節税保険の出口対策が簡単にできない理由。

節税保険の出口対策が簡単にできない理由。

2019年のバレンタインショックによって、節税を目的とする法人契約の保険はほぼ封じられました。しかし国税庁の規制が入る直前に大量の駆け込み契約がありました。駆け込み以前も含めて節税目的の法人保険の多くは有効継続中であり、解約返戻率のピークを待っています。

節税保険は保険料を費用で落としていますから、解約すれば多額の雑収入が発生します。

何も対策を行わないとせっかく繰り延べた利益が課税対象となってしまいます。雑収入が発生した年度において、解約返戻金をうまく費用にあてることができれば節税になります。

節税保険を解約したときの雑収入を、設備投資などに当て込み相殺する戦略を出口対策と言います。ところがこの出口対策が、経営の現場では思うように簡単には設計できないという問題があります。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 節税保険は釣り合う出口対策が必要。

法人で契約する保険では、支払った保険料を保険積立金とするか、損金とするか保険の種類によって適法に経理処理をしなければなりません。世間で節税保険とか損金保険と呼ばれている保険には、保険料の全額を損金(費用)化できるものや半損と呼ばれる1/2損金の商品があります。

保険積立金とすれば税金を払った後の利益から積み立てることになりますから、有税で処理することになります。損金となれば保険料は、期間の費用となり損金処理され、利益が減り税金もその分減ります。

そうして数年保険料を支払っていくと節税保険の場合、解約返戻率のピークがやってきます。解約返戻金を受け取る目的であれば、そもそも保障としてのウエイトは低いので、このピーク時期を外す手はありません。解約返戻率とはそれまでに支払った保険料累計金額に対する返戻率ですから、ピークを外すと大きな損失になる場合があります。

解約のピークを迎えた保険を解約すると解約返戻金が支払われます。他の投資とは異なり保険の場合は契約時点で解約返戻金が決まっていますから、安全確実な投資と言えると思います。しかも損金で落としていますからB/S(貸借対照表)にのらない簿外の資金です。

簿外の資金が解約によって現金化され雑収入となりますが、何もしなければこれは営業外の利益として課税対象になります。この雑収入を予定の設備投資などに充てることで、資金確保と同時に課税が回避され出口対策となるわけです。

このように節税保険は、解約のピーク時に見合う出口対策を早めから予定しおくことが有効な節税手段になります。節税保険の解約返戻金とピッタリ釣り合う出口対策はそれほど簡単ではありませんが、出口対策をいろいろ組み合わせたり、保険の管理テクニックを駆使したりしてタイミングを合わせることで、予定以上の多額の納税を抑制することができます。

◆ 大量の簿外資金と雑収入の行方。

以下の記事に詳細は書きましたが、バレンタインショックの駆け込み契約の保険料支払いが4回目を終えたところかと思います。最後の全額損金可能な保険でしたから大量の利益が保険会社に流れたことになります。

■節税保険、バレンタインショックの行く末!?

その節税保険の解約返戻率のピーク時期が数年後に迫ってきています。一気に解約が集中することになりますから、保険会社は解約返戻金を支払うための原資を用意しなくてはならなくなります。

また契約している企業では解約を忘れていない限り、巨額な雑収入の受け皿として出口対策を考えておかなくてはなりません。それが間に合わなければ、税務署がほくそ笑むことになります。今後巨額になるであろう雑収入の行方が注目されるところです。もちろんコロナ不況で財務事情が悪化していれば、計画的かどうかは別にして見事な出口対策ができていることになります。

◆ 経営は先が見えない泥縄、出口対策が逃げていく。

中小企業にかかわらず、経営は泥縄であるというのがhokefpの主張のひとつでもあります。経営とは環境適応業であるという見解がありますが、それはコロナ禍やウクライナ戦争による環境変化を見るまでもなく、経営が事業計画通りに順調に進むことがまれです。外から見ているほど安穏とはしておらず、実際の現場では山あり谷ありドツボありが経営だということです。それだけに中小企業にとって保険は重要な役割を果たしてきました。とくに節税保険は、経営の動脈であるキャッシュをうまく回すためにはとても有効な手段でした。

ただ実際の事例を見ていると、多くのケースで出口対策が機能しない事態や出口対策そのものを有効に設計できていないケースがなんと多いことか。例えば、現実的には、生命保険の解約返戻率ピークに合わせて設計通り退職する社長はほとんどいません。みなし退職で役員退職慰労金を支給しても実質的な引退ができず、退職金を否認されるリスクが高まることもあります。設備投資は計画通りに進まず、償却できる金額が少なくなったり、あてにしていた節税保険が使えなくなったりします。

出口対策のために投資したり引退したりするというのはやはり本末転倒になってしまうようです。経営をしているとどこかでかならず不測の事態が発生します。それをどうにかしのぐことができてもまた次の問題が生起します。絵に描いたように事業計画が進むことはほぼないので、出口対策が必要なことは理解していても逃げ水のように出口対策が逃げていくということが、経営は泥縄という所以(ゆえん)です。

◆ 中小企業にとって課税の繰り延べこそ価値。

ここは下記の記事をご参考にしていただきたいのですが、節税保険は課税の繰り延べに過ぎないという意見に対する反論です。

出口対策がはまればよいのですが、それほど簡単でないことは申しあげました。

では出口対策ができなければ課税の繰り延べは無駄だと言えるのでしょうか。

言いたいことはここからなのですが、中小企業にとって決して無駄ではない、むしろ万が一のキャッシュ保険というべき仕組みなのです。保険は本来一定期間の保障を買うものです。その間に保険事故がなければ、保険料は無駄だったということにはなりません。仮に保険事故が発生して保険金を受取ったら儲けたと考えられるでしょうか。いえいえそんなことはありません。

無駄なように思える保険料が経営のリスクを支えているのです。課税の繰り延べで将来の利益減や万が一の事態に、簿外のキャッシュで備えているというのが、節税保険なのです。キャッシュこそ企業の動脈、生命線ですから課税の繰り延べこそ価値があるということをご理解いただけるのではないかと思います。

■法人保険の解約返戻金を整理してキャッシュフローを把握せよ。

◆ 出口対策の類型は経営戦略に直結する。

出口対策は簡単にできないと申し上げましたが、できることなら知恵を出し手法を組み合わせて、せっかく汗水たらして稼いだ利益を少しでも多く残すように対策を組み合わせてください。詳細は他のサイトで検索いただければよいかと思いますが、考えられる出口対策を使い勝手の良い順位並べました。参考になさってください。

・役員退職金の支給(予定利率が良い契約は保険現物支給)

・経営力向上計画の一括償却活用

■経営力向上計画と法人保険の出口対策。

・計画的な設備投資(大規模修繕・LEDなどの一括償却)

・オペレーティングリースに投資(資金凍結に注意)

■節税できない法人保険、当期利益の落とし方。

・決算賞与支給、海外社員旅行

・4割損金の法人保険契約

・法人保険の減額(一部解約)・失効による解約の繰り延べ

■法人保険の失効と自動振替貸付にまつわる恐い落とし穴。

・出口に年金支払い特約付加(保険商品、会社によって異なります。)

・貸倒損失や固定資産の除却損、棚卸資産の評価損

・法人所有不動産や株式の売却による評価損

・法人保険の名義変更による評価損

各項目に関しては詳しくは書いていませんので、検索されるか、それでも不明点があれば、わかる範囲で回答させていただきますのでお問い合わせください。

法人保険の出口対策プランは事業の中長期戦略である。

◆ 節税保険の出口対策が簡単でない、まとめ。

バレンタインショックの駆け込み契約で契約した大量の節税保険の解約時期が近づいています。

しかしそのときに発生する雑収入に合わせた出口対策は、それほど簡単ではないことを申し上げました。

たとえ出口対策がうまく設計できなくても泥縄経営の中小企業には利益の繰り延べは十分価値があるとも書きました。

出口対策がすれ込んだとしても、各企業の実情にあわせてできることはあるはずです。本記事をご参考にしていただきできることを今から対策すれば間に合います。税金を払うなと申し上げているわけでは決してありませんが、必要以上の納税をしても何の見返りがあるわけではありません。それこそ世の中乱高下していますから、毎年同じように利益がでるとも限りません。中小企業がこの荒波の中で雇用を守りつつ生き延びるためには、工夫も知恵もそして節税も必要です。

節税保険、簿外資金の使い道。

法人保険、節税対策の行き詰りにウルトラC。

節税保険の出口対策、バレンタインショックの駆け込み保険が危ない。

せいめいほけんのせいめいほけんの節税保険の出口対策、バレンタインショックの駆け込み保険が危ない。

法人が節税目的加入する全額損金の保険は、保険料がすべて費用に計上できました。いずれ解約返戻金として戻ってくる保険料を費用にできるのですから、簿外積み立ての効果は大きなものがあります。

数年後、解約返戻率がピークのときに解約すると、払いすぎた保険料が解約返戻金として雑収入になって戻ってきます。保険料を払うことが、利益の繰り延べになっています。

ただ、虎の子の利益を保険で繰り延べただけでは、節税になっていません。保険で利益を繰り延べたときに出てくる、解約返戻金の使い道を設計することが、出口対策となります。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 中小企業の生き残りは保険で利益を繰り延べ、有効活用。

企業経営を考えるとき、出口対策より以前に考えるべきことがあります。安易に納税という選択肢を選ばず、利益を繰り延べることが何より重要です。コロナ禍を引き合いに出すまでもなく、中小企業の経営は、明日のこともわからない泥縄経営があたりまえです。

そういう中小企業の実情を見るにつけて、当年度で得られた利益を先の経営の役に立てるため繰り延べることが重要です。その手段として、手堅い生命保険を検討するのは当然の選択肢です。中小企業にとっては、今年度に税金を支払うか、次年度以降に支払うかは同じことではないのです。

この感覚の差は、経営者の危機感の差とも言えるのではないでしょうか。あっさり言ってしまえば、税金のような見返りのない不毛のコストは、経営という視点ではできる限り先送りするべきなのです。できれば払わずに済ませる、それもできなければ、先送りして出口対策を考えるのは、中小業の生き残り戦術と言うべきものです。

税金はほどほどに払っておく心構えこそ大事です。企業と言うものは、絶えず成長しなければ経営を維持できません。利益の出ている中小企業は、今期の利益を来期以降の設備投資に充てることができれば、これは誠にうまい話なのです。それだけに中小企業の利益の繰り延べには重、要な意味と価値があります。

◆ バレンタインショックの駆け込み契約全損保険。

令和元年に始まったバレンタインショックは、同年6月28日の国税通達により一網打尽となりました。損金算入率が、最高解約返戻に応じて制限されるようになりました。その結果、節税メリットはほとんど享受できなくなりました。

しかし国税庁のパブリックコメントから販売停止までの間に、駆け込みで大量の全損保険が販売されました。駆け込み以前も含めて、節税目的の法人保険の多くは有効継続中です。それはやがて来る解約返戻率のピークを待っています。

日本中に保険の優績者の証である、MDRTが誕生したという、まさに絶頂のラスト景気でした。それらの保険がまとめて解約時期を迎える令和10年が、徐々に近づいてきています。しかし多くの企業では保険料を払い続けるだけで、出口対策はできていないのではないでしょうか。

◆ 解約返戻金は雑収入、有効活用が絶税に。

せっかくラストチャンスを生かして、節税保険に駆け込むことができた企業は、貯めこんだ利益を税金に差し出すだけでは知恵がありません。損金で継続できる保険がなくなった今、どうすれば節税保険からでる雑収入をうまく消すことができるのでしょうか。

ここは知恵比べというべきところです。保険や財務知識の総力を結集して出口対策を考え、利益を有効に経営に回すことが何より重要になります。

節税保険は保険料を費用で落としていますから、解約すれば多額の雑収入が発生します。何も対策を行わないと、せっかく繰り延べた利益が課税対象となってしまいます。雑収入が発生した年度において、解約返戻金をうまく費用にあてることができれば節税になります。

節税保険を解約したときの雑収入を、設備投資などに当て込み相殺する戦略を、出口対策と言います。ところがこの出口対策が、経営の現場では思うように簡単には設計できないという問題があります。

◆ 節税保険は釣り合う出口対策が必要。

法人で契約する保険では、支払った保険料を保険積立金とするか、損金とするか保険の種類によって適法に経理処理をしなければなりません。世間で節税保険とか損金保険と呼ばれている保険には、保険料の全額を損金(費用)化できるものや半損と呼ばれる1/2損金の商品があります。

保険積立金とすれば、税金を払った後の利益から積み立てることになりますから、有税で処理することになります。損金となれば保険料は、期間の費用となり損金処理され、利益が減り税金もその分減ります。

そうして数年保険料を支払っていくと、節税保険の場合、解約返戻率のピークがやってきます。そもそも保障としてのウエイトは低いので、解約返戻金を受け取る目的であれば、このピーク時期の解約を外す手はありません。

・解約返戻率のピーク管理がポイント。

節税保険の解約返戻率とは、それまでに支払った保険料累計金額に対する返戻率ですから、ピークを外すと大きな損失になる場合があります。

解約のピークを迎えた保険を解約すると、解約返戻金が支払われます。他の投資とは異なり保険の場合は契約時点で解約返戻金が決まっていますから、安全確実な投資と言えると思います。しかも損金で落としていますからB/S(貸借対照表)にのらない簿外の資金です。

簿外の資金が解約によって現金化され、当期の雑収入となりますが、何もしなければ、これは営業外の利益として課税対象になります。この雑収入を予定の設備投資などに充てることで、資金確保と同時に課税が回避され出口対策となるわけです。

このように節税保険は、解約のピーク時に見合う出口対策を早めから予定しおくことが、有効な節税手段になります。節税保険の解約返戻金とピッタリ釣り合う出口対策は、それほど簡単ではありません。

しかし出口対策をいろいろ組み合わせたり、保険の管理テクニックを駆使したりしてタイミングを合わせることで、予定以上の多額の納税を抑制することができます。

◆ 大量の簿外資金と雑収入の行方。

節税保険を契約している企業では、解約を忘れていない限り、巨額な雑収入の受け皿として出口対策を考えておかなくてはなりません。それが間に合わなければ、税務署がほくそ笑むことになります。

今後巨額になるであろう雑収入の行方が、注目されるところです。もちろんコロナ不況で財務事情が悪化していれば、計画的かどうかは別にして、見事な出口対策ができていることになります。

経営とは環境適応業であるという見解がありますが、それはコロナ禍やウクライナ戦争による環境変化を見るまでもなく、経営が事業計画通りに順調に進むことがまれだからです。外から見ているほど安穏とはしておらず、実際の現場では山あり谷ありドツボありが経営だということです。

◆ 出口対策がうまくいかない理由。

それだけに中小企業にとって保険は重要な役割を果たしてきました。とくに節税保険は、経営の動脈であるキャッシュをうまく回すためにはとても有効な手段でした。

ただ実際の事例を見ていると、多くのケースで出口対策が機能しない事態や、出口対策そのものを有効に設計できていないケースがなんと多いことか。

例えば、現実的には、生命保険の解約返戻率ピークに合わせて、設計通り退職する社長はほとんどいません。みなし退職で役員退職慰労金を支給しても、実質的な引退ができず、退職金を否認されるリスクが高まることもあります。

設備投資は計画通りに進まなかったり、償却できる金額が少なくなったりして、あてにしていた節税保険の雑収入が使えなくなったりします。

出口対策のために投資したり引退したりするというのは、やはり本末転倒になってしまうようです。経営をしていると、どこかでかならず不測の事態が発生します。それをどうにかしのぐことができても、また次の問題が生起します。

絵に描いたように事業計画が進むことはほぼありません。出口対策が必要なことは理解していても、実際は逃げ水のように出口対策が逃げていくということが、経営は泥縄という所以(ゆえん)です。

◆ 中小企業にとって課税の繰り延べこそ価値。

節税保険は課税の繰り延べに過ぎない、という意見に対する反論です。出口対策ができなければ、課税の繰り延べは無駄だと言えるのでしょうか。経営という視点で申し上げれば、中小企業にとって決して無駄ではない、むしろ万が一のキャッシュ保険というべき仕組みなのです。

保険は本来一定期間の保障を買うものです。その間に保険事故がなければ、保険料は無駄だったということにはなりません。仮に保険事故が発生して、保険金を受取ったら儲けたと考えられるでしょうか。いえいえそんなことはありません。

無駄なように思える保険料が、経営のリスクを支えているのです。課税の繰り延べで将来の利益減や万が一の事態に簿外のキャッシュで備えているというのが、節税保険なのです。キャッシュこそ企業の動脈、生命線ですから課税の繰り延べこそ価値があるということを、ご理解いただけるのではないかと思います。

◆ 出口対策の類型は経営戦略に直結する。

出口対策は簡単にできないと申し上げました。でもできることなら知恵を出し、手法を組み合わせて、せっかく汗水たらして稼いだ利益を少しでも多く残すように対策を組み合わせてください。

詳細は他のサイトで検索いただければよいかと思いますが、考えられる出口対策を使い勝手の良い順位並べました。参考になさってください。

・役員退職金の支給(予定利率が良い契約は保険現物支給)

・経営力向上計画の一括償却活用

・計画的な設備投資(大規模修繕・LEDなどの一括償却)

・オペレーティングリースに投資(資金凍結に注意)

・決算賞与支給、海外社員旅行

・4割損金の法人保険契約

・法人保険の減額(一部解約)・失効による解約の繰り延べ

・出口に年金支払い特約付加(保険商品、会社によって異なります。)

・貸倒損失や固定資産の除却損、棚卸資産の評価損

・法人所有不動産や株式の売却による評価損

・法人保険の名義変更による評価損

各項目に関しては詳しくは書いていませんので、検索してお調べください。

◆ 節税保険の出口対策が簡単でない、まとめ。

バレンタインショックの駆け込み契約で契約した、大量の節税保険の解約時期が近づいています。しかしそのときに発生する雑収入に合わせた出口対策は、それほど簡単ではないことを申し上げました。たとえ出口対策がうまく設計できなくても、中小企業には利益の繰り延べは十分価値があるとも書きました。

出口対策がずれ込んだとしても、各企業の実情にあわせてできることはあるはずです。本記事をご参考にしていただき、できることを今から対策すれば間に合います。

税金を払うなと申し上げているわけでは、決してありません。必要以上の納税をしても、何の見返りがあるわけではありません。景気は乱高下していますから、毎年同じように利益がでるとも限りません。中小企業がこの荒波の中で雇用を守りつつ生き延びるためには、工夫も知恵もそして節税も必要です。

節税保険の行き詰りに、無駄遣いより納税が利口な理由。

節税保険の行き詰りに、無駄遣いより納税が利口な理由。

コロナ禍で経営が厳しくなった企業は、多数あります。緊急融資でつないでいる企業にとれば、保険料を払っている余裕などありません。ところが逆に売り上げを伸ばし、利益が過去最大になった企業もあります。

過去に契約した節税保険がいよいよピークを迎え、解約すれば巨額の雑収入が発生するケースがあります。その結果、コロナ禍で売上は落としても、本業以外で大幅な利益が出てしまうことになります。このような時期でも、出過ぎた利益をコンロトールすることに苦慮する企業があります。

細かい節税対策は、どこの企業も税理士さんの指導で取り組まれているかと思います。ところが法人保険の解約返戻金がもたらす雑収入は、多くの場合において巨額です。そうは簡単に費用で落とせません。節税保険の行き詰りに、節税対策はどう対応すればよいか、一考しました。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 法人の節税対策。

中小企業に限らず、経営は何があるかわかりません。今期の決算で利益が出たとしても、来期に同じような利益を確保できる保証はありません。利益が出たらそれをプールし、必要なときに使えるようにする仕組みとして、節税保険がありました。

保険そのものに、節税効果があるわけではありません。利益の繰り延べにより、より有効な使い道に投資できるよう、利益が出る時期をコントロールする仕組みが節税保険です。

・節税保険の行き詰り。

ところがご承知のように令和元年の6月28日付け国税庁の通達により、利益の繰り延べ効果がある法人保険は、一網打尽に打ち取られてしまいました。

保険会社や節税保険を得意とする保険営業や代理店は、苦境に追いやられました。それだけではなく、節税保険が使えない中小企業も、納税を抑制するために使った経費の無駄遣いがふくらみ、経営効率の悪化につながりました。そして簿外に緊急予備資金を蓄積する手段が、大きく制約を受けることになりました。

残るは保険料合計が30万以下の少額損金保険か、福利厚生の名目で社員にかける養老保険のハーフタックスかという限られた選択肢です。ただし日本円での養老保険は率が悪く、途中解約で支払保険料に対してプラスに転じることがありません。

唯一、気を吐いているのがドル建ての養老保険です。予定利率が改定されたとは言え、被保険者の年齢にもよりますが15年前後で単純返礼率が100%を越える程度です。ただし外貨建てですから為替リスクは伴います。

◆ 節税対策の限界と手詰まり感。

節税対策はいろいろありますが、バッサリ落とせるようなものは限られます。これまでも節税対策を模索されてきた利益が出る体質の企業は、様々な対策をすでに実践されていると思います。

LEDの切り替えはもとよりPCのWindows7からWindows10への端末切り替え、倒産防止共済、早めの機械修繕、飲食費や交際費を支給し経費処理、雇用促進税制の活用、経営力向上計画による一括償却etc.があります。

しかしそれでも追いつかな企業では、海外社員旅行を企画したらコロナでキャンセル、キャンセル料は費用になりましたが残念ながら意味がありません。決算賞与は習慣化することを恐れて見送りとなるような、期末のドタバタが見えてきます。節税保険が使えないということは、打つ手に行き詰まるということにつながります。

法人保険での節税対策が限界である以上、それ以外の節税対策を考える必要があります。オペレーティングリースは利益の繰り延べ対策としては今も健在ですが、航空機業界の実情を見れば、手出しするのはためらわれるところです。

航空機以外の船舶やそれ以外のオペレーティングリースという選択肢もあると思いますが、やはりコロナ禍を考えると以前よりハイリスクな投資になるように思います。

◆ 無駄遣いより納税が節約。

結局残る道はウルトラC、期待外れで申し訳ないですが、納税することで利益を残すことです。内部留保金課税もなくなり、法人税率も下がりました。以前ほどの納税に対する負担感はないように感じることもあります。

むやみに経費を使い節税とするのは、得策とは言えません。キャッシュが減少し会社の体力を落とすだけになります。納税すれば7割近くの利益が手元キャッシュとして残ることになります。経営で大事なことは節税だけではなく、キャッシュフローの確保ではないかと思料するところです。

◆ 節税対策の行き詰り、まとめ。

利益の繰り延べができる節税保険が使えなくなった以上、次善の策はむやみに経費を使い利益を減らすことによる節税ではありません。納税することによる、キャッシュフローの確保が重要であるということです。

経営上必要もないのに出費をするのであれば、それは単なるキャッシュフローの無駄遣いです。

納税がウルトラCなどと申し上げるつもりは毛頭ございませんが、リスクのある投資や費用対効果が明確でない費用投資による節税よりは、この際おとなしく納税するほうが、得策ではないかという経営者側に立った私見でございます。

全額損金可能な30万までの少額契約の価値。

全額損金可能な30万までの少額契約の価値を考えると。

保険の代理店が「これは全額損金可能です!」と説明すると、買う側ではドキッとします。すでに昨年の6月28日に出された国税通達(法人税基本通達9-3-5の2)以来、最近では全額損金などという保険説明は聞いたことがありません。

