳に「泣く泣くも良い方をとる形見分け」というのがあります。形見分けと言っても意味が分からない世代の方もいらっしゃるかもしれません。

遺産分割協議などしなかった時代には、親が亡くなれば身の回りものや衣服などを相続人や親族が親の形見として分け合ったのです。その時代の相続はそれで終わりです。家を継ぐ者がすべての家と財産を引き継ぎ、嫁に出した娘には嫁入り道具一式と持参金で終わりです。次男には余力があれば親の生前に新屋を立てて田んぼをいくばくか渡して終わりです。三男以下は自力で家を構えるしかありません。

家長相続でもめないとは言いませんが、親の権限が強い時代ですから親の意向に逆らうものは少なかったと思います。

相続で財産が民主的、公平に分割されるよう民法が変わると争族はいたるところで激化するようになりました。

相続とは不労所得、一括千金の金銭の奪い合いですから権利を最大限主張するのも無理からぬところです。

「道は譲れても相続は譲れないのです。」と申し上げると多くの資産家は笑いながら首肯されます。財産というお金が人間を変えてしまうことを経験的にご存じなのですね。

民法改正について偏見を交えながら私見と概要をまとめてきました。改正の内容に意義を唱えるつもりは毛頭ありませんが、実際の相続の現場では役に立たなかったり、余計にもめ事の原因を作ったりするような改正もあります。もちろん時代と実務に照らし合わせて、とてもよくなった改正もあります。個別の改正の内容や問題点は各記事をご参照ください。

まだ詳細が不明で施行されてない改正もあれば、すでに施行され有効になっている改正もあります。施行後に運用上の不都合があればさらに修正的なルールが追加されることもあるかもしれません。被相続人にすれば死期は自分で選べませんので、相続発生時の法令で判断しなくてはなりません。その都度、内容をご確認いただく必要があります。

本サイトは士業の先生方が発信される情報とは立場が異なります。情報の細部の精度は下がるかもしれませんが、ビジネス視点や売込みを意図していません。ネット時代ですから少し調べれば誰でもある程度の専門家になれます。時間があれば簡単なことは自分で処理すれば節約になります。実務的な貧乏人の視点で話を進めていますから、必要のないことまでお金をかけることはないという立場です。

相続対策は資産が多い方やどうしても複雑な事情がおありの場合は、やはり専門家に依頼する方が時間の節約になると思います。もちろん本サイトの趣旨としては相続対策あるいは争族対策に生命保険が有効な切り札となることは当サイトの各記事で何度も取り上げています。

民法改正の内容については、今後の成り行きによっては私見がまちがっていることも起こり得ると考えています。実際、遺留分を金銭で渡すとなると相続では本来かからない譲渡益が発生する可能性があります。まだ判断できない要素も残っていますので、くれぐれもご自身の責任でご判断いただきますようお願い申し上げます。

 

改正民法2019|相続人以外の特別寄与料の請求権。

改正民法2019|相続人以外の特別寄与料の請求権ができました。

DSCF1768相続では特別寄与とか特別受益とか耳慣れない言葉を使います。こういう話が相続で出てくると遺産分割協議が紛糾することが多いようです。

はっきり言って内輪もめや財産の奪い合いを小難しく言うと特別寄与とか特別受益になります。今回の民法改正では特別寄与の部分が相続人以外の親族に拡大され、要件も緩和されました。

特別寄与とは、相続人のうち誰かが特別に親の面倒をみたり会社を手伝ったりしたことで資産の増加に貢献したとき、その分お金を請求する法的な権利です。あまりにもハードルが高かったので要件を緩和し請求できる親族の範囲を拡大し「特別寄与料」と呼ぶようになりました。生命保険の受取人は姻族に拡大するとモラルリスクがありますが、特別寄与料の請求権の範囲を拡大することで争族の範囲も拡大したというわけです。

民法改正の主な項目をあげました。今回は「6)相続人以外の特別寄与分の請求。」についてです。

1)配偶者の居住権を保護「配偶者居住権」の新設。
2)預貯金の仮払い制度の創設。
3)自筆証書遺言の法務局保管制度の新設。財産目録のPC作成。
4)遺留分制度の見直し、金銭請求。
5)相続財産の所有権に登記や登録を重視。
6)相続人以外の特別寄与分の請求権。

従来からの特別寄与あるいは寄与分と言われているものは相続人に認められた権利ですが、今回新たに創設された特別寄与料とは相続人以外の親族が相続人に請求します。遺産分割協議で話がまとまればよいのですが、そうでない場合は家庭裁判所に調停をお願いすることになります。

それでも納得できない場合は裁判で白黒つけることになりますが、こうなればもう完全に争族突入です。今回の民法改正は本来ならおさまっていた相続がいきおい争族化する可能性をはらんでいると言えそうです。

◆ 特別寄与分と特別寄与料。

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特別寄与分と特別寄与料とは相続以外では使わないので聞きなれない言葉です。

そもそも被相続人にそれほど貢献していれば、被相続人(亡くなった人)は、その特別寄与者に遺言書で遺贈の指示をすればそれでよいのですが、何かの事情で遺言書が書けなかったか、あるいは被相続人はそれほど自称特別寄与者が貢献したとは考えていなかったかのどちらかです。

とは言え、特別寄与者にすれば被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたという自負がありますから、遺産を多めにもらう権利を主張する気持ちもわかります。自分の生活を犠牲にして尽くさないと介護などできるものではないからです。

