中退共はあきまへんで社長、という理由についての一考です。
「あきまへんで」は「だめですよ」という関西弁です。念のため。
略して中退共、正しくは厚生労働省管轄の独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する中小企業退職金共済です。
経営母体は半官半民というよりはやはり国が関与すべき団体です。通常に民間企業ならはるか昔に立ゆかなくなっています。
かっての高利回り時代の契約が経営を圧迫していると言われて久しいですが、保険会社のように予定利率の高い時代に契約された保険を甘言で契約転換させるような戦略も取れないでしょうから実質的に巨額の債務超過と言うべきでしょう。
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それでも高コスト体質は依然として変わっていないようですから時代錯誤の独立行政法人です。
中小企業としては退職金制度がないと人が集まらないし、その原資も蓄積しなくてはなりませんから、中退共にでも退職金を預けざるを得ない事情を見ることができます。
税制適格年金が運用難で行き詰まり401Kも日本ではあまり馴染みがないとなると中退共か特退共かの選択になるのでしょうが、中小企業のオーナー社長にとってみればどちらもつまらない制度です。
デメリットの主なポイントを見れば中退共は額的に掛け金の下限が月額5000円と高く設定されてあり、尚且つ支払った時点で掛け金のコントロールが効かなくなります。
いくら全額費用で落とせてもそれじゃホンマにまるまるコストになってしまいます。
経営者にとってはポータビリティーはでかいデメリットと言えるでしょう。
中退共も特退共も401Kもポータビリティ(本人紐付き)があり掛け金を支払った時点で従業員のものになり後で調整が効きません。
たまにいる不届き社員にも打つ手がないのです。養老保険のハーフタックスプランなら半損ではありますが、中退共より解約という手段がありますからまだ経営の立場からすれば優れています。
一番よいのはかってのがん保険のように全額損金で落とせて高率の解約返戻金が期待できる商品ですが、残念ながら平成24年4月27日の通達により医療保険でありながら全損処理が認められなくなりました。
吹けば飛ぶような中小企業にとって中退共も特退共も401Kもしっくりこないのです。デメリット以前に会社あっての退職金制度です。
そういう意味からすると今考えられるベターな仕組みとしては養老保険のハーフタックスプランか半損でがん保険をかけるかというような選択肢に限られるようです。