逓増定期名義変更の無責任、ラストチャンスの活かし方。

逓増定期名義変更の無責任、ラストチャンスの活かし方。

追記2021/6/25:

国税庁により逓増定期保険の名義変更にかかる保険契約の権利評価の見直しが行われました。2021年6月25日、資産計上額で評価するという通達(所得税基本通達36-37)が発遣されました。さらには2019年7月8日までの契約に遡及し、逓増定期の名義変更スキームは完全に封じられました。

※過去の記事ですので、これまでの経緯として参考程度にお読みください。

コロナ・ショックの緊急事態宣言で会社勤務もままならない中、やり手の保険代理店はアポを取りに来ます。

保険業界で営業自粛をすれば、一気にピンチになります。そんな中で逓増定期保険の名義変更は、最後のビッグチャンスになっています。

それは保険代理店だけでなく、中小企業のオーナー経営者にとっても同じです。

ただ、こコロナ・ショックで経営が傾いている企業には、おすすめのしようがありません。これをチャンスにできるのはこれから数年間、厳しい現実を乗り越えて利益を出し続けることができる、利益体質の企業に限る話になります。美味しい話にはリスクもあります。それやこれやを含めまして一歩踏み込んだ書き方をしました。

■逓増定期保険の名義変更、ホワイトデーショックまとめ。

◆ 逓増定期の名義変更にラストチャンス。

何度も書いてきましたが、逓増定期の名義変更は美味しすぎる最後のウルトラスキームです。この法人保険の行き詰まりの中、さらにコロナ・ショックの真っただ中に一人勝ちの保険代理店は笑いがとまらないようです。いずれはこのスキームも拡散して、国税庁もお目こぼしできなくなるときがくると思います。それまでの間に、どれだけ資金移動ができるかです。

逓増定期の名義変更は契約から名義変更、解約から一時所得の申告まで時間がかかります。平均すれば5年の長丁場です。その間保険料を払い続ける余裕が会社になければ、そもそもできない相談です。継続して利益を出し続けることができる、中小企業のオーナー経営者向けの仕組みです。

また本体の契約は逓増定期保険ですから、仮に国税庁から名義変更時の保険の評価に制限をかける通達が出たとしても、解約返戻率のピーク時に法人で解約すれば、保険積立金がキャッシュに変わるだけで何の問題も発生しません。

◆ どれだけ資金を移したいかで設計。

最初は躊躇気味に一番返戻率がよい会社で、1本だけ逓増定期保険を契約されると思います。でも考え方の基本は会社の利益に対して、どれだけの資金をオーナー経営者もしくは後継者に移したいかで保険料の額を決めます。場合によって枠が足りなければ、解約返戻率の高さは気にせずに複数社で契約することも検討します。

被保険者は身内の役員に限定して、あとあともめないように範囲はオーナー夫妻か後継者夫妻にします。年齢にもよりますが、3社で契約すると最大で年間保険料が1億近くでも可能になります。たとえばそれを4年払うと4億です。

ざっくりですが被保険者2名で一時所得として、3億ほど資金移動が可能です。各社解約返戻率の条件が異なりますので、この通りにはなりませんが、概算とお考え下さい。この際には、資金を集中したい重責のかたを名義変更先の契約者としてください。

◆ 目的は経営の安定、後継者への資金集中。

逓増定期の名義変更による資金移動が有効なケースは、やはり事業承継において後継者への資金集中です。会社を引き継ぐ後継者は、やる気はあるが経験と自己資金が不足するとしたものです。

自己資金をしっかり持つことで、信用のバックボーンができますし、自信もついてきます。これはとりもなおさず、資金を集中する目的が経営の安定にあるということです。また移動した資金は、巨大になりがちな中小企業の経営者の相続税の納税資金になります。

◆ 事務手数料と配当で戻りはナント105。

逓増定期保険の中でも保険会社によっては解約返戻率が高く、当座に寝かすよりはるかにお得な場合があります。実質返戻率(こういう言い方はご法度になりました。)が105%を越えることさえあり得るのです。えっ!とお思いの方があるかもしれません。保険会社によれば、実績として配当が3%は付く会社があります。

団体契約を組むと、事務手数料で3%と消費税を割り引いてくれる会社があります。合わせると5年目の単純返戻率が97%だとすれば実質返戻率は105%越えになります。これは下手な投資より、安全確実で高利回りです。そのうえ名義変更、一時所得という選択肢も可能になります。

◆ 一時所得は1/2課税だからめちゃくちゃ美味しい。

逓増定期の名義変更で、受け取った解約返戻金から必要経費として、法人からの買取金額と1回分の保険料を引いた残りの金額が一時所得となります。一時所得は50万の特別控除を引いた残りの半分が、所得税の対象になります。

要するに退職所得の課税のように、半分は所得税が非課税になっているのです。役員報酬として受け取るよりもはるかにお得になります。役員報酬は簡単に増減できませんから、一時所得がめちゃくちゃ美味しいという言い方もあながち誇張ではないのです。

さらに。役員報酬、役員賞与、配当以外の第四ルートでの一時所得になります。まったくうまくできた仕組みです。

◆ 法人間で名義変更、失効で利益繰り延べ。

逓増定期保険と言えども、基本は普通の定期保険です。法人個人間に限らず、法人法人間でも利益の付け替えができます。これに気が付くと、逓増定期の使い道の幅がグンと広がります。

また雑損失を出す時期をコントロールしたければ、保険料の支払を停止して、失効させる手も使えます。保険独特のテクニックを駆使すれば、自由自在に利益の繰り延べも可能になります。逓増定期保険は、活用範囲の広い誠に面白い保険なのです。ただ、国税通達により資産計上のルールが変わりましたので、当期の節税には使えません。念のため。

◆ 逓増定期名義変更の無責任、まとめ。

煽るだけあおっていて無責任ではありますが、売る立場ではなく買う立場ですので、できることは情報提供だけです

もう一つ逓増定期名義変更の無責任と書いた理由があります。逓増定期の名義変更は管理期間が最低でも5年になります。名義変更から保険料の個人支払、解約から一時所得の確定申告まで、誰かのサポートを期待してはいけないということがあります。販売した保険代理店も契約窓口となった会社の経理担当も、最終的な責任を負うことはできないとお考え下さい。

担当窓口が変われば、もはや無責任ゾーンに突入します。最悪の場合は、名義変更も解約時期も、見逃されることもあり得るのです。そういう意味では、解約返戻率が高い時期が数年は続く逓増定期が安心です。

くどいように申し上げますが、逓増定期の名義変更は受益者自身が管理するということをお忘れなきよう、お願いします。あくまでも自己責任ですね。

※逓増定期の名義変更スキームは、ホワイトデーショック以後意味がなくなりました。過去の記事ですので、これまでの経緯として参考としてください。

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