税務署ににらまれるみなし贈与と生命保険。

税務署ににらまれるみなし贈与と生命保険。

CIMG3109このところ贈与に関する連作ブログになってしまいました。贈与といっても現金ばかりではないのです。

他人の財産を誰かにあげることはできませんが、自分の財産なら原則として現金・預金、不動産、株式、貴金属や美術品までなんでもござれです。

ただ贈与すると一定額以上であれば贈与税が発生します。現金であれば、贈与税がかかるかどうかは年間合計で基礎控除の110万円を上回るかどうかで判断すればよいのでわかりやすのですが、現金以外となるとなかなか評価が難しかったり、見解の相違で贈与とみなされたり、一筋縄ではいかないところがあります。

贈与したつもりがないのに贈与税の「お尋ね」や相続税調査で見なし贈与が発覚などということになると追徴課税が重くのしかかります。

どういう場合みなし贈与とみなされるのか、しっかりとした知識と正しい納税が身を守ることになります。きちんと贈与を認識し対策を講じるべきものは対策を講じ、不要な税金を支払うことがないようお気をつけください。

いくつかある事例をまとめて「見なし贈与」の基本的パターンとして解説します。

◆ 見なし贈与の基本的パターン

1)低額譲渡

一般的な価格で譲渡すれば売買であり問題になることはありません。しかし不動産や美術品など評価が定まりにくい財産もあります。

しかし本来の一般的な価格(他人に売る時の譲渡価格)と比べて特別に安く譲渡するとその差額は贈与したものとみなされる可能性が出てきます。

特に不動産のように一物四価などといわれ実際の売買事例が少ないケースでは実勢価格に対する考え方が分かれます。

通常の譲渡額を大きく下回る低額譲渡では「差額は贈与」という認識を持ち、居住用財産贈与の配偶者控除利用や相続時精算課税制度などの非課税制度の活用を考える必要があります。

◆相続時精算課税制度がとことん悩ましい本当の理由。

2)借金の肩代わり

子の借金を親が肩代わりすることはよくあることです。債務者となった子が債権者に迫ら
れていれば、親としてはよく言い聞かせて借金の肩代わりするのもやむを得ないところです。

ところが借金を肩代わりして返済してもらうと子(債務者)が得た利益は贈与とみなされてしまいます。

さらに子は贈与税の支払いをする必要が出てきます。これを回避するには子に貸し付けたことにして、金銭消費貸借契約書を作成し肩代わりの分を返済させる必要があります。

返済の方法には暦年贈与の活用や相続時精算課税制度を検討することになります。

3)借金返済免除

借金の返済を免除してくれる債権者など親しかいませんが、借金返済の免除により債務者たる子が受けた利益は親から子への贈与になります。

もちろん贈与税が発生します。子にもらったという自覚はないですが、借金の返済免除はまぎれもなく贈与になります。借金返済免除は贈与であるという認識をもち贈与税を納税することが肝要です。

4)生命保険金受取と名義変更

生命保険を扱っていると安易な名義変更はとても多いように思います。

かんぽ生命の養老保険などでも満期受取人を自分以外に設定したり、満期金を利用して再加入するとき契約者を子に変更したりと様々です。生命保険でも名義変更するだけでは課税当局に通知が行きませんでした(今は支払調書の提出ルールが変わりました。)からやり放題のようなところもありました。

基本的には保険料を負担していない人が満期保険金解約返戻金を受け取れば、これは贈与になります。

生命保険では契約者(保険料負担者)と受取人の関係により贈与になったり相続になったりします。自分が保険料を負担していない場合は贈与っを受けたという認識が必要です。

また契約者(保険料負担者)受取人の関係により贈与にならない保険設計が大切です。すなわち受取人が契約者(保険料負担者)になるように設計し、暦年贈与の非課税の範囲で保険料を毎年贈与する形がベストです。

5)共同名義での不動産購入

夫婦共有名義のマンションのローンを夫が主に支払っているようなことはよくあります。家計にしてみれば、同じ財布ですからあまり贈与などということは意識しません。

しかし課税当局の見方は甘くないのです。たとえば夫婦共有名義の不動産を購入した場合、持ち分に対して妻の側の支払が少ないと夫側が妻に贈与したみなされる可能性があります。

対策としては、共有名義というならば実際の持ち分に応じた支払いにすると問題になりません。

◆ まとめ

みなし贈与とみなされると贈与したつもりがなくて贈与税がかかるということが起こります。そうなってしまってからでは手遅れになります。

もはや課税当局の指導に従い納税する他なくなります。課税当局はお金の動きや不動産取引、生命保険などの金融商品の情報を全て押さえていると考えてください。

ごまかしは通用しないので、転ばぬ先の杖として、みなし贈与のパターンに該当するものはないかどうか、あれば適切な処理に変更するなり、課税当局に相談するなりの対策を早めにおこなうことが重要です。