これはひょっとして、国税庁の裏をかいた新商品か!という期待が高まります。利益が出ている企業は、期末になると損金という言葉に敏感になります。

買う側の立場で、全額損金可能な30万円までの少額保険商品の意味と価値を検証しました。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 国税庁の一網打尽通達の威力。

何度もご案内していることではありますが、簡単に振り返ると昨年のバレンタインショックからパブリックコメント、6月28日の国税庁からの節税保険一網打尽通達発遣、そして保険会社各社の新商品の発売がありました。

結果として、法人保険販売を主力としていた保険代理店や保険営業は節税保険が売れなくなりました。法人契約を得意としてきた、保険会社の未曽有の苦境を目の当たりにしてきました。

また通達の威力は破壊的に強力で、これまで節税保険の繰り延べに頼っていた中小企業も、リスクの高い金融商品やLED投資への切り替えなど、一括償却が可能な仕組みに走りました。

税金を払ってでも手元にキャッシュを残すべきであるという、お上ひも付きの税理士もいます。しかし利益の出る中小企業のオーナー経営者の立場であれば、全く見返りのない税金というコストは極力抑えたいと考えます。もちろん決算賞与などという、既得権につながりかねない最終手段もとりたくないので、いよいよ困るわけです。

◆ 国税通達の例外、全額損金可能な30万契約。

6月28日に発遣された国税専門用語で書かれた通達を難儀しながら読み解くと、年間保険料が30万円以下の保険契約は、全額損金算入を認めると言っています。とすれば社員をかき集めて被保険者の数をそろえば、そこそこの保険料まで積み上げることができます。

さらに「経過的取り扱い・・・改正通達の適用時期」の項目に書かれていることは令和元年7月8日以後の契約に係る定期保険又は第三分野保険の保険料に適用するとあります。要するに過去の契約を通算ぜずに、新規契約として一人あたり30万まで全額損金を認めると言っているのです。

ところがそれほど甘い話ではなくて、付帯条件として最高解約返戻率が70%以下に限るとされました。これはどういう意味を持つのかは次項で解説します。

◆ 最高解約返戻率の縛りは実質返戻率103.5%

そもそも節税保険に頼る企業というのは、オーナー経営者が実権を握っている同族会社で、継続的に利益が出る体質の中小企業です。法人保険の節税効果を見る指標として、実質返戻率(代理店は日付なし作者なしの自作資料を提示しますが。)という判断基準があります。

実質返戻率というのは、税効果を考慮した見かけ上の解約返戻金の返戻率のことです。実質返戻率を算定するためには、その企業の実効法人税率を知る必要があります。実効法人税率は高く設定すると、実質返戻率が高くなり節税効果を感じることができます。

資本金1億円以下の企業とそれ以上の普通法人とは、実効法人税率が異なりますが、概ね30%前後になります。そうなると解約返戻率が70%なら実質返戻率は100%となり差し引き損得なしになります。保障が必要なら意味がありますが、そうでないなら保険会社と保険代理店に貢いだだけになります。

実効法人税率が30%以下なら下手をすると本当に損金になります。利益が大きく出ている、資本金が1億円以下の企業は実効法人税率が33.5%程度になりますから、解約返戻率が70%であれば実質返戻率は103.5%ということになります。

節税効果から見れば残念ながら、かなりしょぼいことになります。保険契約を進める動機としては弱くなると言えると思います。

◆ 全額損金可能な30万までの少額契約の価値。

中小企業のオーナー経営者にとり、税金を払ってB/Sをよく見せるか、利益を簿外に蓄えるかは微妙な心理が働きます。

自己資本比率も高く、手許キャッシュも潤沢であれば、利益は簿外に緊急予備資金として蓄えたい心理が働きます。支払った保険料はP/Lで費用として一旦落としてしまいますから、解約返戻金が現金になるまでは、財務的には消えてしまったことになります。

もし全額損金可能な30万までの少額契約を社員分だけ考えることがあるとすれば、簿外資金の蓄積ということ以外に、メリットになりそうな要素はありません。価値があるかどうかはその企業の財務状況と経営者の考え方によるでしょう。

◆ 全額損金可能な30万円までの保険、まとめ。

もし福利厚生として定期保険を考えるような場合、被保険者である社員の年齢はバラバラですから保険料も年齢や性別に応じてバラバラになります。保障額を揃えることはできても保険料を30万円に揃えることはできません。どうもすっきりしない保険になりそうです。

全額損金と言っても、それほどうまい話にはならないということが、お分かりいただけたかと思います。法人をターゲットとする法人保険の営業は、売り方の切り口を完全に切り替える必要があります。

保険を保険として売る、この当たり前の営業ができるかどうかです。もう菓子折り一つで、今期はいくら落とされますかという話法は通用しなくなりました。

保険会社の決算間近、バレンタインショック破綻への序章。

保険業界の深刻さ、バレンタインショック破綻への序章。

保険業界に籍をおいておられる方ならご承知のことと思いますが、バレンタインショックから一年、再びバレンタインデーが近づいてきました。保険会社、保険営業にとり悪夢の一年が決算を迎える時期に来たということになります。

小耳にはさむ情報では、はっきり言ってボロボロです。その実態を示すものとして、例年この時期なら保険会社、保険代理店入り乱れて提案合戦です。ところがどこもほとんど来ないのです。銀行からの紹介やアプローチもありません。

利益の出る決算企業の節税対策として、損金保険を売り込む手法は、国税庁の通達により閉ざされました。こうなることは予測できたのですが、それにしても次の手が見えてこないのです。

表面的には保険営業のアポ取りがないですから拍子抜けですが、見方を変えると保険業界で起きている事態の深刻さを感じてしまいます。

いろんなルートから入ってくる情報によると、法人保険を主体としている保険会社は昨年実績の9割だそうです。9割達成ではなく9割減だというのです。

すべての保険会社がそのようなことになっているわけではありませんが、多くの保険会社は大幅に昨対割れとなっているようです。普通の中小企業なら、廃業か倒産かという瀬戸際です。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 保険会社の財務構造。

保険会社の財務構造は、普通の会社とは違います。一応金融機関ではありますが、銀行とも違うので素人が簡単に財務評価をすることはできないのです。決算を迎えれば、保険会社独特の財務指標が出そろいます。

「ソルベンシーマージン比率」「基礎利益」などという数値は、分かりにくいですが、過去の数値と比較することはできます。わかりやすいのは、格付会社による格付けでしょうか。しかし今回は、公表された数値だけで判断するのはリスクを感じます。

多くの中小企業が、虎の子の利益を何億も預けているわけですから、今後契約している保険会社の決算数値と格付けを注視していく必要があります。

生命保険業界には保険会社の破綻に備えて、生命保険契約者保護機構なる組織が資金を積み立てて、生命保険契約者の権利と利益を守る仕組みがあります。

しかし、一社だけの破綻なら保険会社が力を合わせれば、何とかなるかもしれません。でも今回の事態はそれほど甘くないとみています。追い詰められた保険会社は、数社から十数社に及ぶと推測しています。自力で立て直せる基礎体力の強い会社、個人契約が売り上げの主体を占めている会社はしぶとく立て直すと思います。それでも足を引っ張られる構造にかわりはないと思います。

◆ 保険会社の行き詰りと悪循環。

保険営業の人件費は一部固定費、大半は変動費になります。成果の出ない保険営業や代理店に保険会社はコミッションを払う必要はありません。

もちろん保険営業をしない保険会社内の人件費は、リストラでもしない限り固定費としてかかってきます。

普通の会社のように当期だけを見れば、破綻状態でしょうが、保険会社は過去に預かった保険料収入で食いつなぐことは、ある程度できます。保険料収入が激減した保険会社が、それまでの貯金でどこまで生き延びられるかということになりそうです。なぜそこまで言えるのかと思われる方もおありでしょう。

保険会社の実態を見れば、しわ寄せは全て保険営業に集中する構造になっています。そのため最前線で保険販売をする保険営業が、追い詰められることになります。

その結果、保険営業という個人事業主や保険代理店が成り立たなくなれば、別の道を模索せざるをえなくなります。そして保険会社は収益の入り口となる戦力を失い、保険料収入がこの先どんどん細ることになります。

今回の国税庁の節税保険シャットアウト通達後、各社の新製品や保険営業の動きを見ていると、以前の通達が出た時のような出口の光明が見えてこないのです。このまま改善の可能性がないとすれば早晩、行き詰まることは避けられないと思います。

節税保険で集中的に売り上げを伸ばしてきた保険会社が、そう簡単に変われるものではないのです。そういう状況ですから想像するに、厳しさは半端ではないですし、悲観的な見方をせざるを得ないところです。

◆ 節税保険契約者への警鐘。

節税保険を契約している多くの中小企業のオーナー社長にも、警鐘を鳴らしたいところです。大事な簿外の貯金を減らしたくなければ、情報収集はち密に頻繁に行う必要があります。保険会社は銀行のように預かった保険料に利息をつけて返す必要はないのですが、解約集中による資金の流出はあり得ることです。

生命保険契約者保護機構が責任準備金の9割を保証してくれるということがあります。しかし心配ないなどというお気楽なことはこの際考えずに、解約返戻率を見極め解約のタイミングをはかっておくことも企業防衛と考えるべきです。

◆ バレンタインショック破綻、まとめ。

バレンタインショックから一年、今にして強く思うことは、国税庁の官僚がそこまでやる必要があったのか、保険会社やそこにかかわる多くの人たちをここまで追い込む権利があったのか、憤りをもって問いかけたいところです。

とは言っても相手は国家権力です。もはや後戻りはないでしょうから、潮時の見極めが大事かと思います。

今すぐに保険会社の格付けが急落して、破綻のうわさが立つようなことはないと思いますが、この先、用心に越したことはありません。保険営業の方にも保険契約者の方にも言えることは、先行きに改善が見込めないのであれば、早期に別の道を探るという選択肢も考慮に入れなければならないと言うことです。

節税保険、簿外資金の使い道。

節税保険で貯めこんだ簿外資金の使い道。

バレンタインショックから節税に使える損金保険はなくなってしまいましたが、既契約への遡及は見送られました。その結果、損金で簿外に蓄積してきた利益は、既得権として残すことができました。

全額損金のがん保険や長期平準定期、駆け込み契約が集中した一定期間災害保障重視型定期保険などがあります。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 損金保険と節税保険、そもそも。

節税保険を契約すると法人は保険料を費用として損金処理できます。しかし解約すると大部分の保険料が戻ってきますので、雑収入が発生します。これは課税の繰り延べになっています。損金で支払った保険料はP/L(損益計算書)で費用と処理されますから、B/S(貸借対照表)にはのりません。

つまり実質的に解約返戻金は貯金になっているのですが、形としては簿外に資金を蓄えていることになります。うまい具合にいざというときの助けになる、合法的な隠し預金になっています。

節税保険と言いますが、そもそも解約したときの雑収入の使い道が設計できていないと利益を繰り延べただけになります。それでも意味がないことはないのですが、せっかくですから早いうちから出口対策を用意する必要があるのです。

◆ ピークを迎える節税保険。

残せる節税保険と残せない節税保険など保険料を損金で落とせる保険はいろいろあります。またピーク時期が短いものや、比較的幅がありゆったりとした返戻率のものがあります。

特に長期平準定期のような長い目で管理するような保険は、解約返戻率のピーク時期がある程度長くなっています。ですから安心して残せる保険、ということになります。

ところが全額損金で処理が可能な保険は、解約返戻率がとてもよくなりますが、ピーク時期が限られていて、うっかり見過ごすと大変なことになります。それは解約時期のコントロールが、それほど自由ではないということです。

そのため出口対策も、ピンポイントで考える必要があります。節税効果は高いですが、短期的な管理が必要になります。いわゆる残せない保険ということになります。

短期的に管理すべきか、長期的に管理すべきかは、保険の種類だけでは決められないところもあります。残している提案書を確認し、単純返戻率の推移を確認してください。提案書がなければ保険代理店、もしくは保険会社のサポートに連絡すれば対応してくれます。

これらは区別して解約時期の管理をする必要があります。

◆ 解約返戻率の2029年問題。

新たな問題的をわかりやすくするために「解約返戻率の2029年問題」などと申し上げてみました。バレンタインショック駆け込み組は、多くの場合10年後に解約返戻率のピークを迎えます。何千億といも言われる駆け込み組の一斉解約の時期にあたります。

2019年2月契約とすれば、2028年2月から2029年2月までに解約することになります。それより手前で使い道を設計する必要があるのですが、中小企業は日々泥縄、それどころではないと思います。

まず10年は一昔です。保険会社や代理店の担当が同じように残っていて、フォローしてくれる保証はありません。それどころか契約した企業でも、事情を理解した当時の担当者は退職しているかもしれません。

以前のように、解約しても今度ばかりはその雑収入を引き継いで次の保険契約に入ることは期待できないのです。一斉に解約される保険会社も大変なことになりますが、出口対策のできていない中小企業は、課税当局のツボにはまって納税せざるを得なくなります。

まあ、コロナ後の不況の中で、それまで保険料を払い続けることができずに解約している確率の方が高いように思いますがね。

◆ 簿外資金と経営戦略。

もちろん泥縄経営の中小企業にとれば、来期の利益予想すら困難です。利益の繰り延べこそ、キャシュ保険のようなもので価値があるのです。未知の資金需要に対応するのが、損金保険で蓄えた簿外資金の役割です。

とは言ってもせっかく既得権を手にしたわけですから、簿外資金の有効活用を前提とした経営戦略が必要です。単なる繰り延べだけでは、もったいないというものです。

経営戦略などと小難しいことを申し上げましたが、要するにお金の使い道です。企業経営は「入るを量りて出ずるを制す。」と言われます。お金を使うからにはそれに見合う利益が得られるか、あるいはコスト削減になるかを考えます。もう一つ言えばリスクをヘッジできるかを考えた投資戦略です。

◆ 失効、減額、払済、保険テクニックは多彩。

解約返戻率は、年の経過とともに徐々に変わっていきます。それほどピーク時にこだわらなくても、柔軟に考えて下さい。そうすればいろんな手が使えます。それでも制御できない時は減額、失効をお考えください。必要なだけ雑収入を取出し複数年に分けたいときは減額することです。

2年程度解約を先送りしたいが、ピークを維持したいという方には失効がおすすめです。(保険料を口座振替から振込に変更して振込まないで失効させてください。)都合のよい時期に解約して雑収入を有効にご活用ください。

払済という手法もよく使われます。しかし払済にすると保険料の支払いは止まりますが解約返戻金の洗い替えが発生します。キャッシュは入りませんが、一旦雑収入を計上しなくてはなりません。終身保険はしっかり残りますが、税金もかかりますのでご注意ください。

但しの注意があります。保険料の支払いをストップすれば、失効しますが、失効後復活できない保険があります。復活できない保険を保持し続けることは、経済合理性がないと言います。早い話が、税務署は復活できない保険を先送りすることは、利益調整とみなします。

また払済できない保険があります。減額は保険が有効継続していれば、何度でも減額できますが、失効させると減額はできません。ひどい話では、失効させると強制的に解約返戻金を振り込んでくる国内生保もあります。

この辺の詳細な話は、保険代理店の営業でも把握できていない場合があります。一筆とるか、カスタマーサポートに問い合わせて、回答させる念押しが必要です。

◆ 他にもできる費用化戦略。

節税保険の肝は出口戦略の設計です。しかし出口で受けて引き継げる保険がなくなりましたので、ここは費用化できるものを集めて周到に準備をすすめなくてはなりません。設備投資の減価償却をあて込む場合でも、中長期的な設計が必要です。

最低でも複数年計画で進めないとリスクの高い損金商品に走ったり、間に合わずに余分な納税をしたりする羽目になります。詳細は省きますがやり方次第で費用化できる手堅いものをいくつかあげました。

すべての会社にあてはまるわけではないですが、参考になさってください。

(税制が変わると適用できない場合がありますので、各自の責任で確認してください。)

・設備投資をして定率法で減価償却(中古品が有利な場合も、中長期計画が必要)

・LED交換で一括償却(LEDは一括償却が可能)

・経営力向上計画による設備導入で一括償却(工業会等証明書が必要)

・Windows10入替で少額減価償却資産の特例活用(2020年の3月末まで)

・取得額10万円未満のPCは消耗品費、一括計上(やり方次第)

・海外社員旅行(最近は喜ばれません。)

・決算賞与支給(モチベーションアップは一か月)

決算賞与の場合は期末ぎりぎりの判断になりますから、下記の要件をご確認下さい。

1.事業年度終了の日までに支給額を、同じ時期に支給する全従業員に対して各々通知していること。

2.通知した金額を、事業年度終了の日の翌日から1カ月以内に全額支払うこと。

3.通知した金額について今期中に損金として経理上の処理をしていること。

・退職金支給(たびたび使えませんが効果大)

・不良資産を売却(評価が下がっている不動産を売却)

・修繕、廃棄(この際不良在庫を処分)

◆ 簿外資金の使い道、まとめ。

節税保険によって投資に回っていない簿外資金は、おおよそ数千億以上あるでしょう。長期に蓄積しておいて退職金にあてることで、解約時の雑収入消すことができればベストです。

ただ度々使える手段でもないですし、引退のタイミングを合わせるのは意外に難しいものです。

虎の子の簿外資金を有効に制御しつつ、投資を考えることが中小企業の知恵の見せどころです。そのためには、契約している生命保険契約の解約時期がわかる資料をエクセルで作成しておくことが必要です。縦軸に保険契約の種類と内容、被保険者や契約日、保険会社を並べます。横軸は時系列を管理するので各年度を並べます。

各セルには解約返戻金を入れます。ピーク時期を2段階で色付けします。ピンポイントのピークは赤色、解約返戻率があまり下がらない許容範囲は黄色にします。解約返戻金の縦軸の合計は、その年度に使うことができる、解約返戻金の金額合計が示されます。

試しに作成いただくと、自分なりの工夫ができます。大事なことは情報をA4一枚で俯瞰できるようにすることです。必要最小限の情報に絞りこめば、契約が多くてもまとめることができます。そして経営戦略を考えるときに、いつもそばに置いておきます。

費用化戦略も保険のエクセル管理も、実際の経験に基づいています。保険管理のエクセルは作成することで、解約時期が頭に入ります。費用化戦略を並べましたが、多くの場合投資以前に、赤字の穴埋めに使うことになるかもしれません。それほど厳しい時代の到来が予感されます。

節税保険壊滅、令和元年の悲劇しめくくり。

節税保険壊滅、令和元年の悲劇しめくくりと生き残り策。

バレンタインショックを経験した平成31年は、令和元年でもあります。一年の締めくくりとして、節税保険壊滅を振り返ります。しぶとく保険業界で生き残る方策はあるのでしょうか。保険販売のあり方を問い直された一年でしたが、買う側の中小企業でも次に来る決算での締め方が見えなくなっています。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 平成から令和へ、保険業界最悪の一年。

保険を買う側として、特に会社で契約する法人保険に関する情報を発信してきました。そして今思うこととして平成31年は、元号が変わっただけでなく、保険業界にとって後々まで語り継がれる最悪の一年になりました。

被害を受けたのは、保険会社だけではありません。多くの中小企業が生き残るための利益コントロール手段を失いました。しかし法人保険を買う側の中小企業の多くは、バレンタインショックで節税保険の既契約の権利をガッツリ手に入れています。それゆえまだ保険業界ほど、追い込まれている感じはありません。しかし先を見通せば、すでに手詰まり感があります。

節税保険を使えば、期末に手軽に確実に安全に簿外貯金ができたものを、残念ながらもはや打つ手が限られてしまいました。買う側の気分としては、冷めてしまった空気が漂っているような有様です。

◆ 保険営業の苦境と保険販売の在り方。

その後の漏れ伝わる保険業界の情報は、武士は食わねど高楊枝派と壊滅諦め派に分かれます。武士は食わねど高楊枝派は、個人契約が主力ですから影響は少ないと言いながら、損金保険以外すすめたことがない保険代理店があります。

壊滅諦め派は、節税保険ではない新商品を提案したものの、新規契約がとれないことを嘆いています。どちらのパターンも廃業か転職かという選択肢が見えつつあります。

保険業界に身を置いたからこそ言えることは、これまでが異常な保険バブルでした。それがはじけてしまった今、本来の保険販売の基本に立ち返るときがきたということになりそうです。

本来保険販売ではお客様にリスクに気づいていただき、保険の必要性を理解いただいて契約頂くものです。できる保険営業でも、それほど簡単にクロージング出来るものではありません。節税保険のように決算ごとに菓子折りひとつで何億もの契約がとれる、美味しい話は異常だったということでしょうか。

◆ 新商品は節税効果なし魅力なし。

節税保険に変わる各社の新製品は、創意工夫を凝らして目先を変えてきていますが、節税効果はほとんど期待できません。そういう点から言えば、課税の繰り延べが期待できる損金商品は、保険の形こそしていますが節税目的の金融商品でした。

保障性はありますが、契約するときは解約が前提ですから保険としての機能については、おまけほども気にしないのです。保障性を高めた保険を提案されても、保険契約の目的がそもそも違いますから、全く触手が動かないのです。魚を買いに行って和牛を出されたら衝動買いすることはあるでしょうが、バケツを出されたら買う気にはならないようなものです。

節税保険壊滅、令和元年の悲劇しめくくりとは大見得を切りましたが、hokenfpとしては今後の記事ネタ不足を心配するばかりです。保険営業で生き残るには、真面目にコツコツ、信用を積み上げて契約につなげるしか道はありません。かんぽ生命の日本郵政のような無茶をして契約者を裏切れば、いつか裁きが下ります。

◆ まとめと保険営業、生き残りの秘策。

ただ、この時期でもそれなりにコンスタントに売れている保険代理店も存在します。保険商品的にも保険会社的にも選択肢は限られますが、生き延びる手段がすべて絶たれたわけではありません。

養老保険も売り方次第、逓増定期保険も販売の切り口次第と申し上げておきます。

共通して言えることは、やはり単純返戻率が高い商品でないと顧客に対する説得力がないということです。目先の損金にこだわらなくても保険商品の使い道はいろいろあります。

法人保険商品の妙味は事業保障だけでなく利益コントロールにあります。オペレーティングリースのようなハイリスク商品に頼らなくても、保険商品の使い方次第ではまだまだ工夫ができます。

国税庁が今回のバレンタインショックで網をかけ忘れた唯一のスキームですから、なにかとかまびすしい状況ではありますが、まだ道が絶たれたわけではありません。

(追記:2022年3月のホワイトデーショックで道は絶たれました。)

あいまいな言い回しで煮え切らないですが、hokenfpの読者であればこれだけの情報で道を切り開いていただけるものと思います。おすすめの保険商品がない保険会社所属の保険営業の方、あるいは意味が分からないという方は残念ながら廃業か転職をお考え下さい。それも早い方がよいと思います。

節税できない法人保険、当期利益の落とし方。

節税できない法人保険、当期利益の落とし方を考えると。

DSCF1889中小企業の財務責任者にとれば、打つ手が限られてしまいやっかいなことになりました。

というのは、ご承知のように節税保険が国税庁の通達によりほぼ完全に封じられてから保険会社が提案してくる生命保険は利益の繰り延べ効果がない商品ばかりなのです。

節税保険、バレンタインショックまとめ。

 ◆法人向けの生命保険商品の切り口。

生命保険会社はそれぞれ迷いながらの新製品を投入してきました。後になるほど工夫を凝らした保険商品が出てきているのですが、残念ながら以前のような利益を簿外に留保できるような妙味は、もはや期待できません。

