
税理士の先生と生命保険、一見するとあまり関係がないように見えますが、
法人保険の現場では切っても切れない関係があります。
実際に法人保険を検討すると、顧問税理士の意見を聞く
経営者は少なくありません。
ところが税理士の先生によって生命保険への関わり方は大きく異なります。
積極的に保険提案に関与する先生もいれば、
生命保険には一切関わらないという先生もいます。
知り合いの代理店を紹介するだけで、自らは距離を置く先生も珍しくありません。
私は長年法人保険に関わってきましたが、
この違いの背景には利益相反という悩ましい問題があるように思います。
■保険販売における利益相反とは?立場ごとの違いを経験者が解説。
◆ 税理士が生命保険に積極的になれない理由。

税理士の本業は適正な税務処理と税務申告です。
一方、生命保険は保険会社や代理店が販売する金融商品です。
本来は別の業務ですが、法人保険になると両者が密接に関係してきます。
とくに事業承継や役員退職金、資金繰り対策などでは
生命保険が検討対象になります。
すると税理士は保険提案に意見を求められる立場になります。
しかし税理士が保険契約に深く関与すると、利益相反の問題が発生します。
◆ 共同募集には利益相反がつきまとう。

税理士が保険代理店と共同募集を行うケースがあります。
生命保険契約が成立すれば、一定の収入が発生することもあります。
もちろん違法な話ではありません。
しかし税理士として顧客の利益を考える立場と、
保険契約による収入が発生する立場が重なることで、
利益相反という問題が生じます。
税理士の先生方の中には、このことを強く意識される方がおられます。
生命保険の提案自体は必要だと考えていても、
自ら保険販売に関与することには慎重です。
保険契約によるコミッションを受け取ることを、
良しとしない先生も少なくありません。
税理士という資格に対する矜持なのだろうと思います。
◆ 法人保険は契約して終わりではない。

もう一つ、税理士が生命保険に深入りしない理由があります。
それは保険契約には長期的な管理責任が伴うからです。
生命保険は契約時点だけを見ても意味がありません。
税制改正もあります。会社の業績も変わります。
経営者の年齢や後継者問題も変化します。
契約時には最適だった保険が、数年後には
見直し対象になることも珍しくありません。
そのため法人保険は契約後の保守管理が極めて重要になります。
税理士の先生方から見れば、保険提案に関わる以上、
その後の結果にも一定の責任を感じることになります。
これを負担に感じる先生がいても不思議ではありません。
◆ 法人保険に強い税理士は意外に少ない。

少し辛口になりますが、私の経験では法人保険の実務まで
深く理解している税理士はそれほど多くありません。
もちろん税務の専門家として優秀な先生は数多くおられます。
しかし税務の専門家であることと、生命保険の専門家であることは別問題です。
法人保険は税務だけでは判断できません。
保障設計、資金繰り、事業承継、退職金準備、保険会社の商品性など、
多面的な知識が必要になります。
税理士の先生は税務のプロですが、
生命保険を専門に扱ってきたわけではありません。
そのため保険提案になると代理店任せになるケースも少なくありません。
◆ 税理士法人と提携代理店への違和感。

法人保険の現場では、税理士法人と
提携している保険代理店に出会うことがあります。
本来であれば安心感があるはずです。
しかし私自身は、あまり良い印象を持った経験がありません。
もちろん全てではありません。
ただ提携関係が強すぎると、どうしても紹介案件を
処理することが優先される傾向があります。
経営者の事情よりも、手続きが優先されているように感じることもありました。
買う側の立場になると、この違和感は意外と伝わってくるものです。
◆ 税理士と生命保険、利益相反のまとめ。

税理士の先生が、生命保険に慎重になる理由は理解できます。
共同募集による利益相反の問題があります。
保険契約後の管理責任もあります。
さらに税務の専門家としての立場から、保険販売によるコミッションに
依存したくないという考え方もあります。
私は法人保険に関わる税理士の先生を数多く見てきましたが、
本当に法人保険の実務まで精通している先生は少数派だと感じています。
税理士は税務の専門家です。
生命保険は生命保険の専門家がいます。
両方を完璧にこなすことは簡単ではありません。
だからこそ経営者は、税理士の意見だけでなく、
保険提案についても複数の視点から検証することが大切だと思います。
「税理士も生命保険では利益相反に悩む|法人保険の現場で見てきた本音。」への6件のフィードバック