
※本記事は2022年時点の体験をもとに、制度変更(2023年度以降)を
踏まえて整理したものです。その後、改善され使いやすくなった部分もあります。
現在に通じる内容もありますが、過去の記録としてお読みください。
■e-Tax、ID・パスワード方式の有効期限を税務署に確認。
これまで医療費控除の確定申告にe-Taxを利用する関係で、その遷移を追いかけ
てきました。手間を要するe-Taxを改善するとして、2018年に国税庁よりe-Taxの簡便化が発表されました。
利用者の立場から見ると、仕様変更が繰り返されることで「迷走しているのではな
いか」と感じる場面もあります。一方で、セキュリティ要件や利用環境の違いを踏
まえた段階的な見直しという側面もあります。
クリックできる目次
◆ e-Tax簡便化の背景|なぜ何度も見直されているのか。
e-Taxはこれまで段階的に使いやすさの改善が行われてきました。
・2018年:ID・パスワード方式の導入(マイナンバーカード不要)
・その後:マイナンバーカード方式の利用促進
・2023年度以降:認証手続きの簡素化
このように複数の方式が並行して存在しているため、検索結果でも前回の簡便化と今回の簡便化が混在して表示され、初めての方には分かりにくい状況になりました。
・マイナンバーカード不要、第一次簡便化「ID・パスワード方式」の手順をわか
りやすくまとめました。
■医療費控除e-Tax全手順まとめ。
◆ 2023年度以降の第二次簡便化では、認証回数が1回に!?
2023年度の確定申告から、マイナンバーカードを利用したe-Taxが簡便化され
るという情報があります。その内容は、e-Taxで確定申告の際、認証が3回から1
回になるということです。
(追記:2026年現在ではe-Taxにログインするだけなら1回でOK)
実際にマイナンバーカードでe-Taxに取り組んだ経験から言えば、これまでは同じ
マイナンバーカードを、何度も認証しなければゴールにたどり着けませんでした。
2023年度以降の確定申告では、一定条件のもとで認証手続きが簡素化されています。
従来:複数回の認証(最大3回)、変更後:過去に利用実績がある場合 → ログイン時の1回で完結するケースあり。
ただ「すべての人が1回になるわけではない。」点に注意が必要です。
本人認証というセキュリティー上のハードルは必須です。それは理解できますが、
簡便化の手順を踏みすぎて、利用者の混乱を招いたように思います。
・マイナンバーカードの認証迷路の実話です。(追記:今は改善されています。)
■医療費控除確定申告、マイナンバーカード方式の迷路、これは無理!?
具体的には、マイナンバーカードの事前確認で本人認証が1回、入力データを本
人が作成していることの確認に1回、システムへのログインに1回というわけで
す。
実務上の体感としては、以下のような傾向があります。
メリット(条件付き):
・過去に利用経験がある人は手続きが短縮されやすい
・同一端末・同一環境ではスムーズに進むケースが多い
注意点:
・初回利用者は依然として設定のハードルがある
・スマホ・ICカードリーダーなど環境依存の影響を受ける
・マイナンバーカードの有効期限切れに注意が必要
「一度使いこなせば楽になるが、最初の壁は残っている」というのが現実的な評価
です。
◆ 医療費控除との相性|早め申告とのズレに注意。

医療費控除のような還付金申告は、税務署の確定申告受付期間外でも、領収書や
関係資料が揃えばいつでも申告可能です。
先行チャレンジ型の医療費控除の確定申告には、今回の簡便化を享受する時間がな
いことになります。
一方で、e-Taxの新機能は、1月上旬など直前にリリースされることが多いのです。
その結果、新しい仕組みによる簡便化はギリギリになります。たとえば実際の運用
が来年1月上旬からということですから、利用者側からすれば検証する時間がない
という点で不満が残ります。
先行して申告する人ほど新しい簡便化の恩恵を受けにくいという実務上のズレがあります。最低でも新しい仕組みは、年内にスタートするぐらいの余裕をお願いしたいところです。
◆ 制度上の「簡便化=誰でも簡単」ではないので注意。