そうなると見込みで当期利益が出そうな企業はさてどうするかですが、まだ明確な方向性が出ないうちに令和元年も暮れようとしています。まったくもって令和元年というのは保険業界においては、激動というかバレンタインショックに始まる受難の一年でした。

最初は損金階段に合わせた商品だけでしたが、最近では相当工夫を凝らした保険商品が見られます。例をあげると為替リスクはありますがS生命の米ドル建生前給付終身保険(生活保障型)は終身保険ながら生前給付の医療保障となっているため第三分野保険に分類され、国税通達の損金算入割合の新ルールを適用して指定の割合を損金算入できます。

最高解約返戻率が70%超85%以下なら4割損金算入が可能です。10年で払済にすると十数年後には解約返戻率が100%を越えてきます。実質返戻率を計算すれば、もっと早期に100%を越えると思います。損金効果はそれほど期待できませんが、よくできた保険商品(詳細はS生命にお尋ねください。)です。

おっと、こういう言い方はご法度でした。研修を受けていないので口が滑りました。

節税できない法人保険、当期利益の落とし方。

 ◆オペレーティングリースのリスク感。

聞くところによるとオペレーティングリースが飛ぶように売れているとのことです。どうもこれまでの節税保険に投資されて資金は別の方向に向かっているようです。オペレーティングリースが中小企業の節税対策として適切かどうかは意見が分かれますが、税理士法人から保険代理店までオペレーティングリースの提案花盛りなのです。

確かにおもしろい仕組みですが、金融商品として見れば生命保険とは比較にならないハイリスクな面があります。

オペレーティングリースのリスクは生命保険と異なる事業上のリスクがあります。営業者といわれる賃借人の債務不履行や倒産などによりリース契約が中途解約されると、出資元本が毀損する可能性があります。また追加出資を求められる場合もあります。他にもカントリーリスクとしてクーデターや政変があった場合、想定外の損失を被る可能性があります。またリース終了後の残存価格によっては売却により損失が発生する可能性があり、出資元本の毀損、もしくは追加出資の可能性があります。

一般的にリース物件の売却はドル建てのため為替リスク(円貨の場合は関係ありません。)があります。リース物件が事故などで滅失した場合、保険金が支払われると事業収益が変動することになります。また、税制が変わる可能性があり、このためリース契約が早期に終了する場合、追加出資の可能性があります。

さらに匿名組合契約は中途解約不可であり、クーリングオフもできません。なかなか縛りが厳しいですし、リスクもそれなりにあります。世界の景気変動によっては損失の可能性があるので早期の減価償却が可能になっているということですね。

節税保険の行き詰りに、無駄遣いより納税が利口な理由。

 ◆法人保険の行く末と不毛のコスト。

法人保険の行く末とは書きましたが、保険業界、あるいは保険営業の行く末を案じてしまいます。法人保険を買う側としては節税保険がなくなると別の方法を模索することになりますが、それが見通せないなら最終的には納税するしかありません。

現在は、おかげ様で法人税は以前ほど高率ではなくなりました。以前では実効法人税率が40.9%、内部留保金課税があり実質の税率は50%近くになるようなこともありましたから節税保険はまことにありがたい仕組みでした。

現在の実効法人税率は33%強ですから、耐え難い税率ではなくなったように思っています。しかし、税金というコストは経営という視点から見れば、何の見返りもない不毛のコストです。吹けば飛ぶような中小企業では、せっかく汗水たらして薄氷を踏む思いでひねりだした利益を、有効な使い道を見つけられないまま納税せざるを得なくなるのはやはりつらいのです。

企業経営は水ものです。中でも中小企業は泥縄です。なかなか当期の利益見込みを予測して適切に利益の使い道を用意することは難しいのが実態です。利益が出そうだからといって期末に設備投資をしても減価償却できるのはごく一部で利益を抑制する効果はほとんど期待できません。

 ◆まとめ

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過去の記事でも書いていますが、利益が出る予定の中小企業にとってできることは限られます。

たとえば中小企業経営強化税制にかかる設備投資で投資額の一括償却を狙うか、決算賞与を支給するか、海外社員旅行を企画するかというようなことになります。

いずれを選択しても利益を落とす効果は節税保険ほど調整が効かず、戻ってくるキャッシュも解約返戻金もありませんから費用対効果はあまり期待できないと思います。

しかしなんといっても税金という見返りのないコストを払うよりははるかに経営にプラスになることは疑いがありません。注意すべき点は決算賞与や海外社員旅行などに資金を投入すると、一時的にはモチベーションアップになると思いますが、利益がでなくて継続できなければ不満という反動が結構大きくなって返ってきます。生命保険のように結果がシンプルでわかりやすくないのです。

それでも何ともならないくらい利益が出るときはオペレーティングリースを検討するという手順でしょうか。ただオペレーティングリースに投資しても法人保険のように事業保障リスクを軽減したり、決算賞与のように社員のモチベーションを高めたりする効果は期待できません。

念のため誤解なきよう申し上げておきますが、税金を納める必要はないと申し上げているのではありません。利益予想に対して何の手も打たず、成り行きで必要以上の納税をする必要はないと申し上げているのです。優良申告法人といえども納税した結果は表敬状一枚ですから、なおのこと一般法人では多めに納税することになっても税務調査で手加減してもらえるわけではないのです。

話をまとめるつもりが、混とんとしてきました。最近はとんと姿を見せない保険代理店の営業を案じながら、当期の利益予想にもとづく節税対策をまとめる時期になりました。

全額損金可能な30万までの少額契約の価値。

バレンタインショック後遺症に苦しむ保険業界。

バレンタインショック後遺症に苦しむ保険業界。

保険契約は個人と保険会社が契約する場合と、法人(会社)が契約者となって保険契約する場合があります。後者を法人保険、あるいは経営者保険とか役員保険とか言うこともあります。

今回、国税庁の通達により経理処理ルールが変わり、販売が厳しくなったのは法人保険です。個人で契約する保険には影響はありません。

◆ 法人保険の目的と節税保険。

保険の営業というのは地道に顧客との関係を築き上げながら信頼を構築します。そして顧客自身のリスクに気づいていただくことで、契約へつないでいきます。このため個人契約で一気に大きな契約をとることはできません。

また保険契約というものは、契約のタイミングがそう度々あることはなく、人生の節目で責任の大きさに合わせて見直すことが普通です。

ところが法人保険の目的は大きく二つあります。ひとつは事業保障として経営者や役員などの重責を担う方の万が一により、会社の経営が一時的に厳しくなるとき対策です。保険金というキャッシュで、信用を維持する目的でかけられます。

もう一つは利益の繰り延べによる、節税効果を目的とした保険があります。保険契約全体からすれば、節税保険は一部なのかもしれませんが、ここに集まる保険料が半端ではありません。

個人契約と比べると国税庁が黙って見過ごすことができない大きさがあり、保険料の桁が二桁違う感じです。その上、毎期決算前に契約のチャンスが巡ってきます。それゆえ法人の節税保険を得意とした保険会社、保険代理店がこれまで大きな成果を上げてきました。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 法人保険、開店休業状態の半年間。

これまでの時系列を整理しました。この間、なすすべがない保険代理店のなかには、どうせ商売にならないのだからというわけで、バレンタインボーナスで海外旅行に出かけた優雅な人もありました。しかしながら、心底穏やかでない旅だったと思います。

2/13 国税庁の招集

2/14 バレンタインショック 節税保険全面販売休止

2/28 駆け込み契約急増

4/10 パブリックコメント募集

5/10 パブリックコメント募集締切(既契約訴求なし)

6/28 国税庁通達発遣(短期払医療保険を10/7まで延命)

2月末の駆け込みを最後に、節税保険を売り込む保険会社はなくなりました。国税庁や金融庁に歯向かう保険会社はなかったようです。国家権力といえども一度認可した商品に対して、今の時代に無謀なことをするものです。

◆ 保険代理店の苦境、保険会社の行き詰まり。

保険代理店は、売れ筋保険商品を失いました。保険会社も法人を主体としていた会社は、完全な行き詰まり状態が続いています。2月半ばから約7カ月以上手詰り状態の保険業界です。もはややり手の保険代理店でも一発逆転・一括千金のような成果は残せなくなりました。

細々と個人でも法人でも、保障性をメインにした保険を売り続けるしかありません。自分の努力次第で、サラリーマンではできない大きな夢が実現した保険業界も、先行きが見通せなくなりました。

◆ 売るものがない、ドル建て商品。

やり手の保険代理店が、バレンタインショック以来しばらくぶりに提案してきたのは養老保険でした。それもドル建てのハーフタックスです。養老保険は社員全員に付保し、死亡保険金の受け取りを遺族にすれば半分を損金にできます。手続きさえすれば事務手数料と消費税が割引になります。

いまどき貯蓄性の高い養老保険は、円建てでは予定利率が低すぎてメリットがありません。ドル建てで提案するしかないところです。代理店によると爆発的に売れているそうです。(はったりでしょうがね。)ドル建てではやはり、為替リスクの心配があります。

下手をして、入り口で円安になり出口で円高になれば為替のダブルパンチリスクがあります。うかつに手を出せないところです。実際のところ代理店にしても売るものがなくて、10年の短期払い医療保険とハーフタックスの養老保険だけしかないとのことです。事情は分かりますが、選挙の最終日のように最後のお願いに来られても、そうそうお付き合いはできないものです。

◆ 個人契約の保険だけでは生活できない保険営業の苦境。

どの代理店も保険営業も自分の苦境は口にしません。今回の国税庁の締め付け通達の影響を聞くと「個人契約が多いので影響はあまりありません。」と決まり文句を言います。営業としては自分が不利な立場に追い込まれたことの自覚があると、お客様の信用を失わないようにうまく説明して切り抜けようとします。

これまで節税保険しか提案したことがない代理店が、同じことを言います。提案するものがない苦境は手に取るようにわかります。

ある保険代理店に中小企業法人保険専門の某社はどうですか、と話をむけると「あそこは大変です。毎週のように代理店営業担当から電話がありますが、無視しています。」これはよく考えれば、自分の苦境を白状しているようなものですが、そこは武士は食わねど高楊枝です。

個人契約にしても法人契約でも、保障性の保険はたびたび販売チャンスがあるわけではありません。一度契約すれば、よほど環境が変わらない限り見直しはしません。節税保険のように毎年チャンスがあるわけではありません。損保のように毎年コミッションがあるわけでもありません。

法人や個人で終身保険を契約頂けたとしても、それだけではコンスタントな契約にはなりません。生活するだけなら何とかなるかもしれませんが、身に付いたステータスや贅沢はそう簡単にやめられませんから苦しくなります。

◆ バレンタインボーナスが退職金に。

法人の節税保険をメインに扱っていたら今回ばかりは、廃業を考えるなら早い方がよいかもしれません。もう一括千金の法人保険はないと言えそうです。少しばかり嫌な言い方になり申し訳ないですが、バレンタインボーナスが退職金になりそうな厳しさです。

買う側で、新しく開発された保険の説明を聞いていても、残念ながら財務的なメリットが少なすぎます。

保険会社もあの手この手で知恵を働かせた新保険商品を出してくるかと思いきや、はっきり申し上げて金融庁に媚(こび)を使うばかりで、音無しのかまえです。保険営業や保険代理店の行き詰まりは、そもそも保険会社の行き詰まりに他なりません。

全く酷い話ですが、すでに一部の保険会社では整理と合従連衡が始まっていると聞きます。その結果、被害を受けるのは保険営業と顧客です。(保険会社の合併・統合は破たんではありませんので契約条件は引き継がれます。破綻した場合も生命保険契約者保護機構が機能し、責任準備金の9割が保証されます。)

◆ バレンタインショック後遺症、まとめ。

これで打ち切りにしようと考えていましたが、保険業界ではまだまだ尾を引きそうです。買う側の中小企業でも、正直困っているところです。あまり手を出したくない航空機や船舶、果ては足場まで検討せざるを得なくなりました。オペレーティングリースは、保険に比べれば使い勝手がすこぶる悪いのです。

かといって、無造作に税金を払うほど馬鹿らしいコストもありません。冗談抜きで社員旅行を海外へ、そして決算賞与まで考えることになります。社員は大盤振る舞いに喜ぶでしょうが、しょせん一時的なものです。それで売り上げが伸長したり、利益が出たりするものではありません。

できることは虎の子の既契約を大事に守ることぐらいになりました。バレンタインショックの被害者は、保険業界だけではないということです。

バレンタインショック後の意味不明な提案書と買う側の憤り。

バレンタインショック後の意味不明な提案書と買う側の憤り。

せっかくバレンタインショックのまとめ記事を書いて、次の展開を考えていたのですが、まだまだ話題提供は続いていくようです。しばらく保険代理店や保険会社の営業からアプローチが少ない状態が続いています。

保険業界も国税庁に無抵抗で牛耳られてしまいました。許認可責任を棚上げにして、国税庁の尻馬に乗った金融庁にまで、錦の御旗を振りかざされては立つ瀬がないところです。

保険募集人も個人事業主とは言え、一介の労働者です。生活の糧(かて)を得るためには保険を売らなくてはなりません。バレンタインショックから、空白の半年が重くのしかかってきます。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 国税庁のパブコメ回答と保険販売の涙雨。

梅雨まだ明けやらぬ7月半ばですが、保険販売に関わる営業の悲鳴が聞こえてきます。国税庁のパブコメ回答で販売合戦に突入するかと思いきや、各社弱気で音なしの構えです。

ぼつぼつ訪問してくる営業に聞くと、どこも同じでコンプライアンス研修ならぬ節税話法ご法度研修に取り込まれているとのこと。売るべき商品は半年近くも封じられ、この上わかりきった形だけの研修に、長時間手間をとられるのはつらいところだと思います。法人保険を買う側ではあるものの、保険営業の皆様の苦境には正直同情を禁じ得ません。

◆ 先駆けて新ルール対応の新製品をD社が発売。

その優等生であるD社は、各社に先駆けて新ルール適応保険商品を金融庁に認可されたそうです。同社はいわば国税庁のコバンザメのような立場がありますから、保険会社の中でも手本を示さなくてはならないところです。

ただ、どうも見えてこない新ルールの抜け道の中で、D社としてもやはり保険商品で先行するのは一抹の不安が残るところでしょう。

これまでの保険商品開発競争でも、やはり後出しジャンケンは強いところがありましたからね。

そのD社の保険の提案書の最初のページには、以下のように大きな太い文字で注意事項が記載されています。そして次のページには法人税のイメージ図なるものがあります。書いてある日本語はわかりますが、何を血迷っているのか意味不明です。

以下はD社提案書からの抜き書きです。

・法人向け保険商品のご検討に際してご留意いただきたいこと法人向け保険商品の加入にあたっては、以下の点を確認のうえ、申込みください。

税務の取扱い等については、令和元年6月28日付「課法2-13 課審6-10 査調5-3法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」等に基づき記載しています。今後、税務の取扱い等が変わる場合もあります。

■法人向け保険は、被保険者さまに万一のことがあった場合、(死亡)保険金等を事業保障資金等の財源として活用いただくための、「保障」等を目的とする商品です。

■「支払保険料」を損金算入しても「保険金」や「解約返戻金」等は益金に算入されます。課税タイミングが変わる課税の繰り延べに過ぎず、原則、節税効果はありません。

■保険本来の趣旨を逸脱する保険加入、例えば、「保険料の損金算入による法人税額の圧縮」のみを目的とする保険加入はお勧めしていません。

買う側の契約者の立場からものを申せば、「課税タイミングが変わる課税の繰り延べに過ぎず、原則、節税効果はありません。」というならなぜこれまで大騒ぎをして販売停止しているのか意味が分からなくなります。節税効果がないと言うなら販売しても問題はないはずです。

さらに出口で益金をどのように有効に使うかは、契約者の問題ですから保険会社や国税庁にとやかく言われる筋合いはないと言うべきです。

また『「保険料の損金算入による法人税額の圧縮」のみを目的とする保険加入はお勧めしていません。』とありますが、保険契約の目的をどこに置くかは契約者の意志と考えによります。

また保険会社が説明するのではなく、保険募集人が説明しますから規制できるものではありません。いくら節税話法ご法度研修をして実質返戻率を記載せず、極太の大きな字で御託(ごたく)をならべて頂いても意味がないと言うべきです。

法人保険販売の現場で、保険商品のメリットを説明しない営業はいません。

◆ 保険商品の落ち着くところは。

ただご提案いただいた解約返戻率ごとの提案書は、なかなか面白いと思いましたが、契約者にとっての最悪は、保険料が伸びないのです。解約返戻率が悪くなるのは、貯蓄部分が少なくなったと思えばよいのですが、保険料が伸びないのでは財務的な妙味が薄れてしまいました。

実質返戻率が100%を越えない中で保険料が伸びても仕方がないです。解約返戻金でキャッシュが戻らないなら、まさしく損金が損になるだけですから、本当の掛け捨てです。

ただ全額損金(解約返戻率が50%以下)の定期保険と、予定利率のよいドル建ての保険を組み合わせることは有りかもしれません。何年か先のキャッシュに変わるときの為替リスクはあります。

しかし円建ての終身保険も養老保険も、ここまで予定利率が悪くなると、いくら保険としての保障があるとは言え、選択肢にはなりにくいところです。

◆ 経理処理に対する保険会社の取組み。

D社にはピークリストなるものがあり、解約時期のタイトな保険商品では有益な仕組みです。他にもD社は経理処理の案内を送ってきます。

これまではゴミになるだけの書類でしたが、新ルールの煩雑な資産計上ルールでは役立つ可能性が高いと思います。

しかし新ルールには、まだどのように対応すればよいのか見えない部分もあります。

被保険者一人あたりの年換算保険料相当額が30万円以下であれば、一定の要件のもと全期間を通じて全額を損金算入できることが可能です、とありますが、被保険者一人あたりと言うことであれば、だれが通算して判断するのでしょうか。

少なくとも保険会社では、他社を含めた保険料の通算はできませんから、経理処理の案内でサポートすることもできません。運用する中でまだまだ調整が必要な新ルールだと思います。

◆中小企業の資金運用に痛手。

今回の国税庁の通達に対して、たびたび問題点を指摘している理由は、保険会社や保険募集人に対する理不尽な圧力に対してだけではありません。法人保険を買う側の中小企業の資金運用にとって、大きな痛手となると考えるからです。

日本経済の底辺を支える数多くの中小企業は、大企業のように資金が潤沢なわけではありません。また毎期予定通りの利益を計上できるものでもありません。

企業は環境適応業と言われるように、外的要因に大きく左右され利益を安定させることは、至難の業と言えるのではないかと思います。経営者にしてみれば、額に汗してコストを削減し、稼いだ利益を無駄にせず有効に投資する知恵が必要です。

ところが悲しいかな中小企業というものは、予算通りに経営できるものではなく、まさしく泥縄のようなものです。来月の利益も正確には、予測できないのです。

その結果、期末直前に利益が出過ぎたり、赤字が予測されたりとギリギリの判断が求められます。あわてて設備投資を考えても、当期で費用化できる金額は月割りのわずかな部分だけになります。

そのため急遽、社員旅行を海外にしたり、経費で落とせるような修繕費を集めたりします。経営力向上計画で認証を受け、一括償却可能な駆け込みできる設備投資を考えます。果ては決算賞与を期末ギリギリに決断するようなことまでして、税金という見返りのないコスト抑制に取り組みます。

◆ まとめと買う側の憤り。

経営者の本音で言えば、無理に無駄使いのような投資をせず、できればせっかくもうけた利益は保険料という形で費用化して、緊急予備資金として簿外に貯金したいと考えます。いつまでも貯金できるわけではありませんが、解約するときに出る雑収入の有効な使い道を考えれば、繰り延べた利益が役に立ちます。

損金で貯蓄できる法人保険は、中小企業の利益活用に猶予期間を与えてくれる価値ある選択肢だったのです。

中小企業はあの手この手で知恵をしぼり、課税当局を敵に回さないようギリギリのところを泳ぎながら会社を守っていくことが、課せられた宿命のようなものです。その貴重な利益を守る資金運用の選択肢を封じられてしまったことに、憤(いきどお)りを覚えるのはhokenfpだけでしょうか。つい興奮して3,000文字を越えてしまいました。長々と申し訳ございません。

節税保険、バレンタインショックまとめ。

法人で契約する保険の目的には、事業保障と節税という面があります。節税という保険本来の目的を逸脱した販売合戦が過熱し、業を煮やした国税庁が大ナタを振るいました。

2019年2月14日、日本経済新聞の「節税保険」販売停止という記事から始まったバレンタインショックは、節税保険をほぼ壊滅に追い込みました。

保険を買う側で、バレンタインショックに始まる一連の経緯をまとめました。当時の保険会社や保険代理店の対応が、つぶさにわかる記事になっています。

買う側の中小企業の立場で書いていますので、利益の繰り延べに使える節税保険という選択肢を失ったことで、多少批判的な記事になっています。

◆ 節税保険の駆け込み競争。

バレンタインショック以前は、10社程度の保険会社が「傷害保障重点期間設定型長期定期保険」なるものを競って販売を始めました。呼び名はさまざまですが、契約成立から数年間は通常の病気死亡の保障がなく、傷害事故の死亡保障だけになっている定期保険です。

付加保険料を上乗せし、解約返戻率をギリギリまで高めた節税目的の保険です。したがって、初期の期間では病気死亡保障がありませんから、告知も単純で診査もない会社がほとんどでした。

各社の販売合戦が加熱し、ついに国税庁が待ったをかけたのが2月14日です。ゆえにバレンタインショックと呼ばれることがあります。

それから紆余曲折を経てパブリックコメントが4月11日に募集され、6月28日の通達発遣となりました。

パブリックコメントで示された内容は、保険料の損金計上に厳しい共通のルールをもうけるというものでした。これにより抜け道がふさがれて、節税効果がある保険を一網打尽にする強硬な内容でした。

法人保険を買う側からみた、一連の節税保険販売停止に至るまでのバレンタインショックをさかのぼりました。時系列で新しい方の記事から、降順でまとめました。

■保険会社の決算間近、バレンタインショック破綻への序章。
2020年2月16日

バレンタインショックから1年、保険業界の厳しい状況、駆け込み契約した大量の節税保険の管理と出口対策をまとめました。

バレンタインショック関連記事の最終号です。保険営業で生き残ることができるのか、別の道を探るという選択肢も検討すべきか問題提起。

■節税保険壊滅、令和元年の悲劇しめくくり。
2019年12月22日

平成から令和へ、保険業界最悪の一年を振り返ります。この先、保険営業として生き残りの秘策を伝授できるか。

結局、一括千金の節税保険はもはや夢物語、外車から国産車に乗り換えて真面目にコツコツ、信用を積み上げて契約につなげるしか道はなさそうです。

■バレンタインショック後遺症に苦しむ保険業界。
2019年9月22日

バレンタインショックの強権規制で、売るものがなくなった保険営業と保険代理店の苦境と後遺症についてのまとめ。

果たして保障性の保険商品や個人への販売で生き残る道はあるのでしょうか。それともバレンタインボーナスが退職金になってしまうのか。保険業界の先行きを憂います。

■バレンタインショック後の意味不明な提案書と買う側の憤り。
2019年7月21日

提案書には「課税タイミングが変わる課税の繰り延べに過ぎず、原則、節税効果はありません。」節税効果がないと言うなら販売しても問題はないはず。

バレンタインショック直後の保険業界の動きと、節税保険を封じらた中小企業の資金運用の痛手についてあれやこれやの憤りの記録です。

■国税庁のトドメ通達で節税保険ついに全滅か。
2019年6月30日

今回の国税庁の通達は、まさにトドメと言うべき厳しい内容でした。しかし既契約への遡及適用はなしと言うことで、一応安堵しました。

予想に違わず短期払い医療保険も道連れになりましたが、3ヶ月の猶予期間が設けられました。

国税庁は保険会社に販売停止を命じる権限はないとしながらも、ルートを変えて保険業界に圧力をかけ続けています。

■週刊ダイヤモンドとバレンタインショック。
2019年6月16日

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週刊ダイヤモンドが、バレンタインショックの特集を組みました。背景の事情や金融庁長官のインタビューが載っています。

国税庁の裏舞台のドタバタの経緯と、金融庁長官のピンボケインタビューが印象的でした。

■バレンタインショックの生き残りになるか逓増定期の名義変更。
2019.6.9

バレンタインショックの言い出しっぺは?通達が発遣されるまでの、国税庁のもたつきの原因は?

