ガンになったら保険料免除、0円で名義変更はやり過ぎ!!

ガンになったら保険料免除、0円で名義変更はやり過ぎの法人ガン保険。

CIMG3342一般の保険感覚からすれば、法人契約のガン保険は理解しがたいところです。会社は法人といっても人ではないので倒産はしますが、ガンになるわけではないのです。

被保険者は経営者や役員、社員など生身の体を持っている人間に限ります。会社は被保険者にはなれなくても保険料を負担する契約者になることはできます。

経営者や社員がガンになったらガン保険の診断給付金や入院給付金を会社がいくばくか受け取ってもそれに意味があるのでしょうか。あるいは経営のリスクヘッジになっているのでしょうか。

実は法人ガン保険は見た目以上に妙味があります。その辺を最近のガン保険の新しい傾向をふまえて解説します。

◆ 法人契約のガン保険は使い道あれこれ。

法人が契約するガン保険は一般の個人が契約するガン保険と仕組みは似ていますが、契約の目的や内容から見ると別物のガン保険です。

大きく二分することができます。一つは社員を被保険者とした福利厚生を表向きの目的にしたガン保険です。表向きというのは、半分以上の目的が財務コントロールにあるからです。

かつては全額損金で保険料を処理できた時代がありましたが、主目的は高率の解約返戻金をあてこんだ節税目的でした。その後1/2損金しか認められなくなり損金算入のうまみが半減し衰退しています。

もう一つは経営者やその一族を被保険者したガン保険です。会社で保険料を負担させておきガンになりそうになったら経営者個人に名義変更譲渡します。それゆえ解約返戻金は少ない方が買い取りやすいのでゼロか少額に設定されています。

前者は保険料が多いほど、そして解約返戻金が多いほど使い道が広くなるのですが、後者は保険料が少なくてしっかりした内容、解約返戻金はできるだけ少なく、できればゼロがよいと言うわけです。

◆ 経営者のガン保険を会社出かける不思議。

経営者のガン保険を会社でかける目的は、名義変更して経営者の個人契約に変更することとは前項に書きました。会社でかける保険というのは福利厚生を目的としたハーフタックスの養老保険以外は保険金の受取人は会社に
設定されています。

そう考えると会社でかけるガン保険は経営者がガンになり経営の前線を離れる間の資金繰りということもあります。零細企業ではガン保険の保険金が資金繰りの足しになることもあります。

会社の役に立たないことはないですが、それでも普通の感覚では経営者を被保険者とした法人契約のガン保険はしっくりこない不思議な商品です。事業保障を考えるならもっとしっかりした保険商品はいくらでもありますから。経営者の役得保険といえるのではないでしょうか。

◆ ガン保険は医療費保険、全額損金が認められない理由。

医療保険は基本的に損金算入ができるはずです。ガン保険も以前(H24以前)は全額損金ができました。しかし終身払いのガン保険はガンの発症率が高まる高齢時代の保険料を平準化して、被保険者の若いときから高額の保険料を払うことになりましから、途中で解約すると前払いした払いすぎ保険料が戻ってきます。

全額費用化して損金処理されているのに、簿外に解約返戻金という形で資金が蓄積されます。これは経営者にはおいしい話ですが、課税当局にすればゆゆしき節税行為です。それで平成24年のガン保険通達で、保険料の前払い期間においては全額損金を認めず、1/2損金とされたのです。

そのとき一つの落とし穴ができました。つまり既契約は全額損金の権利を維持できることとなったのです。目的が全額損金の節税ですから1/2損金では保険を新たにかける気がしません。既契約は残り新たな社員には付保しないと福利厚生のガン保険としては矛盾がもちろん生じています。これはこれから問題化するのではないかと思っています。

◆ 法人契約のガン保険は解約返戻金〇円でもお得な理由。

最近では経営者を被保険者としたガン保険で解約返戻金ゼロ円というものがあります。もCIMG3343ちろん短期払いで解約返戻金が少額になっており、すっと同じ10万とか20万とかになるガン保険もあります。

単純に考えれば解約返戻金が少なくなれば保険としての資産価値がなくなりますから契約者としては損に違いないのですが、保障は終身で確保できていますから保険金を受け取る人には損はないわけです。

経営者に名義変更すればガンになったとき保険金を受け取るのは経営者になりますから、会社としてはいくばくかの損失ですが、儲かっている会社では実質お得なわけです。

◆ ガンになったら保険料免除、〇円で名義変更はやり過ぎ!?

