家督相続から法定相続が招いた家族崩壊。

家督相続から法定相続が招いた家族崩壊について。

CIMG3774交通網と情報網が発達し、経済構造が地域農業から都市集中型に変わり家督相続時代の家族は崩壊し核家族化が進みました。

地方の都市や村落では人口減少が進み、シルバーマークの車ばかりが目立つようになり、耕作放棄田と人が住むことをやめた家があちこちに放棄され社会問題にまでなっています。

確かに生活は便利になり、居ながらにして世界中の情報が手に入ります。よほどの離島か山間部でもない限り流通網が発達していますから、欲しいものは手に入れることができます。

しかし家族はバラバラに住み盆暮れに顔を合わせる程度になります。親は子の心配をし、子は親の老後生活を憂いつつ、自分たちの生活を優先するしかないので、できることは限られます。

この日本社会の有り様は正しい選択だったのでしょうか。老いて気が付く社会構造への疑念はどんどんふくらんできます。保険には直接関係がありませんが、保険から相続、そして家族とつながると家族崩壊の深刻さに気が付きます。

 ◆ 家督相続時代の家族。

親に相続の話をするなど家督相続に時代にはあまりなかったのではないかと思います。家がありそれを継ぐものと、それ以外のものに分かれていた時代ですから相続の在り方も決まっていたようなものです。

他家に嫁に出した娘には嫁入り道具と持参金一式で実質的な相続放棄です。次男は分けるお金があれば近所の敷地に家を建て新屋として村入りです。それ以外は自分の器量で独立して家を構えることができれば運がいい方で、どこかの家に養子に入ることで糊口をしのぎます。

結局、地域の共同体としての村組織に力があり、その枠をはみ出ては生きていくことが難しい時代だったと言えるのではないかと思います。

それはその時代の長所であり短所でもあります。少なくとも家族は一つ屋根の下に暮らすか近所に住まいしています。老親は孫の手を引きながら散歩しています。若者の自由は制限されましたが、親が老いることに心配のない社会であったと思います。

 ◆ 法定相続時代の家族。

昭和22年に民法で家督相続が廃止され法定相続制度が導入されました。これにより配偶者や長男以外の子に相続権が与えられました。家という概念が廃れ個人の権利が伸展した結果、年齢や性別を問わず均等に財産を分ける「諸子均分相続」が始まりました。

田舎ではそうはいっても稲作農業が主体でしたから田を分けると家としての生計がなりたたなくなるため、長子相続を基本とした分け方が残っていました。「たわけもの」愚か者の意味をもつこの言葉は田を分けることはおろかであることを意味しています。

法定相続は確かに公平な財産の分け方のように思います。ところが、この法定相続は家の崩壊を促進させる一因になったのではないかと思います。

モータリゼーションが進化した時代では、日本全体が一つの枠組みとなり、高収入を得るためには学歴社会で結果を残し、有名大学を卒業し優良企業に入社することが成功への近道でした。田舎に残っても社会で飛躍することができないし、家を継ぐという概念や責任感が薄れ、長男といえども親の代からの財産を引き継ぐことができないのですから、仕方がないかもしれません。

権利が分散すると昔からの本家を維持することすら難しくなることがあります。こういった事例は相続の現場で多数見られます。いまでも長男の責任という感覚は残っています。

 ◆ 家族崩壊時代の相続。

家族が最小単位に分散し、日常のコミュニケーションが弱くなると相続での意思疎通も難しくなります。お互いを思いやる心がなくなり権利の主張が幅を利かせてきます。

家族崩壊時代の相続が争いになりやすいのはこの辺に原因があるのかもしれません。マンションに住んでいるとお隣のご主人の顔も知りません。15年住んでいても、です。ガレージであいさつもしないほど、隣人のことを知らないのです。家族崩壊だけでなく地域社会のコミュニティも崩壊の危機に瀕しているといえると思います。

一人一人は誰もフレンドリーでよい人です。でも触れ合う機会がないと知らない他人なのです。近所の人でも知らない人は他人です。他人には妙に冷たい態度をとるのが日本人の特性です。

 ◆ 親の心配は相続よりお金と孤独。

親の心配ごとは相続税の節税とは限りません。よく考えてみれば相続税を払うのは相続人です。被相続人として親が相続税を払うことはないのです。親が相続の話を本気で聞けない理由がこの辺にあるように思います。

老いていく身の心配事は老後のお金、経済力と孤独なのです。どうしても若い時のように体は無理がきかなくなり、あちこちに人には言えない不具合が生じます。生命保険の告知でひっかかるような病気も経験します。

子供たちが独立して家庭を持つと親二人暮らしになりますが、いずれどちらかが介護され先立ちます。老いての一人暮らしは、やはり孤独になります。そうなったときに必要になるものはまとまったお金です。お金がなければ老人ホームにも介護施設にもはいれません。

老いて行く親にすれば心配事の優先順位から言えば、お金と孤独、相続のことはそのあとのことです。

 ◆ まとめ。

CIMG3775子供の将来を思い一生懸命勉学の支援をし、塾に通わせ、受験に一喜一憂し有名大学に合格することが子供と自分の将来に大きく花開くと信じていた親御さんは多いと思います。

ところが有名大学に合格し一流企業に合格すると我が子は自分の手元から離れていきます。ついでに息子の嫁も孫も年に数度しか会えなくなります。

我が子の将来を思い骨身を削って支えてきたことが果たしてよかったのかどうか、気が付いた時には遅いという現実があります。

勉強なんかできなくてもよい、一流企業になんか就職しなくてもよい、近くの工場で働いて近くの嫁をもらってくれたら毎日孫と散歩できたものを。親とは悲しいものですね。

法定相続がすべての原因とは言いません。しかし法定相続は家と家族を崩壊させる一因には違いありません。せめて生命保険だけでも家族がつながるようにしっかり受取人を見直しておいてください。

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