最後に残るか、逓増定期の名義変更は?先が見えない中での情報収集のまとめ記事と保険営業への辛口アドバイスです。

■バレンタインショック、通達が出るまでの駆け込みがん保険。
2019年6月2日

通達が出るまでに、ずいぶん間があきました。駆け込みで、短期払いの医療保険やがん保険を売り込んできた代理店も、動きがなくなりました。もはや打つ手がなく、ひたすら通達の発遣を待つだけとなりました。

3月決算企業、4月決算企業が加入した節税保険は、全額損金で処理をしています。通達が出て遡及となれば、決算修正を余儀なくされるかもしれません。

■短期払医療保険がバレンタインショックの道連れか。
2019年5月19日

呼び出された保険会社の幹部からもたらされた情報は、短期払いの医療保険も節税目的であるとして、バレンタインショックの道連れになりそうな情報が走ります。

各社あわてて短期払い医療保険の駆け込み販売に、追い込みをかけます。確かにイタチごっこではありますが、通達がでて方向性がみえないことには、保険代理店も保険営業も開店休業状態です。

■節税保険の実質返戻率から見える保険業界の末路。
2019年4月28日

パブリックコメントで示された資産計上に関する新ルールを読み解くと、実質返戻率が100%越える商品はほぼなくなり、メリットが半減します。これは国税庁もやり過ぎかと思いますが、抵抗することもできません。

手をこまねいて、保険業界の末路をみるような思いです。残り商品は短期払いの医療保険か、ハーフタックスの養老保険かと言うことになります。

■節税保険、国税庁のパブコメでトドメか?
2019年4月14日

ようやくにして国税庁が発表したパブリックコメントは、既契約遡及の見送りによる一様の安堵感と、節税保険一網打尽の新ルールに驚愕することになりました。いまだに理解不能な新ルールは、経理処理の複雑化が避けがたくなりました。

節税保険を主力にしてきた保険会社や保険代理店は、今後の法人保険市場での販売機会を大きく失うことになります。新ルールに従えば、法人保険市場の関係者は、計り知れないダメージを受ける可能性があると言うことです。

■節税保険販売停止の無策、国税庁の暴走!
2019年3月31日

国税庁の動きがない中、不安が増幅しているところです。法人保険販売の関係者は、パブリックコメントの内容を予測し、国税庁と金融庁の対応に不満を募らせています。

国税庁の方も国税OBやら業界からの陳情や圧力に苦慮しながら、方向性を模索している時期だと思います。一番の懸念事項は、既契約に遡及があるかないかです。

■節税保険、バレンタインショックの行く末!?
2019年3月17日

バレンタインショックから一ヶ月の不安定な時期です。国税庁からはパブリックコメントも出ないし、保険募集人は販売停止で動きがとれません。

そぞろ保険業界の先行きに、大きな不安を感じはじめているころです。できることはなく、パブリックコメントを待つよりほかにありません。

■節税保険、自粛か、販売停止か、売り放題か。
2019年2月17日

2月14日の日本経済新聞に掲載された記事から、各社一気に販売停止、販売自粛に切り替えました。しかし数社は最後の追い込みをかけ、2月末までに莫大な契約を駆け込みました。国税庁の通達の結果、経理処理のルールが変わっても責任は持ちませんよと言う念書付きの契約です。

結局、既得権に遡及なしとなり、全損で節税保険に駆け込んだ企業も保険会社も保険代理店もおとがめなしで丸儲けとなりました。

■全損節税保険の駆け込みラストチャンス。
2018年12月9日

駆け込みラストチャンスと言いながらも、迫り来る黒い影を感じている時期です。保険会社も保険代理店もこれはやり過ぎと思っていても、千載一遇のビッグチャンスでもありますから、手をこまねいていることはできないところです。

しかし、多くの保険会社は、節税保険に走らず適正な販売活動を行っていましたが、歯がゆい思いであったと推測しています。まさかそのあおりで、普通の半損処理が可能な長期平準定期まで巻き添えを食うとは考えていなかったと思います。気の毒としか言い様がありません。

■国税庁、網がかかるか全損保険。
2018年7月8日

この頃から怪しい噂がささやかれていました。全損の節税保険の乱売合戦に突入して、節税保険の選択肢も広がりましたが、いろんな代理店やら銀行筋からアプローチがありました。

もし網がかかるようなことがあれば、いよいよ最後のチャンスというセールストークがまかり通っていました。節税保険バブルに便乗して、新商品販売を狙っている保険会社も数社ありました。

■全額損金の返戻率ではネオファースト生命。
2018年3月11日

仕掛けはニッセイのプラチナフェニックスという定期保険です。その後各社同様の保険商品を発売しますが、どの代理店も必ず提案してきたのがネオファースト生命の定期保険でした。

気の毒なのは第一生命の子会社なのに、第一生命の営業職員は販売できないのです。確かに解約返戻率はよかったですね。ただピーク時の解約返戻率が高いとピーク過ぎの解約返戻率が急降下する傾向があります。

◆ 保険営業の行き詰まりで既契約のフォローが曖昧に。

今回の国税庁が発遣した通達の影響をもっとも受けるのは、法人をターゲットにした節税保険を主力に販売してきた保険代理店です。大きな成果を出す保険営業ほど、得意分野に特化した専門的な営業スタイルをもっています。節税優先的な考え方の取引先も多いので、販売戦術の転換が難しいのです。

一旗揚げた後にはドツボが待っていたというようなことになると、保険業界での生き残りは難しくなると考えられます。その結果影響を受けるのは、節税保険に大金を突っ込んで、とりあえず利益の繰り延べをした契約者である中小企業です。

節税保険で大事なことは、徹底した解約時期の管理と出口対策です。今回の通達の影響で保険代理店の廃業や縮小が進めば、この解約管理のフォローを引き継ぐことができなくなる恐れがあります。

保険によっては解約返戻率のピーク時が、10年後というような保険商品も多かったと思います。解約すべきときには、販売した代理店の担当者も契約した法人の担当者も退職してしまって、責任ある管理者がいないというようなリスクが想定されます。

経営者自身が自己責任で解約時期の範囲を確認し、中長期の事業戦略における投資時期や資金需要を見定めてください。解約返戻率のピークにこだわらず、早めの解約設計をされことが得策かと思います。

■節税保険の出口対策、バレンタインショックの駆け込み保険が危ない。

◆ 販売競争の結果、告知義務違反が急増。

今回の節税保険の販売合戦の問題点は、何でもありで保険販売のモラル軽視の販売スタイルがみられたことです。これは残念ながら外資系も国内生保も同様でした。

節税のため加入優先であり、保険料を増やす、あるいは解約返戻率を高くするためには、不告知教唆も辞さないようなアドバイスもありました。

確かに解約返戻金を目的としており、死亡保険金を目的としていないのですから、告知義務が軽視されるのは避けがたい流れです。しかし保険販売では、越えてはいけない一線があります。

運悪く死亡事故があっても保険金請求をせず。予定どおり解約返戻金で満足すれば何の問題にもなりません。でも告知義務違反を忘れて保険金請求をすると、事態は深刻になります。まだこれからではあると思いますが、この種の問題は徐々に増加すると思います。

意図的に重大疾病の履歴を告げないような告知義務違反は、重大な告知義務違反に当たります。給付金や保険金は支払われませんが、解約返戻金は支払われるケースがあります。

解約返戻金さえ受け取れるなら、告知義務違反による保険会社の解除権は気にする必要はないのかもしれません。しかし解約返戻率の低い時期にこれをやると大損します。ご注意を。

■節税保険の行き詰りに、無駄遣いより納税が利口な理由。

◆ 経理処理が複雑化、理解不能に。

これまでで保険の経理処理は、十分複雑化し理解不能に近づいていましたが、今回の通達は完全に理解不能ゾーンに突入した感があります。

これまでの長期平準定期保険の既契約は、いわゆる105歳ルールです。保険期間満了時の被保険者の年齢が70歳超で、かつ契約年齢+保険期間(年数)×2>105の場合に保険期間の6割の期間で半分損金処理ができました。

解約返戻率のピーク時期前後で解約しますから、実務的には解約時以外に保険積立てを取り崩すような経理処理はないのが普通です。

しかし今回の通達では最高解約返戻率により損金算入割合が異なり、資産計上した部分の取り崩し時期も4割の期間経過後(最高解約返戻率85%超はさらに複雑)などとなっており、そんな経理処理を正しく行えるものでしょうか。

保険との付き合いは長期になります。最初の契約条件など覚えているものではありません。今後は新たに発売される保険にもよりますが、保険会社が経理処理を管理し案内するような仕組みを強化する必要があります。

■節税保険、簿外資金の使い道。

◆ 解約後、出口対策用のフォロー保険がない事態に。

これまでは解約時の雑収入の使い道も保険代理店に相談し、引き継ぐ保険提案を求めていたものです。経営ですから利益が出たり出なかったり、うまく損金材料が揃うとも限りません。

そのときの雑収入の受け皿として損金保険があったものですが、その手は使えなくなりました。今回大量に契約された全額損金の節税保険は、出口対策用としてフォローする保険がない事態に陥ります。

よほど中長期の投資計画や利益管理をしっかり行わないと、思いがけない雑収入から予定外の納税をすることになりかねません。

解約返戻金として簿外のキャッシュは、緊急予備資金としての意味があります。まだ時間がありますからできれば、簿外資金の有効活用を今からお考えいただくことが肝要かと考えます。

◆ 駆け込み販売合戦にならなかった本当の理由。

今回の通達は、即日適用とはなりませんでした。ならば7月5日(金)(短期払い医療保険は10月7日まで)までは、全損保険や短期払い医療保険の販売合戦が展開されると思っていましたが、そうはなりませんでした。相変わらず保険会社は販売停止したままなのです。

国税庁がパブコメの回答に「国税庁において、各生命保険会社に対して保険商品 の販売停止を求めた事実はありません。また、税の執行機関である国税庁は、各生命保険会社に対し、保険商品の販売に関する指導等をする立場にはありません。」と言い切っているにもかかわらず保険会社の動きはありませんでした。

どういうわけか、この間保険会社の営業も保険代理店も営業をかけてきません。一社だけ養老保険の提案があったくらいで、保険業界としては不気味な音なしの構えです。

念のため銀行系の保険代店に、それとなく確認を入れてみたところ、どうも国税庁にかぶれた金融庁の締め付けのようですね。縦割り行政の弊害などと申し上げきましたが、ここに来て連携がとれてきたと言うことのようです。

金融庁が監督する保険会社に、保険販売のコンプライアンスとモラル重視を指導するのは当然です。しかし、当然想定される節税話法の禁止や実質返戻率の表記削除などは、保険販売の現場では効果がそれほど期待できるとも思えません。

それより売るべき保険商品が見えてこないという難渋は、間違いなく保険業界の停滞を招き中小企業の選択肢を奪うことになります。

■節税保険、解約逸機の恐怖。

◆ バレンタインショックまとめのまとめ。

この間の記事に関しては読者が保険業界の方、もしくは法人保険の契約者である中小企業のオーナー経営者および保険事務担当者ということを意識し書いてきました。

このため、専門用語や保険独特の複雑な仕組みやルールは、その都度解説していません。保険に関心がある一般の読者には、わかりにくい内容になり、申し訳なく思っています。

ずるずると国税庁の通達が伸びてしまい情報が錯綜する中、保険業界に対する過去に経験のない締め付けが国税庁より通達として示されました。

業界の事情を知るものとしてこれは、相当な激震と言えると思います。既契約遡及がなかったからソフトランディングなどと考えるのは、大きな勘違いだと思います。

この結果、保険会社や保険代理店が、ビジネスをどのように立て直すか見守るよりありません。国家権力に対して保険業界は、後ろめたさから戦々恐々の従順さをもって対応しました。噛みついたのは国税庁ですが、金融庁という許認可権限を持つ官庁を敵に回すことを保険業界は恐れたものと思います。

確かに今回の節税保険バブルは、買う側からみても行き過ぎでした。しかし保険業界には抜け駆けこそありましたが、自浄機能がありませんでしたから、ある程度やむを得ない結末と言えるかもしれません。

ただ、いつの時点でも保険販売の現場には、保険募集人として保険営業と保険代理店、そして顧客としての契約者があります。生活をかけて保険販売の取り組む保険募集人と経営の舵取りに腐心している経営者の声が、完全に置き去りにされました。そのことは声高に特筆すべきことであると認識しています。

いろいろ失礼なことも書きましたが、この場をお借りしてお詫び申し上げます。また未熟さから解釈の誤り等も散見されるかもしれませんが、お気づきの点がございましたらご教示賜りますようお願い申し上げます。

■節税保険の問題点を体系的に解説したページ
→節税保険は保障視点が欠落、見えない出口|バレンタインショックの本質。

全額損金可能な30万までの少額契約の価値。

OB税理士に節税を相談できるか?不思議な関係を暴露。

国税庁のトドメ通達で節税保険ついに全滅か。

国税庁のトドメ通達で節税保険ついに全滅か。

国税庁の法人契約保険に関する法人税基本通達が発遣されました。トドメの通達ではありますが、法人契約の保険が全滅するわけではありません。節税効果が期待できる、法人契約保険が壊滅したという意味です。

バレンタインショックから4ヶ月半、まさしくすったもんだのあげくに国家権力により保険業界に鉄槌が下ろされました。その結果、保険会社ではなく、厳密には末端で保険商品の販売を行う代理店や営業職員が路頭に迷う姿が見えてきます。

節税保険では、仮に利益の繰り延べが奏功したとしても出口課税が待っています。その分の雑収入を設備投資に回せば節税効果だけでなく、経済活性効果が期待できます。企業の利益というものは、まわり回ってどこかで課税の対象になります。なにごとも落としどころが大事、やり過ぎ過激がプラスになるとは限りません。

国税庁が発遣した、節税保険に対するトドメ通達のポイントを解説します。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 通達のポイントをまとめると。

通達がここまで遅れるとは、想定していませんでした。販売停止のあおりを食らった保険関係者は、なすすべもなく見守るよりありませんでした。ようやくにして6月最終日の28日の未明に、通達がアップされました。

一部の修正はありましたが、ほぼパブリックコメントとその後の漏れ伝わる情報に沿った内容でした。ただパブリックコメントの意見で指摘があった内容は抜け穴になりかねないので完全にふさがれた感じです。

1)最高解約返戻率で資産計上割合を決定。実質返戻率は100%未満に。

これは、今回の通達の眼目であり変わったところはありません。法人契約の定期保険・第三分野保険では最高解約返戻率という指標で資産計上割合が決まります。

基本的に実質返戻率が100%越えることはほぼなくなります。事業保障の保険としては十分意味がありますが、課税の繰り延べとしては完全にその効果がなくなりました。

要するに長期平準定期保険や法人契約のがん保険のような医療保険で節税する手法は、封じられたと言うことです。事業保障の保険を毎期入るような法人はないでしょうから、法人保険を主力とする保険募集人は保険販売の機会が激減し、戦略見直しを迫られることは間違いありません。

2)短期払い医療保険の保険料は原則資産計上に。

後から漏れ聞こえてきた短期払いの医療保険は、被保険者一人につき年間30万円以下が損金算入の限度となりました。医療保険の短期払いでは、払込期間が2年とか5年とか10年があります。

終身の医療保険料ですから年払いの保険料が数百万にもなりますが、ほとんどが資産計上となります。これで短期的な節税効果がなくなったと言えると思います。

ただ、解約返戻金相当額での名義変更は否定されていませんからスキームとしては残ると思います。タイミングがよければゼロ円で名義変更できますし、入院日額の10倍程度のわずかな解約返戻金を払うつもりであれば損金ネタを先送りできます。

ただ、笑止千万(しょうしせんばん)ながら短期払いの医療保険の資産計上には、なんと3ヶ月の猶予期間が設けられました。10月7日までの既契約は全額損金処理が既得権として認められるということになります。保険販売得意のOB税理士に配慮したものでしょうか。

3)令和元年7月7日以前の既契約には遡及しないことを明記。

既契約には遡及しないというのは大方の予想どおりで、パブコメの回答にも同様の趣旨が述べられていました。既契約遡及とでもなれば、社会的混乱は相当なものが予測できました。

OB税理士によると国税庁の考え方として「納税者に不利な通達変更は、通常遡り適用はありません。」ということはまさにはその通りでした。

通達の最後には(経過的取扱い・・・改正通達の適用時期)について令和元年7月8日(月)以後の契約にかかる定期保険又は第三分野保険の保険料について適用し、とあります。7月7日七夕ですが日曜日です。実質的な締め切りは7月5日(金)ということになりそうですが、要するにあと一週間の駆け込みOKとの指定です。

すでに販売停止している保険会社も多い中で、法人保険を主力にしている会社は、なりふり構わず駆け込み戦略を展開するかもしれません。

◆ 保険業界への重大な影響。

今回の通達により一定の結論は示されましたが、本質的な部分では決して生やさしい内容ではありません。保険業界、とくに法人保険をメインにあつかっている保険会社は苦境に陥ると思います。

すでに販売停止期間が長くダメージは浸透しているでしょうし、次なる保険商品の開発にも時間がかかるでしょう。一番気の毒なのは保険商品を販売する保険営業と保険代理店です。

◆ 逓増定期の名義変更には言及なし。

募集したパブリックコメントの中には、逓増定期保険の名義変更スキームに対しても対策を行う必要があるのではないかという意見がありました。

それに対して国税庁の回答は「国税庁としては、御意見のような保険商品やその利 用実態も含め、保険商品全般の実態を引き続き注視 し、必要に応じて取扱いの適正化に努めてまいりたいと 考えています。」とあります。

■御意見の概要及び国税庁の考え方→リンク確認

逓増定期の名義変更は、利益が安定的に出ている中小企業の経営資金移動に有効な手段です。とりあえず今回の通達では具体的な言及はありませんでした。通達の資産計上ルールに従えば、名義変更時の雑損失の発生時期のコントロールはできませんが、利益が出ている企業ではまだまだ使える仕組みと言うことになりそうです。

すでにその方向で保険商品の販売を準備している保険会社もあるように聞きます。

(追記:2022年3月のホワイトデーショックで道は絶たれました。)

◆ 納税協会の資金源に重大な影響。

今回の通達で懸念が残るのは法人保険専門のT社が販売する保険商品の多くが網にかかり販売実績を落とす可能性です。税務署にはその外郭団体として納税協会があります。納税協会には福祉制度委員会なるものがあり大型福祉制度という名目でT社の保険を販売促進する仕組みがあります。

この際の手数料の一部が納税協会運営の資金として活用されています。納税協会によっては何割かの資金に該当します。国税庁ではそこまでの配慮はしないものとみえて、言ってみればタコが自分の足を食っているようなところがあります。

制度商品としてあつかうのは節税効果があるものだけではありませんから、重大な影響とまでは言えないかもしれませんが、今後少なからず納税協会の資金源に影響があると考えられます。

◆ 節税保険ついに全滅、まとめ。

通達が出たことで、駆け込みで節税保険契約をした企業は一安心と言うことになります。保険会社および保険販売にかかわる人たちは、これからの事業戦略を練り直す必要に迫られることでしょう。

通達発遣、即日適用ではなく、妙な具合に適用時期が設定されたため駆け込み猶予ができてしまいました。

短期払いの医療保険に至っては3ヶ月もの販売猶予が認められています。そうなると落ちついていた保険代理店の販売合戦が再燃することになるかもしれません。もはやお墨付きの駆け込み販売です。

また節税という面では、効果が下がりますが養老保険のハーフタックスなども半分損金にできますからこれからの主力になるように思います。

パブリックコメントに対する国税庁の回答の最後に「その他」があり、ここでの内容を抜粋し紹介します。あまりの回答に言葉がありませんでした。

国税庁が、今回の通達改正の方針を生命保険協会に伝達した2月14日以降、金融庁が認可した商品でありながら販売停止を各保険会社に強制指導したことについて、その法的根拠は何か。

という問いに対して

国税庁において、各生命保険会社に対して保険商品の販売停止を求めた事実はありません。また、税の執行機関である国税庁は、各生命保険会社に対し、保険商品の販売に関する指導等をする立場にはありません。

という回答です。これまでの経緯を見てきたものとして唖然とする回答です。保険会社や保険営業ではない買う立場でも思わず一言苦言を呈さずにおれない言いぐさです。

週刊ダイヤモンドに掲載された金融庁長官のインタビューにしろ、国税庁のパブコメに対する回答にしても保険業界の関係者にとれば忍耐の限界に近いところでしょう。その中で生きる道を模索するほかありません。

記事を書く立場で申し上げれば、国税庁や金融庁の皆さん、格別なる話題提供をありがとうございました。

週刊ダイヤモンドとバレンタインショック。

週刊ダイヤモンドとバレンタインショック。

DSCF1817

週刊ダイヤモンドが節税保険の内幕特集、怒濤の74ページと銘打って節税保険の特集を組みました。サブタイトルが「どうなる節税どうする見直し」と法人保険だけではない範囲を押さえ、一般読者を確保しようとする意図が見えます。

でもメインの記事は「国税庁VS生保節税保険をめぐる攻防全内幕」となっています。こればかりは買わないわけにはいかないので710円支払ってセブンで買いました。

一般世間の方には、ほとんど興味がもてない内容ながら、買うとすれば保険関係だけですから採算がとれるのでしょうかと思ったりしています。保険関係者の人口は、数十万人というレベルだと思いますからさばけるのかもしれません。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 記事1、医療保険も規制強化?節税をめぐる攻防最前線VS国税庁

まだ国税庁から最終的な通達は発遣されていない段階ですが、各種の情報と週刊ダイヤモンドの記事からこれまでのポイントを集約すると以下の3点になると思います。正確なことは来週にでもでるであろう通達の内容を待つほかありません。

・個別通達を廃止し単一的な(資産計上)ルールの創設。

・既契約への遡及はしない。

・短期払い医療保険の規制強化(規制内容は販売停止か資産計上)。

国税庁としても組織の一部であり、OBを含め多くの関係者が取り囲んでいます。利害関係が複雑にからみあい、租税負担の公平性という正義だけでは押し切れないという事情がよくわかります。税務署長のOBは税理士として優良申告法人に顧問として迎えられます、キャリア組の役付官僚のOBは多くの人が保険会社へ天下りしているという実態があります。