費用も時間も体力もかかりますが、なにより先の見えない介護は精神的にも追い詰められますし、苦しい日々が続きます。介護はそれをする人にしか苦労を理解することはできません。特別寄与は介護だけではありませんが、多くのもめるケースは介護なのではないかと思います。

ただ、これまでは相続人が人生を犠牲にして必死の介護をしてもほとんどのケースで特別寄与とはみなされませんでした。いくら介護を一所懸命しても被相続人の財産の増加に特別の寄与をしたとはならないからなのです。相続人は立場上特別の寄与をしても報われないのですが、今回の改正では相続人でない親族に有利な改正になっています。

改正の要点は、相続人でない親族(息子の嫁など)が親の介護をした場合、特別寄与料が請求できるようになったということです。

特別寄与の条件:相続人

被相続人の事業に関する労務の提供又は「財産上の給付」、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をすること。

特別寄与料の条件:相続人以外の親族

被相続人の事業に関する労務の提供、被相続人に対する無償の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をすること。

特別寄与料の条件では「財産上の給付」は要件とされていません。特別寄与料の条件は、貢献の程度が一定程度を越えることでよしとされました。一定程度とはかなり線引きが難しいと思いますが、特別寄与料での持ち出しは要件ではなくなったのです。

特別寄与料の特別寄与者となり得る親族は、相続人を除く6親等内の血族と3親等内の姻族でとなります。子の配偶者はこの中に含まれることになります。

6親等内の血族と言えば、たとえばいとこの孫まで、3親等以内の姻族と言えばひ孫の配偶者、甥姪の配偶者あたりまで広がります。親族と言えどもそこまで縁が離れた人が、療養看護してくれるとは思いませんが遺産分割協議では特別寄与料のおかげで争族の範囲も広範囲になりました。しかしここでも民法では内縁の妻や愛人は除外されています。法的に血縁がない内縁の妻などに財産を残すにはやはり遺言書が必要だということになります。

遺産分割協議がまとまらないときは、被相続人が亡くなったこととその相続人のことを知ってから6ヶ月以内又は被相続人が亡くなってから1年以内のいずれか早い日までに、家庭裁判所に審判の申し立てを行うことができます。 内輪で話し合いがまとまるなら期限はありません。

忘れてはならないのは特別寄与料にも相続税がかかるということです。相続税がかからないレベルの相続なら何もしなくてよいのですが、そうでない場合は相続税の申告が必要になります。

◆ 相続に口出しできない親族の胸の内。

今回の改正では、相続人以外の親族を交えて遺産分割協議をすることも起こり得ます。相続人でない息子の嫁が口出す相続という場面はできれば避けたいところですが、たまりにたまった胸の内もあるでしょう。相続での遺産分割協議では理性がおいてきぼりになることも少なくありません。

話が決裂すれば調停か裁判しかないわけですが、世間の常識と家庭裁判所の常識が、一番食い違うものの一つが、この特別寄与と言われています。 相続人や特別寄与料を請求しようとする特別寄与者に対して裁判所は、特別寄与は「財産形成の対価」に過ぎないととらえるのですが、普通の感覚では特別寄与は「被相続人への貢献に対する恩賞」と考えるのが自然な感覚です。家庭裁判所や調停委員会は理詰めですから、人の気持ちはわかりません。この食い違いは今回の改正によりわずかながらも人間的な判断が下る可能性はあります。

世の中はなんでもそうですが、言いたいことを言ってしまってはまとまる話もまとまりません。相続に口出しできない親族の胸の内は察するに余りありますが、できる限りの辛抱も大事ではないかと思います。

◆ 特別寄与料のまとめ。

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裁判所は特別寄与にすこぶる厳しい立場です。息子の嫁が義父や義母を懸命に介護したとしても特別寄与とはなりません。昔から家の嫁という立場は相続人から相手にされない悲しさです。

自分の親なのに何の世話もせずほったらかしでも、相続人という立場があれば遺産相続の権利があります。親の世話をしない相続人を責める気もありませんし、そんな時代でもないのでしょうが、それでも誰かが老親の世話をし、最後は介護に身を尽くし看取らなければなりません。

相続とはわかりやすく言えば元家族の財産争奪戦なのです。それが家族から親族まで拡大されたのが今回の特別寄与料の請求権と言えると思います。特別寄与料の請求権がある親族の範囲は広いですが、通常は親と同居している場合の嫁になると思います。まれには兄弟や甥や姪の世話になる方もいらっしゃいますが、まずは親族と言ってもこの辺までのことかと思います。

これまでは如何に介護や看病で貢献しようが相続人でなければ遺産分割協議で物言うことはできませんでしたが、公式に特別寄与料に関する発言権が嫁に認められたようなことでしょうか。裏で糸を引いていた相続人の配偶者にも権利が与えられたわけです。

遺言書があれば、世話になった相続権のない嫁や親族に財産を遺贈しても問題は発生しにくいと思いますが、遺言書がなければ泥沼争族の範囲が広がっただけということになりはしまいかと危惧するところです。

くどいようですが、相続はむき出しの本音で自己主張をするところです。日頃の建て前が剥がれ落ち人間の本性が出てくる場です。仲の良かった兄弟が相続を境に法事にも呼ばないような争いになる事例も見ています。自分だけは大丈夫などと思わないことです。うちの家族に関しては心配ないなどと思わないことです。

大人げないことですが、それが人間の本質ではないでしょうか。どうも相続となると悲観的性悪説に傾倒するのはhokenfpのこだわりのような気がします。それゆえかどうかわかりませんが、感情論が入る余地のない、権利関係が徹底して明快な生命保険に傾倒するのかもしれません。