全額損金の解約返戻率ではネオファースト生命
生保業界が激しい動きをしています。
低金利・長寿時代のサバイバル競争の様相です。
低金利は金融機関の運用成績を押し下げ収益源を圧迫します。その結果金融機関関連の保険代理店攻勢が激しくなってきました。
某都市銀行が連れてくる関連の保険代理店、そのOBや元支店長が役員や営業部長をつとめる保険代理、その他独立系の保険代理店が3社入り乱れての競争になっています。乗合代理店はいずこもネオファースト生命の提案がメインです。ネオファースト生命とは聞きなれない保険会社です。ネットでネオファースト生命のことを調べると社歴が5年ほどの第一生命の子会社のようです。
第一生命とも付き合いがありますが、まだネオファースト生命の提案は来ていません。
もちろん普通の保険会社の営業職員も何人かアプローチしてきます。
法人保険の提案内容も提案窓口も多様になりました。選択肢が広がったのは良いのですが、選択基準は広がっていないと感じています。
法人保険は売る人も買う人も戸惑う中での競争激化です。ネオファースト生命一色では保険商品としての選択の余地がないのです。
一番困るのは、提案する保険商品が同じであるということです。
保険会社の営業職員が提案すれば各社の違いが出ましたが、今度ばかりは同じ商品の提案がほとんどです。同じ保険商品で年齢と性別が同じであれば、どの保険代理店でも完全に同じものになってしまいます。もちろんネオファースト生命も同じことです。
保険料も返戻率も全く同じものを複数社が提案してくるわけです。全く買うほうにも受難時代です。差があるとすれば窓口担当者の顔とGNP(義理・人情・プレゼント)ぐらいでしょうか。
これは日本生命やネオファースト生命をはじめとする国内生保の法人保険分野での巻き返しによる新型の全損保険の比較競争の激化が原因です。
そんな中、開発競争の最後に出てきた保険商品がネオファースト生命の「一定期間災害保障重視型定期保険」という商品なわけです。3月発売ですが3月決算企業に間に合うかどうかの厳しいタイミングです。
◆ 定期保険の105歳ルール
新たな全損保険といいましたが、定期保険の経理処理ルールが変わったわけではありません。従来からの105ルールは生きています。
[国税庁]法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて
要約すると
定期保険(全額損金):被保険者年齢+保険期間×2<105
長期平準定期保険(1/2損金):被保険者年齢+保険期間×2>105
要するに全額損金で落とせる定期保険の条件は保険期間を20年で設定すると
105-20×2=65 65歳までは全額損金の定期保険が設計できます。
ただ全額損金にこだわるなら保険期間満了時の被保険者の年齢が70歳を越えてはいけません。両方の要件を満たすとき全額損金が可能になります。
現在のところこれ以上長期期間の保険契約について全額損金は認めませんよと言うのが国税庁のスタンスです。
ネオファースト生命も他の保険会社もこのルールにのっとって設計しています。
◆ 新商品の特色
各社呼び名は変わりますがネオファースト生命に限らず概ね似たような保険商品です。これまでは20年くらいの短期定期では全額損金にはなりますが解約返戻率が全くよくないし、保険料も伸びないので節税効果がありませんでした。
それを一定期間を前期期間として保障内容を災害死亡保障だけにして、告知事項を軽くしてあります。事例として以前に胃がんにり患していても、過去5年以内に入院または手術を受けていなければ告知不用となっています。(少なくともネオファースト生命の案内パンフレットには胃がんはありませんでした。)
また共通の特色は解約返戻金の返戻率を大きく上げてきています。実効法人税率を考えれば十分なメリットがあります。
例えばネオファースト生命では34歳の女性で前期期間が5年の場合ピーク時の単純返戻率は89.4%です。前期期間10年では89.9%と結構おいしい返戻率になっています。
本音では、利益の繰り延べによる緊急予備資金の確保が目的ですから、必ずピーク時期での解約になります。よって死亡保障は考えてないでしょうから、告知がどうのと気にする必要性が低いと言えます。ただ告知義務違反は甘くないので理解したうえで対応するということです。
◆ 契約上の注意事項
いつも申し上げますが、解約時期は自己管理になる覚悟で契約をご検討ください。
証券会社や金融機関系の保険営業は転勤がありますから、売りっぱなしです。ネオファースト生命だろうが他の保険会社だろうが同じです。還暦を越えたような営業部長が私が責任をもって管理しますとは言いますが、10年後にネオファースト生命の保険を売ってますかと問わずにはおれません。
とりあえずすすめられるままに契約すると、解約時期を逃して痛い目に合わないとも限りません。
そういう意味から解約返戻率の高さだけを比べるのではなく、ある程度解約返戻率が高い期間がそれなりに続く保険商品を選択して下さい。
最悪、経理担当者が交代し解約を2~3年忘れても、大事にならない商品を選ぶことが大事です。ネオファースト生命の商品が適切かどうかはご自身で解約返戻率の推移を見ながら思案してください。
最後に重要な念押しです。
当然のことながら出口対策をしっかり考えておくことが重要になります。
補足:このブログに記載されている内容は2018年3月11日時点での情報です。
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