社長が怒鳴るとパワハラ、恫喝より品格が社長の責任。
長年社長を続けていると、何度言っても自分の指示が守られないし、言ったことが実行されないと思うようになります。
その結果、思い通りにならないと、怒鳴り散らす社長がいます。恫喝で人を恐れさせ動かすのではなく、社長としての経営者の品格を見直すことが、会社を良くすることにつながります。
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◆ 社長が怒鳴ると社員が畏縮、面従腹背に。
どこかの品のない経営者の公演DVDを見て、一回や二回ではわからせることはできないから百回言わなくてはいけないとばかり、繰り返し怒鳴り散らすようなことになります。
こうなると社員が萎縮してしまい、何事も叱られないようにお茶を濁すようになります。はからずもこんな事例をずいぶん見てきました。
確かに井の中の蛙になっている幹部社員は、厳しく指導しなければ行動させることはできません。社員は誰でもそうですが、意図せずに能力を自分で縮小して、そこから出ようとしなくなるものです。それに気が付かないというか、見えなくなるのです。そこは経営者として、厳しめに尻を叩かないと会社はダメになります。
面従腹背と言いますが、それでも一歩踏み込んで相手の琴線に触れるまで言うべきことは言わないといけません。さらには怒鳴り散らすことと、叱責は区別しないといけないのです。
◆ 社長の指示が守られない本当の原因。
経営者の指示が守られないのは、社員に原因があるのではなく経営者たる自分に問題があると心得るべきです。
言ったことが為されない原因は、いくつかあります。ひとつは指示が正しく伝わっていない場合、もうひとつはこちらの指示は伝わっていても社員にその能力が欠如している場合、そして一番多いケースは社員が納得していない場合です。
指示がきちんと伝わらないのは、社長の責任です。社員の能力を見誤って指示したのも社長の責任です。社員を納得させていないのは、尚のこと社長の責任と言うべきでしょう。
経営者として社員から見くびられないためには、怒鳴り散らしたり恫喝したりだけで道は開けません。言って聞かせて、話を聞いて、納得させてやり方を教えるところまで突っ込まないと社員は思うように動きません。
◆ 社長の品格を見直すことが優先。
まずは経営者の品格を高めて、社員から尊敬され信頼されるようになることです。
信頼できない社長の言葉は、社員の心に落ちてきません。まず自分を高め、その上で相手の言い分を聞いてやることです。
とにかく社員が思うように動かないときは、謙虚に自分の行動を見直すことが大事です。しかし実際のところ、私が見てきたワンマンのオーナー社長ともなれば、率直に言って自省することは至難の技と言わなくてはなりません。
◆ 怒鳴るより社長の品格、まとめ。
経営者というものは常に自分が正しく、社員は間違っていると考える癖がついています。その結果、社員がまともな反対意見を具申しようものなら、逆鱗に触れてしまうことになります。
そうなると、その幹部社員は二度と逆らいませんが、お追従しか言わない太鼓持ちになります。耳の痛いことは誰も言わなくなり、情報ルートも偏ったものになります。その結果、経営上の判断を誤ることにもなりかねません。
そういうものですから、せめて万が一に備え会社のピンチを乗り越えるだけの生命保険契約を用意しておくことも、ひとつの手段です。
経営者の品格を見直すことが一番難しいことは、よくわかります。しかし最低限の心がけとして、感情的な言動は慎むべきです。
権力があればさらに、怒鳴ることでは何も本質的な解決にはなりません。指示待ち幹部を増やし、自主的に会社のために取り組むという視点が出てこなくなります。
それは社員のもつ能力と可能性を、半分しか活用できていないと言うことになります。
簡潔に言えば怒鳴り損は、会社の損と言うことになります。