第一次簡便化ではID・パスワード方式が登場しました。税務署に出向き利用者識
別番号とパスワードをもらう必要があります。でもマイナンバーカードを使わずに
e-Taxで申告できるのですから、これは便利でした。
しかし国税庁がいうには、ID・パスワード方式は暫定的な仕組みでいずれはマイ
ナンバー方式に集約するということです。
ID・パスワード方式(暫定)のメリットは、マイナンバーカード不要な点です。
e-Tax利用でも、設定が比較的簡単です。ただいくつかの注意点があります。
税務署での事前発行が必要(追記:新規発行は終了しました。既得権は有効です。)
将来的に縮小される可能性あり(制度上の位置づけ)
マイナンバーカード方式のメリットとしては、慣れれば使いやすいということがあ
ります。多くのシステムでも同様ですが、最初のハードルを越えれば便利になりま
す。
・今後の標準方式とされている
・一度設定すれば継続利用しやすい
注意点としては、初期設定がやや複雑、利用環境に依存(スマホ・カードリーダー)ということがありますが、最近のスマホではほぼ問題なく読み込めます。
継続利用する前提ならマイナンバーカード方式が有力であることは理解できますが、一時的・簡易対応ならID・パスワード方式は現在でも現実的な選択肢かもしれません。
◆ まとめ|DX推進は進むのか?利用者視点で見た課題。

国税庁では、税務行政のデジタル化に対応するため、情報システム部の新設など体
制強化が進められています。こうした動き自体は前向きなものと評価できますが、e-Taxのこれまでの運用を踏まえると、利用者の立場では「本格的な改善はこれから」という印象を持つ方も少なくないでしょう。
とくにマイナンバーカード方式については、導入当初から手続きの複雑さや利用環
境の制約が指摘されてきました。近年は簡便化が進められているものの、結果とし
て段階的な見直しが重なり、仕様変更が繰り返されているように見える側面もあり
ます。
こうした経緯から、実務上は「後追い的な改善が続いている」と感じる利用者がい
るのも無理はありません。
また、DX推進においては単に組織や人員を拡充するだけでなく、
・利用者の操作負担をどこまで減らせるか
・初回利用時のハードルをどこまで下げられるか
・継続利用時の安定性とセキュリティーを確保できるか
といった設計段階での完成度が重要になります。
実務的には、「機能はあるが使いこなせない」状態では普及は進みにくく、結果と
して利用が限定的になる傾向があります。
マイナンバーカードの活用についても同様で、条件が整えば利便性は高い一方で
利用環境や手続きにハードルを感じるケースも残っているというのが現状です。
このため、現時点では、「利便性が実感できる層から徐々に定着していく段階」
と捉えるのが現実的でしょう。
今回の簡便化についても一定の前進ではありますが、利用者視点では「よりシンプルにできる余地があるのではないか」「最初からこの設計はできなかったのか」といった疑問が残るのも事実です。
最終的には、“特別な知識がなくても迷わず使えるか”という点が、e-Taxやマイナンバーカード普及の分かれ目になります。
利便性が十分に高まれば自然と利用は広がりますが、逆に手間や分かりにくさが残
る場合、利用が進みにくいのも実務上よく見られる傾向です。
・実務的なまとめ
e-Taxの簡便化は進んでいるものの、現状はまだ過渡期にあり、
利用者によって評価が分かれる段階といえます。
今後は「使える仕組み」から一歩進んで、「誰でも迷わず使える仕組み」へどこま
で近づけるかが重要になります。水は高い方から低い方へしか流れません。本当の
意味で便利にならなければ、マイナンバーカードの利用者も増えないということか
と思います。
「e-Tax簡便化は迷走なのか?利用者視点で見た制度変更の背景と実態。」への2件のフィードバック