◆ 記事2、国税当局の対応についてはわれわれも学ぶものがあった。金融庁長官インタビュー

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金融庁長官の遠藤俊英氏のインタビューが掲載されています。縦割り行政そのままの形で保険会社を管理監督し保険商品を認可する金融庁は、国税庁と全く連携がとれていませんでした。

そのせいでバレンタインショックの騒ぎになったのですが、見方を変えればそのおかげで保険業界はボーナスをもらったようなものです。

遠藤長官のインタビューで「解約返戻金を節税のプランに使うかどうかはわれわれの認可の対象外です。審査の過程でそうした説明もないわけですし。それに対して是か非かという権限はありません。」と述べています。

異議を申し上げるつもりはないですが、まさに縦割りの弊害そのものです。それなら審査する立場にあらずと言えなくもないところです。インタビューの詳細は週刊ダイヤモンドをお読みくださいとしか言えませんが、金融庁として蚊帳の外に置かれた立場としては、他に言いようもないのかもしれません。

今回のバレンタインショックの本質が金融庁と国税庁の縦割り行政にありとは言い過ぎでしょうか。でもたまにはこういう美味しいこともないと一旗揚げるなんてできません。にわかにMDRTも増えたことだと思います。

◆ 逓増定期の名義変更スキームに関する言及なし。

一番気になったのが、逓増定期の名義変更スキームに踏み込まれるかどうかでしたが、これまでの記事の中には情報はありませんでした。実際短期払いの医療保険でも逓増定期の名義変更でも資産計上すること自体がスキームの障害になることは少ないと言えるのではないかと思います。

どこで費用化するかだけの問題で、享受するメリットはしっかり確保できるのですからこれは結構なことです。実際網をかけるにしても、抜け穴のない単一的なルールというのは難しいかも知れません。短期払い医療保険がどうなるかわかりませんが、逓増定期の名義変更スキームはバレンタインショックの中を生き残りそうな状況です。

(追記:2022年3月のホワイトデーショックで道は絶たれました。)

◆ まとめとしての責任。

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今回のパブリックコメントから言えることは、過去に例のない保険業界への規制強化です。

保険業界は本来の保険の目的と意義を再確認して、販売戦術を見直すことになるでしょう。しかし、一度ゆるんだタガを締め直すことは、口で言うほどたやすくはありません。

現場の実態を知る立場で申し上げれば、売る方も買う方も節税保険を販売する時の話法は節税メリット一本やりです。安直ながら、いくら落とせるか、いくら戻ってくるかの2点だけです。

保険本来の万が一のリスクを分析し、お客様に理解いただくという手順が完全に欠落した保険販売話法になっています。これをもとの正常な軌道に戻すことは容易ではないと思います。

生命保険業界で生き残るには、販売話法をいち早く切替えて、腰を落とした営業に戻すことが必要かと思います

一方、利益の出ている中小企業は今回の件でも蚊帳の外です。既契約に遡及しないとなり、早期解約によるつまらない損失はなくなりましたが、一次的な利益の繰り延べに止まりそうです。

7,000億とも8,000億とも言われる節税保険料が、5年後10年後に解約返戻金として雑収入というキャッシュになります。このとき使い道の定まっていない無計画な利益が、どのような影響を与えるか注目したいところです。

買う立場で言えば、節税保険の保障はあるにはありますが、病気死亡の免責期間があり、契約するときおまけほどにも意識しません。ただ、中小企業の泥縄経営では来年の経営より目先の節税になります。とりあえず利益の繰り延べ、これであとあと救われることがあるのです。まだ時間がありますから、とりあえず繰延べた利益の使い道を今から設計しておくことが重要です。

また、これだけは言えますが、ただですら低金利で疲弊している保険業界には厳しい裁断です。既契約への遡及がないということで、安堵されているところへ追い打ちをかける気はありませんが、個別通達を廃止し単一的な(資産計上)ルールの創設は、法人保険において重大な影響が懸念されます。安堵している場合ではない、重大事態だと思うのは私だけでしょうか。

バレンタインショックの生き残りになるか逓増定期の名義変更。

バレンタインショックの生き残りになるか逓増定期の名義変更。

来る来る保険営業マンや保険代理店が、バレンタインショックなどと言い出しています。バレンタインショックはhokenfpの造語だと思っていたら、それ以前にバレンタインショックを言い出しているサイトが確認できました。考えることは皆同じなのですね。

先週のブログでは、短期払い医療保険の最新情報を書きました。その後もう少し詳しい情報が入りましたので、項目として追記します。また一番気になる逓増定期の名義変更に関しても、現時点でわかっていることを補足しておきます。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 国税庁のもたつきの原因。

パブリックコメントで大枠が固まったと思ったら、国税庁が通達の発遣にもたついています。

大方の予想されていた通達の発遣日が6月10日(月)ごろから、どうも延期され父の日を過ぎた6月17日(月)以降ではないかという情報です。その原因は短期払い医療保険もけしからんと言うことで網をかけようとしたものの、解約返戻率は全くないか極端に低いのでルール決めが難航しているらしいのです。

最高解約返戻率という共通項を持ち出し、資産計上割合を指定する新ルールは確かに一網打尽の妙案のように思います。しかし国税庁がいくら頭をひねっても、完全な網をかけることはできないと考えるべきです。

しかし保険には配当もあれば健康祝金、何たら金と解約返戻金以外の支給方法はいくらでもひねり出せます。実質返戻率の表記を規制すると言う話まであるそうです。そんなことは保険営業の現場では通用しません。

◆ 短期払い医療保険は販売停止か。

国税庁の通達の発遣が遅れると言う情報から言えることは、あと一週間ぐらい駆け込み契約のチャンスです。暇を持て余している保険代理店は必死の攻勢です。

保険代理店にしてみれば、バレンタインショック前後の未曾有の契約ラッシュから4ヶ月もの間、開店休業状態です。通達が出ない限り、主力の保険商品は販売停止中ですから何もできないので、ここは躍起になるところでしょう。

問題は短期払い医療保険に、どのような規制がかかるかと言うことですが、販売停止と言うことではなく情報によると保険料の資産計上と言うことになる予想です。

短期払いが問題ではあるのですが、資産計上するなら保険契約として名義変更することは問題ないわけです。とすれば契約を個人に名義変更するときに保険積立金が雑損失になるだけです。利益が出ている会社では、結構な節税効果があります。オーナー企業では、こういうとき損失とはとらえないのです。

そうは言っても手間のかかる保険積立てなどよりも、今なら簡単な駆け込み契約により全額損金で処理が可能です。確かに加入を検討するなら今ですね。

ちなみに各社とも名義変更時は、入院日額の10倍の解約返戻金と言うことですが、そこまで正直にやらなくても払込込満了の次に解約返戻金が出る前にゼロ円で名義変更が可能だそうです。最後の保険料を支払って、解約返戻金がゼロ円のうちに名義変更すれば、終身の医療保険がタダで手に入ります。おいしいですね。

そういうタイミングがあるので、無料で譲渡が可能だそうです。やりすぎの感はありますが。

◆ 逓増定期保険は販売停止か。

逓増定期の名義変更は、国税庁の通達により法人保険最後のスキームになるかどうかと言う問題が気になるところです。逓増定期の名義変更は専門で販売する代理店、積極的には販売しない代理店、問題視する税理士、現時点では問題なしとするOB税理士の見解などを紹介してきました。

実際、税務調査で問題視された例を聞いたことがありません。銀行系の保険代理店は逓増定期の名義変更には消極的です。否認され問題化すると、責任が負いきれないので避けているようなところがあります。

まだ通達が出ていない段階では、販売停止中ですからなんとも申し上げられませんが、ある代理店からの情報では逓増定期の名義変更は存続すると言えそうです。

国税庁の通達にしたがって保険料を資産計上しても、結局名義変更時には保険積立金が雑損失にかわり、節税できることは短期払い医療保険の場合と同じです。

保険積立て割合が高くなりますから、雑損失もそこそこ巨額になりますが、自社の財務と照らし合わせて、利益の抑制に利用できます。

複数社から逓増定期の新商品が発売になる可能性があります。この逓増定期の名義変更スキームは、事業承継時に後継者にバックボーンとなる資金を集中する手法として有益なのです。契約時に注意点がひとつあります。

税務調査の対象となる決算期が、名義変更により雑損失が発生する決算期に重ならないよう前後させてください。これまでのところ問題なしではありますが、あえて目立つことはしない方がよいという配慮です。

もし国税庁が網をかけてきたら、ピーク時に解約すればよいだけです。このときは出口対策が必要でないフリーキャッシュが生まれます。法人契約の保険としては、これはこれで意味があるのです。

◆ 今後の保険商品開発の方向性。

私が申し上げるようなことではありませんが、各社次の保険商品の開発に取り組んでいると思います。通達後にすぐに新発売では角がたつので、お盆明けぐらいまで様子見でしょうか。

それで、ほとぼりが冷めようが冷めまいが、保険会社も保険代理店も手をこまねいて止まっていることはできません。

上の項目に書きましたが、解約返戻金でなければよいのです。アイデアはいくらでも出てきます。ただ認可する金融庁も慎重になるでしょうから知恵比べですね。これはいくら国税庁がイタチごっこを終わらせると息巻いても、イタチも事業を継続しなくてなりませんからね。

◆ バレンタインショックの生き残り逓増定期、まとめ。

一連のバレンタインショックに関する情報は基本的にOB税理士、税理士法人、複数の保険代理店、保険会社の管理職などからの伝聞情報ですので、信頼性は保証できません。自己責任でお願いしたいところです。

しかし買う側であればこそ、いろんな情報が集まります。関係者はそれぞれの立場で漏れ伝わる情報の読み取り方が異なります。売らんがための言い方や個人の希望的観測や憤(いきどお)りまで加わりますから、額面通りには受けとれないことも多いのです。それらの情報を総合して、ある程度言えることをまとめたつもりです。

これにより法人保険にかかわる皆様の不安が若干でも解消できればhokenfpとしてはまずまずよしとしたところです。

来週か再来週にはさすがに通達が出て、バレンタインショックに一応の決着がつくと思われます。既契約への遡及は見送られたと考えて間違いなさそうですから、それはよしとして保険会社としては次の事業戦略を考えることですね。

辛口のアドバイスですが、保険代理店は今までのように一気に契約を集めることは難しくなるでしょう。生活レベルをダウンサイジングして、ときを待つか、転職するかですね。

バレンタインショック、通達が出るまでの駆け込みがん保険。

バレンタインショック、通達が出るまでの駆け込みがん保険。

2019年6月2日の時点で、国税庁の通達は出ていませんが、保険業界は最後のあがきをしているような有様です。打つ手なしの状況からどのようによみがえるか、法人保険販売のサバイバルです。

その中で短期払い医療保険や短期払いのがん保険が期限付きで売込み合戦になっています。国税庁の通達が出るまでの駆け込みがん保険のお値打ちについて考えました。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 医療保険(がん保険)で追い込みをかける保険代理店。

噂が拡大して、保険業界では誰でも知っている情報になりつつありますが、短期払いのがん保険が今回の国税庁の通達の網にかかるという話です。解約返戻金が全くないか、あるとしても入院給付金の10倍という低率ですから今回のバレンタインショックからつながる節税保険とは、どうも話の筋が違うのではないかという気がしないでもないところです。

ところがこの手の医療保険(がん保険)は、取り扱う保険会社もA生命、M生命以外にもあちこちにあります。ここにきて同じような手口で売り込み合戦が始まり追い込みえをかける保険代理店も数社あります。

ある程度しっかりした筋からも同様の情報があったことは、これまでにも書きました。来月半ばには出ると思われる国税庁の通達の内容に、パブコメにはない追加の販売規制があるのでしょうか。またその情報が漏れ伝わることがあるのかどうかは判然としませんが、これまでの経験から言うとこれが、意外に的外れではないことが多いのです。もちろん責任は持ちませんがね。

◆ 全額損金で落とせる短期払いの医療保険。

・M生命の終身医療保険

保険料は10年払込満了。短期払いの全額損金となります。保険料払込期間中の解約返戻金はありません。保険料払込満了後は入院給付金日額の10倍の解約返戻金があります。保障は終身に渡り続きます。

保障範囲は7大疾病(ガン(悪性新生物・上皮内新生物)・糖尿病・心疾患・脳血管疾患・肝疾患・腎疾患)に対応しています。

・A生命のがん保険

保険料は2年または5年の短期払込を選択可能、全額損金となります。保険料払込期間中の解約返戻金はありません。保険料払込満了後は入院給付金日額の10倍の解約返戻金があります。保障は終身に渡り続きます。

保障範囲はがん(悪性新生物)、上位皮内新生物は保障範囲に含まれません。

会社で契約して、保険料は全額損金で会社が払います。払込が終われば入院給付金日額の10倍で個人が買い取れば、わずかの金額で終身の医療保障を確保できるという仕組みです。

個人で加入する意味はまったくないので、法人契約でしかも払込満了後、個人へ名義変更することを前提にしている保険商品です。

考えてみれば、全くうまい仕組みです。解約返戻率はわずかですから利益の繰り延べにもなりませんが、利益が出ている企業としては節税効果も幾分あります。この保険を利用しない手はないのですが、どうも国税庁はお気に召さないようです。

さて通達でどう出るかは国税庁のみが知るはずなのですが、ここまでなすすべがなかった保険業界は憶測も含めて短期払込みのがん保険(医療保険)の販売合戦がいよいよ慌ただしいことです。

◆ バレンタインショック、駆け込みガン保険、まとめ

今回のバレンタインショックは、時系列で入手できた情報を読み解き、経営者や保険関係者の目線で成り行きを追ってきました。

保険業界の事情に精通していると今回の国税庁の対応が、法人保険を主力とする代理店や保険営業に対していかに厳しいかはよくわかります。

それは突き詰めて考えると保険業界の苦境だけでなく、日本の経済界の基礎をなす中小企業の資金繰りの選択肢を大きく狭めることになります。税収というものは、本来好景気でこそ増加するものだと思います。一時しのぎのばらまき還元策をするために、必要な税収であるとすれば片腹痛いことです。

正確なことは申し上げられませんが、「医療保険の短期払」は近々に「全損処理が不可能となる」ということの様です。そのことをネタにオーナー系企業に売り込むというのも、生き残り戦略の一つだと思います。ただ全損処理ができずに保険積立金となっても、会社の実権が集中しているオーナー経営者にすれば、名義変更時に雑損失となって節税になります。

短期払医療保険がバレンタインショックの道連れか。

短期払医療保険がバレンタインショックの道連れか。

今回の情報をご理解いただくための条件として、2月14日から始まった節税保険バレンタインショックについての経緯をご承知であるという前提で書きますのでご了承をお願い致します。

発遣が予測される通達によって実質返戻率が100%越える保険はほとんどなくなり、ようやく日本の保険業界も人並みに落ちついたと言えるのかもしれません。

節税保険も名義変更を目的とした医療保険も、オーナー経営者が全権を握る個人企業でないと使うことは難しいと思います。よって今回の通達は、青息吐息の中小企業向けの圧力強化となり、保険を買う側においても不本意な規制となっています。

そんな中、解約返戻率に縛られないガン保険などの医療保険が、バレンタインショックの道連れとして規制対象になるという可能性があります。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 国税庁の新基準に抜け道無し。

国税庁のパブリックコメントが、5月10日に締切られました。一ヶ月以内に通達という形で、保険の税務取扱いの全般的共通ルールが提示されることになります。過去の通達を全廃して、今回の通達に一本化することですべての解約返戻金のある保険に適用されます。

その結果、長期定期保険、逓増定期保険、医療保険などこれまで高い解約返戻率を売りにしていた保険商品は、今後のすべて新契約においては損金処理の基準が変わり、損金メリットが失われます。新基準によると解約返戻率の高い商品ほど資産計上割合が高くなり、最高解約返戻率が85%超では9割もの資産計上となります。

国税庁が示した新基準は見事に一網打尽、抜け道が見えてきません。損金率の高さを競い合っていた保険会社は主力商品を失い、取り扱っていた保険代理店は開店休業状態です。

◆ それでも売り続ける医療保険。

それでも保険代理店は、商売をやめるわけにはいきません。多くの解約返戻率の高い保険商品は、今も販売停止状態です。通達が出れば、売れるようになるわけではなく、正式にトドメを刺されることになります。昨年から販売停止までなんと7,000億とも言われるお祭り騒ぎが終わり、さて今後はどうするかというところです。

何とか売れる保険商品を模索したところが、今でも売れる保険商品と言えば解約返戻金がないか、あるとしてもわずかな医療保険です。あるいは外貨建ての商品になりますが、保険の種類としては全額資産計上の終身保険か養老保険という狭い選択肢になります。

売れる商品が限られてしまった結果、困った保険代理店は解約返戻金が少ないM社の医療保険をすすめてきました。しかも短期払いの医療保険です。医療保険を法人で契約する場合は、個人に名義変更することが目的です。

個人として加入するような保険ではありません。もともと医療保険で元を取ることは難しいのはよく知られていることです。医療保険に加入するより貯金をしておいた方が無駄がありません。ではなぜ法人契約の医療保険が魅力的なのでしょうか。

◆ 法人契約の医療保険が美味しい理由。

零細企業向けに経営者の病気リスクを医療保険金でカバーするために、法人契約の医療保険契約をする場合があります。今回の法人契約の医療保険は、被保険者が病気になった時、会社で保険金を受け取ろうという目的ではありません。

今回の提案商品はあくまでも法人で保険料を支払い、払込満了になれば個人に名義変更し終身の医療保障を確保しようというものです。解約返戻金がありませんから、保険料は全額損金とすることができます。つまり今回の国税庁の新基準の対象外の保険商品ということができると思います。

オーナー経営者やその一族の役員にとれば、この法人契約の医療保険では、会社の金で個人の医療保障を準備することができます。

一例をあげると10年の短期払いで保険料を支払っている期間は解約返戻金はありません。保険料を払い終わると入院給付金の10倍の解約返戻金となります。例えば入院給付金が3万円の場合保険料が年間90万で10年払うと900万、これだけの価値ある終身の医療保険が3万×10倍の30万で手に入ります。

途中で指定の病気に罹患すれば保険料も免除となります。法人契約の医療保険が美味しい理由がここにあります。

医療保険は採算がとれないとしても、もともと会社の金ですから気にすることはありません。

◆ 短期払医療保険の抜け道。

全額損金保険がなくなったかと思えば、短期払い医療保険のような形で全額損金の保険は存続しています。儲かっている会社でないと意味がないですが、保険という商品の特性をうまく使って甘い汁を吸っています。

医療保険ですから個人に付替えて、仮に病気が発覚し保険金を受け取るようなことになっても非課税で受け取ることができます。健康である間に保険金を受け取ることはないですし、解約することになってもわずかに30万です。

指定の病気にならない限りもうけるようなことはないですが、やはりサラリーマンの目から見れば美味しいというよりずるい仕組みです。短期払い医療保険は同様の目的でいくつかの保険会社で販売されていますが、やはり一つの抜け道と言えるのではないかと思います。

◆ 短期払医療保険、まとめ

その短期払い医療保険が販売停止になるかもしれないということで、通達が出るまでに加入することをすすめる代理店があります。

また未確認の情報ですが、OB税理士からの情報でも2年などの短期で払い済みになる医療保険についても販売が中止になる可能性があるそうです。ニュースソースは東京の大手税理士法人ですが、確実かどうかは不明とのことです。

この短期払いの医療保険は、さすがにやりすぎの感があります。ただ保険商品としては国税庁の通達をくぐり抜ける面白い仕組みですから、既得権を獲得する意味はあるかもしれません。

節税保険の実質返戻率から見える保険業界の末路。

節税保険の実質返戻率から見える保険業界の末路。

保険業界の末路などと怪しい表現を使いましたが、今回の国税庁のパブリックコメントに示された制約条件は誠に厳しいものがあります。実際の返戻率にあてはめて実質返戻率を計算すると、100%をこえるためには単純返戻率が95%を越えないと難しいようです。

全額損金も半損も認められないということになると、利益の繰り延べによる節税効果はほとんど期待できなくなったということになります。末路なのか新たなスタートなのかはわかりませんが、保険を利用して課税の繰り延べをしてきた中小企業や節税保険を販売の主力にしていた保険営業関係者は、この先転換を迫られていることは疑いがありません。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 節税保険に対する国税庁の一網打尽策。

今回、国税庁が提示した仕組みは、最高解約返戻率という新しい判断基準を持ち出し、保険種類に関わらず抜け道なし、節税目的の損金封じとなっています。

まさに節税保険に対する国税庁の一網打尽策といえるのではないかと思います。国税庁の言を借りると、「業界とのいたちごっこを解消する。」という覚悟が感じられます。

◆ 国税庁のパブコメが狙ったもの。

消費増税を前にして、租税負担の公平性を欠く節税商品の乱売合戦に終止符を打つことが、最大の狙いであったように思います。

ただ国税の大物OB税理士によれば、既契約に遡及することは社会的混乱だけでなく、納税者に不利益な通達変更となるので、通常遡り適用になることはないそうです。

しかし実態はそれだけではないそうです。

通達内容がもし遡及となり、既契約にさかのぼって損金算入の取扱いが変われば、節税目的が果たせなくなるので多くの契約が早期での解約に追い込まれる可能性があります。

そのようなことになると、節税保険を扱った代理店や税理士(OBを含む)は手数料の返済を求められることになります。いわゆる解約控除といわれる仕組みですが、これは存続にかかわる厳しいことになります。

税務署も国税庁もOBのネットワークは強力です。なぜなら国税庁の職員でもいずれはOB税理士として糊口をしのぐことになるのですから、落としどころを忖度するのはやむを得ないかもしれません。

◆ 節税効果がほとんどない法人保険。

国税庁の改正案によると単純返戻率が高い保険商品(最高解約返戻率85%超)は、最初の10年間においてはなんと9割もの資産計上になります。

その間、前半の資産計上期間で解約した場合、解約返戻金は保険積立金を下回ることになります。これは法人税の先取りになっています。そう考えると、保険の金融商品としての価値は、節税効果という商品力だけで売れたものが、保険を契約する目的が変わり、そうは簡単に売れなくなります。

利益が出たとき保険に加入せず、法人税を払って税引き後の利益として残すか、保険に加入して保険積立金として残すかの選択肢になり、オーナー経営者の好む簿外資金はほとんど形成されないことになります。

事業保障をすでに確保している企業にとれば、もはや節税効果のない法人保険にメリットを見いだすことは難しいと言えるのではないでしょうか。

結局、税金という見返りのないコストを削減する第三の道として保険以外の損金商品や経営力向上計画のような設備投資による税制優遇を模索することになりそうです。

◆ 損金算入の新ルールは保険営業に甘くない。

今回のパブリックコメントで示された改正ルールは、企業の決算ごとに保険契約で莫大な収益を上げていた保険代理店にとり痛手を通り越して経営上の大ピンチではないかと思います。

事業保障を目的とした保険を毎期追加で入ることはありません。企業の成長の節目節目で、保障額を見直す程度のものです。それゆえ保険代理店にとれば、売るべき主力商品を封じられたことになります。

その上今回の新ルールは、これから開発される保険商品にもあまねく適用されるわけですから、抜け道が見えてきません。国税庁のパブリックコメントが腰砕けという論評も見かけますが、それは法人保険販売の実態が見えていません。何の何の、今度ばかりは酷税庁です。

経営者が法人で生命保険を契約する動機は、契約の目的に加えてGMP(義理・人情・プレゼント)と言えると思います。法人保険を契約する目的とは事業保障とか節税、あるいは退職金準備等です。

しかし時として契約の目的が後付けになりGNPが優先される場合すらあります。これは売る側の立場も買う側の事情も手に取るようにわかるhokenfpとして筋金入りの保険営業論です。

そういう立場から申し上げられることは、切り口を変えた保険(医療保険、介護保険、養老保険、外貨建て保険)にGMPをからめて売り込むぐらいしかなさそうです。

国税庁から示された損金算入新ルールは決して保険営業に甘くないといえると思います。もう保険代理店で一括千金の夢は潰(つい)えたのでしょうか。

◆ それなら短期定期保険は選択肢。

法人保険を買う側の感覚からすると短期の定期保険も選択肢ではないかと考えています。もちろん短期の定期であるからには完全に保障目的の保険契約になります。

オーナー経営者にとれば簿外に積み立てられるなら心が動きますが、保険積立金として税金を払いながらキャッシュを動きのとれない形で積み上げていくのは気乗りしないのです。これまでは法人税を先送りしながら簿外に緊急予備資金を積み立てられたわけですからこの結果は大違いです。

たとえばこれまででしたら20年定期保険であれば全額損金が可能でした。新ルールによれば、定期保険として50%以下の返戻率であれば全額を損金にすることが可能となります。

それなら割り切って高い保険料で保険積立てをするより、保障を買うと割り切って、解約返戻率は低くても全額損金になる定期保険を選択することも有力になると思います。保障部分の保険料をきちんと費用で処理できるわけですから、よく考えれば意味があるのではないかと思います。

◆ 保険業界の末路、まとめ。

国税庁のパブリックコメントに示された改正案は、税を徴収する側からみればとても優れた仕組みです。法人契約する保険の種類ではなく、問題となる最高解約返戻金に着目して将来に渡り同様の問題が再来しないようバッサリと網をかけました。

おかげで、売る側の保険会社や保険代理店だけでなく、買う側の中小企業も財務的な選択肢が大幅に狭くなりました。損金商品のイタチゴッコはなくなるかもしれませんが、知恵比べは今後も続いていくものと思います。

節税保険、国税庁のパブコメでトドメか?

