養老保険は福利厚生か、節税メリットが残るハーフタックスの功罪。

養老保険は福利厚生か、節税メリットが残るハーフタックスの功罪。

養老保険は、有期の積立保険です。被保険者万が一のときは、保険金が満額支払われます。満期になれば、保険金と同額の満期金が受け取れます。

個人で契約することもできますし、社員を被保険者とした福利厚生として、法人で契約することもできます。

終身保険と同じく貯蓄性がありますので、その分は保障性の保険より保険料は割高になります。養老保険んは、早期に解約しない限り損をするということがありません。

法人で福利厚生の名目で契約すると、保険料を半分損金化できるので課税の繰り延べができます。うまく出口対策と組み合わせれば節税効果も期待できます。

■法人保険の間違いやすい経理処理、注意点まとめ。

◆ 養老保険の福利厚生プランとは?

養老保険は期間限定の終身保険のようなものですから、払った保険料の分だけはきっちり満期保険金が受け取れます。基本的に養老保険は全額資産計上ですが、社員全員付保の条件を満たせば半分費用とすることが認められています。契約する場合の条件として、

契約者:会社

被保険者:従業員

死亡保険金受取人:従業員の遺族

満期保険金:会社

解約返戻金:会社

となります。死亡保険金の受け取りを会社ではなく、社員の遺族とすることが損金参入の条件になります。

半分損金で落としていくと、満期金の半分が雑収入となり課税対象となります。退職金などに充当することで、納税額を少なくすることができます。社員の福利厚生という面と、課税の繰り延べという両面がある養老保険のハーフタックスプランです

◆ 養老保険のハーフタックスプランの節税メリットは?

このスキームはずいぶん昔から活用されてきた、養老保険の半分損金プランです。節税保険が華やかなりしころには、それほど節税効果がめだたないハーフタックスプランは、脇役のような立場でした。全損で大きくかけられる節税保険がなくなった今となっては、人気復活というのもうなずけるところです。

節税額を大きくしたければ、養老保険の保険金額を増額すれば保険料は増えていきます。そしてその半分の保険料が保険積立金として溜まることになりますが、キャッシュフローの固定化につながります。

節税はしたいけれど、保険積立金の増加は歓迎しないと思います。そういう意味では、保険料の増額についても痛し痒しという面があります。

また、保険料を増額するにしても限度があります。やりすぎて資金繰りに支障をきたすなら本末転倒と言ことになりそうです。

経営者や幹部社員だけ保障額を増額して、保険料を増やすこともよく行われます。一般社員の5倍程度が限度とお考え下さい。一般社員の保険金額が500万であれば、2,500万までとしてください。

国税庁のスタンスが、節税保険に厳しくなっています。一般社員の10倍などとして、税務調査で指摘されないようご注意ください

■全損損金のがん保険が、課税当局に狙われる理由。

◆ 養老保険のハーフタックスプランの本音は?

経営者にとれば節税をしつつ、解約返戻金が会社受け取りというところがミソです。要するに福利厚生の体裁はしていますが、社長にすれば全部会社の金であり、オーナー社長にとれば自分の金です。

会社万が一の資金需要には、即座に解約して換金可能なところが保険のありがたいところです。契約者は会社ですから、解約するときに被保険者である社員に了解を取る必要はありません。

解約返戻金の半分は、繰り延べた利益ですので雑収入が発生します。雑収入の使い道次第では、節税効果があります。

経営者にしてみれば、福利厚生ではありますが、緊急予備資金として節税しながら貯金をしている感じになります。

節税保険は、国税庁の通達で全面的に網がかかりました。ある程度まとまった金額で節税できる保険は、半分損金が可能な養老保険のハーフタックスプランだけになりました。

◆ 養老保険のハーフタックスプランの功罪。

養老保険ハーフタックスプランの功罪について、デメリットより本質メリットを見るべきです。しかし問題もあります。

この仕組みのネックは、死亡保険金は遺族受け取りというところです。長年会社に貢献してくれた社員が不幸にも亡くなった場合には、死亡退職金として支給することに何のためらいも起こりません。

しかし、入社半年で仕事もろくに覚えていないのに事故で亡くなっても同じく、死亡保険金が保険会社から本人の遺族に満額支払われるということです。

経営者からしてみれば、そんなアホなことがあるかいなと思う話です。死亡の原因は多々ありますが、会社にさんざん迷惑をかけたあげくに暴走して事故死と言う例もありました。その遺族も飲んだくれの親父が独りという有り様です。保険金はたちどころに酒代に化けることはわかっていますが、こればかりはどうしようもありません。

本人が家族に会社契約で養老保険に入っていることを言っていなければ、保険会社は被保険者の死亡を知ることはありません。知らぬふりで解約すれば、解約返戻金を会社に払います。

これはやはり道義的に禍根が残りますから、さてどうしますか。もめにもめて遺族に保険金が支払われた事例を知っていますが、全く人間の汚い部分が脂のように浮き出た話になります。当然渋った会社の評判も、はかばかしくありません。

◆ 養老保険に関する法人契約の事務手数料の問題について。

法人で保険を団体契約すると、事務手数料と消費税が割り引かれることがあります。これは養老保険のハーフタックスプランを契約するとき大きなメリットになります。

保険会社によって3%や2%などと変わってきますが、とくに事務的に何かをするようなことはなくても割引が利きます。

解約返戻率の1%を争っている中で3%の割引は大きなことです。単純返戻率がそれだけ高くなるということですから、ここはハーフタックスプランの契約をする保険会社を選ぶ際の大きなポイントになります。

ただ、団体契約の事務手数料の割引を廃止する保険会社も出てきました。事務手数料の3%が重くなったということかと思います。これは保険会社の都合とはいえ、契約している会社にとれば寝耳に水です。

養老保険のハーフタックスプランを検討される場合は、法人団体契約の事務手数料の有無を確認されることをおすすめします。ただし、契約初年度は事務手数料の割引はありません。2年目からになります。

■保険の事務手数料は3%の値引きと同じ意外と大きい。

◆ 養老保険は福利厚生か節税か?まとめ。

養老保険のハーフタックスに福利厚生で加入したなら、保険金事故が発生したらジタバタせずにルールに従いビジネスライクに処理することです。そこをキチンと理解しないと欲得の争いになります。

普通に考えれば、ルールに従い払ってしまえばよさそうなものですが、それを納得できないと払いたくないのがオーナー経営者というもののようです。

保険金が惜しいのではなく、保険金が保険会社から支払われれば、保険契約は消滅します。会社が受け取るはずであった解約返戻金が、なくなってしまうのが惜しいというわけです。

養老保険のハーフタックスプランには、お金が絡みますから経営者の思惑が絡んできます。福利厚生という名目ですが、本音は節税と緊急予備資金の蓄積にあります。そこを理解して契約されることが大事かと思います。

保険料には払込猶予期間があり、口座振替できなくても自動振替貸付。

定期保険を法人契約すると20年定期で十分価値がある全額損金。

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