円安で解約のチャンス!外貨建て保険の運・不運。
異常なペースで円安が進んでいます。円安は輸入関係の企業だけでなく、外貨建て保険にも大きな影響があります。
外貨建ての保険は、予定利率がよくて貯蓄性がありますが、反面為替リスクと隣り合わせです。
単純には、円安になれば保険料は高くなり、保険金や解約返戻金は増加します。保険金の受け取り時期はコントロールできませんが、解約するのであれば現在の円安は大きなチャンスであることは間違いありません。
外貨建ての保険は一時払いなどで、相続対策に利用することがありますが、為替の状況によっては、運悪くマイナスに振れるというリスクもあります。払うときは円高、受け取るときは円安がベストですが、それほど為替で先が読めるものでもないので、やはり運任せの為替リスクは、この先もありそうです。
為替の円安が外貨建て保険にもたらす影響を、もう少しわかりやすくかみ砕いて案内させていただきます。
◆ 外貨建て保険とは。
日本は、ゼロ金利政策からマイナス金利政策へ異例の金融緩和を続けています。世界経済でいかに孤立しようとも、政策を変えようとしない日銀一味のかたくなさに保険業界は困り果てていると言ったところです。
そんな中、日本の金利政策とは直接関係がない外貨建て保険、特にドル建て保険は、予定利率が高く貯蓄性が期待できます。しかしその外貨建て保険のメリットは、為替の変動により大きくぶれます。
超低金利の円建てでは、保険に貯蓄性を求めることができません。満期金を受けとるための養老保険でも円建てであれば、満期金が保険料累計を下回るようになってしまいます。保険としての機能を期待しないのであれば、明らかに損、貯金しておいた方がましという理屈もあるわけです。それだけに貯蓄性の高い外貨建て保険の人気が高まるわけです。
◆ 外貨建て保険の為替の影響。
外貨建て保険とは、外貨で保険料を支払い、同じく外貨で保険金や解約返戻金などを受け取る保険商品です。例えば米ドルで解約返戻金を受け取っても円転しないと国内では使えません。
今の為替水準で保険金や解約返戻金を円転すれば、非情に大きなメリットを享受できます。単純な為替計算で$10,000が、1$110円の時は110万円ですが、為替が150円になれば150万円となり36%も増加する計算になります。某電産が、四半期利益で過去最高益になるのも当然です。
ところが、うまい話ばかりではなく、支払う保険料も為替の影響を受けます。外貨建て保険は外貨で保険料を支払うので日本円換算の保険料は為替相場の変動に直結します。受け取る方では36%増加しましたが、支払う保険料も同じだけ増加する勘定になります。
為替相場が円高に進めば支払う保険料は安くなり、円安に進めば支払う保険料は高くなります。逆に為替相場が今のように円安に進めば、解約返戻金は大幅に増えますが円高では減少することになります。それゆえ今の為替相場で、一時払いのドル建て保険に加入する気にはなりませんが、解約する気なら今がベストチャンスです。
◆ 外貨建て保険は解約時の戦略が大切。
外貨建て保険で貯蓄をするという場合は出口戦略が重要です。保険金や解約返戻金は外貨で支払われますから、あわてて円転せず外貨で解約返戻金を受け取って為替が円安のときに円転するというテクニックが必要です。
実は理屈で考えるほど解約時の戦略がうまくいかない理由があります。それは、為替の変動予測が簡単ではないからなのです。いかに優秀なアナリストであっても正確に予測することは難しいのが為替です。答えは上がるか下がるかの2種類ですから、素人が予測しても50%の正解率はあるわけですが、神のみぞ知る為替、そこにチャンスとリスクがあります。
早めにできる対策があるとすれば、解約時に円高が予想されるのであれば解約時期を早めて円高になる前に解約するなど、解約時期と円転の時期を組み合わせて考えることです。大事なことは、欲をかいてピークを待たないことです。
◆ 円安で解約のチャンス!まとめ。
為替レートが、円安になった場合の外貨建て保険への影響は、まず保険料の支払、そして受け取る方の保険金・解約返戻金などであることは上記書きました。
外貨で受け取り為替の条件が良くなるまで据え置くという選択肢はありますが、それほど簡単な話ではありません。為替というのは日々変動します。上がるか下がるか予測してもそのように変動するとは限りませんから、株式の売買と同じでいつ売るか、いつ買うかという判断が伴います。
さらには、相続対策で契約した保険であれば、解約が目的ではありませんから、運に任せるより仕方がありません。保険事故は為替に関係なくいつ起こるかわかりません。その時の為替が円高なのか円安なのかは、誰にもわかりません。ただ相続発生時に円換算で死亡保険金控除や相続税の計算がされますから、外貨で据え置くという訳にはいかないということがあります。
また、為替の差益だけでなく、円で保険料を払い込むときや解約返戻金や保険金を受け取るときに為替の手数料(円と外貨を両替する際の手数料)がかかります。
外貨建て保険は、円建てでは得られないメリットがありますが、為替リスクは避けて通れません。予定利率がよいからと言って、外貨建て保険だけに集中するのではなくリスク分散と考えておくとよいと思います。またあくまでの預金と異なり保険事故の発生により保険金が支払われて終わりになる金融商品です。
為替の変動に一喜一憂せず、おおらかに構えることがよろしいようです。今死ねば一番得ですがそういうわけにもいかないでしょうし、保険金は受取人のものです。そうなるときの為替相場がその人の運というものです。