節税保険、国税庁のパブリックコメントでトドメか?

2019年4月11日、ようやくにして国税庁から節税保険に関するパブリックコメントが公示されました。

節税保険販売停止のバレンタインショックからほぼ2ヶ月が経過しています。保険業界の混迷に終止符を打つのか、それとも拍車をかけるのかわかりませんが、

『「法人税基本通達の制定について」(法令解釈通達)ほか1件の一部 改正(案)(定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱い)等に対する 意見公募手続の実施について』が公開されました。

内容を読み解くと、国税庁も節税の抜け穴を防ぐためにそうとう呻吟(しんぎん・苦しんでうめくこと)したと思われる内容です。

じっくり読んでも意味がつかめない項目があります。結論から申し上げると、定期保険(長期平準定期保険・逓増定期保険)やがん保険などの第三分野をからめた医療保険など保険種類にかかわらず、すべての保険商品で損金効果(節税効果)をなくすという国税庁の新ルールです。

分かりやすく言えば、国税庁によると「最高解約返戻率」という急所を押さえ、それに合わせた資産計上率を大きくし、解約時の実質返戻率が100%を越えない縛りが出来ました。この規制は、節税目的の全商品にかけられたということになります。節税保険を一網打尽にしたついでに、事業保障の長期定期保険までも半損という一律の経理処理を認めず、新たに節税効果が最小限になるよう細かくルールが設定されています。

国税庁のパブリックコメントにより、このまま通達が発遣されれば、節税保険はこれで完全にトドメを刺されたと言えるのではないかと感じています。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 節税保険が狙われた理由。

国税庁と保険業界の法人保険による節税イタチごっこは、長年にわたり続いてきました。ここに来て終わりを告げるのでしょうか。法人契約の保険には、事業保障という目的のほかに、利益の繰り延べということがあります。

中小企業にとっては、保険によって利益を繰り延べることで、ある程度P/Lをコントロールしたり、退職金準備を設計したりすることができました。しかし国税庁にすれば法人税収減となります。

課税の繰り延べ効果を高めるためには、保険料をできるだけ多く損金に落とせることと、より高い解約返戻率が求められます。実質の解約返戻率が(100-実効法人税率)を越えていれば、利益の繰り延べができますから、出口対策さえしっかりできていれば節税になります。

ところが何ごとも「過ぎたるは及ばざるが如し」(ちょっと意味がずれていますが)保険業界の競争が熾烈になり、全額損金の節税保険販売競争が激化しました。その結果、保険商品を認可した金融庁が保険商品の見直しを指導し始めた矢先に、国税庁が保険業界の幹部を集めマッタをかけたというわけです。

国税庁からの指導で保険会社各社は販売停止を決め、戦々恐々で国税庁のパブリックコメントを待っていたということです。おかげで契約者である中小企業も節税目的で契約したものの、国税庁の判断先送りにずいぶん振り回されました。

◆ 節税保険の効果がなくなれば死活問題の保険代理店。

今回の国税庁のパブリックコメントで示された締め付けが通達として出れば、一番困るのは法人保険を主にあつかう保険会社と保険営業、そして保険代理店です。事業保障目的の定期保険だけでは、たびたび需要があるわけではありません。

節税保険なら利益の出ている企業では、毎年需要があります。かといってがん保険や介護保険などでは保険料が伸びません。法人保険をメインにしている代理店の主力商品は、やはり損金効果の高い節税保険です。

まさに代理店にとれば死活問題、存続にかかわる重大事態です。多くの中小企業も選択肢を奪われた形になり、今後の財務管理が難しくなります。国税庁も酷なことをするものです。

◆ パブコメの真意を読み解くと、国税庁の腹の内。

国税庁のパブリックコメントのタイトルは下記のように長々と意味不明です。

「法人税基本通達の制定について」(法令解釈通達)ほか1件の一部 改正(案)(定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱い)等に対する 意見公募手続の実施についてパブリックコメントの内容が5ページ、法人税基本通達の新旧対照表が18ページと読み解くにも骨が折れるボリュームです。

国税庁のねらいを、改正内容に絞り込んで分かりやすくまとめてみました。ただし現時点では国税庁の正式な通達として出ているわけではないですから、確定ではありません。念のため申し添えておきます。

・基本的な考え方と方向性(国税庁の立場)

法人税法上、前払部分の保険料は資産計上するのが原則
法人税基本通達(9-3-5)では保険料は期間の経過に応じて損金算入
保険の種類ごとの損金算入ルールを定めた通達を一本化し下記の新ルールを適用

解約返戻率が最高になる時点の返戻率を「最高解約返戻率」と定義しています。

イ 最高解約返戻率が50%超7 0%以下となる場合[50%<解約返戻率≦70%]

6割損金/4割資産計上となります。
実効法人税率33.8%では、 単純返戻率 70%のとき実質返戻率 ⇒ 87.8%

ロ 最高解約返戻率が70%超8 5%以下となる場合[70%<解約返戻率≦85%]

4割損金/6割資産計上となります。
実効法人税率33.8%では、 単純返戻率 85%のとき実質返戻率 ⇒ 98.3%

ハ 最高解約返戻率が85%超となる場合 [85%<解約返戻率]

実効法人税率33.8%では、 単純返戻率 95%  のとき実質返戻率 ⇒ 99.9%
単純返戻率 100%のとき実質返戻率 ⇒ 103.5%

(注:被保険者一人あたりの年換算保険料が30万以下は全額損金また経過年数に応じ損金算入割合の変動があります。)

わかりやすくするため、資産計上期間の細かいルールは省略して「イ」「ロ」「ハ」の最高解約返戻率区分による資産計上ルールを適用すると実質返戻率がどのように変わるかを示しています。特に「ハ」のケースでは長期平準定期にこのルールを適用されると混乱を生じるのではないかという複雑さです。

実質返戻率が100%を越えなければ節税効果はありません。事業保障を考えなければ、結果的に保険会社に利益を貢いだだけとなります。

また上記の計算シミュレーションは、解約返戻率のピーク時の解約を前提とした資産計上期間の実質返戻率を試算したものです。詳しくは国税庁パブリックコメントPDFでご確認下さい。

◆ 逓増定期の名義変更は生き残るか。

全額損金で販売されていた節税保険はこれにより意味をなさなくなります。長期平準定期保険も事業保障として考えれば意味がありますが、利益の繰り延べ効果(節税効果)はほとんどなくなることになります。

逓増定期保険は利益の繰り延べという意味では契約する意味がなくなりますが、名義変更スキームは存続するかもしれません。

ただし最高解約返戻率は「ハ」のグループに属すことになりますからなんと9割の資産計上になります。名義変更した時には巨額の雑損失が法人側に発生することになりますが、それはそれで利益が出ている法人では有効な使い道があるように思います。この雑損失は決算書で目立つでしょうから、税務署も目をつける可能性があります。さてどうなるか今後の動きを見守りたいと思います。

(追記:2022年3月のホワイトデーショックで道は絶たれました。)

◆ 経理処理ミスが山積。

国税庁のパブリックコメントによると、おかげさまで既契約には遡及しないようなことが記述にあります。

以下は引用です。

改正後の法人税基本通達9-3-4から9-3-7の2までの取扱いは、平成31年○月○日(改正通達の発遣日)以後の契約に係る定期保険又は第三分野保険の保険料について適用します。

なぜ国税庁のパブリックコメントの締め切りが5月10日(金)で改正通達の発遣日の元号が平成なのか意味不明ですが、駆け込み契約は既得権を得たということのようです。とりあえず契約いただいたお客様に迷惑をかけずに済み、安堵している保険営業の顔が見えるようです。

それはさておき、既契約と新契約の経理処理が同じ保険でも異なるようなことになります。すでに過去において国税庁の通達が出るたびに経理処理が複雑化し、経理処理ミスが多い中、さらなる混乱の要素になりそうです。このルールでは保険積立てが正確に処理できるとも思えません。

節税効果がなくなり、もはや今後の契約は出口対策を考える必要はなくなりそうですが、経理処理を正確に行うことはかなり難しそうです。今後は保険会社が経理処理の案内にさらに力を注ぐべきでしょう。

◆ 国税庁のパブコメから見える保険業界の行く末。

保険を買う側ではありますが、一連の国税庁発のバレンタインショック騒動はhokenfpとしてとても興味深く追いかけました。過去に例のない事態ですからまだまだこれから保険会社各社、保険代理店も存続をかけて戦略を練り直さないといけないところでしょう。ただ国税庁のかけた網は最高解約返戻率という節税効果一網打尽策ですから、保険商品設計はさらに難しくなるように思います。

国税庁も大人の態度を示して既契約への遡及なしとし、過去の通達を見直し全体に通用する網をかけ直してきました。既契約への遡及はないのではないかという見解はOB税理士によると国税庁の考え方として「納税者に不利な通達変更は、通常遡り適用はありません。」ということのようです。節税保険の大量の駆け込み契約は出口対策が残りました。

気にかかる点はやはり保険代理店の苦境により業界の再編や廃業が相次ぐと、せっかく既得権で手に入れた全額損金の節税保険の出口対策がおろそかになりそうです。解約時期を誤ったり、出口対策もないまま解約したりするような無策は避けたいものです。

とくに保険設計をきちんと考えずに、とりあえず節税で駆け込み契約をしたようなケースが危ないと思われます。hokenfpの主張として再三申し上げていることではありますが、保険契約管理はあくまで自己責任でと繰り返し申し上げておきます。

節税保険販売停止の無策、国税庁の暴走!

節税保険販売停止の無策、国税庁の暴走!

バレンタインショックを皮切りに、節税保険販売の過当競争に国税庁が介入して2カ月弱が経過しました。駆け込み販売も一段落したようで、国税庁のパブリックコメント待ちのような状態が続いています。

この先どうなるか、保険業界は戦々恐々の有様です。影響は保険業界にとどまらず、中小企業の経営に及んでいます。この先出されるであろう通達の落としどころと、節税保険販売停止による各業界の混乱をまとめました。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 節税保険販売停止で混乱する保険業界。

平成31年の2月14日のバレンタインショックから始まった節税保険全面的販売停止は、3月決算が締まろうとする時点で国税庁から何の音沙汰もありません。

販売停止とは言わず、自粛という名目です。しかし実際は、保険会社が販売を自粛すれば、保険代理店にとって完全な販売停止と同じです。保険会社が閉めてしまえば、抜け駆けするような手はありません。それゆえ保険で生計を立てている保険業界の方々は、国税庁の判断を待つよりありません。

社会批判を恐れて、保険業界は今のところ無抵抗ですが、国税庁の今回の介入は、過去の例から見てもやり過ぎの感があります。ここに至ってさらに判断を先送りするかのような国税庁の無策は、さらに事態を深刻化します。

実際に困るのは、顧客である中小企業であり、保険販売で生計を立てている保険営業や保険代理店です。

◆ 保険代理店の現状報告。

金融機関系の代理店の話を総合すると、開店休業状態だそうです。2月末に多数の駆け込み契約をいただいたお客様の、お礼参りをしているということです。売るだけ売ったので、一息ついている感じはありますが、この先に来るであろう経営不安がのぞいていました。

これから何を売るかと聞けば、がん保険かドル建て保険ぐらいとの話もありました。がん保険というのは名義変更を前提とした、解約返戻金がない法人向けのがん保険です。

これだけでは、節税保険のように毎年、企業決算の度ごとにチャンスが巡ってくる訳ではありません。契約が取れなければ、保険代理店の経営は苦しくなると思います。

◆ 国税庁の通達が遅れるほど保険業界は苦境。

バレンタインショック時点では、すぐにもパブリックコメントで方向性が決まるような話がありました。ところがその後、全面的な販売停止が進む中で、保険業界の悲鳴が聞こえるようになりました。

国税庁としても今回の大鉈は振り上げたものの、影響の大きさに戸惑いがあるのでしょうか。パブリックコメントがなくなり通達が出るという話が3月はじめから、4月になり、さらに先という情報が出てきたのです。さらに最近の不確かな情報では7月以降などとささやかれています。

通達時期の情報が、まるで逃げ水のように先送りされています。それまで保険業界は、指をくわえて待つしかないのでしょうか。法人専門の代理店にすれば、まさに死活問題です。駆け込み加入した企業にしても、決算を迎える場合、判断が難しくなります。最悪の場合、決算修正が必要になります。

◆ 保険業界の沈没は不況へ、景況悪化は税収減へ。

節税保険とは言いながら、加入した時点では節税になっているわけではありません。利益を保険会社に預けているだけです。預けた保険料は保険会社では収入保険料として儲けになります。銀行は預かるだけですが、保険会社は保険料をお預かりするとは言いますが、収益として計上されます。必要経費を引いた残りが、保険会社の利益となり課税されます。

節税保険に加入してもお金は周り巡って利益となり、結局どこかで余剰分は再び利益となり課税されます。また、解約すれば損金で保険料を落としていた分の戻りは、解約返戻金として雑収入になりますから、ここでも課税が待っています。

出口対策ができていれば、保険の雑収入は費用化できますが、費用化した分はまたどこかの会社の利益となり、課税対象になります。節税保険が拡大すると一時の法人税減収となると思います。しかし長い目で見れば、キャッシュは周り巡って、景気を活況化させ利益となって課税対象として戻ってきます。

今回の国税庁の判断が、保険業界の不況の要因になれば、まさに官製不況というべきです。

◆ 国税庁通達の落としどころを考える。

保険業界は国税庁の強引な介入が、不当であることをもっと主張すべきです。節税保険では、日経新聞やその他のマスコミも批判的な論調を掲載しました。それゆえ保険業界は、後ろめたさから温和しい対応となっています。しかし被害者は保険業界だけでなく中小企業全体です。

半分費用化できる長期平準定期保険まで販売停止では、すでに中小企業に根付いている保険による退職金準備が崩れるという可能性もあります。この問題は影響の範囲が大きく、落としどころが難しいのですが、先送りは許されません。国税庁の通達はいつ、どのような制約をかけてくるのでしょうか。

ソフトランディングの落としどころとしては、例をあげると

1)既契約には遡及しない。

2)5月1日以降の新規契約に適用する。

3)全額損金の定期保険の損金率を半分にする。(短期の定期保険は除く。)

混乱をきたさないようにするための要件についてhokenfpとしては上記のように考えます。虫が良すぎるでしょうか。

◆ 節税保険販売停止、まとめ。

平成最後のミスショットとも言うべきバレンタインショックは、どうも平成中には解決が見えないようです。新時代の保険業界に禍根を残さないよう、国税庁には穏便な処置をお願いしたいところです。

節税保険は、加入する企業も売る方の代理店も節税しか頭にありません。ところが解約するまでは、保障機能がちゃんとあるのです。5年か10年かは保険の種類によりますが事業保障になっています。

もともと中小企業でも同族会社でなければ、節税保険に加入する意味がありません。会社の利益を簿外に貯蓄して喜ぶ一般株主はありませんから。

日本の中小企業は、事業承継でも経営環境でも厳しいものがあります。たとえば働き方改革などは、大企業の話です。それが大手を振って中小企業の経営を圧迫しています。

せっかく納税猶予制度などの改革をすすめ、中小企業の育成と継続を支援しようというときに、国税庁も思いつきで無策なことをすべきではないと思います。国税庁の暴走!などと過激なタイトルにしましたが他意はございません。

節税保険、バレンタインショックの行く末!?

節税保険、バレンタインショックの行く末!?

全額損金処理できる法人契約の生命保険に対して、平成31年2月13日の夕方、国税庁が新たな方針を示し、生命保険会社各社は強硬な国税庁の圧力に対し、翌2月14日以降続々と販売自粛、あるいは販売停止を打ち出しました。

保険営業にとれば青天の霹靂(へきれき)というか、チョコレートどころではない生業(なりわい)に関わるバレンタインショックとも言うべき一大事です。

すぐにもパブリックコメント、通達となるような雰囲気でしたが1ヶ月以上過ぎても音沙汰がありません。

これでは保険会社も代理店も動きがとれません。通達の結果によってはさらに深刻な事態も想定されます。このようなことは過去に経験がありません。

これは保険業界だけでなく、中小企業の資金繰りや事業承継にも影響が少なからずあります。国家権力の横暴が招いたバレンタインショックの行く末を、保険契約に関わる現場から検証した報告です。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 駆け込み全損保険の結末は?

保険会社は、一斉に販売停止をしたわけではありません。各社各様に理屈をつけて、独自の締め切りを設けて顧客を追い込んできました。

多くの保険会社は申込みの締め切りを2月20日とし、診査と保険料は2月中に完了としていました。しかしさらにモグリの手法もありました。それは節税目的で2月に全損保険を契約し、3月の通達の結果を見てから保険料を振込むかどうかを判断するというような、都合のよい話です。

これはまったく国税庁が切れそうな駆け込み契約になりますが、2月中に申込みと診査が終われば2月契約となり、保険料は3月末まで猶予があります。

フツーの保険常識では、申込書と診査と保険料の振込みがそろった時点が契約成立となります。しかしN社とN社は申、込みと診査が終われば契約成立です。都合のよいことに、保険料は後でもよくなっています。これは利益の出ている企業にとれば、3月決算をにらみながら全額損金保険の既得権を手に入れる最後のビッグチャンスです。

この結果、バレンタインショックを逆手にとった、駆け込み販売が急増したようです。この事情は国税庁も把握しているようですから、なかなか通達が出ないところをみると、雲行きが怪しいところです。

◆ 保険代理店の苦境と保険業界の行き詰まりについて。

今回のバレンタインショックで一番先行きを案じているのは、保険代理店だと思います。

困ったことは今後の成り行きがわからず、売るべき保険商品が販売停止のままでは営業活動もでません。保険の営業をする立場では、開店休業になります。

実際3月に入ってから代理店からのアポ連絡は、ほとんど途絶えました。国税庁の通達が出るまでは、実際なすすべがないという深刻な事態です。

もちろん、国税庁の通達の内容によれば、さらに深刻なケースも想定されます。このままでは、保険代理店を廃業せざるを得ないようなことにもなりかねません。最後にどっさりと契約を取り込んだものの、下手をすれば最後のボーナスというような、笑えない苦境が見えてきます。

一方、久々の大ヒット商品だけでなく半損商品まで封じられた保険会社は、低金利時代にますます難しい舵取りを迫られることになります。

◆ バレンタインショックは中小企業の経営を圧迫。

中小企業の経営者にとって、節税保険という利益温存手段が失われるのは大きな損失です。

中小企業は、毎年安定的に利益が出るとは限りません。経営とは泥縄のようなもので、いつ何時(なんどき)ピンチに見舞われるか予測できないのです。経営のピンチを救う切札は、なんと言ってもキャッシュです。会社のキャッシュを無駄なく活用するためには、保険は限りなく有効なのです。

法人保険は、退職金を保険で積み立てることや損金効果を利用して自社株評価を下げることで、事業承継をスムーズにおこなうこともできます。また逓増定期の名義変更スキームでは後継者に経営資金を集中できます。これらすべての法人保険で得られるメリットが封じられたことになります。

◆ 金融庁の無責任と国税庁の横暴、縦割り行政の弊害。

保険商品は保険会社が設計し、金融庁の認可を受けます。その結果のあおりを受けるのが、国税庁ということになります。国の行政というのは縦割りになっていて、金融庁と国税庁はそれぞれの都合でものを言い、指導してきます。その結果振り回されるのが民間企業です。

たとえば金融庁幹部の発言を引用すると「死亡時の保障という本来の趣旨から外れており、脱税を助長するような商品」などと認可しておきながら問題点を指摘しています。国税庁に至っては「これまでのルールを当てはめると形式的には全額が経費扱いとなるが、実態と大きく乖離(かいり)する商品が開発されている。それが、『節税効果』を前面に出して販売されている。」と言うわけです。

今更何を言っているのでしょうか。その結果、法人契約できる全損商品だけでなく、半損処理ができる長期平準定期の解約返戻率まで問題視され、全面的な販売停止となりました。これでは保険会社も販売する代理店も保険営業も生活できなくなります。このような横暴で混乱を招く指導は、行政として許されるのでしょうか。

保険を買う側のhokenfpが興奮することではないのですが、企業の決算を狙って、法人保険を販売している方のやり場のない怒りはよく理解できます。

まるでGoogleの検索アルゴリズムのアップデートにより、これまで必死で築いてきた検索順位を圏外に飛ばされてしまったサイトのような、理不尽な苦渋を感じてしまいます。

◆ バレンタインショックの行く末に暗雲。

節税保険は加入より解約管理が重要です。ところが代理店が立ちゆかなければ、解約管理ができないことになり、5年後10年後には解約時期を誤る会社が続出し、本当の全損保険ショックになりかねません。

バレンタインショックの行く末は、さまざまな暗雲が漂っています。保険代理店の苦境、保険会社の経営悪化、中小企業のキャッシュフロー悪化などが想定されます。国家権力による無策と横暴の結果が、もたらす弊害は日本経済にとっても被害甚大です。

低金利時代で保険業界は青息吐息のなか、追い討ちの所業です。今後の生きる道は、ドル建て商品になるのでしょうか。新商品に期待が集まりますが、今度ばかりは認可する金融庁も保険会社も、慎重な開発姿勢になるでしょう。となれば養老保険でも売りつつ、ほとぼりが冷めるのを待つしかありません。

事業保障では法人保険の加入と見直しは一生で数度、決算毎に保険の検討をする意味がなくなり、他の損金手段にシフトせざるをえません。そうなれば、保険販売の間口(まぐち)は極端に狭くなることでしょう。