当局の情報網は半端ではありません。きっちり情報つかんでいながら泳がせたりもします。相談に行けばヤブヘビなどという浅慮は捨てていただくのがよろしいようです。

複数贈与の贈与税計算。

複数贈与の贈与税計算は少々複雑です。

CIMG3088贈与税の仕組みはシンプルです。一年間に贈与税の基礎控除の110万円以上もらった人が贈与税の課税基準に従って申告納税する必要があります。

贈与とは「自分の財産を無償で誰かにあげる。」ことです。財産と言うからにはお金でなくても贈与になります。

現預金はもちろん不動産や株式、貴金属やその他の動産、生命保険名義変更でも贈与ということになります。

しかし贈与する金額や条件によって課税されない場合もあります。平成27年1月1日から贈与税の課税パターンが二重化し直系尊属とそれ以外の場合で率が異なるため、複数の人から贈与を受けると贈与する人の組み合わせによっては贈与税計算が多少複雑になる場合があります。

分かっているようでわかっていない贈与税の落とし穴を解説します。

◆ 贈与税はもらった人計算、納税ももらった人単位で納税

贈与税に贈与者(あげる人)受贈者(もらう人)があります。贈与税は財産をもらった人、つまり受贈者が納税します。親から子に贈与するときは勘違いされる方が多く、あげる側の親が納税する気満々ですが、子は我関せず親任せなのです。

親から子に贈与するばあいは、もらった子が贈与税をきちんと納税できるよう余分にあげる配慮が必要です。贈与税は原則として現金一括納付ですから、そのことを子にきちんと説明して納税させなくてはなりません。

子にしてみれば親からお金をもらって贈与税がかかるとは考えないものです。贈与税はあくまでもらった人単位で合計し、もらった人が納税するのです。

◆ 贈与税は一年分の合計金額が課税対象

贈与税の基礎控除は年間110万円です。少額にして何回かに分けて渡せば贈与税は免れると考えるのは甘い考えです。受贈者(もらった人)単位で1年間のもらったお金を合計して考えなくてはなりません。

もちろん両親それぞれから贈与を受けることもありますし、それ以外の親戚が贈与してくれることもあります。全部合わせて贈与税は一年分の合計金額が課税対象です。

合計する期間は毎年1月1日から12月31日までの期間の金額合計です。贈与を受けた日から1年のカウントが始まるのではないので、ご注意を。例えば12月31日の贈与はその年に合計されるだけで、翌年のお年玉とは合計されません。元旦からはまた新しい贈与税の合計が始まります。

現実には親子関係であれば、年に何回も現金を渡します。お小遣いやカメラが欲しいとか車が欲しいなど小金からまとまったお金を渡すこともあります。いちいち覚えていられるものでもありません。

扶養の範囲で渡す分はノーカウントが原則です。線引きは難しいですが、少額のお年玉まで贈与とは言わないでしょうが、お年玉が200万ならこれは贈与税の対象です。通常の生活に必要な範囲は非課税と考えれば問題とならないようです。

親が子の結婚式の費用300万を負担しても贈与とはならないように、あまり神経質に考える必要もないところです。親が子名義の生命保険の保険料を長期間負担することもよくあります。合計するとそれなりの金額になりますが、子が独立するまでは、贈与とは言われません。

◆ 贈与税の非課税範囲

子に渡すお金がすべて贈与税の対象になるわけではありません。課税されない贈与がほとんどですから、ここを見極めることが必要です。

例えば課税されない代表的なものが、扶養にかかる生活費や教育費です。親には子を扶養する義務がありますから、これを贈与税の対象にはできないのです。他にも支給型の奨学金や一人暮らしの子に対する仕送り、大学の入学金や授業料、家族旅行の費用なども非課税範囲と言えるでしょう。

他にも冠婚葬祭費、お祝い、お中元も原則非課税です。離婚して財産分与を受けた時も贈与とはみなされません。

注意すべきは「みなし贈与」です。贈与したつもりがなくても実質贈与は課税対象になります。例えば不動産の名義変更をして相場より安く子に譲渡すると差額は贈与とみなされます。