保険料免除特約というものがあります。業界用語ではP免(ぴーめん)などと言いますが、ガン保険にもガンと診断されたら以後の保険料は不要という特約があります。このP免と解約返戻金ゼロ円をうたい文句にしているガン保険があります。

保険営業の説明ではガンと診断され保険料が免除になったら、ただで終身のガン保険が手に入りますよと言うわけです。確かに契約者を会社から経営者個人に変更しても費用は発生しないことになります。

単純に考えておかしな話です。普通はガンと診断される前に有償で譲渡するものです。それならわかります。ガンになったら保険料免除、ゼロ円で名義変更はやり過ぎではないでしょうか。

課税当局の回し者ではないですが、無料のガン保険から受け取った保険金は役員賞与では、という疑念がぬぐえません。

せめて、いくばくかでも解約返戻金があり、ガンと診断される前に会社と売買するならわからないこともないです。人間ドックで精密検査を指定されたら経営者個人に名義変更し、結果が白ならまた法人に契約者をもどします。手間はかかりますが、安全なように思います。

◆ まとめ

ガン保険もいろいろな商品が発売されます。保険会社も知恵をしぼって規制の網をくぐろうとします。節税効果が高い保険商品は、売りすぎて一定の臨界を越えると通達がでて規制の網がかかります。

結局その繰り返しの中で、既得権を押さえながらいかにうまく立ち回り、簿外に資金を蓄積するかが大事です。ガン保険も使い方次第では有効な金融商品となります。ガンは早期発見、適切に治療すれば治る病気になりました。しかし繰り返しになりますが、ガンになったら保険料免除、ゼロ円で名義変更は話として都合がよすぎます。仮に金融庁が認可しても課税当局が容認するとは限らないのが、縦割り行政というものです。

法人保険、後継者へ譲渡のウラ技。

退職金支給ではない法人保険の後継者への有償譲渡。

CIMG3328特に法人保険の譲渡はウラ技とか裏ワザというレベルのものではなく、普通に役員退職金の現物支給として行われています。

しかし法人保険を活用するにはいろんな選択肢があり企業の状況や事業承継・相続設計の事情によりケースバイケースと言えるでしょう。

意外な盲点になりやすいのですが、法人保険の後継者への有償譲渡のメリットについてわかりやすく順を追って説明しました。

◆ 生命保険の名義変更とは!?

生命保険の契約者を変更することを名義変更と言います。保険会社の書類も契約者を変更する場合「名義変更請求書」となっています。個人から個人へ変更する場合も法人から個人へ名義を変更する場合も同じく名義変更です。

名義変更すれば契約者が変わりますから、生命保険という財産が譲渡されたことになります。個人間では有償譲渡はあまりないでしょうから贈与か相続になるでしょう。いずれにしても課税の対象となります。

法人から個人へ名義変更する場合は、給与か退職金か有償譲渡になります。給与か退職金で保険を支給されると解約返戻金相当額に所得税が課税されることになります。解約返戻金相当額で有償譲渡する場合は売買ですから課税関係は発生しません。

◆ 引退する経営者の生命保険を整理する。

会社には経営者がいて、企業を継続するためには事業承継は避けて通れません。経営者が会社の責任を負っているときは事業保障が必要です。

しかし後継者が育ってきて社長の座を運よく譲ることができれば、それまでの経営者にかけていた生命保険は役割を終えることになります。新しい経営者に事業保障を集中し、それまでの経営者を被保険者とした生命保険は整理する必要が出てきます。

会社の状況や契約内容にもよりますが、以下の選択肢が考えられます。

・払込満了の終身保険は会社で保持する。
・長期定期保険は解約するか払済を検討する。
・医療保険は引退する経営者に支給を検討する。
・解約して経営資金に充てる。
・解約により多額の雑収入が見込まれるときは役員退職金に充当する。
・後継者や相続人に有償譲渡する。