◆ バレンタインショックの行く末、まとめ。

保険会社各社は、バレンタインショック以降の保険販売には確認書に捺印を求めてきました。確認書とは要するに「通達が出て、全損でなくなっても責任は負いませんよ。」という念書です。うかつにハンコは押せない話ですが、責任回避とばかりも言えません。

3月末まで時間があるので、まだ保険料を振り込んでいないという中途半端な方も大勢いらっしゃるように聞きます。

しかし来週には、保険料を振り込む方も態度を決めなくてはなりません。通達が出る出ないにかかわらず、保険料を振り込んでおき、全額損金にできないとなれば、決算修正するしかありません。

今回ばかりは通達がでれば、一件落着とはいかないように思います。このままの締め付けが続けば、保険業界の先行きは真っ暗です。

逓増定期の名義変更スキームも解約返戻率の極端な差があってこそ成り立ちます。解約返戻率を高く設定できないとうま味がなくなり、立ち消えとなりそうです。法人の利益はオペレーティングリース等へ流れることになるのでしょうが、利益がでる法人では打つ手が限られます。

(追記:逓増定期の名義変更プラン、2022年3月のホワイトデーショックで道は絶たれました。)

節税保険で簿外に利益を貯金して、必要な時に解約して使うというメリットがなくなってしまいます。日本経済を支える中小企業の経営の選択肢を狭めてしまうことになり、経済全体の活力を奪うことにつながります。今となってはバレンタインショックが尾を引かないようにソフトランディングを願うのみです。

2019/3/20 追記

バレンタインショックは、国税庁としても想定外の騒ぎになり振り上げたこぶしの落としどころが見えなくなっているような感じです。保険会社としては死活問題ですから、相変わらず売りつづけているN生命もあるようです。いよいよ混沌としてきました。

節税保険、自粛か、販売停止か、売り放題か。

節税保険、自粛か、販売停止か、売り放題か。

日本経済新聞の2月14日の「節税保険」の販売停止という記事から始まった、生命保険会社各社のドタバタ劇場は、まだ先が見通せないばかりか収束する気配がありません。

買う側にいると、代理店や保険会社から続々と情報が入り、概要が見えてきます。代理店によっても保険営業によっても言うことが異なります。

売らんがために、適当な話をでっち上げる代理店まで出現しました。節税保険では過去に同様の事態がありましたが、今回は国税庁の姿勢が急激かつ強硬です。

買う側として気になるのは、販売停止とは言うものの最終確定までに果たして全額損金のまま駆け込むことができるのかどうか。また将来の税務調査で駆け込み契約が安全なのか、はたまたグレーな手法に乗るとヤバイのかという問題が残ります。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 生命保険会社各社の動きとドタバタ。

日経の記事が掲載された14日は、朝から大変でした。代理店や各社の保険営業から携帯やらメールで情報が入ってきます。当日アポの金融機関系保険代理店もありました。

保険会社各社ともに朝から会議で、情報収集に追われていたようです。即日販売停止などと言われても、相手がある話ですから売るべきか自粛すべきか判断できない状態です。すでに提案済みのもの、診査中のものなど状況はさまざまです。

自粛と言われれば、新規の提案を自粛するということは可能ですが、実際は保険会社各社の判断に任せるほかないところです。

記事だけを読むと即日販売停止のようでもあり、自粛のようでもあります。国内生保と外資系とは対応が分かれたようです。このドタバタは来週も続くと思います。話が急なだけに節税保険を検討されていた会社には、微妙な心理的変化が生まれたと言えるのではないかと思います。

◆ 代理店のリスク回避と念書の無意味。

代理店にすれば主力商品を封じられるわけですから、存続に関わる一大事です。しかし売れるものなら駆け込みたいところです。怖いのは販売した後に網がかかって、全額損金という経理処理が認められなくなるような事態です。全額損金を認めない通達が出るようなら、これは責任問題になります。

買う側としてはそのときは代理店が責任を負い、契約がなかったことにできる念書を書いてほしいところです。ところが代理店にすればリスク回避のため、通達により取り扱いが変わっても、責任は顧客にあるという念書を提示しようとします。

そのようなスタンスでは、買う側としては提案書を見るまでもなくお帰りいただくしかありません。かと言って取り扱いが変わる前に入らないと、全額損金という既得権は確保できないというジレンマがあります。

今回の騒ぎの仕掛け人と噂される国内大手生保が、全額損金商品の申込書を持参しましたが、急に仕立てた念書付きでしたのでお引き取りいただきました。

◆ 売り続ける外資系の太っ腹。

外資系はどうも情報がバラバラです。即日販売停止にした会社、売り続ける会社、提案書が出ているものは20日までの申し込みでOKとか、まさに各社さまざまな対応です。外資系にしても顧客が責任を負うような念書さえもらえれば、売り続けることは問題にはならないでしょう。来週にはもう少し統一のとれた状況に落ち着くのではないかと思っています。

◆ 14日以降は販売停止をタテに強行売り込み。

なかには新聞記事を使い強行に本日限りで販売停止、最後のチャンスですと売り込む強引な代理店もあります。この手の売り込みには、話だけ聞いてお帰りいただきます。

顧客もバカではないですから、ネットや保険会社のネットワークで情報は手に入ります。都合のよい話を仕立てて売り込んでもそうは問屋が卸しません。ご本人は嘘のつもりはないでしょうが、偽の情報は判断を誤らせますから信用は喪失します。

◆ 20日までは受付の保険会社、保険料は各社各様。

来週には状況が変わる可能性はありますが、総合的には2月20日までの申込書受付は、念書付きでOKという感じです。

この手の保険は巨額でなければ告知扱いが多いのですが、診査告知まで済ませておいて保険料の振り込みだけを先送りします。保険料の支払リミットは各社各様です。なかには3月でも良い会社があります。

申し込むだけ申し込んでおいて、国税庁のスタンスが決まってから保険料を振り込むか、契約を流してしまうかを決める手もあります。それなら念書に印鑑を押しても問題はないわけです。

16日の日経新聞では5面に小さな記事ですが、「現時点では顧客への説明が難しい」という生命保険協会の稲垣精二(第一生命社長)氏のコメントが掲載されています。

普通に売り続けるのは怖い話です。国内生保の普通の営業職員にすれば、内容的にも金額的にも手が震えるような申込書になります。それが決まらないのは、明日が見えない不安と同じです。保険を売る立場で考えれば、この気持ちはよくわかります。

◆ パブリックコメントは月末、通達は来月の予測。

別のルートからの情報では、各保険会社にアンケートを実施し、その結果を見てパブリックコメントに進むそうです。とすれば結論が出るのはもう少し先かもしれないですね。

いずれにしても通達の内容は予測不能。過去の事例が参考になるかどうか、今回は難しい気がします。既契約をさかのぼって見直すようなことにはならないと思いますが、消費税増税前の神経質な国税庁がどこまで踏み込むかわかりません。買う側としてはもう少し様子を見ることになりそうです。

◆ 庶民感覚では許しがたき節税保険。

国税庁がむきになるのは法人税収減という理由だけではなく、租税負担の公平と言うこともあります。法人だけが節税保険で節税できるのは、給料から有無を言わさず源泉徴収として天引きされている庶民感覚では許しがたき脱税です。

また生命保険の本来の趣旨は、相互扶助です。その精神はかけらもなく、死亡保障などまったく見ていません。解約したとき1%でも一円でも多く返ってくる保険を選びますから、形は保険でも節税を目的とした金融商品に他なりません。法人保険に関わる立場ではとても良い保険に見えますが、見方を変えると脱税の権化のように見えるかもしれません。

◆ 節税保険で節税はできない。

節税保険とは呼ばれていますが、契約した時点で節税できているわけではありません。利益を繰り延べているだけですから、よくよく考えれば節税保険という表現は適切ではありません。

5年後か10年後の解約返戻率がピークの時に、解約返戻金が雑収入となります。ほとんどの企業は、とりあえずの利益の繰り延べでしょうから、いずれ繰り延べた利益にも税金がかかるときがきます。

そのとき資金需要があったり退職金を支払ったりするなら利益の繰り延べ効果があったことになりますが、それは問題になることではないはずです。

先の資金需要に備えて貯金しているわけですから企業防衛です。国税庁は目算が狂いますから、むきになるのは仕方がないと思いますが、国家権力の落としどころを間違わないで欲しいものです。

◆ 節税保険販売停止、まとめ。

hokenfpとして今は買う側にいますが、売る側の事情もよくわかります。

やはり生活をかけて頑張っている保険営業がいる保険業界のドタバタは気になります。

網がかかると当面保険営業は売る商品が限られ苦しくなります。しかし新手の保険商品が開発され、同様の網掛けが繰り返されるのではないかと思います。

節税保険は保険料を全額費用化します。企業にすれば、それでも赤字にならないからできるのです。赤字で節税保険に入る意味はありません。景気回復による中小企業の利益が回復していることの証左です。

簿外に蓄積された利益は企業の貯金ではありますが、ある意味では国税庁の簿外の貯金です。そのうち出口対策ができていない契約は、とりあえず繰り延べた利益が表に出てきます。

いずれ税金を払う羽目になるのは、中小企業の知恵のないところです。

国税庁としては中小企業あっての税金ですから、当面、税金が少なくても目くじら立てないでお待ちください。

全額損金できる節税保険の駆け込みラストチャンス。

全額損金できる節税保険の駆け込みラストチャンス

全額損金で処理できる保険が多数発売されて、過当競争になっていることは下記に書きました。

損金処理できると言うことは、あくまでも法人契約で保険料を費用として処理できる生命保険のことです。

全損保険に網がかかるという可能性を検証しましたが、その後の動きに関する不確かな情報をまとめました。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 全損保険の駆け込み契約。

全損保険とは、保険料を全額損金処理(費用化)できる法人契約の生命保険のことです。5年から10年後に解約すれば、それまでに支払った保険料が8割から9割戻ってくるので、雑収入が発生し利益の繰り延べができると言うわけです。

その結果として法人税収が一時的に減少しますから、国税庁としては見逃すことができないということにとなります。

全損商品ラッシュはどう見てもやり過ぎの感がありました。2018年の半ばぐらいから、網がかかるのではないかという噂が飛び交っていました。その結果、先読みした、利益が予測される中小企業では、駆け込み契約も多かったようです。

◆ 節税か利益の繰り延べか。

利益の繰り延べだけでは、保険会社や代理店に支払った保険料と解約返戻金との差額を貢いだだけになります。それでは節税になりませんので、解約返戻金が、費用として使えるような対策が必要です。これを出口対策といいます。

設備投資や修繕費用、一括償却のような損金処理できるものの発生にあわせて解約することで、節税効果が高くなります。設備投資の減価償却や役員退職金などに解約返戻金をタイミングよくあてこんでいくことが大事です。

◆ 全損節税保険のデカいメリット。

前項で申し上げたように出口対策をしっかり設計すると無駄な税金を払うことなく設備投資などに有効に利用できます。税金は必要以上に払わないことが中小企業の生きる道というものです。

いくら税金を払ったとこところで税務調査にはきますが、お歳暮がくるわけではありませんし、ガム一枚くれるわけでもない、経営においてはまったく無駄なコストです。

仮に今は出口対策が見えなくても、経営にリスクはつきものです。資金を簿外に蓄積し納税を先送りするだけでも十分リスク対策になっています。

経営とはご承知のように、先の見えない泥縄です。経営者にとってキャッシュフローの確保は命の血流とも追うべきものです。全損保険のメリットがデカいと申し上げているのは、資金の繰り延べ効果によるリスクヘッジがあるからです。

◆ 全損保険で節税するラストチャンスな理由。

全損保険のやり過ぎは、いずれ国税庁が見逃さないと考えなくてはなりません。

保険会社を管轄し保険商品を承認する金融庁は、認可しておきながら強権を発動します。その後の有効な情報を総合すると、来年早々には全額損金商品の返戻率が見直しとなり、全損返戻率骨抜リニューアルの可能性があります。

法人保険をあつかう代理店や保険営業には心穏やかならぬ不穏な情報です。こういう場合、国税庁から経理処理の見直し通達が出るのが普通ですが、保険商品の返戻率の見直しとなると金融庁がからんで来るのでしょうか。

フタを開けてみないとわかりませんが、来年の決算で全損商品を考える場合は早めに決算の予測を立てて保険設計を終えることが大事です。ラストチャンスを逃さないように行動する必要がありそうです。

◆ 全損保険ラストチャンス、まとめ。

現在発売されている全額損金の商品は、後になって発売した会社ほど返戻率がよくなっています。10社近い会社が返戻率のよい全額損金商品を発売しています。年齢や性別によりますが、やはりネオファースト生命が返戻率的には若干有利です。これを上回る新商品を準備しているM社やO社もあるようですが、この雲行きでは金融庁の認可もスムーズにいくとは限らないと思います。

結論的に申し上げれば、全額損金の拡散はどこかで必ず歯止めがかけられると考えるべきです。その直近の動きが来年早々ということになれば、今まさに全損節税保険駆け込みラストチャンスと言うことになりそうです。

まるで保険の売り込みのような話になりましたが、あくまでもhokenfpは買う側ですので保険は売っておりません。誤解なきように申し上げておきます。

節税保険、解約逸機の恐怖。

節税保険、解約逸機の恐怖。

このところの節税保険ラッシュは、以下に詳しく書きました。保険会社各社ともに販売合戦をやりすぎて、国税庁による規制の噂が飛び交っています。

■国税庁、網がかかるか全損保険。

法人契約の節税保険は、課税の繰り延べ効果が高いのですが、解約時期を逸すると一大事です。今回ブームになった節税保険は、解約返戻率がピークになると間違いなく解約する必要があります。機を逸することなく必ず解約して、解約返戻金を受け取らなくてはなりません。

すでに前期のこととして、契約した内容もうろ覚えの経営者の皆様に念のためのご案内です。よろしければご一読ください。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ とりあえずの全損保険契約リスク。

とくに出口対策が設計できていないような、とりあえずの全損保険契約が問題になります。解約返戻率を管理するには、ピークが5年から10年の保険は中途半端な期間です。

経験的に申し上げると、この間合いは危ないところです。せっかくの返戻率のよい全損保険の解約時期を逸するリスクがあるように思います。

保険のテクニックには、失効とか減額という手もあります。しかし保険商品や保険会社により条件が異なりますので、確実な根拠がなければお勧めできません。

これをうっかりぼんやりで見逃したりすると、半端でない損失が発生します。

◆ 節税目的の全額損金可能な法人保険は解約返戻金が目当て。

もともと決算前に加入する全額損金の法人保険は、保険の目的として事業保障をほとんど考えていません。当期の利益の繰り延べが本当の目的ですから、保険料が大きくて、診査が手間いらずで、解約返戻率が1%でもよいものが集中的に売れます。

最終的な目的は、何年か後の解約返戻率のピーク時に解約して解約返戻金を受け取ることです。そのとき会社に利益が出ていなければ、解約返戻金を赤字の穴埋めに使えるし、設備投資の減価償却や修繕費用などにあてることで、解約返戻金として発生した雑収入に対する課税を回避することができます。

節税保険の経営として大事な視点は、利益を簿外にプールして緊急予備資金として貯金できることです。保険料は全額費用化できますから、解約返戻金があってもP/LやB/Sにのらない簿外の資金となります。

◆ 全額損金タイプの法人保険、返戻率は良いがピークは短い。

全額損金タイプの法人保険は、解約返戻率をよくするためにあの手この手が使われます。保険営業のコミッションを削ったり、ピーク時期を短くしたり、初期の解約返戻率を極端に落としたりします。保険会社もビジネスですから、すべての条件をよくすることはできないのです。

一般的な傾向として全額損金タイプの法人保険は、解約返戻率がよいとピーク時期が短くなるようです。せっかくのよい保険も、解約時期を逸すると保険会社がもうけただけで、単なる損失でしかなくなります。

とくにピーク時期が短い商品ほど、解約時期を逃すと契約返戻率が短期で大幅に落ちる傾向がありますから要注意です。

◆ ピーク時期の管理は自己責任が原則。

自己責任とは経営者の自己責任です。他の誰にも依存してはいけないところです。毎年かなりの保険料を5年10年も積み立てれば相当な額の解約返戻金になります。

かりに解約時期を誤り、解約返戻率が5%下がっても失うキャッシュは大きなものになります。呼び名は解約返戻金ですが、降ってわいたお金ではなく、実質的には経営資金の積み立てです。

保険業界は成果が出なければ、保険代理店でも保険会社の営業でも廃業を余儀なくされます。そこまで厳しくないと保険は売れないという商品特性もあります。

それゆえ保険代理店や保険営業が、メンテナンスはしっかり面倒みますと言ったところで、信用することはできないのです。嘘を言っているのではなく、そのときまで保険の営業を続けていることができるかどうか、保証できないからです。

ましてや証券会社や銀行系の保険代理店など、最初からあてにしてはいけないのです。売りっぱなしと考えておくのが、無難なところです。次の契約につながらない保全など、興味がなくても仕方がないのです。

買う側になって10年以上になりますが、実際のところ、まともな解約時期の案内はほとんどありません。解約返戻金をあてこんだ出口対策の保険提案はありますがね。

◆ 全額損金タイプの法人保険はピークを逸すると大損に。

解約返戻率が高い保険ほど、解約時期の管理は厳しくなります。うっかりして数年も過ぎれば、解約時期を逸したどころではなく、まったく大損したことになります。今さら解約しても仕方がないので、死亡事故を待つというわけにもいかないのです。

そうなると法人保険のデメリットだけが強調されます。法人税を支払った方が手許に残る資金が多くなるような、後悔しか残りません。

実感から言うと、保険契約内容の詳細は3日で忘却の彼方です。基本的なことや注意すべき解約時期は、手帳に書き込んでも数年で意識に上らなくなります。

担当者が変われば、引継ぎは形だけになります。保険契約の意味が薄れてしまい、口座振替と経理処理だけが残ります。あるときの会計報告会で指摘され、あわてるというストーリーが見えてきます。

ピーク時期が5年以内で、退職金などの出口が予定されていると比較的に見逃すことはなくなります。でも最近の全損保険の契約を見ていると5年先や10年先にピークがあり、とりあえずの繰り延べですから、出口のことはあまり考えていないのではないかと思われます。

5年10年は実感としては短く感じられると思いますが、実務的には長いです。組織も変わり人も変わり、財務状況も変わります。

中小企業というのは規模にもよりますが、予定外の欠員が発生したら中途採用で補充します。生え抜きの社員は数えるほどしかいないとしたものです。したがって中小企業の引継ぎは計画的ではありません。幹部社員でも引継ぎがきちんと行われることはあまり見かけません。

そんな環境で法人保険の管理を正確に引き継ぐことは、難しいと言わざるを得ないところです。

◆ 解約逸機の恐怖、まとめ。

金融機関も保険代理店も、もちろん窓口の保険営業、幹部の経理担当者も解約時期の管理に関して信用してはいけません。

自分の腹が痛まないことに対して、責任をもつことは本質的に無理があるのです。だれも口だけで、責任をもつことはないのです。解約時期を逸して損をするのは会社と経営者だけです。

保険会社にしてみれば解約時期を逃していただければ、こんな美味しい話はないのです。積極的に解約時期の案内をするような仕組みは今後も生まれてこないと考えてよいと思います。(例外はありますが。)

全額損金タイプの節税保険は、ピークを逸すると大損になりますから、自己責任で経営者自らがしっかり管理するという覚悟が必要です。

保険代理店や銀行などの金融機関などからすすめられて、節税目的で全額損金の法人保険を契約された中小企業のオーナー経営者の方への警鐘になれば幸甚です。

国税庁、網がかかるか節税保険。

国税庁、網がかかるか節税保険。

(2021/6/5追記、全額損金で節税できる保険は、国税庁の通達でなくなりました。バレンタインショック以前(2018.7.8)の記録としてお読みください。)

節税保険の売り込みが、頻繁にあります。これまで縁のない代理店や金融機関が、節税保険お提案という切り口でアポを取りに来ます。法人保険の窓口を担当している実感としては、国内生保と外資系合わせて10社近くが入り乱れています。

これまで経験のない、まさに節税保険の新発売ラッシュです。あちこちの金融機関が、保険代理店に早変わりして販売合戦を繰り広げています。これはやはり異常な状況ですから、国税庁が黙って見ているとも思えません。この先、節税保険のやり過ぎに網がかかるかもしれません。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 法人保険の狙いと節税効果。

法人保険は、会社が契約者となり経営者や役員、社員を被保険者として生命保険を契約します。従って契約者である会社が、保険料を負担します。

法人で契約する生命保険の保険料は、保険の種類によって費用にできないものや、費用として経理処理できるものがあります。

法人保険を契約する目的は大きく二つあります。一つは企業として万が一に備える事業保障です。もうひとつは、利益を費用化して将来に受け取れる解約返戻金を有効に活用する、利益繰り延べという目的です。

保険料を費用化して、損金で落としていくと、ピーク時に受け取る解約返戻金は雑収入として利益になります。その使い道が有効な費用であれば、利益を繰り延べることができ、節税効果が大きくなります。

そのためには、保険料を全額費用化できて、なおかつ解約返戻率の高い保険商品が求められます。一方では課税逃れや利益調整との批判もあります。これまで何度も損金効果の高い保険商品が発売され、網がかかってきた法人保険の歴史があります。

◆ 全損保険の新発売ラッシュ。

一時期、法人契約の全額損金できる保険商品は、ガン保険も長期障害保険も、逓増定期保険まで網がかかりました。その結果、保険料が損金処理できなくなっていました。解約返戻率が低く魅力がないだけではありません。返戻率のよい被保険者の年齢幅が狭くて、使い物にならない保険がほとんどでした。

ところが2017年から生命保険会社各社が、法人契約をターゲットにした新商品を発売してきました。保険料は全額損金で解約返戻率のよい生命保険です。各社ともに解約返戻率の競争になり、後になるほどよい商品が出てくる、いわゆる後出しジャンケンの様相を呈していました。利益の出ている2018年の3月期の決算企業は、かなりの額の生命保険契約をされたと思います。

◆ 法人保険の全損・半損に価値。

全損とは、保険料を全額費用化できる全額損金のことです。半損とは、保険料の半分を費用化できますが、残りの半分は保険積立金として計上する必要があります。保険積立金は、利益になりますから税金がかかります。

法人保険は事業保障を考える場合は、長期平準定期保険などの半損商品を選ぶべきです。全損保険ほどのうまみはありませんが、長期にわたりじっくりと利益の繰り延べができると同時に、解約時期を気にせずに事業保障を継続することができるところが魅力です。

できれば、その中でも解約返戻率のよいもので格付けの高い保険会社、信用できる保険営業を選ぶことが大事です。

しかしながら、事業保障を確保した上にさらに利益が出てしまうようなことも往々にしてあります。そういうときにこそ解約返戻率のよい全損保険を検討することが有効です。

ただ解約返戻率のよい全損保険は、契約が集中すると網がかかるリスクがあります。もちろんこれまでのケースでは、既契約の経理処理に言及するような通達はあまりなく、既得権としての全損契約は維持できるものと考えられます。

◆ 金融庁と国税庁の思惑違い。

生命保険の新商品を認可するのは金融庁です。生命保険会社が勝手に解約返戻率のよい新商品を作って売るということはできません。ところが生命保険の新商品の認可で、大きな影響を受けるのは国税庁です。