生命保険の名義変更でもお金が動くわけではありませんが権利が移動し、贈与税税の対象となります。

◆ 複数贈与の贈与税計算方法

贈与税の計算はそれほど複雑ではありません。でも複数人から贈与を受けた場合は、注意が必要です。

特に直系尊属(両親、祖父母)から20歳以上の子が贈与を受けた場合だけ贈与税率が変わりました。それ以外の一般贈与の税率と直系尊属の税率が異なり二重化することになったのです。

親や祖父母からの贈与は税率が低くなり、それ以外の贈与は税率が高くなる傾向があります。贈与税計算で問題となるケースは直系尊属からの贈与とそれ以外の贈与が混在する場合です。

それぞれの贈与で税率が異なるので贈与税の速算表の両方を使う様な場合、もらった金額の合計で贈与税の計算ができないのです。

事例:父親から300万、叔父さんから200万もらうと。
父親(直系尊属)300万+叔父(一般贈与)200万=合計500万

まず合計金額から基礎控除をマイナスします。
500万-110万=390万(課税対象額)

直系尊属の父親、一般贈与の叔父さん、それぞれの税率で計算。
父親 390万×15%-10万(税額控除)×300/500(比例按分)=29.1万円

叔父 390万×20%-25万(税額控除)×300/500(比例按分)=21.2万円

計算した両方の贈与税の税額を合計します。
29.1+21.2=50.3(納税額)

これは知らないと贈与税の計算を誤るところです。複数の人から贈与を受けた場合、年間でもらった金額を一度すべて合計し、基礎控除を差し引いてからそれぞれの税率の計算を行い、比例按分して合計します。

基礎控除の110万をそれぞれの贈与に反映させ、異なる税率と異なる税額控除を計算し、最後に贈与額に応じて比例按分してから合計します。

知らないとできないですね。

◆ まとめ

一口に贈与といっても色々あります。制度と仕組みはシンプルですが、実際の生活にあてはめてみると判断に迷うこともあります。

また贈与税は庶民が日常的に意識するものではないので贈与税の対象と言われてもピンとこないのです。知らないうちに贈与になり基礎控除の110万を大きく超えているような場合は、期限までに贈与税の確定申告をした方が安心です。

知らなかったでは済まないのが税金です。税務署から「お尋ね」が来てからでは無申告加算税とか延滞税などというつまらないコストが余分にかかります。

特に相続税がかからないような方には、税務署もあまり着目しないようですがそれでも通常考えにくいような多額の贈与や生命保険の名義変更となると税務署も責任上放置できないという事情があります。しっかりとした知識を元に、贈与の方法とタイミングをお考えください。

具体的には下記サイトをご参照ください。

◆生命保険の名義変更で贈与税はかかるか。

◆贈与税の税率話法には大きな嘘がある。

◆贈与税の時効を気に病む人へこれで安心、秘策公開!

▽hokenfp独り言

脊柱管狭窄症で左右の太ももが痛くて歩きにくくてかないません。オパルモンを服用すると痛みは軽減できるのですが、痛みがなくなるわけではなく無理をすると痛みがぶり返します。困ったものですが、付き合っていく覚悟が必要です。おかげで無理をしないようになり、人生安全運転です。ところが実は体のことに関して言えば、安全運転ほど危険なものはありません。体は壊れない程度に酷使してなんぼのものです。また10,000歩通勤、再開するぞ!とは言ってみたものの、家内いわくまっすぐ帰れないので家計に響くそうです。太ももに響くより家計にひびくほうが痛いので考え直すことにします。

贈与あれこれと生命保険。

贈与あれこれと生命保険。

CIMG3112贈与は相続以外の唯一の財産移転手段です。被相続人から相続人へ、言い換えれば親から子へ財産を移す方法は相続するか贈与するかのどちらかになります。

税率の高い相続税を少しでも節約しようとするならば、贈与の基礎控除(110万/年)を活用した生前贈与が王道と言われます。

これに生命保険をからめて毎年保険料を贈与する暦年贈与が安全確実、効率的な節税対策です。

贈与と一言でいっても色々な贈与があります。知っていると知らないとでは相続対策の選択肢が大きく異なります。相続と贈与の本質的な違い、贈与のバリエーションについて
解説します。しっかり理解されて早めの対策が大事です。

◆ 相続と贈与の基本的な違い。

相続と贈与は一定額以上であれば課税対象であり、親から子へ資産を移すという点では同じですが、その違いは贈与が贈与者の意思によって行われるのに対し、相続は被相続人の死亡によって強制的に開始されます。