◆ 後継者への有償譲渡が美味しい理由。

なかでも意外な盲点が後継者への有償譲渡です。ベテランの保険代理店でも会社契約の保険を個人に名義変更すると言えば、引退する社長である被保険者に退職金として現物支給すると考えてしまいます。名義変更請求書には新しい契約者名を前もって印字してきますから、再度サポートに電話して書類を取り寄せることになります。何も代理店にこちらの狙いと事情を教える必要はありませんからね。

これまでの経営者に法人契約の生命保険を退職金の現物支給とすれば、退職所得税がかかり相続発生時には相続税の課税対象となります。解約すればキャッシュにはなりますが、死亡保険金ではないので額は大幅に少なくなることが多いと思います。

一番お得な名義変更が後継者への有償譲渡であるという理由は、保険金が相続税の対象とならない点です。あくまでの財産としての保険の所有者が後継者になりますから、相続発生時に受取保険金から買い取り資金を引いた額が一時所得となります。一時所得は50万の基礎控除があり、差額としての儲けの半分は非課税ですからかなりお得になるのです。

◆ 後継者へ買い取り資金の集中と融資。

後継者には早くから買い取り資金を集中することが必要です。役員報酬を増額したり贈与を活用したり、本サイトのテーマの一つである逓増定期の名義変更スキームを活用したりと、あれこれ手はありますが、法人契約の生命保険の解約返戻金は長年の積立ですから結構巨額になっていることがあります。

その場合は買い取り資金を会社から融資するか金融機関から借りる必要があります。後継者には資金がありませんから返済は親からの暦年贈与でまかなうことになります。

これでレバレッジの効いた保険を後継者が手にすることができます。もちろん受取人は後継者に指定します。

◆ 保険会社は名義変更に神経質。

保険会社は名義変更する場合、新しい契約者と新しい受取人が被保険者とどういう関係にあるかを気にします。親族であれば問題ないのですが、それ以外はモラルリスクが問題となります。

後継者が子であれば全く問題はないですが、親族以外を後継者に指定するとこの名義変更は使えなくなると思います。

◆ まとめ

法人保険、後継者へ有償譲渡のウラ技ということで説明しましたが、実際は裏ワザでも何CIMG3329でもありません。しかし保険代理店にしても保険営業にしても名義変更を積極的に提案することはあまりありません。手続きそのものに自分の利益が伴わないからです。

しかしよく考えてみれば、事業承継・相続設計の一環としての名義変更は後継者への保険提案が見込めます。組織が動くときは保険営業にはチャンス到来なのです。

解約しなくても個人に有償譲渡で名義変更すれば、当然会社には雑収入が発生するでしょうし、これまで支払っていた保険料の費用枠が空くのです。この保険提案のチャンスが見えないと法人保険の営業はできません。

事業保障目的の法人保険は代が変われば役割も変わるということです。会社の信用と責任を負う人に事業保障は集中すべきです。そしてこれまでの経営者にかけていた生命保険は役割を終えたわけですから整理していかなくてはなりません。しかし単純に解約したり、退職金として現物支給したりするだけが手ではないのです。

役割を終えた経営者保障は相続対策へ、言うは簡単ですが、さっさと解約できない経営者心理という問題もあります。この辺は後日にまとめさせていただきます。

法人保険の解約管理は破綻している。

法人保険の解約管理は機能していない。

CIMG3326法人保険は契約者が会社ですから会社の経理部門が管理します。会社の資金を生命保険に投資している訳ですから間違いのない管理が求められます。

法人保険は契約している保険の種類や時期により経理処理が複雑です。契約時期により経理処理が異なる場合があります。

法人保険は解約管理が特に重要です。

資金需要と解約返礼率のピーク時期、出口設計が大事です。経理担当者は法人保険に明るくないと困ったことになります。簿外に緊急予備資金を確保するという意味では大きな価値がありますが、適切な管理は機能していないというより最初から破綻しているというべき実態があります。

◆ 忘れるリスク。

最も人間的なリスクですが、解約時期を忘れるというよりその法人保険が解約を前提とした保険契約であることを忘れるリスクがあります。

節税保険は事業保障を考えていることは元々ありえないのです。解約し解約返戻金を手にすることだけが目的なのですが、その目的を忘れ普通の事業保障を目的とした保険と同じようにあつかってしまうリスクがあります。

