生命保険は相互扶助、戦争には対応できない保険免責。

生命保険は相互扶助、戦争には対応できない保険免責。

ウクライナの悲劇から見えてくるものは、想定外の惨事、国際秩序では正義や道理はなすすべがなく、力がすべてです。かつての人類の歴史が示すように、支配者の保身が惨禍につながるということのようです。

ところが戦乱はどこの保険会社もどの保険も原則免責、これは仕方がないのです。他の言い方では、変乱とも言いますが、変乱とはとは戦争にまでならない内乱、クーデターなどの暴動です。どこの保険会社も使う言葉で変乱とは「変が起こって、世の中が乱れること。騒乱。」という意味です。いわゆる変乱で保険金がまるっきり支払われないのでしょうか。

◆ 保険金が支払われない3つのケース。

保険事故が発生しても保険金が支払われない主なケースを3つあげます。保険金が支払われないケースと言ってもそれは、保険会社にしてはむしろ契約者の公平性を確保するうえで当然のことです。しかし「戦争、その他戦乱」の場合だけ意味合いが異なります。

1)告知義務違反

虚偽の告知を行い保険に加入すれば、告知義務違反です。巨額の保険金を支払う場合は必ず調査が入ります。そこで告知義務違反が確認され、契約が解除された場合、当然保険金は支払われません。ただし、告知の内容と死因に因果関係がない場合は、保険金が支払われる場合もあります。

2)保険金支払いの免責事由に該当

保険会社により期間が違いますが、多くの場合責任開始日から1年から3年以内の被保険者の意思による死亡は保険金が免責となります。もちろん保険金殺人は論外です。また契約者や被保険者には責任がありませんが、戦争、その他戦乱によって被保険者が死亡した場合も免責となります。

3)保険契約の失効

払込猶予期間内に保険料の払込がなく、契約が失効した場合は保険金が支払われません。何度も督促があり、保険料支払いの猶予期間が過ぎても保険料が支払われなければ失効免責となります。

上記以外には、保険契約者、被保険者または保険金の受取人が、反社会勢力に該当すると認められると保険金が支払われないことがあります。

保険金が支払われないケースとして明らかなように、戦争や戦乱で死亡しても保険金支払いの免責事由に該当するわけです。多数の死者が発生する状況では、保険という仕組みが成り立たないのです。平和な国でなければ保険が成り立たないわけです。何やかんや言っても日本は民主的で平和な国家であると言うことです。

◆ 戦乱による保険免責について考察。

プルデンシャル生命のサイトから以下情報を引用しました。保険会社としてのスタンスがよくわかります。払えるだけは払いますが、限度を越えたら保険金は払えなくなりますよと言っているわけです。

戦争その他の変乱とは?

・「変乱」とは戦争まではならない内乱、暴動等のことをいいます。

・お支払いできない場合として「戦争その他の変乱」を定めておりますが、これにより死亡、高度障害になったり、入院や手術をした被保険者の数が保険料計算に影響を及ぼさない限り、保険金や給付金の全額をお支払いします。

保険会社は基本的に営利企業です。保険料の算出は、予定利率と予定死亡率、予定事業費率の計算によって決まってきます。保険会社の損益の指標に基礎利益がありますが、予定死亡率が大幅に上回り保険金支払いが膨らむと基礎利益を圧迫します。

戦争などで一度に大きな保険金支出があると保険会社を守るため支払い金額が削減されたり、保険金を全額支払わなかったりすることがあります。全く払わないと言っているのではなく、限度を越えた保険金支払いには制限をかけるということのようです。

◆ 戦乱は保険免責、まとめ。

ロシアによるウクライナ侵略は、ニュースを見ていられないほど気の毒です。多くの市民が犠牲になり核施設まで攻撃対象になっています。これこそまさに戦争であり保険が無力さをさらけ出すことになります。

何度も申し上げますが、保険は平和でなければ機能しない仕組みなのです。多くの悲劇には対応できないと言う特性があります。だから保険は無力だということにはなりません。万人はひとりのために、ひとりは万人のために 「相互扶助」こそが保険の本質です。人間である以上争うのではなく助け合わなければなりません。

戦争では得るものはありません。侵略されるほうも侵略するほうも大きな痛手を被ります。戦争には無力ですが、生命保険は、その意味では平和社会の象徴と言えるかもしれません。

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