もうひとつの相続と贈与の大きな違いは、相続は民法で定められた相続人にしか行うこと
はできませんが贈与は相手を選びません。相続人以外の誰にあげても贈与です。

またほとんどの贈与は生前に行われますから、贈与の相手だけでなく贈与者が時期を選べるということもあります。

◆ 贈与のバリエーション

贈与には単純な贈与から条件付き贈与など様々な贈与パターンがあります。知らなくても
良いのですが、こういう贈与もあるという参考になさってください。

実際の親子間では条件を付けてもあいまいな口約束だったりします。もともと子に相続させるつもりの財産の一部ですから、書面で条件を明確にして契約書で残すようなことも普通はしないものです。

生前贈与:

生前贈与には贈与税の基礎控除(110万)を活用して行う暦年贈与のほかに教育資金の一括贈与、結婚子育て資金の一括贈与、住宅取得等資金贈与などの制度化されたものを活用すると大幅な節税になる場合があります。

またケースによっては相続時精算課税制度を利用した一括贈与という手段も有効なことが
ありますが、節税効果を見極めた上での慎重な選択が必要です。

負担付き贈与:

贈与に対して何かしらの負担を求めると負担付き贈与になります。家を贈与するから老後の面倒を見てほしいなど、受贈者に負担を条件として贈与を行うことがこれにあたります。

条件付き贈与:

贈与に条件を付けると条件付き贈与になります。例えば国立大学に合格したら車を買ってあげるとかいうのも条件付き贈与です。親子間ではよく見かける空約束です。第三志望の私立大学に合格しても車を買う羽目になるのはどこの親も同じです。

◆ 遺贈と死因贈与

生前贈与と異なる特殊な贈与があります。相続と同じで死亡することで発効する贈与契約
です。贈与には違いないので贈与の相手は相続人でなくても構いません。贈与ですからお世話になった隣のおばさんでも昔からの友人でも構いません。

遺贈:

遺贈とは遺言書によって行う贈与のことです。遺贈によれば相続人以外に財産を渡すことができます。もともと相続財産は被相続人のものですから自由に処分する権利があります。(ただし相続人の遺留分は侵害できません。)内縁の妻や愛人など相続権のない人に財産を残すには遺贈が確実です。

死因贈与:

死因贈与とは遺言書によらず、自分が死んだら財産をあげるという約束です。死因贈与は口約束でもOKですが、生前に贈与者と受贈者が合意し契約が成立していなければなりません。二人だけの口約束だけではもめるもとですから、書面で契約書を残すくらいが必要なところです。

◆ 口頭の贈与と書面による贈与

贈与は「あげる」「もらう」の合意があれば有効です。本来別に書面で契約する必要はあ
りません。親子のやり取りではいちいち贈与契約書などむしろ不自然です。とは言え、しかしながら税務署対策で贈与契約書などを作成される方もあると思いますが、名義預金とか定期金贈与などと言う課税当局の無理筋に反論するためには贈与契約書も意味があります。

贈与は口約束だけで成立します。しかし遺贈だけは必ず遺言書で行わなければなりません。また口頭の贈与はいつでも解消できるのに対して、書面による贈与は解消できません。さらに口頭の贈与であっても贈与が完了していれば解消はできません。

親子間では「あげるもらう」は当たり前、「あげない返せ」も日常茶飯事、贈与の口約束を反故にするくらいは驚くにあたりません。面倒をみると言った娘に一時払い終身を名義変更して贈与して贈与税知らんふりはよく見かけますが、親子喧嘩の結果、名義変更した保険を返せとなり再度親に名義変更するなど、実際にあります。付き合う保険営業も大変ですが、課税当局も相続発生までは放置です。

贈与は知識をしっかりと押さえ時間をかけて行うことが必要です。うまく使えば結構大きな資金を移動することができます。計画的によく話し合い相互に理解・納得の上で贈与を始めてください。

注意点が3点あります。

その1)子や孫かわいさに贈与のし過ぎにご注意下さい。老後資金が枯渇するばかりか不労所得を持たせると子や孫の道を誤らせることになります。キャッシュを持たせるとろくなことはありません。生命保険のように換金にハードルがあるものをご検討ください。

その2)暦年贈与は相続発生前3年分が相続財産にもち戻しになり相続税の課税対象となります。計画的に早めに始めてください。

その3)めったにないとは思いますが、遺贈された財産は受遺者(もらう人)が相続人でなくても贈与税でなく相続税が課税されます。また受遺者が被相続人の配偶者、父母、子以外の場合は相続税の2割加算があります。あっさりもらえるわけでもないのです。