そんなあほなとお思いでしょうが、法人保険に関して言えば本当にそんなあほなことがあるのです。人は忘れる生き物です。忘れるリスク、実は一番大きなリスクです。

◆ 人が変わるリスク。

人が変わるというのは、性格が変わるという意味ではなく経理担当者が変わるという意味です。経理担当者といえども定年があります。しかしそこまでいかなくても人が変わることは珍しくありません。経理担当者が変わると引き継ぎはうまくいかないものです。

前任者の情報は引き継がれないばかりか、引き継いだ情報を理解しようとはしないものなのです。人が変わるリスクは大穴を開ける可能性すらあります。法人保険では人が変わるリスクは意外と大きいのです。

◆ 試算表からは読み取れない。

毎月税理士を迎えてPLを作成し財務状況を確認する会計報告会はいずこの会社にもあるでしょう。月単位の試算表を作成して経営幹部と財務管理者が会社の経営状況を数値で分析・報告します。

中小企業では多くの場合昨年度との比較を分析の基本としています。ここに落とし穴があります。昨年度と異なる数字には興味が向きますが、昨年どおり支払われている保険料からは問題点を見つけることはできないのです。

毎月検証しても、その費用の意味がわかっていないと何をなすべきかわかることはありません。

◆ 提案書からは読み取れない。

保険を提案するときは、必ず提案書で説明します。そのときはその保険の真意を理解していて提案書は大事にしまい込みます。しかし提案書に解約返戻金は書いてありますが、解約時期は書いてありません。もちろん保険の目的も書いてありません。

ひとたび提案書が保存されると、そこからその法人保険の真の目的は見えなくなってしまします。

保険会社にすれば節税目的の保険であることは表だって言うことはできませんから肝心のことは全く書きません。それは仕方がないことで責任は契約者にあります。保険会社は間抜けな契約者が解約時期を忘れることで大きな利益をあげるこできます。

損金が本当に損金になり保険会社の利益となるとき、契約者は大損をすることになります。

◆ 気が付けば大損、知らずに満期の大損。

まだしも自分の損失に気がつけば反省もするでしょうがひどいケースではそのまま満期を迎えるという最悪のケースさえあります。最後まで気がつかないと逆に幸せかも知れないのですが、それでは悲しすぎるというものです。

法人保険は保険料も半端ではありません。それを数年も積み立てているのですから、払込保険料の累計は巨額になります。もともと全額損金でおとしていますから、戻りがなくても気にならないのでしょうか。莫大な簿外の貯金に気がついていないのでしょうか。

◆ 税理士をあてにしてはいけない。

税理士という職業は専門家ですが、保険の専門家ではありません。かなりの税理士が保険をあつかうことを潔しとしないのです。利益相反という意識があるのでしょうが、保険を売ると責任問題が発生するからではないかと思います。

税理士は法人保険とは距離を置こうとしがちです。もちろんそうでない税理士もいますが、やはり税理士に保険の管理を期待するのは間違いだと言えるでしょう。

◆ 簿外の緊急予備資金の価値は経営者以外わからない。

そうは申し上げても節税保険を契約してはいけないと言っているわけではありません。むしろ簿外に蓄積した緊急予備資金は、経営という立場から言えば大きな価値があいます。

一部の税理士は利益の繰り延べに過ぎないので節税効果はないといいます。これは経営者の思いがまるでわかっていないといわざるを得ません。

経営者はいつも最悪のケースを想定します。資金繰りこそ会社経営の生命線です。いくらキャッシュがあっても安心と言うことはありません。それゆえに利益の繰り延べは経営者にとり心強いのです。この感覚は経営者以外ではわかりにくいものなのかも知れません。

◆ 人をあてにできない保険管理。

毎度同じ結論で申し訳ないですが、ここが一番肝心なポイントですから繰り返さずにはおCIMG3327れません。

利益を繰り延べるために節税保険に加入したなら、経営者自らがそのことを肝に銘じる必要があります。いかに信用できる社員といえどもあてにしてはいけません。

人をあてにできないのが保険管理です。

ここが理解できないなら税金を払って残りを会社に残した方が賢明です。

人をあてにするのではなく経営者自らが保険管理を把握して責任を負う覚悟が大事だと思います。

とくに今年は全損保険ラッシュでしたから、5年後から10数年後の中途半端な時期の山が来る保険が危ないとみています。しっかりと経営者自らが自己責任で保険管理をされることをおすすめします。

