生命保険の受取人は遺言書より確実なのに自分が受取人であることに自覚がないのです。
残念なことですが本稿に興味を持ち検索されるのは主に契約者の方であり、被保険者や指定された受取人はその時まで関心があまりないのが普通です。
生命保険の受取人に警鐘を鳴らしたいと思っても、どうも効果は薄いようなので契約者の方に受取人指定の機能がいかに有効で卓越しているかを下記の4項目でご説明申し上げたいと思います。
① 生命保険は契約者の意思で受取人が指定できる。
② 生命保険契約は契約者のもの。
③ 生命保険の受取人指定機能は争族を未然に防ぐことができる。
④ 生命保険は遺言より確実に受取人が指定できる。
家族内でも相続に関しては譲り合うことが出来ないケースが多いのです。相続税どころかわずかなお金を巡って裁判になる事も珍しくありません。生命保険の受取人指定機能を活用して少しでももめ事を未然に防げればとの思いです。
実際は受取人を指定しても争いになります。しかし契約者である被相続人(亡くなった親)の意思は明確にすることができます。また生命保険会社は指定された受取人以外にはびた一文支払うことはありませんから決着はついています。
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① 生命保険は契約者の意思で受取人が指定できる。
契約者は自分で保険会社と契約します。自分で保険料も支払いますから保険契約に関してはもっとも自覚があり契約の意志があります。
体を提供する被保険者は通常告知書の記入やら診査がありますから被保険者としての自覚はあります。しかし保険料を負担していない分、自覚は低いですし、忘れる可能性が高くなります。
しかし生命保険の契約では契約者と被保険者が同じということはよくありますからそういう場合は忘れて仕舞うようなことはあまりないわけです。
ところが生命保険の受取人に至っては契約者が申込書に指定するだけですから全く自覚がありません。契約者が本人に伝えなければ自分が受取人であることを知らないということもあります。
相続が発生すれば受取人は重要な立場ですが、どうもピンとこないケースが多いように思います。受取人は契約者以外に変更する権限は誰にもありません。契約者の意思による変更以外に絶対に変更できないのが生命保険の受取人なのです。
② 生命保険契約は契約者のもの。
生命保険契約は基本的に契約者のものです。保険料というお金を払った人に所有権があります。他の金融商品でも損害保険でも契約者は同時に指定せずとも受取人になります。
考えれば至極あたりまえです。金融商品はお金を負担した人が結果として得られる収益を手にすることが出来ます。
唯一生命保険だけが受取人を指定する仕組みがあります。それは保険事故発生時には被保険者かつ契約者が死亡していることもあるので、保険金を受け取る人を指定する必要があるわけです。
もう一つのケースは契約者と被保険者が異なる場合(例:契約者=親、被保険者=子)受取人は契約者にするのが普通です。
生命保険契約は契約者のものですが人の死亡を前提としていますから受取人を指定しておく必要があるのです。
③ 生命保険の受取人指定機能は争族を未然に防ぐことができる。
相続では生命保険の受取人は相続財産と区別して受取人固有の権利として認められています。相続の場面で生命保険契約がものを言うのは、この受取人指定という他に例をみない機能によります。
生命保険は金融商品ですが受取人指定という特殊な機能を有している訳ですからこれをうまく使うことが大事です。
銀行預金にも株式や証券、不動産にも受取人指定の機能はありません。死亡保険金だけに受取人指定があります。これは特別なことなのです。これは相続税対策においてはとても大きな特色なのです。何気なく見過ごすことなく、慎重に受取人指定を活用してください。
相続税がかかる人もかからない人も争族争いを未然に防ぐ切り札こそ生命保険の受取人指定だということをご理解ください。
④ 生命保険は遺言書より確実に受取人が指定できる。
相続において遺言書以外に受取人指定が出来ると言うことはすごいことなのです。
さらに言えば遺言書は形式不備により、また遺産分割協議により必ずしも被相続人の意志が反映されるとも限りません。
しかし生命保険の支払いは保険会社が責任を持って履行します。誰が何と言おうがテコでも契約は守るのが保険会社です。それは間違いなく保証できます。
それだけに受取人指定をしっかり考えて、憂いなきようにと申しあげたいわけです。
遺言書で生命保険の受取人を変更できますが、問題もあります。生命保険の受取人変更は驚くほど簡単ですが押さえておくべきポイントはいくつもあります。受取人変更に関する詳細情報は上記リンクよりご参照ください。
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