法定相続情報証明制度と生命保険。

法定相続情報証明制度は生命保険でも有効。

CIMG3120相続が発生し遺産の分割がまとまると相続人それぞれに相続財産の名義変更が必要になります。

これは仕事を持つサラリーマンには荷の重い作業になります。リタイヤして時間が売るほどあっても知識がない分は手間ひまがかかります。

相続手続きの簡素化を目指した法定相続情報証明制度はありがたい制度のようですが、メリットとデメリットを検証しました。hokenfpとしては実際はまだこの制度を利用する機会に遭遇していません。

◆ 相続手続きには戸籍の確認が必要。

相続した財産を相続人の名義に変えるためにはたくさんの戸籍を集めて手続きをする必要があります。例えば銀行口座の解約にも不動産の名義変更にも戸籍がすべてわかる資料が必須になりますので誠に骨が折れます。シンプルな戸籍ならまだどうにかなるでしょうが、家計によっては複雑なケースもあります。

専門家でもない限り一発OKになることはなく、たいていのケースで不備があり何度も足を運ぶこともまれではありません。また手続きの相手先も財産によっては多様になりますから何部も戸籍の束が必要になります。

◆ 相続情報証明制度の有効性。

それをひとまとめにして証明してくれる便利な制度が始まっています。平成29年の5月29日から始まった「法定相続情報証明制度」というものです。所定の手続きをすると法務局で証明書(法定相続情報一覧図の写し)を発行してもらえる制度です。意外と知られていないのは相続が発生しない限り使うことがない制度なので知名度が低いようです。

生命保険会社のサイトでも法定相続情報制度での対応が可能になったことをアナウンスしているところを見かけます。生命保険も相続財産になりますから同様の証明をもとめられます。

その法定相続情報一覧図の写しを発行してもらうと戸籍の束の代わりに相続手続きの証明書として使うことが出来ます。追加発行も可能なのでとても便利な制度です。

実際は戸籍を見ても素人ではつながりがよくわからないところですが、法定相続情報証明制度では登記官が戸籍の内容を確認してくれますから、漏れや抜けはなくなります。

これがあれば銀行や保険会社の確認作業がスムーズになります。

◆ 法定相続情報証明制度のメリットとデメリット。

世間で言われているメリットは。

手数料がなんと無料です。(最初に戸籍を集める必要はありますので、その費用はかかります。)5年間有効ですから、何度でも証明書の再発行が可能です。複数枚発行もOKです。専門の登記官が戸籍を確認してくれますので間違いがありません。郵送でも申請可能です。

デメリットもあります。

一度は自分で戸籍をすべて集めて法定相続情報一覧図を作成する必要があります。(申出書と根拠となる戸籍謄本をそえて提出します。)相続財産の種類が少なく、一度で済むならこの制度は無駄なことになります。手続きによっては従来通りの戸籍が必要な金融機関もあります。

◆ 生命保険での法定相続情報証明制度。

生命保険では相続による名義変更で法定相続情報が必要になります。

親が自分の子に生命保険をかけて保険料を親が払っている場合、相続が発生しても被保険者は生存していますから生命保険金は出ませんが、契約者である親が死亡していますから生命保険契約は相続財産として相続人たる新しい契約者に名義変更することになります。

形式的に言えば契約者(保険料負担者)が被相続人で、被保険者(体を提供する人)が子のような場合です。

◆ まとめ

法定相続情報証明制度のもともとの狙いは所有者不明土地の増加と言う社会問題を少しでも改善しようというものです。土地の名義変更には費用がかかり、期限や罰則が無いため、当面必要がなければ相続登記を先送りすることがあります。

確かにこの制度により相続手続きの簡素化が期待できますから有効ですが、相続登記の費用が発生するのは避けられないので効果のほどは見通せないところです。

この制度を利用すると被相続人と相続人の戸籍謄本の内容を一枚にまとめた「法定相続情報一覧図の写し」が発行されます。それさえあれば戸籍謄本一式が不要になります。

特に複数の金融機関や生命保険会社との契約がある場合、戸籍謄本は有料であるため費用と手間がかさみますが、「法定相続情報証明制度」で発行される「法定相続情報一覧図の写し」は無料であることから何枚準備しても金銭的な負担ありません。

確かにコストがかからず、相続手続の時間短縮ができます。ただ難点は、ご自分で戸籍謄本をたどりながら法定相続情報一覧図を作成しなくてはなりません。士業の専門家に頼むと費用が発生します。複雑な家系でなければそんなに難しい作業ではなさそうです。

必要に迫られたときに以下の法務局のサイトをご覧いただければ、大丈夫なようです。

◆法定相続情報証明制度の具体的な手続について

事前の知識として頭の片隅に置いておくぐらいでよさそうな情報です。