役員退職金が否認される理由。

役員退職金が否認される理由を課税当局の立場から解説します。

CIMG3324貴重な話を聞く機会がありました。何事も専門家、しかし本当の専門家はわずかしかいません。

なかでもOB税理士は知識がかたよってはいますが、課税当局の内情や判断基準、税務調査の勘所などは本当の専門家です。

法人保険を売る側から買う側にまわったhokenfpが保険を売る側の事情が分かるのと同じように、OB税理士は調査する側の事情やねらいは手に取るようにわかります。

たとえは悪いですが、警察官が泥棒になればやすやすとは捕まらないと思います。OB税理士も平たくいえばあばく側からごまかす側に回るわけですから、詳しいのはあたりまえと言えなくもないわけです。

◆ 役員退職金の支給基準をOB税理士に聞きました。

OB税理士といっても経歴はさまざまです。法人税をあつかってきた方と資産税をあつかってきた方では知識の範囲が違います。中には酒税出身のOB税理士もいます。法人保険の仕組みに明るくないのと営業力のなさは共通しているようです。

なかにはコンサルにきているのかに調査きているのかわからないような方もいらっしゃいますから、性格もいろいろです。しかし課税当局の考え方という点では共通した知識と経験をお持ちです。説明の仕方はそれぞれ違いますが、役員退職金の支給基準については「最終報酬月額×功績倍率」という点で同じです。

◆ 最終報酬月額と功績倍率の考え方。

一般の考え方と違うのはこの役員退職金の支給基準「最終報酬月額×功績倍率」という計算式に融通がきかないのです。

まず役員退職金支給規定があっても関係がありません。会社によっては功績倍率を役職で規定していたり、中には最終報酬月額ではなく最高報酬月額を規定したりしていますが、判断の基準になることはありません。

こうなると困ったことは会長や相談役に退いて報酬を減額すると役員退職金も少なくなります。それまでの加重平均という考え方も通用しないのです。ちょっと納得できないところですが、課税当局の基本的な考え方です。

よって功労金加算という考え方もありませんから退職金の算定には見解の相違が出ます。ところが功績倍率は4倍から5倍ならOKで、6倍から8倍となると問題化するそうなのです。とにかく課税当局の基本的な基準は最終報酬月額、これなら安全なのです。とすれば会長や相談役に退いても役員報酬を下げることができなくなります。

◆ 役員退職金に関する税務相談の効果。

過去に役員値職金を否認されない極意を下記のページにまとめましたが、それほど単純でもないという情報を得ましたので、今回追記します。

■役員退職金を否認されない極意。

①役員退職金支給に至る手順は手を抜かないこと
②自分の都合のいいように考えないで税務署に事前相談に行くこと
③実質的に引退すること

3つのポイントの②に関しては、これで安心とも言えないという話です。確かに税務署に事前に相談に行くと記録が残りますので、それはそれで意味があります。

しかし税務署の中でもいろいろな見解がありますから、たまたま相談窓口の担当者が概ね了解のアドバイスでもそれは個人の見解であり署の見解ではないという公務員組織とも思えない理屈があるそうです。

税務調査でも調査官の意見は署の見解ではないということもあります。民間企業ではあり得ないと対応だと思いますが、親方日の丸の権力はあなどれないのです。

結果として役員退職金を否認されようものなら、法人で損金参入が否認され個人で有利な退職金課税が通常の所得税あつかいになり住民税まで大幅に増加します。それどころか延滞税までかかるかも知れませんから、こうなると全く踏んだり蹴ったりと言わざるを得ません。

