生命保険の契約者変更と受取人変更の課税関係を解明します。
生命保険は簡単な手続きで契約者も受取人も変更が出来ます。しかし被保険者は体の健康を提供していますから、その契約に関しては決して変更できません。
課税関係を考えると結構ややこしくて面倒なのに生命保険としての変更手続きは拍子抜けするほど簡単に出来てしまいます。
もともと生命保険は契約するときに一番手間がかかります。診査があったり告知を書いたり、時には条件が付いたりと、とても入りにくい生命保険ですが、ひとたび契約してしまうと後の手続きは比較的スムーズに進みます。
それだけに何気なく安易に変更することで、後でもめたり追徴課税が発生したりという面倒なことになりがちです。他の金融商品には被保険者も受取人もなく契約者がすべての権利を持ち、判断します。
ところが生命保険には利害が絡む受取人と被保険者が必ず関与します。被保険者は体を提供しますから元から受取人にはなり得ません。これはわかりますね。自分の死亡保険金を自分が受け取ることはできないと言うことです。ですから契約者と被保険者が同じとき、契約者は自分を受取人に指定することはできません。
その場合、自分以外に受取人を指定すれば保険金を受け取る時の課税関係は贈与か相続になります。
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- 1 生命保険といえども、こっそり内緒で、宝くじのように課税関係無縁で大金は入らないのです。
- 1.1 その1)
- 1.2 変更可否、契約者と受取人は契約者の意思で変更できますが、被保険者は変更できません。
- 1.3 その2)
- 1.4 世間では名義変更と言うほうがよくわかりますが、生命保険契約の契約者変更です。お金を払って保険契約を買えば売買ですが普通は無償で変更します。無償で保険契約を譲渡すれば贈与ということになり、贈与税の課税対象となります。
- 1.5 その3)
- 1.6 契約者の変更も受取人の指定も契約者の権利ですが変更する場合、被保険者の同意が必要になります。保険会社の変更請求書には被保険者の自署欄があります。
- 1.7 その4)
- 1.8 契約者は受取人を指定する権利がありますが、契約そのものを解約し解約返戻金を受け取る権利があります。
- 1.9 その5)
- 1.10 受取人は被保険者死亡時に生命保険金を受け取る権利を有しています。この時課税関係に注意する必要があります。自分が契約者でない場合、相続税か贈与税になります。
- 1.11 その6)
- 1.12 被保険者が生存中に病気になって受け取る入院給付金などの生存保険金は基本的に非課税です。
- 1.13 その7)
- 1.14 解約返戻金にしても生命保険金にしても名義を変更しただけでは税法的には課税されません。保険がお金に代わる時課税関係が発生します。
- 1.15 共有:
- 1.16 関連
生命保険といえども、こっそり内緒で、宝くじのように課税関係無縁で大金は入らないのです。
わかりにくい部分もあるので表にしてみました。生命保険の契約者変更(=名義変更)と受取人変更にかかる変更可否、権利関係、課税関係がこれでお分かりいただければありがたいですが、いかがでしょうか。
(契約者) | (受取人) | (被保険者) | |
---|---|---|---|
変更可否 | 可 | 可 | 不可 |
変更手続 | 契約者変更=名義変更 A.無償譲渡⇒贈与 B.有償譲渡⇒売買 | 受取人変更 | 不可 |
権限 | 変更は契約者の意思 | 契約者が指定 | 同意 |
権利/受取 | ・解約(解約返戻金) ・受取人指定 | 死亡保険金 | 生存給付金(入院給付金etc.) |
課税関係 | 受取時課税 (A)新契約者:贈与税 (B)新契約者:一時所得 | 受取時課税 贈与税 相続税 | 非課税 |
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