今回のような損金効果が高い新商品が大量に出回ると、法人税の税収に影響するというわけです。ただですら法人税の引き下げ傾向がある中で、税収を確保するためには、節税保険は認められないということになりかねません。

どうもこのところの情報を総合すると、国税庁が出張ってきていよいよ網がかかるという、節税保険に関する怪しい噂があります。真偽のほどは不明ですが、過去の経緯からすれば、今回新発売されたタイプの全損保険の全損経理処理を認めず、というような通達が出ないとも限りません。

仮に既契約に遡及されないとするならば、考えられるのは、期限までの駆け込み販売競争です。

間の抜けた情報もあります。M社はとても解約返戻率のよい保険商品を開発して金融庁に申請していたのが、今頃(2018年6月)認可になったそうで、そうなると発売と同時に網がかかるかもしれないのです。

外資系の社長は短期成果を求められますから、解約返戻率がよすぎるとこういうこともあるのですね。でも、うまく滑り込めれば、これはねらい目かもしれません。

◆ 網がかかるか節税保険、まとめ。

保険会社の駆け込み販売競争は、利益の出ている企業にとり最後のチャンスに映ることだと思います。なぜなら全損処理ができて解約返戻率のよい商品が既得権として契約を継続できるなら、長期的にもずいぶんメリットがあるからです。

きちんと中長期の事業計画を立てて、安定的に利益が出るような場合には誠にうまい話になります。

節税保険管理で大事な点は2点ありあります。

・自己責任で解約管理。

解約返戻率のよい商品というのは、おしなべて解約返戻率のよい時期が極めてタイトです。そこを外して解約しても利益を繰り延べたことにならずに単に損をしただけになります。

人任せにしないで、自己責任で解約時期を厳しく管理する必要があります。保険代理店も保険営業も、売るとき解約時期の案内は当然のように言いますが、それを信用してはいけません。

次の売込みにつながらない限り、誰も解約時期のお知らせなどしている暇はないと考えるべきです。

・早めに出口対策の設計。

またほとんどのケースで、とりあえずの利益の繰り延べですから、中途半端な時期に解約することになりがちです。そのため雑収入の出口対策などは絵が描けていないと思います。

と言うより経営はその日暮らしの出たとこ勝負、泥縄の中小企業に中長期計画と言っても仕方がないところです。

解約する時期に合わせて、生産性が向上する設備投資を組み経営力向上計画の承認を得れば、巨額の設備投資を証明書次第で一括償却する制度もあります。出口対策としてうまい組み合わせになると思います。

もちろん退職金に充てられれば、解約返戻金で出た雑収入を費用化できますから誠に都合がよいことになります。しかし実際はそんなうまい具合に時期を合わせたり、組めるものではありません。解約返戻金は減額や失効などである程度発生時期をコントロールできますが、若干高度なテクニックになりますので専門的知識が必要です。

企業にとれば、税金は見返りのないコストです。たとえ優良申告法人であろうとも、にらまれたくないから税務署にはよい顔をしているだけで、本音で税金を多く払いたいと思っている経営者はいないでしょう。

これから決算をむかえる中小企業にとれば、網がかかる前に全損商品の既得権を確保することは美味しい話です。しかし、効果が高い節税保険ほど解約時期の管理は自己責任、解約返戻金の出口対策は万全にと申し上げておきます。

全額損金の返戻率ではネオファースト生命。

全損保険の解約返戻率ではネオファースト生命。

補足:このブログに記載されている内容は2018年3月11日時点での情報です。

生保業界が激しい動きをしています。低金利・長寿時代のサバイバル競争の様相です。

低金利は金融機関の運用成績を押し下げ、収益源を圧迫します。その結果法人保険販売にシフトした金融機関関連の保険代理店攻勢が、激しくなってきました。

某都市銀行が連れてくる関連の保険代理店、そのOBや元支店長が役員や営業部長をつとめる保険代理店、その他独立系の保険代理店が3社入り乱れての競争になっています。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 乗合代理店のメイン商品はネオファースト生命。

乗合代理店はいずこもネオファースト生命の提案がメインです。ネオファースト生命とは聞きなれない保険会社です。ネットでネオファースト生命のことを調べると社歴が5年(2018年時点)ほどの第一生命の子会社のようです。

第一生命とも付き合いがありますが、まだネオファースト生命の提案は来ていません。もちろん普通の保険会社の営業職員も何人かアプローチしてきます。

法人保険の提案内容も、提案窓口も多様になりました。選択肢が広がったのは良いのですが、選択基準は広がっていないと感じています。

法人保険は売る人も、買う人も戸惑う中での競争激化です。その中で返戻率のよい保険としてネオファースト生命一色では、保険商品としての選択の余地がないのです。

◆ 売り方変われど、全く同じ保険商品。

一番困るのは、提案者は異なりますが提案する保険商品が同じであるということです。

保険会社の営業職員が提案すれば、各社の違いが出ましたが、今度ばかりは同じ保険商品の提案がほとんどです。同じ保険商品で年齢と性別が同じであれば、どの保険代理店でも完全に同じものになってしまいます。もちろんネオファースト生命も同じことです。

保険料も返戻率も全く同じものを複数社が提案してくるわけです。全く買うほうも受難時代です。差があるとすれば窓口担当者の顔とGNP(義理・人情・プレゼント)ぐらいでしょうか。

そんな中、開発競争の最後に出てきた保険商品が、ネオファースト生命の「一定期間災害保障重視型定期保険」という商品なわけです。3月発売ですが3月決算企業に間に合うかどうかの厳しいタイミングです。

◆ 定期保険の105歳ルール。

(追記:2019年6月28日、国税庁の通達によりルールが変わり、最高解約返戻率区分による損金割合が制限されました。損金割合が大きく削減されたため節税効果がなくなりました。)

新たな全損保険といいましたが、定期保険の経理処理ルールが変わったわけではありません。従来からの105ルールは生きています。

[国税庁]法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて

要約すると

定期保険(全額損金):被保険者年齢+保険期間×2<105

長期平準定期保険(1/2損金):被保険者年齢+保険期間×2>105

要するに全額損金で落とせる定期保険の条件は保険期間を20年で設定すると

105-20×2=65 65歳までは全額損金の定期保険が設計できます。

ただ全額損金にこだわるなら、保険期間満了時の被保険者の年齢が70歳を越えてはいけません。両方の要件を満たすとき全額損金が可能になります。

現在のところこれ以上長期期間の保険契約について全額損金は認めませんよと言うのが国税庁のスタンスです。

ネオファースト生命も他の保険会社もこのルールにのっとって設計されています。

◆ 新商品の特色。

各社呼び名は変わりますが、ネオファースト生命に限らず概ね似たような保険商品です。これまでは20年くらいの短期定期では全額損金にはなりますが解約返戻率が全くよくないし、保険料も伸びないので節税効果がありませんでした。

それを組み替えて、一定期間を前期期間として保障内容を災害死亡保障だけにして、告知事項を軽くしてあります。事例として以前に胃がんにり患していても、過去5年以内に入院または手術を受けていなければ告知不用となっています。(少なくともネオファースト生命の案内パンフレットには胃がんはありませんでした。)

また共通の特色は解約返戻金の返戻率を大きく上げてきています。実効法人税率を考えれば十分なメリットがあります。

例えばネオファースト生命では34歳の女性で前期期間が5年の場合ピーク時の単純返戻率は89.4%です。前期期間10年では89.9%と結構おいしい返戻率になっています。

本音では、利益の繰り延べによる緊急予備資金の確保が目的ですから、必ずピーク時期での解約になります。よって死亡保障は考えてないでしょうから、告知がどうのと気にする必要性が低いと言えます。ただ告知義務違反は甘くないので理解したうえで対応するということです。

◆ 契約上の注意事項とまとめ。

いつも申し上げますが、解約時期は自己管理になる覚悟で契約をご検討ください。

証券会社や金融機関系の保険営業は転勤がありますから、売りっぱなしです。ネオファースト生命だろうが他の保険会社だろうが同じです。

還暦を越えたような営業部長が、私が責任をもって管理しますとは言いますが、10年後にネオファースト生命の保険を売ってますか?と問わずにはおれません。

とりあえずすすめられるままに契約すると、解約時期を逃して痛い目に合わないとも限りません。そういう意味から解約返戻率の高さだけを比べるのではなく、ある程度解約返戻率が高い期間がそれなりに続く保険商品を選択して下さい。

最悪、経理担当者が交代し解約を2~3年忘れても、大事にならない商品を選ぶことが大事です。ネオファースト生命の商品が適切かどうかはご自身で解約返戻率の推移を見ながら思案してください。

最後に重要な念押しです。利益の繰り延べは、企業の資金的なリスクヘッジから考えるとそのことだけでメリットになっています。その上で、解約時に発生する雑収入の出口対策をしっかり考えておくことが、全損保険活用においてとくに重要になります。

生命保険、全損商品のお値打ち比較。

生命保険、全損商品のお値打ち比較を直近で論じると。

CIMG2731一時期生命保険の全損商品が壊滅状態になった時期がありましたが、生命保険会社各社の開発努力で新たなスタイルの全損商品が注目を集めています。

国税庁、網がかかるか全損保険。

 

全額損金の魅力は解約返戻金の率によりますが、一時的に課税を先送りした利益をそっくり貯金できると言うところです。こういう言い方はあまりよろしくありませんが、中小企業のオーナー社長の本音は簿外緊急予備資金の確保です。

実効法人税率が下がったとは言え33.8%とすると66.2%を越える単純返戻率があれば将来的な出口対策により幾ばくかの節税効果も期待できます。

何よりの価値は資金が必要な時に必要なだけ取り崩して使えるということです。

その時に減価償却などの費用があれば毎年減額して解約返戻金から出る雑収入をあてこんでいくことができます。

出口の費用対策ができていれば利益を有効にコントロールできることが大きいのです。

ただ難点もあるので生命保険商品としての特性を理解して選ばなくてはなりません。

企業にとっても高額な費用になりますから義理人情で判断するようなことは避けたいものです。

現在の全損生命保険の難点をあげると

① 中途半端な時期に解約返戻率のピークがくる。出口対策が取りにくい。
② 若い被保険者でないと返戻率がよくないのに被齢が若いと保険料が伸びない。
③ 女性の被保険者は契約返戻率が低い傾向が強い。
④ 複数の契約を組み合わせると解約時期の管理が難しくなる。
⑤ 引退が近いような年齢の経営者では解約返戻率が悪くなる。

返戻率の山のカーブにも各社の癖があり慎重に見極めたいところです。

出口対策として役員退職金を考えるのは、現在の商品では解約返戻率のピークが中途半端で組みにくいということになりそうです。

契約されるケースを見てみると、予想外に利益が出そうなのでとりあえず先送りしたいという一時しのぎ型の契約が多いように思います。

しぶとく生き残った全額損金の生命保険ですが、うまく回すには後継者としての若い(できれば40歳までの)被保険者が必要ですし、保険料を伸ばすためには各社組み合わせ設計も必要になります。

ということは解約時期の管理がさらに難しくなるということです。

もともと保障目的ではない法人契約の生命保険ですから返戻率のピークを逃してしまうと意味をなさないばかりか、もっとひどい結果にならないとも限りません。

全損定期保険取り扱い生命保険会社
エヌエヌ生命保険株式会社
マニュライフ生命保険株式会社
AIG富士生命保険株式会社
第一生命保険株式会社
日本生命保険相互会社
大同生命保険株式会社

一応使い勝手の良い順番に並べてみました。他にご意見はあろうかと思いますが、ご参考までに。

決算対策にこだわらなければ、法人契約の生命保険としてはやはり半損で処理できる長期平準定期保険妥当なところになるように思います。

法人保険で節税するメリットデメリットを整理しました。

法人保険で節税するメリットデメリットを整理しました。

法人で契約する保険と個人で契約する保険は目的が異なります。法人保険とは
CIMG1972契約者=法人
被保険者=経営者・役員・従業員
受取人=法人

という形態で成り立ちます。多くの場合主な目的は経営者万が一の事業保障です。保険金で経営者死亡による信用不安をカバーすることです。しかし法人保険の機能は多彩です。

その一つに簿外に資金を積み立てることができることがあります。毎期利益が出ているような中小企業では自己資本比率が高くなるばかりで自社株の高値につながり事業承継の足かせになります。簿外に積みたてればB/Sに現れない資産になります。

またいざという時の緊急資金としても解約返戻金は頼もしいキャッシュです。

最大のメリットは節税と簿外積み立てが同時にできるということでしょうか。

それは同時に経営者の退職慰労金準備にもなり一石三丁と言ったところです。見返りが何もない税金というコストは最小限に抑えて将来の退職に備えるという考え方です。利益を出して35%近くも納税し残額を利益として社内に残しても自社株相続税で2度めの課税が待っています。

敢えて申し上げるとデメリットは管理の手間、出口対策を見誤ると単なる繰り延べに終わると言うことです。

国税庁、網がかかるか全損保険。

保険管理の手間は買う側の自己責任で行うことが重要です。

だれも親切に面倒見てくれることはありませんしまた信用してはいかんでしょう。出口対策は退職慰労金に限りません。資金需要に合わせればよいのです。実際は企業の経営というのは平坦なものではありませんから思いがけない資金需要が発生したり、世の中の潮目が変われば利益が出なくなるということもあり得ます。そういうときに心強い味方になります。余裕をもって戦略を練り直すことができます。

管理の手間がクリアできれば事業保障節税簿外積立緊急資金退職慰労金準備自社株の評価抑制等のメリットが目白押しです。

ただし一言、やりすぎと自身の健康管理に注意してくださいね。節税もやりすぎはよろしくないし、なにごとも健康でなくては面白くない、保険にも加入できません。

OB税理士に節税を相談できるか?不思議な関係を暴露。

OB税理士に節税を相談できるか?不思議な関係を暴露。

国税OB税理士という先生は、税理士全体の3割から4割と言われています。税務行政に一定期間かかわることで、税理士試験が免除され税理士を名乗ることができます。思いのほかOB税理士は多いというのが実感です。

れっきとした税理士の先生には違いないのですが、普通の試験合格組の税理士とはちょっと違います。税務署勤務で要件となる資格を満たして、定年退職後、あるいは途中退職後税理士として独立されます。税理士として活動を許された、元税務署長クラスのOB税理士のことです。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ OB税理士は税務調査対応の専門職。

得意は税務調査ですから、ツボは心得ています。優良申告法人はお上の意向を受けて、OB税理士の先生を一定期間顧問として契約します。持ちつ持たれつの関係ですね。

それで自分が署長時代の表敬状がかかった社長室で、税務調査対応専門の税理士としてアドバイスを仕事とするわけです。

今はさすがにお上の紹介はなくなりましたが、税務署長として権勢を誇っていても定年後は税理士として食っていかねばなりません。顧客となる可能性がある優良申告法人など、あまり敵は作りたくないのが本音です。

全く立場が逆になりますから、頭の切り替えも必要です。節税指南でもなんでもしなければ、経営者に気に入られるはずがありません。

何しろ元税務署長ですから、税務署に顔が利きます。調査内容や調査官の履歴などには詳しいですから、良い面もあります。しかし、どうも会話がかみ合わなくて、うかつに本音で相談できないところもあります。手の内を明かさずに付き合う、不思議な関係です。

ただ実感としていえるのは、相撲の土俵が東西入れ替わっても大差ないですが、警察と泥棒が入れ替わったような無理があります。泥棒の手口がわかれば、逮捕率は上がるかかもしれませんが。

人にもよりますが、どうもこの手のOB税理士の先生は、丁重に扱いつつも距離を置いてしまうところがあります。

◆ OB税理士の先生、有税で節税保険はかけまへんで!

税務署上がりの元署長、OB税理士の先生に節税目的のガン保険の経理処理について相談したことがあります。ガン保険を既得権で抱えている企業は、退職慰労金の支給時期までなるべく解約したくないところです。

平成24年4月27日以後に契約するがん保険の保険料の取り扱いが変更になり、新たにガン保険に加入しても1/2損金でしか処理できなくなったからです。全額損金で課税が繰り延べできて、解約返戻率が長期にわたりすこぶる良いガン保険は、既得権として残しておきたいわけです。

ところが中小企業では、数年もすれば社員は次々止めていきます。名目上は福利厚生ですが、実質は節税を目的とした簿外積立です。福利厚生目的で法人契約している保険であれば、退職者が発生した場合解約するのが当たり前です。

でもそれでは簿外積立が目減りして、無駄な雑収入が発生し税金というコストが大きくなります。税務調査を前に、解約せずに切り抜ける方法はないか一生懸命考えてみます。しかし調査対象年度の前年度までに、退職者の解約をするほかないという結論に達します。

それでOB税理士の先生に恐る恐る相談すると、解約しなくても大丈夫とのこと、エエッと驚いてよく聞いてみるとその分税金を払えば問題がないというわけです。おっしゃっていることは、有税で保険をかけるなら被保険者が在籍しようが退職しようが、税務署は知ったこっちゃないというわけです。

在籍しない社員の保険料を損金で落とすのは、認めませんよというわけです。そりゃそうですが、有税で節税保険を掛けるほど愚かなことはできません。

OB税理士の先生にひとつ聞きたいところですが、有税で保険料を払えば在籍しない社員の契約を解約しないで引っ張ることは、許されるのかどうかです。数年分の税金はもったいないですが、これまでの簿外に貯めた貯 金をはたいて税金を納めるよりは幾分ましかもしれません。

どうも視点が違うの で聞きにくい先生もいたものです。

◆ OB税理士の先生、まとめ。

存じ上げている元署長クラスのOB税理士の先生、数名とかかわらせていただいた所感です。いずれの先生も普通の税理士とは違い、態度はでかいです。

禁煙の社長室で、灰皿を所望されるのでやむなくご用意したこともあります。税務職員はそれぞれ専門分野があり、OB税理士さんによっては、税務申告が適正にできるとは限りません。しかし税務調査の立ち合いでは、やはり威圧感が違います。

税務調査が無事終わり、お礼に食事にお誘いしたこともあります。お酒が入ると税務署の裏事情や税務調査のエピソードなど面白い話が聞けました。国税調査官も統括官も人の子という話です。

ただOB税理士の先生には、すごい方も存じ上げています。定年を待たずに若くして独立されたOB税理士の方です。バランス感覚がよくて、いかにも切れ者です。もちろんOB税理士としての違和感もありません。

定年退職後の片手間税理士と本気で独立したOB税理士とでは、向き合い方が違うのかもしれません。ただ独立OB税理士に、景気はどうですかと尋ねたら、笑いながらジェットコースターのようですね、と一言。軌道に乗せるのは並大抵のことではなさそうです。

OB税理士さんそれでは節税になってまへんが!

CIMG1731

OB税理士さんそれでは節税になってまへんが、元税務署税理士さんという資格があります。

れっきとした税理士の先生には違いないのですが普通の税理士試験に合格した正規の税理士さんとは違い税務署を資格を満たして定年退職後、税理士として活動を許された元税務署長クラスのOB税理士のことです。

得意は税務調査ですからツボは心得ています。優良申告法人はお上の意向を受けてOB税理士の先生を一定期間顧問として契約します。持ちつ持たれつの関係ですね。

それで自分が署長時代の表敬状がかかった社長室で税理士としてアドバイスを仕事とするわけです。

今はさすがにお上の紹介はなくなりましたが税務署長として権勢を誇っていても定年後は税理士として食っていかねばなりませんからあまり敵は作りたくないのが本音です。

全く立場が逆になり節税指南でもなんでもしなければ経営者に気に入られるはずがありません。

何しろ元税務署長ですから税務署に顔が効きます。良い面もありますがうかつに本音で相談できないところもあります。手の内を明かさずに付き合う不思議な関係です。

ただ実感としていえるのは相撲の土俵が東西入れ替わっても大差ないですが警察と泥棒が入れ替わったような無理があります。考えてみれば泥棒の手口がわかって逮捕率が上がるかどうか。

どうもこの手のOB税理士の先生は丁重に扱いつつも距離を置いてしまうところがあります。

相続税の税務調査は甘くない理由をOB税理士が独白。

法人保険で節税する基本的な考え方は全損から返戻率へ変わる。

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法人保険で節税する基本的な考え方、法人保険は各社とも全損商品がなくなり設計が難しくなりました。

一部の会社には全損商品がありますが使い勝手が悪いし被保険者の被齢が高いと返戻率がかなり悪くなってしまいます。

保険で節税する時代は終わったのでしょうか。いえいえ決してそんなことはありません。

国税庁、網がかかるか節税保険。

法人保険で節税するなら見方を変えて全損にこだわらずに返戻率にこだわることです。

なんといっても長期平準定期には返戻率のよいものがあります。1/2損金とは言え戻りのキャッシュフローは大きいし全損の半分ではありますが節税効果もあります。

全損で返戻率の80%台の保険を選ぶくらいなら1/2損金でも長期平準定期か逓増定期を選ぶべきです。

よく考えれば雀の涙のような金利で銀行に置いておくよりはるかにコストパフォーマンスがよいと言えます。

保険はその気になればいつでも一週間以内に現金化が可能です。(保険会社によりますが)

これからの法人保険設計の基本的な考え方は節税一辺倒ではなく出口対策も含めて長期的に幅広く資金活用を考える時代だと言えるのではないでしょうか。

ただここにきて超低金利時代に突入し生命保険の予定利率も最低水準まで下がっています。かつてのような保険のうまみはもはや期待できない時代です。

とすれば生命保険は本来の目的である保障機能に特化できるのでしょうか。確かに保障機能としての役割が高まることは間違いありませんが、外資系の一部の長期平準定期は1/2損金ながら返戻率のよいものがあります。

中期的な全損定期と長期的な平準定期を組み合わせれば企業にとり有効な保険設計は十分考えられると思います。以前のような妙味はだいぶなくなりましたが。

法人保険の売りっぱなしに正義をと言っても無責任。

ガン保険入院日額12万円は異常でしょ

生命保険|全損保険の限界について専門的見解。

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全損保険の限界について専門的に見解を述べたいと思います。

逓増定期とガン保険が1/2損金になり節税目的の保険設計が行き詰まる中、各社知恵を絞り全損保険を売り出しています。

死亡保障だけでは保険料が稼げないので三大疾病だの介護保障だのを上乗せするタイプで保険料が伸びるようになっています。

これはどこの保険会社の商品を見ても似たり寄ったりで使い勝手が悪いといわざるを得ません。今後も低金利時代が続くとすれば改善の見込みはあまりないことになります。

節税保険、バレンタインショックまとめ。

保険料をかせぐために幹部社員を被保険者にしても被齢が40代、50代では買う側としては返戻率的にとても契約する気になれません。あくまでも繰り延べ効果に着目するなら最悪の時代に突入しています。

その上若き後継者がいたとしてもピークの設計に絵が描けない単なる繰り延べになりそうな具合です。

これまで全損商品の恩恵をうけ既得権を囲い込んでいるとそういう見方になってしまうのも仕方がありません。この先法人税のさらなる減税が見えている中、加入動機はしぼんでいきます。法人税の減税まで繰り延べるという話法はありですね。

ただよく考えてみれば法人契約の生命保険は多目的です。事業保障に加えて節税効果もあります。簿外にもいくばくかの積み立てが可能です。今までがおいしすぎたと考えればよいだけです。実際これまでの法人契約の生命保険は都合がよすぎたというべきです。ほどほどで満足するならほかの金融商品より十分価値があります。

見方を変えれば新しい保険活用の道が見えてくることもあります。