◆ 偽装引退は狙われる。

引退した経営者にとれば誰も偽装するつもりはないのですが、後継社長に任せておけない危なっかしさ、自分の経営手法に対する自負があります。

仕事人間できたオーナー経営者にすれば、いまさら家庭に居場所がないのでついつい出社します。

経営のサポートのつもりが口出しをしてワンマンショーになってしまいます。もうこうなれば課税当局に偽装引退と言われても抗弁のしようがなくなります。

実質的に引退することは、なかなかに難しいものなのです。

OB税理士に言わせれば偽装引退が狙われるポイントだそうです。

実質的引退は有利な退職金税制を利用するための必須条件です。普通の感覚では退職金をもらえば会社との縁が切れ、毎日出社することなどあり得ないところです。退職金支給の引退の条件としては給料が1/2以下で代表権がなくなり、偽装と言われないためには退職の実態が必要です。

◆ 何ごとも説明がつく経済合理性が必要。

OB税理士の方は敵か味方かわからないようなスタンスでも、よくよく話し込むとご自身の立場はおわかりのようです。少々グレーゾーンの処理では課税当局がどういう見方をするかは、きちんと説明されます。

それによると説明がつく経済合理性が必要ということになります。これこれこういう理由でこういう処理をしました、という説明が理路整然としている必要があります。

もちろん本音と建て前はありますから使い分けてということです。本当は利益が出すぎたCIMG3325ので節税目的で法人保険に加入しても、建前は企業規模拡大に伴う事業保障の確保です。

新株予約権付き社債を発行して自社株評価を下げても、建前は新工場建設の資金確保です。

狐と狸の化かし合いのようなことではありますが、中小企業を守り継続するためには経営者は狐にも狸にもならなくてはいけないのです。

◆ まとめ

専門家のアドバイスといえども鵜呑みにはできないということはどの分野でもおこります。専門家や士業の中でもさらに専門家がいます。そこまでたどり着くのは大変ですが、手にする情報の質が違います。

たまたまOB税理士を事例に役員退職金の支給要件の勘所をまとめましたが、立場が変われば見解が大きく異なるということをご理解いただけたでしょうか。手前勝手な理屈では税務署に通じませんが、そこそこのストーリーがあることで経済合理性が説明できます。

事前相談でほぼ問題なしと回答をもらっていても税務調査で否認されることもあり得ます。結局、人と人の立場の違いが結果の違いを生みます。経営というものは「用心!用心!火の用心!?」なのです。

 

遺言書の勘違い総まとめ。

遺言書の勘違いを総まとめにしました。

CIMG3316生命保険をあつかっていると相続にかかわることが出てきます。保険好きな国民性ですから資産家も貧乏人も生命保険に加入しています。

ところが遺言書を書くという人はあまり見かけません。

遺言書は相続税がかかる資産家が相続争いを防ぐために書くものと言う風潮があります。

遺言書と遺書の区別ができていないというのが実態ではないかと思っています。よって遺言書は一般に正しく理解されているとは言い難い状況です。

財産が多くても少なくても、遺言書を書いておけば無用な争族を防ぐことができます。遺言書を資産家や専門家だけのものと考えず、より多くの高齢者の方に活用いただければ世の中の仲たがいもずいぶんと減るのではないかと思います。

そのため遺言書をできるだけ「わかりやすく」を心がけましたので、多少誇大な表現になっていますがご了解ください。

◆ 遺言書は法律文書、遺書は最後のお手紙です。

遺書は自殺する人や、死を前にした人が家族への感謝の気持ちをしたためる最後のお手紙です。涙することはあっても遺産に対する効力はありません。

ところが遺言書は民法に定められたれっきとした法律文書です。うるさい要件(他のサイ
トでご確認ください。)がいろいろありますが、これをクリアし家庭裁判所の検認をうければ、不動産登記や被相続人の財産の名義変更のときの証明書になります。

あとに残された家族のことを憂うなら「遺書を書くより遺言書!」と申し上げたいところです。

■遺言書書き損じればただの遺書|それでも解らない経営者へ。

■遺言書は元気なうちに遺書は間際に生命保険は早めに!

◆ 勝手に遺言書を開けると法律違反です。

遺書は誰がいつ開けても何の問題もありませんが、遺言書はそういうわけにはいかない法的文書なのです。相続に関係する相続人全員が納得する公正な処理が必要です。誰か一人が先に内容を知ると不利な遺言の場合、改ざんや破棄のリスクがあります。

よって遺言は家庭裁判所に検認申請をし、相続人全員に通知したうえで相続人立ち合いで家庭裁判所で開封し中身を確認することとなっています。

自筆証書遺言の場合、保存場所によっては誰かが先に見つけます。開けたくなる誘惑がないとは言えませんが、法律違反になるとも知らずに開けることもあるでしょう。

検認前に開封したからと言って遺言が無効になるわけではないのでそのままの状態で家庭裁判所に検認を請求することです。検認とは遺言の形式要件を確認し有効であることを判断するものであり、内容にはかかわりません。

たとえ開封してしまったとしても、家庭裁判所に検認を申請しましょう。

遺言書は「開封厳禁!」間違って開封しても検認へと申し上げておきます。

◆ えっ!過料を払って遺言書を確認する。

「すみません!間違えて開けてしまいました。」とかいって過料を払っておけばよいのです。そうすれば他の相続人に先んじて遺言の内容を確認できます。

遺言書の開封は法律違反ですが、犯罪ではありませんから逮捕されるようなことにはなりません。たとえは悪いですがスピード違反で反則金を払うようなものです。

それで遺言の内容に問題なければ、家庭裁判所の検認をうければよいのです。

誤解なきように申し上げておきますが、法律違反になりますからむやみに遺言書の検認前の開封をおすすめしているわけではありません。もめそうな遺言書では改ざんを主張されると裁判になります。

自筆証書遺言にはそう言うリスクがあるということです。

■遺言書を破棄したら罪になるかを事例で説明。

開封は「ごめんなさい」と過料(罰金)で済みますが、破棄すると犯罪です。遺言を破棄した者は相続欠格者となり一切の相続の権利を失うばかりか、私文書毀棄罪で5年以下の懲役となります。くれぐれもお気を付けください。

◆ 道はゆずり合えても財産はゆずり合えないのです。

遺言書を推奨する理由のひとつには相続争いの多さにあります。お金がなくてもわずかな財産を巡り醜い骨肉の争いが始まります。せめて遺言書で申し送りができていれば争族はいくばくかでも緩和されると思うのです。

田舎では長子相続が普通でした。今もそういう考えは残っています。娘は嫁に出したとき花嫁道具一式で相続放棄、次男は近所に新屋を建ててもらいそれで相続放棄、長男が親の面倒を見るかわりに相続財産をすべて引き継ぎます。したがって遺言書も特に必要ありませんでした。

時代が変わると法律も変わり、人の権利意識も変わります。仲の良い親族といえども遺産分割の場では黙っていられなくなります。遺言書あれば親の意志がわかりますから、不満があっても押さえが効きます。

ゆえに田舎でも都会でも遺言書。金持ちでも貧乏でも遺言書。

悲しいかな人は道はゆずり合えても財産はゆずり合えないのです。

◆ 二次相続の遺言書が大事です。

老婆心までに申し上げますと、二次相続での遺言書はほとんど聞きません。一次相続で終わったと思っていたら二次相続で相続争いが勃発します。第二次相続争いです。一次相続の時は母親が存命ですから争いも遠慮があったと思いますが、二次相続ではすべての歯止めが取れてしまいます。相続財産は少なくなりますが、相続争いは一層熾烈になるという構図があります。

二次相続こそ遺言書と申し上げておきます。

◆ まとめとして、 故人の意志を書面で残す。

資産家や事業承継にからむ場合は遺言書は必須になります。また家族仲がよろしくない場CIMG3323合や子によって生活に困っているような場合、事業に失敗しているような子がいる場合はとくに遺言書が必要でしょう。

しかし仲のよい家庭で問題があまりない場合は、ガチガチの遺言書でなくても親の意志を簡単な書面で残しておくことで争いなくおさまることが多いと思います。

親の意志が残っていないとギクシャクした遺産分割協議にならざるを得ないのです。そんなつもりがないのに相続争いになるのは、親の意志を書き残さないからです。

できれば生前から子らには遺産分割の割り振りを伝えておくと納得性が高くなります。しかしそれより書面で個人の意思を残すことは大事だと思います。

遺言書がベスト、それが無理なら親の意志を書面で残すのがよろしいと申し上げておきます。